“戦争の準備ではなく、平和の準備を”
評論家 故・加藤周一さんの発言 各界に響く切実感
“戦争の準備ではなく、平和の準備を”―日本共産党の志位和夫委員長が11日の全労連と国民春闘共闘委員会の合同旗開きでのあいさつで紹介した「九条の会」呼びかけ人で評論家の故・加藤周一さんの言葉が反響を呼んでいます。岸田政権による敵基地攻撃能力の保有と大軍拡の動きが急ピッチですすむなか、切実感をもって受け止められています。
加藤さんは2005年11月の「九条の会」の講演会で、「平和を望むなら、戦争を準備せよ」というラテン語のことわざを紹介しつつ、これは「間違っています」と指摘。「戦争の準備をすれば、戦争になる確率が大きい。もし平和を望むなら戦争を準備せよじゃあない。平和を望むならば、平和を準備した方がいい。戦争を準備しないほうがいいです。準備は容易に本当の戦争の方へ近づいていく。非常に早く強く」と語りました。
14年には「九条の会」10周年の講演会で、作家の大江健三郎さんも加藤さんのこの言葉を引用し、「そのとおりです。非常にまじめで、どこか不思議なユーモアのある論理です」と述べました。
戦後出版された大蔵省昭和財政史編集室編『昭和財政史』で経済学者の大内兵衛氏はいいました。「軍拡は必然的に戦争への道を促し、戦争はまたさらに次のより大きな戦争を不可避にするものであることを、事実によって何ものよりも雄弁に示されたという感が深い」。そして戦時国債がいかに軍国主義に利用されたかを説いています。いま多くの識者が「戦争の準備」に警鐘を鳴らす発言をしています。演出家の宮本亞門さんは沖縄県主催のシンポジウムで「戦争は天災ではない、人災だ。人災は止めることができる」「今、私たちは大きな分岐点にきている。私は止めるために動いていきたい」と発言。法政大前総長の田中優子さんが岸田政権の動きをあげて、「日本が戦時体制に入りつつある」「だから、反戦の準備をしよう」(「東京」15日付)と呼びかけました。
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