以下、簡単のために一部に比喩をつかって説明するから、厳密ではない。
「フツウならこれでいいのだ」改め「
学ぼうシリーズ」。
今回が6回目だね。
前回の予告では「放射線を測る」を学べることになってたんだけど、
その前にやらないといけないことがありました。
「半減期(はんげんき)」ってやつだ。
よく聞くとおもうんだけど、
じぁあなんだ? と問われると意外に正確には答えられないとおもうし、
なにより「放射線を測る」ことの大切な前提がここで学べるんだ。
今回もがんばろう!!
(ちょっとおもしろいよ、「半減期」のたとえ話がさ)
・「半減期」ってなんだ?
「放射性物質」が「放射線」を出す。
これまでに学んだことだ。
「放射線」は、「
電磁波の顔をした粒子」だったね。
「放射性物質」は、たとえば「セシウム137」とかいうやつだ。
「137」は、原子核の目方を表している。
本来セシウムの目方は「133」なんだ。
これが「137」ってことは、余分な目方を持たされていることになる。
誰が持たしたのかというと、そりやあいつに決まっている。
「よけいなもの」を持たされると、放り出したくなるのが人情だ。
物質に限らずなんでもそうなんだけど、
自然法則では、より安定した方に動こうとするものだ。
たとえば「時計のフリコ」を考えよう。
(フリコの時計を見たことないヒトは、思い浮かべてくださいね)
初めは大きく振れているけれど、しまいには真下の向きで止まるよね。
「放射性物質」だって同じだ。
「よけいなもの」を持たされて「不安定」になっているのだから、
「よけいなもの」を放り出して「安定」した状態になりたいのだ。
今、「放射性物質」の「セシウム137」の原子が10,000個あったとする。
それぞれが「よけいなもの」を放り出す。
「よけいなもの」放り出した「セシウム137」は、「安定」した「バリウム137」に変身(「崩壊」ほうかい)するのだ。
このときに放り出した「よけいなもの」が、「放射線」になるのだ!!
(「バリウム137」は「安定したフツウの原子」だから「放射性物質」でなはく、もう「放射線」なんかは出さないのだ)
そして「セシウム137」の原子が5,000個になったとする。
10,000個から5,000個になった、
つまり半分になるのにかかる時間を「半減期(はんげんき)」と云うのだ。
「セシウム137」の「半減期」は、約30年だ。
同じく「放射性物質」の「セシウム134」の「半減期」は約2年だ。
ここで、たとえ話としよう。
日本人1億人に「正座大会」をしてもらう。
膝の上には、重しに「バレーのボール」を置いてもらう。
正座が苦しくなったら「バレーのボール」を放り出して、膝をのばしてよい。
さて、今「せーの」で日本人1億人が正座を始めた。
すぐにいやになり「ヤーメタ」とばかりに「バレーのボール」を放り出し、膝をのばすヒトもいるだろう。
また。しばらくはガマンをしたが「やっぱりだめだ」と「バレーのボール」を放り出して膝をのばすヒトもいる。
そして正座をした1億人が、半分の5,000万人になったとき。
これが日本人の正座の「半減期」だ!!
そーだね「日本人の正座の「半減期」」は3時間くらいかなあ。
んで、3時間ガマンしたヒトは、根性が違うから、やはりすぐには「やーめた」にならない。
半分の2,500万人になるのに、やはり3時間かかる(とするヨ)。
ここまで根性が入ったヒトだから、
これがまた半分の1,250万人になるのにも、やはり3時間かかる。
これの繰り返しだ。
するといつまでたっても「0人」にならないのでは?
そのとおり。
たとえばお坊さんは、正座が職業みたいなもんだから、そうとうに長い時間がんばるだろう。
だけれども、全体としてみれば、半分→半分→半分→半分→半分……となってゆけば、
もはや1億人に対しては、微々たるもんだ。
このたとえ話、もうわかったでしょ。
正座している人数が半分になるのが「半減期」、そのときに放り出す「バレーのボール」が「放射線」だ。
だから時間とともに「放射線」は少なくなってゆくのだ。
ずーっとたっても「まったく無くなってしまう」ことはないんだけれど、
無視できるくらいに「少なく」なることはわかるね。
これが、アメリカのヒトだったらどうだろう。
「セイザ?? オーマイゴッド」とばかりに、とっとと「バレーのボール」を放り出し、
「半減期」も30分かもしれない。
インドのヒトだとどうか?
ヨガできたえた、インド人もびっくりで、なんと正座の「半減期」は12時間かかるかもしれないね。
じゃあ、今
「アメリカ人」 1億人 「半減期」30分
「日本人」 1億人 「半減期」3時間
「インド人」 1億人 「半減期」12時間
で正座大会を始めたとする。
初めのころは、どのヒトが勢いよく「バレーのボール」を放り出すかというと、
そう、「半減期」の短い「アメリカ人」が、多く「バレーのボール」を放り出す。
なにしろ「半減期」が30分だからね。
もちろん、「日本人」も出す。
「インド人」も出すけれど、「半減期」12時間なので、ある時間あたりにすると、放り出された「バレーのボール」の数は少ない。
30分経った。
もはや「アメリカ人」は「半減期」がきたから、半分の5000万人になっている。
でも「日本人」は「半減期」にはまだ時間があるから、あまり減っていない。
また「インド人」は「半減期」12時間なので、ほとんど減っていないことになる。
ひっくりかえすと、「インド人」は「半減期」が長いから、いつまでたっても減ってこないことになるね。
今回の事故で、初めに問題になったのは
「ヨウソ131」という「放射性物質」だ。
その「半減期」は、約8日だ。
だから最初は盛んに「放射線」を出している。
でも、8日ごとに「半減期」がきて「ヨウソ131」の数が半分になるから、
32日で「半減期」が4回になり、「ヨウソ131」の数は1/16になってしまうのだ。
アメリカ人の正座みたいだ。
今現在、主に地面に落ちている「放射性物質」は、
「セシウム134」「半減期」は約2年
「セシウム137」「半減期」は約30年
の2種類が大部分をしめている(およそ半分ずつあると云われている)。
現在「ヨウソ131」は「半減期」が13回程度きているから、
放出された量のおよそ1/8000にまで減ってしまっているのだ。
みんな「安定した原子(キセノン131)」に変化(「崩壊」ほうかい)したんだね。
でも初めは、ものすごかったことがわかるだろう。
なにしろ「半減期」が短いからね、イキオイが違う。
放り出された「バレーのボール」が「放射線」だ。
1秒間に「1個の放射線」を出す能力のことを
「1ベクレル」という!
ついに「
ベクレル」の正体が明らかになったね。
たとえば、3月の下旬に水道水から「ベクレル」が出た。
あれは「1秒間に何個の放射線を出す能力」があるのか、を云っていたのだ。
300ベクレル/キログラム(300Bq/Kg)というのは、
その「水1キログラム」の中に、1秒間に「300個」の「放射線」を出す能力もった物質がある、という意味だ。
「放射線」を出す能力のことを「放射能」という。
やっと「放射能」というコトバがでてきたでしょ。
いままで説明してなかったから、使わなかったの「放射能」って。
まあ、これを「能力」っていうのもおかしいようだが、キマリだからおぼえておこう!
「ベクレル」とは「放射能」のことなんだよ!
すると、
「半減期」が8日の「ヨウソ131」の原子が、水1キログラムにいくつあれば、
「300ベクレル」つまり「1秒間に300個の放射線を出すか」は計算できるはずだよね。
ややこしい計算かもしれないけど。
そして、その「放射線」の数が、ある時刻に「何個」出るかは、計算できるはずだ。
ところが、
それが違うのだ。
ここが「放射線の測定」でやっかいなことなんだ。
「半減期」は「放射性物質」の種類(「核種(かくしゅ)」といいます。原子核の「核」だね)によって、測定されていて、常に一定の値をとる。
でも、ある時刻のたとえば「1秒間」に出て来る「放射線」の数は、測ってみないとわからないのだ!!
ナゼダ!!
さっきの「正座」の例で考えてみよう。
確かに「半減期」は常に正しいかもしれない。
でも、あるヒトが「やーめた」って「バレーのボール」を放り出すタイミングは、
その時々によって「違う」ことが、直感でわかるとおもう。
たまたま、みんなが「放り出す」(「崩壊(ほうかい)」する)ときもあるだろうし、
あるいは、なぜか「放り出さない」(「崩壊(ほうかい)」しない)ときもあるだろう。
全体で見れば「半減期」はその「放射性物質」で決まっていても、
ある時刻の「放射線」の数は、いわばデタラメに出てくるのだ。
こーゆーことを、「ランダムな現象」とか「確率的な現象」とかいう。
ざっくりと云えば、「測ってみないとよくわからない」てことだ。
でも「ある程度の時間」をかけて「測る」と、なんだかうまくいきそうじゃないか!
そう、「測定時間をある程度長く」かければ、「正しい(と推定される)値」に近づいていくのだ。
この「
学ぼうシリーズ」の1回目「
ガイガーミュラーマンになろう」で、こう説明した
・「電波」はきまぐれに出ているから、測るときには十分に時間をかけて測ろう。一箇所で三分間はかけよう
「電波」は「放射線」のことだ。
「きまぐれ」は「確率的な現象」のこと。
三分間は、「測定時間をある程度長く」かけることを、意味していたのだ。
実際に「一分間」の間隔で測った数字を見せようね。
測定器は「
堀場PA-1000Radi」というものだ。
外のアスファルト道路 +1mでの測定
ガンマ(γ)線 単位マイクロシーベルト パー アワー(μSv/h)マイクロシーベルト毎時という意味だね。
(
単位は以前学んだからもう大丈夫)
0.151 0.174 0.170 0.164 0.164 0.181 0.164
けっこう、バラついているでしょう(このときで±10%位だね)。
この七分間で平均すると0.167μSv/hとなる。
もっと長い方がいいんだけれど、多くのポイントを測るために七回にしているんだ。
少なくとも3分間の平均は測りたいところだ。
ためしに、このときの初めの3分間の平均をとると、0.165μSv/hとなるね。
さて、今日のポイントを整理してみよう。
・「放射性物質」は「崩壊」して「放射線」を出し「安定した別の物質」になること
・「ベクレル」とは「放射能」のこと
・「放射性物質」の種類(核種)によって「半減期」が測定され、すでにわかっていること
・「半減期」は、「放射能」が半分になるのにかかる「時間」であること
・「半減期」が短い「核種」の方が、初めは影響が大きいこと
・反対に「半減期」が長いと、いつまでも「放射能」が残ること
・ある時刻の「放射線」の数は、「確率的な現象」だから、いわばデタラメになること
・「放射線を測る」ときには、十分に長い時間をかけないとデタラメの数字がでること
これで、「半減期」はカンペキだとおもうよ。
「確率的な現象」まで学んだんだからね!! すごいスゴイゾ!!!
今回はここまで。
次回は「測る」を学ぶ予定ですよ。
前回の
「遮蔽(しゃへい)」と、今回の「確率的な現象」があれば、ばっちり、のはずなのだ!!
じゃあ、またね。