ご老人は早起きなので昼前ならもう空いているだろうと目医者に行った。
生憎ご老人で満席で、順番を待っていたら2時頃になるだろう。
そろそろ昼時である。
飯能駅南の高台にある美杉台団地の洋食屋へ行こうと、名栗川に架かる飯能大橋を渡り、坂道に差し掛かった。
坂道の両側の欅並木が見事である。
黄、赤、緑が入り混じって、まさに写真にならない美しさ。
交差点を右に折れて、広い坂道を登る。
やがて、見事に揃った円錐形の楓の並木が赤く染まって、ここもまた見事である。
日本産の楓にしては葉が大きいので、カナダ生まれだろうか。
高麗の団地の唐楓よりずっと華やかに見える。
高麗の唐楓は毎年徹底的に枝下ろしをしているが、ここは放任のため亭々と聳えている。
そろそろ住民から苦情が出るだろうが、他所者としてはこのままにして欲しい。
この団地の美しさを考えた。
答えは無粋な電柱と電線が無いからである。看板が無いからである。
並木が自由に育っているからである。
雨のあと、生憎の曇天のため、数年前に来た時ほど鮮やかではなかった。
だが身近な場所で、ガソリン抜きのお手軽な紅葉狩を楽しめた。
坂の途中に広大なハーブ園がある。
洋食屋に入った。
(以下「ヤハラテナ」へ続く)
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