代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

真田丸 第43回「軍議」感想

2016年10月30日 | 真田戦記 その深層
 真田丸第43回「軍議」。じつは告白しておきますと、合戦シーンにかけるお金がないから、城の中の評定のシーンに時間を使って長引かせるのかな~、などともチラっと思ったりしていたのですが、そう思った自分を反省しています。いや、面白かったのなんの。

 45分間の一回分をほぼ軍議だけで使うという試み、過去の大河では先例がなかったのではないでしょうか。そのチャレンジングな試み、大成功だったと思います。
 大坂5人衆の一人一人が、自分たちが入城したその想いを告白し合うことによって、互いが互いを理解し、そして結束していく過程が描かれました。明石全登はキリスト教信仰の自由の獲得のため、長宗我部盛親は長宗我部家の再興のため家臣のため、毛利勝永は自分の軍事指揮官としての能力を試すため・・・・。
 しかし後藤又兵衛だけは、黒田長政の嫌がらせで仕官の道を断たれ大坂城以外には居場所がなくなり、ただ死に場所を求めて籠城していた。それを幸村に指摘され、「死にたいのなら徳川に付け」とまで言われ、勝つ展望と生きる望みと取り戻す・・・・。いやー、良かったです。
 そういえば、又兵衛以外の4人はみな関ヶ原の際に西軍でしたが、又兵衛だけが東軍・・・。他の4人は徳川の手によって失ってしまったものを取り戻すという望みがあったと思いますが、又兵衛だけは黒田長政とケンカして浪人になったので徳川への恨みもないですからね・・・・。

 さらに、大坂の陣を扱った従来のドラマ・映画の描き方と全く違って新鮮だったのが、大野治長まで浪人衆に説得されて転ぶというところ。予想を覆され、これには驚きました。

 幸村の「皆それぞれ望みを持っている。生きる望みを。だからこそわれらは強い」という発言。これはウルっときました。

 会社でも学校の部活でもサークルでも、お互いがそこに至った背景(個人史)を語り合い、互いを理解し合うということは、組織を結束させてモティベーションを上げていくためには、きわめて効果的な過程だと思います。大河ドラマでも、スタッフが共通の目標に向かって結束している作品と、そうでないものとでは、やはり視聴していてわかりますから。
 電〇のようなパワハラ組織が社員に長時間労働を強要するだけでは、モティベーションも下がって、いずれ衰退しますよね(悪い組織が腐って衰退するのは日本にとって良いことだとは思いますが・・・・)。
 
 さて、あの時点で城から討って出て、二条城を攻めていたら、結果は大きく変わっていたのでは・・・と思えます。二条城が落ち、瀬田の唐橋が落とされて徳川軍の京都の侵入が食い止められれば、それこそ伊達も上杉も島津もどう動くか分からなかったのでは・・・と思えます。
  しかし軍議で決まったすべてを、茶々にひっくり返されてしまう。織田有楽斎には抵抗しても、茶々にはやけに素直に諦めてしまう幸村・・・・。え、そこは抵抗すべきでしょ......と思ってしまうのですが。
 


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