林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

庭かぼちゃ

2009-07-28 | 遠い雲

南瓜がカラダにいいことは知っている。
南瓜の姿には愛嬌があるが、どうも好きになれない。

それは子どもの頃、南瓜が主食だったからだ。一生分食ってしまったからだ。
多分カラダは殆ど南瓜から出来上がっている。

食料難の頃、庭を壊して南瓜は母が作っていた。
肥料は下肥しか使わないのに、どういうワケかいくつも収穫できた。

畑が殆ど無い山あいの古い町にも、横浜辺りから食料品を買出しに来る人がいた。
隣の農村には阿漕な農家が多く、今考えると、いわば穴場狙いの人たちだった。

母は余った南瓜を家の前の県道に並べて売った。
家にお金が無いことは知っていたが、酷く恥ずかしかった。

南瓜には随分世話になった。
南瓜の思い出はひもじく、恥ずかしく、申し訳なく、悲しい。

だから南瓜を好きにはなれない。



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