激しい雨の音で目が覚めた。まだ午前3時、外は暗い。
稲光と雷鳴がする。予報より半日以上も早い大型台風の影響のようだ。
実家は、関東大震災の直後に再建したため、屋根はトタン葺きだった。
瓦は大揺れで屋根から滑り落ち、屋外に飛び出した人々を直撃し怪我人が多く出たので、軽いトタン屋根にするのが流行だったそうだ。
トタン屋根は大雨が降るとモノ凄い雨音がし、とても眠っていられなかった。
大きな家だったが、その後にできた瓦屋根の家に較べて安普請に見え、自分が家を建てるときは瓦葺にしようと考えていた。
自分が建てた家の屋根は念願どおり瓦葺にし、雨の音で眠れぬことはなくなった。
埼玉県は雨が少ない土地のようで、今朝から時々降る大雨はむしろ懐かしい。
家のあちこちに取り付けた簾は昨日のうちに取り外すか巻き上げた。
苗木鉢は吹き飛ばされないように並び変えた。咲き始めた山百合の支柱は今日取り付けるつもりだったが、この大雨で間に合わなかった。
これまでの体験では、台風の準備をすると、大抵肩透かしを食う。
例え来たとしても、風は冬から春先の季節風のほうが強く、雨は高台なので心配はあまりない。
果たして今度はどうなるか。
あの頃は台風が近付くと、岸壁に打ち寄せる大波を見物しに、海岸まで出かけたものだ。
今ではすっかり意気地が無くなってしまった。
雨風ともにお手柔らかに願いたい。
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