華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

” 銃 ”     中村 文則 著

2010-08-09 22:32:30 | ★本
 「 拳銃を持ち歩くようになってから、 私は注意深く生活するようになった。 
   私の毎日は心地よい緊張感に満ち、 体の奥から湧き上がる、突き刺すような刺激を掌に感じた。 」

 
 この小説がデビュー作で 新潮新人賞を受賞し 芥川賞候補になった作品だという

 こういう主人公を書かなければならない作者の心に 目を見張る

 部屋の中で眺めていた拳銃を バッグに入れて持ち歩きたくなり 撃ってみたい衝動を抑えられなくなり・・

 銃などに縁がなく暮らしてた者が 入手してしまったことから  彼の日常が変わっていく

 他人に隠さなければならない秘密というものは 一個人のささやかな矜持 拠り所になるのではないだろうか

 事の良し悪しはともかく  こっそりの善意や親切  恋や不倫  やめられない盗癖

 だんだん 自分の胸の内では満足していられなくなり  あえて 他人の目に触れるよう行動したり  チラリと ほのめかしたりする

 自分の内にしまい込めない秘密は  秘密自身が意思を持つかのように大きくなって 持ち主を破滅に導いていく



 なにかの書評を読んでるときに 中村文則という作家にふれていて その小説を例えに挙げていたので 読んでみた

 ” 遮光 ”  野間文芸新人賞 受賞

 ” 土の中の子供 ”  芥川賞 受賞

    主人公の感じ方に共感できるところもあって ふだん忘れている自分の暗部が立ちあがってくる

    こうして 変わっていく主人公を書いていける筆の力は すごいなぁと敬服する

    もうすこし この人の本を読んでみたくて 3冊ほど 図書館に予約しているので  読むのが楽しみでもあり 怖くもある







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