代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

TPP暗礁 日本政府は即時交渉から離脱せよ

2014年02月26日 | Stop! TPP
 シンガポールでのTPP交渉の閣僚会議で大筋合意が見送られ、交渉が暗礁に乗り上げたことが明確になった。日本政府は即時交渉から離脱すべきである。このまま交渉にとどまっても何の益もないばかりか、国民生活への害悪は増すばかりである。
 本日(2月26日)の東京新聞にサラリと次のような核心的なことが指摘されていた。引用する。

***2014年2月26日東京新聞2面より引用***

 
 ベテラン外交官は「特に米通商代表部(USTR)は企業との間で人事交流を繰り返す組織なので、自国企業の利益のために主張をごり押ししてくる」と解説する。
 実際、日本は「TPPとは関係ない」と言いながら米国の要求に配慮し、米国産牛肉の輸入条件を緩和したり、日本の政府系企業であるかんぽ生命保険と米国系民間会社のアフラックを業務提携させたり、軽乗用車の税率を引き上げるなど、次々と譲歩してきた。こうした「実績」も、フロマン氏を勢いづかせた可能性もある。


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 管見の限り、「軽自動車税が一挙に1.5倍に増税される原因がTPP交渉にある」という事実を指摘した新聞記事はこれがはじめてだ。

 交渉の内容が秘密だし、マスコミもちゃんと書かないので、多くの人々は気づかないようなのだが、アメリカはTPP交渉で日本の「軽自動車の規格を廃止せよ」と要求している。おそらく日米並行協議で、日本政府は「規格は廃止できない」と抵抗しながら、「税率を一般車に使づけるくらいならできます」と譲歩して、今回の増税になったであろうことは容易に想像がつく。日米並行協議が続く限り、日本は際限なく譲歩のカードを切り続け、国民を苦しめていくことになる。
 

 「TPP暗礁」と言いながら、アメリカは牛肉の輸入条件でも、簡易保険へのアフラック参入でも、軽自動車の優遇措置の緩和でも、大きな交渉成果を勝ち取り、日本国民を苦しめながら、USTRのロビイスト企業には大きな利益を持ち帰っているのである。

 TPP交渉は妥結の見通しのないドーハ化の途をたどりながら、USTRとしては着実に交渉の「果実」をロビイストたちに持ち帰り、1%の特権階級はその利益を享受しているのだ。
 
 2月26日の日本経済新聞によれば、フロマンUSTR代表は同紙のインタビューに答え、以下のように語ったという。

「(交渉妥結に)決められた期限はない。包括的で高い基準に達したときに交渉は完了する」と。

 この発言を見ても米国のUSTRはTPP交渉の妥結など企図していないことが分かろう。期限を決めず、ズルズルと交渉を先延ばしするうちに、日本との二国間協議を続け、交渉の度に日本に譲歩を迫る。日本は簡保や軽自動車の優遇のみならず、共済、薬価、農薬、食品安全基準・・・などなど国民を守るための国内基準を、次々にいけにえとしてUSTRに差し出し続けねばならない。

 
 米国は、TPPの本交渉の妥結の見通しなどなくても、裏交渉で関係国から個別にこのような譲歩を引き出して利益を追求しようというストラテジーなのだ。交渉を引き延ばしながら各国を個別に恫喝していくことによってUSTRのロビイスト企業を潤おせれば、TPPは成立せずともよいのである。
 
 一方の90%の日本国民にとって、交渉に参加し続けることは地獄への道である。今後もいけにえを差し出し続けながら、妥結の見通しもない交渉に多くの官僚を送りこみ、その費用は全額国民の血税で負担し続ける。こんな税金の無駄があるだろうか。

 国民生活を守るため、日米並行協議を終わらせる方法はただ一つ。TPP交渉そのものから離脱することだ。
 安倍首相、決断をお願いします! 

 
 

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1 コメント

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日本の交渉力 (たんさいぼう影の会長)
2014-02-26 22:10:17
軽自動車税の廃止をアメリカが要求するならば、日本はエコカー減税の強化によってこれを補償し、アメリカにも同様のエコカー減税を要求してこそ、日本の国益と社会正義を同時に実現できるというもの。
オープンに交渉を行って、筋が通らなければ撤退するという道理を通せれば、日本は今以上に国際社会に支持されると思うのですが、不可能な話なのでしょうか?
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