環境省が「緑の経済と社会の変革(日本版グリーン・ニューディール)に関するアイディアの募集」ということで、広く意見を求めています。下記のサイト参照。
http://www.env.go.jp/guide/info/gnd/
「何でも自由に提言しろ」ということなので、この試みは、オカミの方針への賛否を問うだけの通常のパブコメとは違いますね。官僚機構が本当にニッチもサッチも行かなくなって助けをもとめているということです。
ペリーの黒船来航への対応で江戸幕府がパニックに陥ったときに、老中の阿部正弘が、幕府への提言を広く市民から求めたのを思い出します。体制が従来のやり方で機能しなくなったということなのです。
というわけで、皆さま、どんどん環境省に意見しましょう。まあ環境省の力が限られていますので、どの程度採用されるか分かりませんが、とにかく百家争鳴状態を作り出して、税金の使途の決定を官僚から納税者へ奪還するための一里塚とせねばなりません。
一つのメールにつき、提案は一個ということです。まあ、同一人物がいくつメールを出してもかまわないのでしょう。提案ごとにいくつもメールしようっと。
私は手始めに下記のようなメールをしました。紹介いたします。いままで私は、「間伐材の運搬を公共事業で実施せよ」と言い続けてきました。農水省や環境省の官僚の人々なんかにそう言うと、「確かにそれはもっともですねぇ」なんて言ってはくれるのですが、結局のところ「正論ではあっても、実現となると・・・・」という感じで、誰も実際に動き出そうとはしませんでした。
しかしこの状態になれば実現の可能性はかなりあると思います。今一度、声を大にして言いたいと思います。以下、私が環境省に出したメールです。
***<引用開始>*************
「グリーン・ニューディール」とは、需要面での雇用対策としてのケインズ政策と、供給面での創造的破壊というシュンペーターの経済戦略を地球温暖化防止というエコロジカルな観点で統合するものです。
ケインズとシュンペーターのエコロジカルな統合という観点からは、以下の三つの要素を同時に満たす事業が理想的です。
(1)ケインズ政策としては総予算に占める人件費の割合が高いもの。
(2)シュンペーター的戦略としては、公共投資をテコにしつつ、創造的破壊を生む民間投資を呼び込む効果が高いもの。
(3)そしてエコロジカルには、輸入石油への依存度を減らし、温室効果ガスを削減する効果が高いもの。
この観点から効果的なのは、日本最大の未利用資源ともいえる間伐材の利用を進めるために、材の運搬を公共事業として実施することです。間伐だけでは不十分。運搬を公共事業として実施することで雇用吸収力は倍化されます。
間伐材を放置してはならない理由は、豪雨の際に流木災害を引き起こすこと、間伐材を山中に放置すると腐食する過程でメタンが発生すること、の二つの外部不経済効果です。
間伐材の運搬というケインズ政策は、間伐材のエネルギー利用など新産業への民間投資を呼び込み(運搬さえ公費でやればあとは市場任せでも十分に採算ベースに乗ります)、さらに石油輸入依存度の削減に貢献し、メタンとCO2の発生も抑制するというエコロジカルな効果も生みだします。環境省は、間伐材を放置するとメタンの発生源になることを隠さずに公表し、この予算を獲得する根拠として利用すべきです。
国が緊急に公社を作って失職した人々を公務員として迎え入れてでも、山間地
での間伐と材の運搬に従事してもらうべきです。間伐材の売却価格よりも運搬コストの方が大きくなりますので、採算割れを起こしますが、マイナスの部分には税金を投入してよいのだというコンセンサスを獲得する必要があります。上記二つの外部不経済効果の大きさを考えれば当然です。
***<引用終わり>***************
以下は補足。
国はずるいので、間伐材を山に放置すると腐食する過程でメタンが出るという情報を隠している。メタンはCO2の20倍の温室効果を持つのだ。間伐材は山から降ろして有効に利用して、石油や鉄を代替する資源として用いることによって、はじめてCO2の削減効果を持つのである。あるいは有効活用できないのなら、せめて木材が腐食しないように湖の底にでも沈めるなどして、木材に蓄積された炭素がメタンやCO2になって大気中に放出されぬようにせねばならない。
間伐のみやれば温暖化対策になるかのように言う国の宣伝はデタラメである。間伐の前後で森のCO2吸収能力に大差はないのだ。むしろ間伐材を切り捨てにして山中に放置すれば、メタンの発生を増やしてしまうので、温暖化対策の観点からは、切り捨て間伐ならしない方がマシだといえる。だから、間伐材を公費で運搬して、石油代替資源としての利用を進めねばならないのだ。
私は、派遣切りにあい、人間の尊厳を奪われた人々は、国が公社を作って公務員として迎え入れて、誇りをもって山間地の間伐や耕作放棄地の再農地化に従事してもらうべきだと考える。採算割れする部分には税金も投入してよいのだ。外部経済効果を考えれば、純然たる公共事業だからだ。ダム建設のような「公共性・社会性」がなく、雇用吸収力も低い公共事業費を転用すれば財源は十分にある。
このままでは数十万人が失職し、路頭に迷い、場合によっては命も失うことになる。それは決して自己責任などではない。失職した人々に「人のせいにするな」なんて残酷な言葉を投げかける右派勢力や市場原理主義者たちの言説は、私には決して許せない。そのくせ右派連中は、「中国や韓国に追従する左派が悪い」などと「人のせい」にしてばかりではないか。だいたい屁理屈にもなっていない。そんな破廉恥な連中に騙されてしまう若者たちも悪いのだ。だから「B層」なんて呼ばれて権力者にバカにされるんだよ。いい加減に目を覚ませ。
今回の事態はもちろん、失職する人々の「自己責任」では全くない。すべては投機とバブルを際限なく生み出す規制緩和と自由化路線を野放しにしてきたブッシュや小泉の悪政のせいなのだ。その路線を煽りたてたオリックスの宮内のような私利私欲みまみれた悪徳資本家連中と、それに協力したマスコミや御用知識人たちが悪いのだ。明確に「人のせい」なんだ。
確かに、現在の状況では民間は生き残るために必死にリストラをせざるを得ない。リストラせねば、派遣社員はおろか会社ごと潰れるというのはその通りである。この状況で賃上げを求める労組などは愚の骨頂である。労組も経営側もワークシェアをこそ模索せねばならない。しかしワークシェアのみで問題が解決するほど甘い危機ではない。
だから政府の出番なのだ。民間が人々を雇用できなくなったとき、失職する人々を救えるのは政府しかないからだ。
投機家たちにコントロールされて悪政の限りを尽くした政府から、弱者の味方になってくれる政府へと、政権の質を変える。これが実行可能なのは有権者の力である。
http://www.env.go.jp/guide/info/gnd/
「何でも自由に提言しろ」ということなので、この試みは、オカミの方針への賛否を問うだけの通常のパブコメとは違いますね。官僚機構が本当にニッチもサッチも行かなくなって助けをもとめているということです。
ペリーの黒船来航への対応で江戸幕府がパニックに陥ったときに、老中の阿部正弘が、幕府への提言を広く市民から求めたのを思い出します。体制が従来のやり方で機能しなくなったということなのです。
というわけで、皆さま、どんどん環境省に意見しましょう。まあ環境省の力が限られていますので、どの程度採用されるか分かりませんが、とにかく百家争鳴状態を作り出して、税金の使途の決定を官僚から納税者へ奪還するための一里塚とせねばなりません。
一つのメールにつき、提案は一個ということです。まあ、同一人物がいくつメールを出してもかまわないのでしょう。提案ごとにいくつもメールしようっと。
私は手始めに下記のようなメールをしました。紹介いたします。いままで私は、「間伐材の運搬を公共事業で実施せよ」と言い続けてきました。農水省や環境省の官僚の人々なんかにそう言うと、「確かにそれはもっともですねぇ」なんて言ってはくれるのですが、結局のところ「正論ではあっても、実現となると・・・・」という感じで、誰も実際に動き出そうとはしませんでした。
しかしこの状態になれば実現の可能性はかなりあると思います。今一度、声を大にして言いたいと思います。以下、私が環境省に出したメールです。
***<引用開始>*************
「グリーン・ニューディール」とは、需要面での雇用対策としてのケインズ政策と、供給面での創造的破壊というシュンペーターの経済戦略を地球温暖化防止というエコロジカルな観点で統合するものです。
ケインズとシュンペーターのエコロジカルな統合という観点からは、以下の三つの要素を同時に満たす事業が理想的です。
(1)ケインズ政策としては総予算に占める人件費の割合が高いもの。
(2)シュンペーター的戦略としては、公共投資をテコにしつつ、創造的破壊を生む民間投資を呼び込む効果が高いもの。
(3)そしてエコロジカルには、輸入石油への依存度を減らし、温室効果ガスを削減する効果が高いもの。
この観点から効果的なのは、日本最大の未利用資源ともいえる間伐材の利用を進めるために、材の運搬を公共事業として実施することです。間伐だけでは不十分。運搬を公共事業として実施することで雇用吸収力は倍化されます。
間伐材を放置してはならない理由は、豪雨の際に流木災害を引き起こすこと、間伐材を山中に放置すると腐食する過程でメタンが発生すること、の二つの外部不経済効果です。
間伐材の運搬というケインズ政策は、間伐材のエネルギー利用など新産業への民間投資を呼び込み(運搬さえ公費でやればあとは市場任せでも十分に採算ベースに乗ります)、さらに石油輸入依存度の削減に貢献し、メタンとCO2の発生も抑制するというエコロジカルな効果も生みだします。環境省は、間伐材を放置するとメタンの発生源になることを隠さずに公表し、この予算を獲得する根拠として利用すべきです。
国が緊急に公社を作って失職した人々を公務員として迎え入れてでも、山間地
での間伐と材の運搬に従事してもらうべきです。間伐材の売却価格よりも運搬コストの方が大きくなりますので、採算割れを起こしますが、マイナスの部分には税金を投入してよいのだというコンセンサスを獲得する必要があります。上記二つの外部不経済効果の大きさを考えれば当然です。
***<引用終わり>***************
以下は補足。
国はずるいので、間伐材を山に放置すると腐食する過程でメタンが出るという情報を隠している。メタンはCO2の20倍の温室効果を持つのだ。間伐材は山から降ろして有効に利用して、石油や鉄を代替する資源として用いることによって、はじめてCO2の削減効果を持つのである。あるいは有効活用できないのなら、せめて木材が腐食しないように湖の底にでも沈めるなどして、木材に蓄積された炭素がメタンやCO2になって大気中に放出されぬようにせねばならない。
間伐のみやれば温暖化対策になるかのように言う国の宣伝はデタラメである。間伐の前後で森のCO2吸収能力に大差はないのだ。むしろ間伐材を切り捨てにして山中に放置すれば、メタンの発生を増やしてしまうので、温暖化対策の観点からは、切り捨て間伐ならしない方がマシだといえる。だから、間伐材を公費で運搬して、石油代替資源としての利用を進めねばならないのだ。
私は、派遣切りにあい、人間の尊厳を奪われた人々は、国が公社を作って公務員として迎え入れて、誇りをもって山間地の間伐や耕作放棄地の再農地化に従事してもらうべきだと考える。採算割れする部分には税金も投入してよいのだ。外部経済効果を考えれば、純然たる公共事業だからだ。ダム建設のような「公共性・社会性」がなく、雇用吸収力も低い公共事業費を転用すれば財源は十分にある。
このままでは数十万人が失職し、路頭に迷い、場合によっては命も失うことになる。それは決して自己責任などではない。失職した人々に「人のせいにするな」なんて残酷な言葉を投げかける右派勢力や市場原理主義者たちの言説は、私には決して許せない。そのくせ右派連中は、「中国や韓国に追従する左派が悪い」などと「人のせい」にしてばかりではないか。だいたい屁理屈にもなっていない。そんな破廉恥な連中に騙されてしまう若者たちも悪いのだ。だから「B層」なんて呼ばれて権力者にバカにされるんだよ。いい加減に目を覚ませ。
今回の事態はもちろん、失職する人々の「自己責任」では全くない。すべては投機とバブルを際限なく生み出す規制緩和と自由化路線を野放しにしてきたブッシュや小泉の悪政のせいなのだ。その路線を煽りたてたオリックスの宮内のような私利私欲みまみれた悪徳資本家連中と、それに協力したマスコミや御用知識人たちが悪いのだ。明確に「人のせい」なんだ。
確かに、現在の状況では民間は生き残るために必死にリストラをせざるを得ない。リストラせねば、派遣社員はおろか会社ごと潰れるというのはその通りである。この状況で賃上げを求める労組などは愚の骨頂である。労組も経営側もワークシェアをこそ模索せねばならない。しかしワークシェアのみで問題が解決するほど甘い危機ではない。
だから政府の出番なのだ。民間が人々を雇用できなくなったとき、失職する人々を救えるのは政府しかないからだ。
投機家たちにコントロールされて悪政の限りを尽くした政府から、弱者の味方になってくれる政府へと、政権の質を変える。これが実行可能なのは有権者の力である。
もちろん、農水省と環境省の2本立てでやっていただけることに異議はありません。
あと環境省にやっていただきたいことがあるとすれば、木材を含む一次産品に関税をかけること。フードマイレージ、ウッドマイレージといった概念がありますが、海外からの輸入に際して要する温暖化ガス排出量に応じて、関税をかける。そしてそこから得られた財源をグリーン・ニューディール政策にあてる。環境省に力量があるなら自由貿易を廃してフードマイレージ課税を世界標準にしてもらいたいくらいです。
>国が公社を作って公務員として迎え入れて、誇りをもって山間地の間伐や耕作放棄地の再農地化に従事してもらうべきだと考える。
この部分ですね。現在も継続中の「緑の雇用」を体験した者としては、公務員・公社化が個人の誇りを満足させることになるとは考えにくい。公的機関などにするとアタマデッカチになってしまうのは目に見えていますし、現場で働く人間はデッカイアタマに尊厳を奪われてしまうでしょう。
私はむしろ、間伐材の運搬等に土建業者等の異業種からの参入を促す方がよいと考えます。地方には「三位一体・骨太の方針」のお陰で危機に瀕している業者がたくさんありますし、それらを使わない手はない。またそのように施策をすれば、現場で働き技能を持つ人間が業者間の自由競争の元で高く評価されることになりますから、新たに加わってくる人間にも指針となりやすい。地方を活性化させるには、現場を活性化させていかなければ難しいでしょう。
補助金という形態だと、林道近くの間伐材は運搬できても、ちょっと離れると補助金ではカバーできなくなってやはり放置されると思います。現場では、実際のところどうなのでしょう?
私が補助金ではなく「公共事業」と強調するのは、私的活動の「補助」という位置づけではなく、運搬の防災面・環境面での公共的寄与を考えれば、全額公費で負担してでも実行すべきと考えるからです。
林道から離れた場所の材の運搬コストは当然に高くなりますが、公的事業という位置づけならば、すべて公費で運ぶべきという理屈になります。で、補助金では不十分、公共事業でというのが趣旨です。
>あと環境省にやっていただきたいことがあるとすれば、木材を含む一次産品に関税をかけること。
これは本当に。私も声を大にして訴えています。英語の論文なんかも書いたりしてきましたが、けっこう国際的にも理解者は増えています。あとは国際交渉の議題に乗せる実行面のみ。しかし、日本の官僚たちにその実力があるかどうか・・・・・。
彼らが私に声をかけてくれれば、喜んで国際的な支持を勝ち取るための理論面など具体的にアドバイスしたいものですが、今のところ全く声はかかりません(苦笑)。
>私はむしろ、間伐材の運搬等に土建業者等の異業種からの参入を促す方がよいと考えます。
なるほど。確かにこちらの方がよいかも知れませんね。
派遣切りにあった人々などを、土建業界が積極的に雇用するということを条件に、国が公共事業としての間伐材の運搬を土建業界などに請け負わせれば、失業対策としての効果は公社案よりも良いかも知れません。既存組織を活用した方が、新たに組織を作るよりも円滑に進むでしょう。
ぜひ、愚樵さまの方から、グリーンニューディールの意見として政府に提案して下さい。
長野県では、田中前知事が土建業界の間伐への参入を進めました。しかし地元森林組合が強固の反対してましたっけ。ああ、こちらの対策も必要ですね。
弊社でもそれでも共同で施業ができるよう、会社、組合を越えての協力関係が進んできています。長い間分厚い雲に覆われていた日本の林業に、ようやく雲の切れ間から一筋の光が見えてきたところでしょうか。
やっぱり儲からないと人は動かないので、なんとか儲かるよう知恵を絞っていきましょう。
では、今年もよろしくお願いします。
これは良いニュースでした。ありがとうございます。雲が完全に晴れるよう、ともに知恵を出し合ってまいりましょう。
でも、地域集落の生活面でも、職場の気風としても、労働の過酷さからみても、Iターンは簡単じゃないことは確かだと思います。
収入が安定しても、腱鞘炎を職業病とするような林業へ参入するには相当の意志が必要です。
それに、元々の山師に弾かれた参入者の苦痛も、生活レベルで楽ではありません。そういう人とも沢山会ってきました。
Iターンは、それが自然な運動からの「田園回帰」「山への回帰」でないと、長期的で持続的とはいえないんじゃないでしょうか?
口調ほど牙をむいてるわけじゃないんです。
ただ僕のいる村のリアルは、失業者の参入を、理想的な形ではすすめてくれないと感じています。
ご指摘の点よく分かります。
しかし今の状況では、臨時でよいので短期的でもよいと割り切って雇用の受け皿を作らないことには日本経済が崩壊してしまうのです。
長期的にちゃんと定着してくれる人は、山村での生活に適応できる何割かになって、あとの人々は大恐慌が終われば町に降りるということになるかと思いますが、それでも今、短期でも何でも雇用の受け皿をつくらねばならないと思います。
PS メールください。