長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

最近ハマってます  ビタミンさんの『ソウトーーク』シリーズにドイツ名優たちの魂を見た  無条件降伏

2012年07月05日 18時14分05秒 | ふつうじゃない映画
 むっしむし~!! どうもこんにちは、そうだいでございまする~。いや~、千葉は今日も蒸し暑かった……

 ヤバいです……勉強する時間が足りません。タイムリミットは確実に近づきつつあるのに……
 頭に入れなきゃならんことは山ほどあるんですが、テキストに集中しようとすればするほど眠気が……眠って目覚めれば時間がまた足りなくなってる! やってみると1ヶ月は意外と長いような短いような。ちゃんと寝てコンディションを整えてからの長期戦型か、寝る間も惜しんで詰め込む短期戦型か、それが問題だ!!
 まぁ、それと並行して今のお仕事と次の職探しもやってるんでねぇ。とにかく忙しいんですけど、体調を崩してどれも実を結ばないという最悪のシナリオだけは避けねばなりません。

 体調といえば、3ヶ月前に結婚式に出たときに撮影していただいた集合写真を、そのとき結婚された大学時代の先輩からメールで送ってもらったんですけど。
 ちょっと自分でびっくりするくらいにやつれてましたね、今年の春は。思い出せば確かに生活的に大変な時期ではあったんですけど。
 頬がげっそり、こけてましたねぇ~! 今はおかげさまでいくぶん安定した中でいろいろやってるんですけど、やっぱり無理はしちゃいけませんな、30こえたら。イケメンじゃあもちろんないんですけど、一時期の玉木宏さんみたいな顔つきになってたようです。戦争映画にでも出るんですか!? みたいな。
 そういえば、2~3人の知り合いの方から「大丈夫!? ちゃんと食べてる?」とか言われてたわぁ。
 もともと甘いものが好きなほうではなかったので、食生活でなんとなくやせたのかな~、なんて思ってたんですけど。

 今年の夏も身体と脳みそをフル回転させて乗り切らなきゃいけないっていうのに……うなぎでも食べますかぁ~。すき家とかで。


 んま、そんなオッサンの近況はさておきまして、昨日7月4日はいよいよ! あの日本歌謡界の最高峰に輝き続けるアイドルグループ・モーニング娘。の、記念すべきなんと「50枚目」のシングルとなる最新作『One・Two・Three 』がリリース開始となった日でありました。

 いや~、ついに出てしまいましたね~。我が『長岡京エイリアン』は、第8代リーダー・道重さゆみさん率いる新生モーニング娘。を、わけても歴代メンバー史上最高の「まるさ」を誇りつつある鈴木香音(かのん)さんを強く応援します。あこがれるなぁ~。

 みなさん、私は確かに観たんです。今年春の日本武道館コンサートで、1万人の観客を相手にして仁王立ちになったズッキさんのぶあつい背中を!! ほんとに13歳か!?
 その力強さ、その中に秘めた燃えるような熱い決意。私はそこに、ゲーム『信長の野望』でいうところの「上泉信綱」や「ももち三太夫」が配下についてくれた時に匹敵するほどの絶大な信頼感をいだいたのです。伊賀の地を踏みにじる者は、なんぴとたりとも許さないニャン♡

 そういえば、夕べはそのリリースにあわせてYou Tube のユーストリーム放送で『モーニング娘。生田衣梨奈(いくた えりな)セルフプロデュース 生祭り(いくまつり)!』なる番組も放送されていました。
 これはもう、モーニング娘。第9期メンバーきってのベルセルク(狂戦士)と畏れられる生田さんが1人で進行していくという驚愕のトーク番組だったのですが、ゲスト出演した元メンバーで先代・第7代リーダーの新垣里沙さんを信頼できるストッパーに迎えて送られた内容はまさしく唯我独尊、生田さんの生田さんによる新垣さんのための放送に仕上がっていました。新曲紹介そっちのけ!

 ただし、新作PV をご覧いただいてもおわかりの通り、生田さんはかなりぶっとい筋がズンと通った「男前なまなざし」の持ち主でありまして、そんな彼女が今よりももっと魅力的で安定した歌唱力を身につけたとき、彼女自身と、彼女の属する第9期、そして第9期のいるモーニング娘。が過去のどの時代にもなかった新境地に突入していくことは間違いないでしょう。
 今後の日本芸能界の趨勢が、いかほどの試練を彼女たちに突きつけるのかはわかりません。おそらくは楽なだけではない、生半可な気持ちでは踏破できないような苦難の道行きとなることでしょう。
 まして今年は、ともに「芸能界デビュー10周年」をむかえることなった、同じハロー!プロジェクトのお姉さんグループのBerryz工房と℃-uteがかつてない盛り上がりを見せているアニバーサリーイヤーでもあるのですからもうタイヘン! このアイドル戦国時代、強敵は外にいるばかりではないのだ!!

 でも……まぁ、たいていのトラブルにはみまわれてきたモーニング娘。でありますから! 大丈夫でしょうよ。逆に私なんかは、応援するだけでなく彼女たちから勇気をもらわなきゃいけないくらいです。

 最新シングル『One・Two・Three 』も、決して「カッコイイ」や「かわいい」といった言葉だけではかたづけられない奥深い魅力に満ちた作品ですが、これからも果敢にハイレベルな世界に挑戦していっていただきたいです。求めよ、さらば与えられん!!

 とね、ともあれこんな感じで「通算50枚目シングル」という大快挙も達成したことなので、次回あたりにはそれにからめた企画みたいなことを、例によって誰からも頼まれていないのにやってみようかなぁ、なんて考えております。これも息抜き、息抜き~。


 さて、で、先月から引き継いでいる今回のお題はといいますと……熱きオッサンたちの終わりなき闘い!!
 私が最近になってやっと夢中になった「総統閣下×けいおん!」系 MAD動画シリーズの雄『ソウトーーク』シリーズ(作・ビタミンさん)についてのあれこれでございます~。

 前回の資料にあげたように、『ソウトーーク』が属している「総統閣下×けいおん!」系は、もとをただせば「ヒトラー総統が現代日本で話題になっているなにかに憤慨する」というルールにのっとって、映画『ヒトラー 最期の12日間』のワンシーンに投稿者各自のセンスによる嘘字幕が差し込まれていくという内容の「総統閣下シリーズ」の派生作品として誕生しました。
 しかし、今になって正調の「総統閣下シリーズ」の作品と比較してみると、『ソウトーーク』はまったく別物と言っていい独自の進化&深化を遂げており、「思えばかなり遠くへ来たもんだ……」という感慨を観る者にいだかせてくれるのです。はなれすぎ!!

 今年のはじめまでに私が使っていたパソコンがニコニコ動画も視聴できないほどの旧式「Me 型」だったこともありまして、私自身が「総統閣下シリーズ」に接することになったのはそうとう最近で、その存在を人づてに聞いたのも、去年2011年3月の東日本大震災直後のことだったかと思います。
 その時は確か、「なんでも映画のヒトラー総統がスーパーの買い占め騒動(当時)にブチギレしている変な動画があるらしい」といううわさを聞いてビックラこいていたものです。
 その当時は、混乱する日本中で巻き起こっていた買い占めや、あまり役に立たない物資の被災地への過剰な殺到ぶり、そしてついには政府の対策の立ち遅れにまで、まったく縁もゆかりもないはずのヒトラー総統が激怒して、「買ってどうすんだ!! ホントに必要な人の邪魔するな!」や、「もっと相手のことを思いやれ!!」と、人が違ったような漢気あふれる喝を連発するというところに異様なセンスを感じて、「不思議なモンがはやってるんだなぁ……」と思っていました。

 そんな「人の道をさとす」系の他にも、「総統閣下シリーズ」はリアルタイムで世に出ている映画、アニメ、マンガといった作品のどこかに閣下がブチキレるシリーズが陸続と生みだされていっており、特に昨今の「オールスター総登場祭りでなんとかやってます」という感じの『仮面ライダーシリーズ』や『スーパー戦隊シリーズ』、そして『プリキュアオールスターシリーズ』の風潮に一石を投じる提言を披露する作品には毎回、私も瞠目させられていました。ただ作品そのもののバタバタぶりを批判するだけでなく、そんな作品を観てもいないのに批判するファンの態度さえをも批判する総統閣下の慧眼ぶり……いや、ただのおたくなんですけど。

 ところで、こういった無数の「総統閣下シリーズ」にはいちおうの共通ルールのようなものがあるようで、まずおおもとの大前提として、ドイツ映画『ヒトラー 最期の12日間』のワンシーンである、「作戦本部のヒトラー総統が、自軍の戦闘力の致命的な減衰を隠していた部下の将軍たちにブチギレし憔悴する」という、ヒトラー総統を演じる名優・ブルーノ=ガンツの実力がいかんなく発揮された約3分ほどの場面を利用して嘘字幕を入れていくという要件があります。
 もちろん、これに投稿者が自分の意図で別の作品のシーンやBGM を挿入したりすることも自由なのですが、もともと無音の中で激しいセリフの攻防だけが展開され、カット割りも実に巧妙に配置されているこのシーンにオリジナリティを入れていくのは、投稿者のセンスが試されるそうとうにリスクの高い采配になります。
 つまり、約3分間の「定型のシーン」を利用して笑いを生み出していくこの「総統閣下シリーズ」は、差し込む嘘字幕に、観る人の多くを「ほほう……」とうならせるクオリティが要求されることもさることながら、いっぽうで投稿者が自由にアレンジをきかせた時点でスベるリスクが格段に上がってしまうという、非常にバランスのとり方が難しいジャンルになっているのです。

 そういう意味では、もともとの原型となった「総統閣下シリーズ」は、「あえて厳しく限定された条件の中から自分のセンスを提示していく」という、まるで俳句か短歌のようなストイックさを要する笑いのジャンルになっているんですね。日本人が好きそうだねぇコリャ。


 さて、そういった母体に対して、そこから生を受けた「総統閣下×けいおん!」系の1作である『ソウトーーク』シリーズはどんなことになっているのでありましょうか。

 『ソウトーーク』の魅力。それはすなはち、「定型を重んじながらも、時として不動明王のごとき果断さで定型をも微塵に破壊してしまう緊張感」!! ここ! ここなんですなぁ。大げさな言い方でなく、本当にここがすごいんだ。

 『ソウトーーク』の大前提はと言いますと、もうこれはなんといっても、「リアルタイムで放送されているというアニメ『けいおん!』や『けいおん!!』を、総統地下壕作戦本部に陣取る閣下と部下たちがワイワイガヤガヤ騒ぎながら視聴する」という、その男子中学生の部室のような雑多感にあります。冗談でなく、視聴するときには音量調整に気をつけなければなりません。

 だいたいの大すじとしては、地上では血で血を洗うソ連軍とのベルリン攻防戦が展開されている真っ最中だというのに、毎週火曜日深夜1時30分に作戦本部に集まって、真剣なおももちで『けいおん!』『けいおん!!』の放送を待ち受ける総統閣下たちというくだりから『ソウトーーク』は始まっていきます。そう考えると不謹慎極まりないオッサンたちなのですが、まるで別の戦争に挑むかのような真剣さで『けいおん!』に立ち向かっていく皆さんの気迫に圧倒されてしまい、思わずツッコむタイミングを失ってしまいます。

 たま~に、映画本編と違わない字幕で本気の作戦会議が繰り広げられたりもしているのですが、肝心のところで脱線が始まってしまい、


ヨードル 「総統閣下、なにか対策を!」

閣下   「何もないに決まってるだろ!!」

ヨードル 「ですよね~。」

閣下   「つか、貴様ら普通に作戦会議してるが、アニメより戦争が好きなのか!?」

部下一同 「アニメのほうが好きに決まってますよ!!」

閣下   「それなら、『けいおん!』を観るぞ!」


 閣下、逆ギレ……なんなんでしょうか、この正々堂々とした逃避っぷり。これを青筋をたてた一流のヨーロッパ俳優陣が精魂こめて演じているのです。

 そして、いざ放送が始まると、『けいおん!』や『けいおん!!』本編の映像と、「TV の前に集まっている」という設定の『ヒトラー 最期の12日間』の面々の映像とがテレコで展開されていくわけなのですが……この時のナチス首脳陣の反応がいちいちうるさい!!


閣下      「澪タン、めがっさ可愛いにょろ!!」

カイテル    「和(のどか)の寝起きのシーンなんてのも観てみたいな。」

閣下      「和などどうでもいい! それより澪のほうが可愛いに決まってる。」

ゲッベルス   「ムギのほうが可愛いに決まってるだろ、ちょび髭ナチ野郎!!」

閣下      「うるせえ!! お前もナチだろうが、ムギ厨!!!」

(唯が律に   「あ。何みてんの~?」)

フェーゲライン 「もちろん俺のことを見ているんだよ!!」

閣下      「んな訳ないだろ!!!」

(唯がギターの練習中に 「あ、いてっ。指の皮むけちゃった。」)

ブルクドルフ  「おい! 唯ちゃん!! 大丈夫か!!!
         俺の唯ちゃんを傷つけるギターなんて、ダサいし!!!」

閣下      「ギターにキレんな!!!」

(さわ子先生が唯に 「あら~……この分じゃあ、またすぐ皮むけるわよ。」)

ヨードル    「俺の皮も……」

閣下      「下ネタ自重しろ!!」

クレープス   「てか、マジかわ唯なんですけど!!」

(唯      「うう……ギターを弾きながら歌が唄えない……」)
(さわ子先生  「仕方ないわね。先生が特訓してあげる。」)

部下一同    「俺が教えます!!」「いろいろ教えちゃうぞ~。」

閣下      「あ~も!! 貴様らは関わろうとするな!!!」


 こんなていたらくでありまして……こんなの、ほんの序の口なんですよ!?
 うるさいし、それに盛り上がるコメントの弾幕で画面は真っ白になるしで、『ソウトーーク』はとにかくにぎやかなんです。

 しかも、『アメトーーク』をモデルにしたと思われるこのタイトルにも実は大きな偽りがありまして、『ソウトーーク』では、総統閣下本人はまるでトークに参加できません。
 上の例からもおわかりのように、も~ほとんどの閣下の発言がツッコミ! ただひたすらに部下の暴走を食い止めることしかできない時間が続くんです。そりゃ寿命も縮むわ…… 

 ところがそれに対して、従来の「総統閣下シリーズ」では閣下の憤怒に恐れをなすことしかできなかったゲッベルス以下の部下たちは、この『ソウトーーク』ではその恨みとばかりに、閣下を閣下と見ない暴言の応酬で一致団結してしまいます。


閣下      「京アニは狂ってしまったのか……」

クレープス   「『ハルヒ』の話すんな! クソじじい!!」

ブルクドルフ  「今、『けいおん!』の話以外のやつをするなんて、ダサいし!!!」

ヨードル    「お前、総統の職を」

フェーゲライン 「辞めて♡ 」


 んも~、むちゃくちゃ。


 とにかくこんな感じで『ソウトーーク』は、ほんわかした『けいおん!』『けいおん!!』を視聴しているのに開始数秒でテンションが MAXに達してしまう閣下とその部下たちのうるささが特色となったオンリーワンな激烈シリーズになっているのです。

 現在、28話ぶんが公開されている『ソウトーーク』なのですが、その魅力をすべて語るのはちょっと、この回だけではできそうにありません。とにかく百聞に一見は如かずで、まだご覧になっていない方にはとにかく一度観ていただくことをおすすめしたいのですが、まずそのとっかかりとして、私はこの稀代のおもしろ動画シリーズの魅力を2つだけあげておきたいと思います。


 まず1つめは、これはもうなにはなくとも「投稿者であるビタミンさんの全センスを総動員した作品世界の完成度の高さ」ですね。

 たとえば、上のようなにぎやかなやりとりは、まず『けいおん!』の萌えポイントとなるシーンと、それに激しく反応する閣下たちのやり取りとのバランスのとり方が、先行する「総統閣下シリーズ」とは比較にならない難易度となっているはずなのです。3分間の定型を守る必要はなくなったのですが、今度はゼロからビタミンさんが作っていかなければならなくなるわけで、これはもう、『ヒトラー 最期の12日間』や『けいおん!』シリーズの映像を素材にしてはいつつも、ほぼ完全にオリジナルな作品になっているといっても過言ではないでしょう。ここを、独自の編集センスとギャグ感覚でコンスタントに2年にわたってシリーズ化しているのがものすごいんですよ。

 むむ~、残念ですが、上のようなセリフの抜き出しだけじゃあ『ソウトーーク』のおもしろさはわからない! とにかくカット割りのあざやかさが笑いにつながっているんです。

 たとえば、ビタミンさんは2回にわたって、「静かに語っている総統閣下」と「激高する総統閣下」という2つのカットを切れ目なくつなげることによって、「ノリツッコミをする総統閣下」という驚天動地の進化を現出せしめています。


ヨードル  「こうなることを想定してすでに、閣下の澪コレクションをヤフオクに出品しておきました。(キリッ」

閣下    「さすが、仕事が早いな……って何してるんだ貴様ら!! つか、イラッとするから(キリッ を使うな!」
                                                   (第2期第21話鑑賞回より)

クレープス 「今日は水着回です! (地図を指して)先ほど、ここらへんの防衛部隊が壊滅したそうですが、もうすぐ『けいおん!』が始まる時間なので、そのことはキレイさっぱり忘れましょう!」

閣下    「そうだな、嫌なことは忘れて……って忘れようとするな!!」
                                                   (第1期第4話鑑賞回より)


 また、第1期第8話と第2期第15話の2回にわたって、総統閣下がベルリン放映ヴァージョンの『けいおん!』での主人公・平沢唯の声優に挑戦したために、終始「バーカ!!」や「おっぱいぷるんぷるん!!」などとしか絶叫しない主人公になってしまうなど、とにかく『ソウトーーク』は全編にわたって、ビタミンさんの「おもてなしスピリッツ」がいかんなく炸裂した、おもちゃ箱をひっくり返したようなワクワク間に満ち溢れているのです。
 特に私は、第2期『けいおん!!』の第13話の放送が見送りになってしまったために閣下一同が騒然となる鑑賞回の「オチ」には、本気で「うわ~、やられた!!」とうなってしまいました。これはもう、ビタミンさんという映像作家の独立したオリジナル作品ですよ。だってひっかかっちゃったんだから。もう降参!

 もうひとつ、ビタミンさんのテクニックを語る上で忘れてならないのは、素材にしている2作品以外に臨時で引用される映像作品の「昭和くささ」で、もちろん福留さんが司会をしていた時代の『アメリカ横断ウルトラクイズ』や TVシリーズ版の『スパイ大作戦』、『ファミコンウォーズ』のTVCM に『アタック25』のBGM に『日光テレビショッピング』のよりにもよって「入れ歯洗浄剤・がんばれおじいちゃん」など、閣下たちが見ているTV の中から流れる他の番組のセレクトがいちいち古臭い! も~最高ですね。

 ビタミンさん……いったいどんなおじさまなんですか? 『相棒』シリーズが好きらしいことはわかるんですが……30代前半の私よりは年上ですよね?


 ビタミンさんの話が長くなりましたが、『ソウトーーク』の魅力はそれだけではありません。

 もう1つの大きな魅力は、それはもうやっぱり、『ヒトラー 最期の12日間』に出演したガンツさん以下の役者陣のクオリティのハンパない高さですね。

 よく考えてみれば、2時間ちょいある長編映画といっても、出てくる役者陣の「表情」といったものは普通は限定されるもので、特に『ヒトラー 最期の12日間』は「敗戦目前」という最悪の極限状態に置かれた人々が延々と映し出されていく物語であるわけなのですから、登場人物の「喜怒哀楽」を切り貼りしてまったく別の物語を創るということはむしろ他の映画よりも至難のわざであるはずなのです。ましてや、「総統閣下シリーズ」にいたってはたったの3分間だけ!

 ところが、『ヒトラー 最期の12日間』は素材が豊富なんです……しかも、怒り狂っているおじさんの姿なんて、そこらへんにいる役者さんがやっているのを観ても2~3回観たら飽きてしまうのが普通のはずなんですが、ガンツさんの「怒り」は、何度観ても、どのパターンを観ても飽きがこない!! それはもう、その怒りの中に「帝国の滅亡を一身に背負わなければならない老人の断末魔」が克明に再現されているからなのです。そこまで極限に追い詰められた人間が「めがっさ可愛いにょろ!!」「好きでもいいじゃなイカ!!」と語っているというところに、『ソウトーーク』ならではの、残酷さと裏返しの笑いがあるんですよ。

 また、そんな怒りっぱなし、絶望しっぱなしの総統閣下だからこそきいてくる、あのワンカットだけの「ニヤけ顔」のチャーミングさといったら!! こういうこともできるから、ブルーノ=ガンツという役者さんはいいんですよねぇ~。ほんとにいい笑顔。

 おそらく、「総統閣下シリーズ」や『ソウトーーク』のおもしろさの核心には、間違いなく「渾身の力をこめて『ヒトラー 最期の12日間』の撮影に臨んだ俳優陣の真剣度」が大いに関わっています。おそらくこれは、おもしろ動画に使われる、などとは夢にも思っていないガンツさん以下の「命を燃やした仕事」だからこそ、はからずもユーモアがにじみ出てしまっているという、人間ならではの逆転現象なんですよね。
 人間っていうのは本当におもしろいもので、ブルクドルフ陸軍大将役のユストゥス=フォン=ドホナーニさんの「ダサいし!!!」と聞こえる絶叫は本当に味わい深いものがあるんですよねぇ。『ソウトーーク』ではさんざん変態キャラ扱いされている「ハゲ」ことヨードル陸軍上級大将役のクリスチャン=レドルさんも、ちゃんと観れば相当に密度の高い演技をしているんですよ。それなのに、そこがなんともおかしいんだ。

 残念ながら、日本でもその名が知れ渡っているのはヒトラー役のガンツさんとユンゲ女史役のアレクサンドラ=マリア=ララさんくらいなのかも知れませんが、ドイツ初の「アドルフ=ヒトラーを人間として描いた映画」というふれこみにもあるように、尋常でないプレッシャーの中で制作されたこの『ヒトラー 最期の12日間』に出演した俳優さんは、セリフのない役まで全員が自身最高の演技をもって撮影にのぞんだという緊張感がビンビン伝わってくる気迫に満ち満ちているのです。

 もうホントに全員の演技が素晴らしいのですが私はここで、あえて『ソウトーーク』の中ではセリフがゼロに等しいマルティン=ボルマン官房長役のトマス=ティーメさんの、圧倒的な「目の泳ぎ演技」をたたえたいですね。この人が部屋の隅っこでオロオロしているのとしていないのとでは、現場の切迫感の伝わり方がまるで違うんですよ! セリフがあろうがなかろうがしっかり「仕事」はする。これ、名優の最低条件なりィ!!

 とにかく、こういった最高峰の演技合戦を、本人たちのあずかり知らぬところでしめしめと「活用」しているからこそ、ビタミンさんの『ソウトーーク』はいいんですねぇ。おそらく、事前に「そういうおもしろコントをする。」といって俳優ご本人たちが同じ条件下で撮影したとしても、これほどまでのおもしろさを生み出すことは不可能だったでしょう。

 「意図しない笑いを意図的に創り出す」。これこそがビタミンさんの『ソウトーーク』の魅力の根本なのです。


 ただし、私としてはひとつだけ意見を言わせていただきたいことがありまして、役者さんではないアドルフ=ヒトラー本人や閣僚たちの本物の資料映像をさしこむのはいいとしても、それらの本人たち、『ソウトーーク』でいうのならばヨーゼフ=ゲッベルス宣伝大臣などのニュース映像における肉声にまで嘘字幕をつけるのは、ちょっと個人的には好きじゃないんだなぁ。
 やっぱり、『ヒトラー 最期の12日間』で熱演している役者さんの演技がおもしろいから『ソウトーーク』はいいのでありまして、そこに実際の戦争犯罪者である人間たちの「生の声」を差し込むのは、私としては急に醒めるというか、素直に笑えないものを感じてしまうのです。
 私は「ナチス・ドイツの失敗」をそういう形で笑い飛ばすのは正しい歴史の解釈にはつながらないと思うし、そういう観点から、アドルフ=ヒトラーの本物の演説に嘘字幕を入れている別の投稿者さんのシリーズには少なからぬ違和感をおぼえてしまうのです。

 あくまでも、「総統閣下シリーズ」は『ヒトラー 最後の12日間』というフィクション作品からの創作。私はそこには明確な線引きが必要なんじゃないかと考えていますが、どうでしょうかね?


 でもまぁ~、もう30話ちかく作ってるなんて、ビタミンさんも大変ねぇ……
 シリーズ最新作の「第1期第13話鑑賞回」(2012年4月 UP)なんて、公開までに「8ヶ月」もかけてるんですからね! 早く次回作が観たいという期待の声も高いとは思うのですが、ビタミンさんご本人の納得のいく新作の完成を気長に待ちたいと思います。


 ……え? 『けいおん!』のおもしろさはどうなんだって?

 実は、私はまだよくわかんない!! たぶん『けいおん!』単体だけだったら、私がハマることは今までもこれからも、ないだろうね!!

 女の子たちのバンド話はほどほどでいいから、もっとおじさんを出せ、おじさんを~!!

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