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「武力を以って民は治められない」小沢代表が元レンジャー隊員と安保法制について意見交換
~貧困を克服し民生を安定させることこそが、テロとの戦いの最も有効な方法~
小沢一郎代表は9月14日、元陸上自衛隊レンジャー隊員であった井筒高雄氏と安保法制の危険性と日本の国際貢献は今後どうあるべきかについて対談しました。その意見交換の要旨をご紹介します。
◆井筒高雄氏
安保関連法案の審議では、法案に自衛隊の実力が合っているかの議論が決定的に欠けています。これまで自衛隊を海外派遣する場合、陸上自衛隊の海外派兵専門部隊である特殊作戦群が先遣隊で入って、現場の部族長らとのコネクションを作って、事前交渉をしながらより安全な地域で活動できるようエリア選定する時間が多少はありました。しかし今回の法案の成立によって、自衛隊はいつでもどこへでもお呼びがかかれば、事前準備に十分時間をかけることなく自衛隊は海外に出かけていかなければなりません。
また、14万人にいる陸上自衛隊の9割がレンジャー教育は厳しいからと行きたがりません。その自衛隊がレンジャー教育以上にストレスがかかる戦闘の現場で本当に機能し得るのか。米軍や国連軍のミッションの一部を任されて、その任務を100%遂行できるのか。そこに疑問と不安を感じます。
アフガニスタン紛争から始まった傾向ですが、今の紛争は国対国ではなくて、テロや反政府組織などの武装集団と戦うのが主流です。そういう集団は米軍との戦いを避け、米軍に弾を運んだり、食料を支援したりする後方支援を行う兵站部隊を徹底的に攻撃します。こういう戦い方が主流になってきたため、米軍よりも多国籍軍や有志連合軍の死傷率が高いため、戦闘地域より圧倒的に非戦闘地域で殺傷される方が多いのです。
これが戦場の実態です。アフガニスタンやイラクを見てもどこが平和なのか。平和とは全く程遠い状況です。アメリカ一辺倒の外交と紛争解決に武力によるアプローチだけでの解決には限界があります。そうでない各多国籍軍の将校と紛争解決人の全員が丸腰で敵対する幹部や地域の部族の人たちと一緒のテーブルにつき、そこで武器を捨てる交渉をする方法もあり、例えばそういうアプローチを提唱しているのが東京外国語大学の伊勢崎賢治教授です。
特殊作戦群の隊員は、英語をきちんと話せて宗教の勉強をして経済の勉強もしています。国連待機軍という名称かどうかは別として、まさに小沢代表が言われるように国連にきちんと出しても言葉も含めて対応し得るため、そのように整理するのも1つの選択肢だと思います。
◆小沢一郎代表
武力を以って民は治められない。徳を以って治めるというのがいにしえからの政治の基本です。今日のゲリラ戦を軍事力で治められないのに、それを押し進める政治家は間違っています。なぜアフガニスタンでタリバンが生まれ、国内が混乱するのか。アフガンは本来、食料自給率が90%以上であり自給自足でほぼ生活ができていました。それが、ロシアの侵入以来、度重なる戦乱と大干ばつで自給率が40%以下になってしまいました。これでは食べられず、結果タリバンがはびこるようになったのです。
人々が食べられるようにすれば、タリバンは黙っていたって消滅するのです。だからこそ長年アフガニスタンで活動してきた中村哲医師のように井戸を掘ったり、畑を作ったりして民生を安定させることが何よりも大事なのです。日本が国連平和維持活動に参加するにしても、むしろ丸腰で行って中村医師のように民生の安定のための活動を大々的に行うべきなのです。貧困が解消され、民生が安定すればテロや紛争は起きないのです。どんなに困難であっても、どんなに時間がかかろうとも、貧困を克服し、生活を安定させることこそが、テロとの戦いの最も有効な方法であると、私は確信しています。
また、日本国憲法の理念と第9条の考え方は変える必要はなく、むしろ忠実に実現すべきと思っています。日本は国連加盟の申請を行ったときも、受諾声明であらゆる手段をもって国連の活動に協力すると宣言しています。憲法前文でも、国際社会の一員として国際平和に努めることが謳われています。つまり、憲法の理念に従って、特に民生分野で国際貢献を積極的に果たしていくことこそ日本の果たすべき役割だと思います。
国際安全保障にかかわる日本と直接関係のない国際紛争については、国連の決定に従い国連の活動に積極的に参加することで、世界平和を維持していくというのが、日本国憲法の理念です。しかし、「十分に機能していない国連に頼っても仕方がない」といった批判が常にあります。これは、国連に平和のための実力行使を行う自前の警察力がないからです。
この問題に対して私は、日本が世界に先駆けて国連にその力を提供するため国連待機軍を創設すべきだと提唱しています。これは、自衛隊とは全く別に国連専用の組織を編成、国連に提供するのです。その場合、その部隊は国連事務総長の指揮下に入ります。つまり、国連の行動の一環で、まさに憲法第9条の理念に沿ったものであり、憲法第9条で禁止する国権の発動たる戦争・武力の行使とは全く異質なものと考えられます。
片や安倍政権が進める安保関連法案は、無原則に海外派兵を認めるものであり、明らかに憲法違反です。むしろ安倍首相はこのようなことを事実行為として積み重ねていくことで軍事大国を目指しているのではないでしょうか。このようにいい加減で国民と国の将来にとって非常に危うい法案は何としても廃案にすべきだと考えます。
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