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代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

土砂災害を防ぐには?

2006年07月25日 | 治水と緑のダム
 長野県知事選の選挙戦の最中に記録的な豪雨が発生し、長野県では岡谷市の土石流災害のほか、各地で斜面崩壊が発生し、「災害対策」が県知事選の大きな争点に浮上しているようです。田中康夫候補は、土石流発生の一因として森林整備の遅れやゴルフ場開発などの可能性があることを指摘し、森林保水力の強化を訴えています。大惨事となった岡谷市の土石流災害の発生現場の上流にもゴルフ場があると説明しています。一方の村井仁候補 . . . 本文を読む

脱ダムから緑のダムへ

2006年07月13日 | 治水と緑のダム
 ひさしぶりに緑のダムに関する話題です。先月、同志社大学の社会的共通資本研究センターのディスカッション・ペーパーとして、「脱ダムから緑のダムへ -森林整備の代替機能と社会的共通資本-」という文章を書いてみました。このページからPDFファイルを読み込めます。興味のある方は、ご笑覧くださいますと嬉しく存じます。政治・経済の話と自然科学的な話題が混ざったエッセイになっています。長野県の「脱ダム」がなぜ暗 . . . 本文を読む

国交省の緑のダム否定論は破綻した ―これはコペルニクス的転回かそれともコロンブスの卵か?―

2005年12月14日 | 治水と緑のダム
 ひさしぶりに緑のダム問題に関する話題を提供させていただきます。「吉谷純一氏の緑のダム否定論に対する反論①」を書いた後、この話題から遠ざかってしまっていました。本日の話題は、吉谷氏への反論の続きです。というのも最近、従来の「科学的定説」とされていて、国交省が緑のダム論を否定する最大の根拠としていた学説が見事にひっくり返されるという画期的な論文が出たからです。本日は、その論文を紹介させていただきます . . . 本文を読む

吉谷純一氏の緑のダム否定論への反論①

2005年05月26日 | 治水と緑のダム
 昨日のエントリーの続きです。昨年末に出た、蔵治光一郎・保屋野初子編著『緑のダム ―森林・河川・水循環・防災―』(築地書館)という本の中で、国交省所管の独立行政法人・土木研究所の吉谷純一氏が、「『緑のダム』議論は何が問題か ―土木工学の視点から―」という論文を寄せて、激しい緑のダム否定論を展開しています。吉谷氏の見解は、国交省の見解と基本的に一致するものです。そこで何回かに分けて、吉谷論文を批判し . . . 本文を読む

国交省の本音が漏れた?

2005年05月25日 | 治水と緑のダム
 5月23日(月)の『朝日新聞』朝刊に、長良川河口堰運用開始10年にちなんで「変わるかダムの国」という記事が掲載されていました。その中では、吉野川ビジョン21委員会が実行した緑のダム研究の内容も紹介されていました。その記事の中で、国交省治水課の職員の発言が引用されていたのですが、興味深い内容なので紹介させていただきます。  吉野川ビジョン21委員会の研究は、本ブログの本年1月16日の記事でも紹介 . . . 本文を読む

森林整備が渇水を招く??? 国交省・河川局への反論その3

2005年02月28日 | 治水と緑のダム
 本日は、国交省による「緑のダム否定論」の中で、「森林は、利水の観点から見ると渇水の原因になるので、採用できない」という主張を考察してみましょう。  森林は確かに、蒸発散によって雨水を大気中に返しているので、水を消費し河川水を減らすという側面を持ちます。その事は誰も否定しておりません。  ただし同時に、森林土壌に孔隙量が多いと、雨水を土壌中に貯留する機能や、また雨水を地下に浸透させる機能が高まり . . . 本文を読む

ダム計画における洪水シミュレーションの水増し実態 国交省・河川局への反論その2

2005年02月23日 | 治水と緑のダム
 昨日の記事で書いた、「森林が成長し、その質が高まっていけば、森林面積は一定であっても、同規模の雨量の際の洪水流量は低減していく」という論点に関してもう少し加筆させていただきます。  長野県林務部の薄川の研究では、森林を考慮に入れた実際の基本高水流量(想定する降雨の際の洪水時のピーク流量)は、ダム計画において採用されている架空の「基本高水流量」(実際の観測に基づかず、経験値であるパラメーターを用 . . . 本文を読む

森林の保水機能は樹齢や樹種に関係しない?? 国交省・河川局への反論その1

2005年02月22日 | 治水と緑のダム
 「緑のダム論争」は、今も日本で300あまり検討されている治水ダムを建設し続け、何十兆円という資金を環境破壊のために投じるのか、それともその何十兆円を、環境保全や温暖化対策に役立つ、もっと有用な公共投資に転用するのかという分水嶺で展開されている、日本の未来を左右するといっても過言ではない、きわめて重大な論争です。(ところで、国交省の皆様、あと300のダムを建設すると全部で何十兆円かかるのでしょう . . . 本文を読む

緑のダム論争の背景

2005年01月16日 | 治水と緑のダム
 いま「緑のダム」論争が面白い。ここ数年、吉野川可動堰や川辺川ダムの建設計画といった国政の焦点にもなっている公共事業計画において、反対派住民が代替案として、放置人工林の適正間伐による森林保水力の向上(=緑のダム)を掲げるようになった。森林のダム代替効果が定量的に明らかにされた場合、国交省が執行している治水ダム建設予算は、林野庁や各都道府県の森林整備予算へと転用すべきだという議論が正当性を持つことに . . . 本文を読む