大接戦だ。一時は「確トラ(確実にトランプ勝利)」と言われた11月の米大統領選で、民主党候補のハリス副大統領(59)が巻き返している。
米メディアが全米の有権者を対象に実施した最新の世論調査(8月9~13日)で、共和党のトランプ前大統領(78)の支持率45%に対し、ハリスが4ポイント差でリード。民主党としては、19日から開催している党大会で勢いづけたいところだが、そう簡単でもなさそうだ。上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)がこう言う。
「ハリス氏が『一歩リード』と言えますが、極めて弱いリードです。党大会の盛り上がりも重要とはいえ、この分断の時代にあって、ハリス氏支持に動く層があるのかどうか。一方、トランプ氏も支持層を固めるだけで、強い候補ではないし、むしろ弱い。昔も今も『ほぼトラ(ほぼトランプ勝利)』ですらないことは強調しておきたいと思います。最後は激戦州での戸別訪問、ドブ板戦略が勝負の分かれ目になるでしょう」
■「世界の歌姫」を悪用しやりたい放題
トランプは自前のSNS「トゥルース・ソーシャル」にフェイクニュースやフェイク画像を投稿するなど、やりたい放題。生成AIで作成された手の込んだシロモノも紛れているだけにタチが悪い。特に問題視されているのが、世界の歌姫テイラー・スウィフトに関するフェイク情報の拡散だ。
テイラーの大統領選への態度が、「スウィフティーズ」と呼ばれる支持者の投票行動に影響すると言われている。テイラーの挙動に注目が集まる中、トランプは「トゥルース・ソーシャル」に、トランプ支持を表明するTシャツを着たスウィフティーズの写真を転載。海軍の募兵ポスターの「アンクル・サム」をテイラーに差し替えて投稿した画像には、〈テイラーは君にドナルド・トランプへ投票して欲しいと思っている〉と書かれている。いずれもフェイク画像だ。
「ネット上のネタとして拡散して、ハリス氏の支持をそぐ狙いでしょう。米国はフェイク画像・動画への規制が整備されていません。訴訟沙汰になる可能性はあれど、取り締まることができないのが実情です」(前嶋和弘氏)
トランプは選挙集会で、カナダの人気歌手セリーヌ・ディオンのヒット曲で映画「タイタニック」の主題歌である「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」を無断で使用し、マネジメント側から怒られたばかり。まったく懲りない男だ。
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