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そして彼だけが残った──。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、東京地検特捜部が最大派閥・安倍派幹部の萩生田前政調会長からも任意で事情聴取。聴取を受けた幹部は松野前官房長官、高木前国対委員長、世耕前参院幹事長、同派座長の塩谷元文科相に続き、5人目だ。特捜部は「5人衆」最後のひとり、西村前経産相の任意聴取も検討しているもようだ。オーラスに選ばれたのには当然、理由がある。
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安倍派の裏金づくりは、公訴時効にかからない2022年までの5年間で計5億円規模とされる。特捜部は安倍派の会計責任者の職員を政治資金規正法違反(虚偽記載など)で立件する方針。その上で会計責任者との共謀の有無を見極めるため、次々と幹部の聴取に踏み切った。
■焦点は昨年のキックバック安倍派では各議員に販売ノルマを課した派閥パーティー券の収入から、ノ超過分を議員側へキックバック。派閥・議員側双方の政治資金収支報告書に記載しない会計処理で裏金にしていた。あまりにも長期にわたって常態化しており、刑事司法の専門家からは幹部の共謀認定の難しさを指摘する声が上がる。「長年の慣習で会見責任者に逐一細かな指示を行っていない可能性がある」というのだが、そのハードルを突破する上で、特捜部が注目しているのが、昨年開催した派閥パーティー前後の動きだ。
21年11月に安倍元首相が派閥に復帰し、新会長に就任。22年春ごろ、約1カ月後に派閥パーティーの開催を控えた時期に、安倍元首相はキックバック中止の方針を提案したという。
「ところが、議員側はキックバックを前提にパー券販売を進めており、急な方針転換に反発が広がった」(安倍派関係者)
安倍元首相の死後、安倍派の幹部内でキックバックの方針を再び協議。
幹部の醜悪な責任なすりつけ合い
事務総長の西村氏は、キックバック分を個々の議員が開いたパーティー収入として記載する案を検討したという。事務総長の座は、8月に前倒しされた内閣改造で西村氏が入閣したのに伴い、現職の高木氏にバトンタッチ。
結局、安倍元首相の方針転換は反故にされ、9月にかけて従来通りキックバックを実施し、裏金化したというのだ。
「一連の動きは、派閥を取り仕切る立場として当時の西村氏が裏金システムの不適切さを認識し、実態と異なる記載を指示した傍証になり得る。特捜部は安倍派幹部の聴取でも、昨年のいきさつにどう関与したのかを重点的に尋ねたとされる。外堀を埋めてから『本丸』を攻めるのが捜査の常道。聴取の『大トリ』を務める西村氏が、特捜部の最終標的として狙われている可能性はあります」(司法関係者)
安倍派幹部たちの聴取の様子は「『俺は何も知らない』『悪いのはアイツだ』と責任を押し付け合っている」(司法関係者)と漏れ伝わってくる。狭まる西村包囲網は、幹部同士の醜悪な責任転嫁の帰結なのだろうか。
「適切な判断をしてもらえた。警視庁と検察庁には謝罪をいただきたい」
◆胃がんと分かっても保釈は認められなかった
◆「お父さんの製品は疑われるものじゃなかった」
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