本記事は、オイル漏れドアクローザー修理に使用する油,Oリングの番手,無分解修理の際のケミカル用品の名入りである。
さらに、
「ドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式」つーのも考えたよん。

三十数年もののドアクローザーが、
下部出力軸付近から油漏れしている。
事例1では、
これの分解修理やってみよう。
事例2では、
無分解での油漏れ予防保守方法も記述する。
確認はしていないが、油漏れ修理にも応用できるハズ。
さらに、
「ドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式」も書いた。
---------------
事例1
ドアクローザ油漏れ分解修理の部
玄関などの半屋外にも使えるタイプのドアクローザが、
数ヶ月前からぽたりぽたり。
下に新聞紙敷いてナニしてたが、ついに減衰力が発生しなくなったので分解修理に及ぶ。
ドアから外す。
掃除。
・分解
出力軸の根本は□で対辺28mm。
インパクト使おうにも、そんなコマは現有してない。
この世に無いのでは?
とおもったけど、いま見たら、
コーケンの14415M 1/2インパクト用ソケット二重四角28 \3kがあった。
この世にありました、よかった。
などの、調査をしないママ↓
本体を万力にくわえ、始めはKNIPEXのアゴが平行移動するやつで□対辺28mm緩めるがびくともせん。
イギリス+ヒミツのパイプ(トヨタ車のストラットを分解すると出てくるやつ)でやったがダメ。
しよーがないから、
万力で□対辺28mmをくわえ、本体に木っ端を当ててポンドハンマーで叩く。
よーやく緩んだ。
テーパネジに固いノリがついておった。
気密性のロックタイトのたぐいだな、これ。
そりゃなかなか緩まないよ。
ここを緩めるのが本件修理作業でネックになっているようだ。
(後述する事例2無分解保守も参照されたい)
なお、
今回外したテーパネジは右ねじであった。
逆側も同じであろう。
逆ネジする理由が無いからだ。
ここが六角のドアクローザもあり、分解に成功した少数の人はインパクトレンチを使っていた。
この場合、その寸法のコマが手元にあるかつー問題はあります。
手持ち見たらインパクト用ではないけど、3/8で24,1/2で27までは有った。
どちらもセットものを買ったから持っているんだな。
こーゆーのは5年に一回程度使うのよ。
コーケンのインパクト用は、3/8で対辺24 \2k弱,1/2で対辺41 \5k弱まであるゾ。
すげえ。
※本体の左右に一対ある丸いフタは開けてはいけない。
油漏れの本件とは無関係だし、内部には圧縮された強力なバネがあって、不用意にナニするとばちーんと飛び出して怪我するぞ。
今緩めたものは、出力軸の軸受だ。
この軸受はアルミ(鋳物っぽい)に軸受のスチールブッシング、
本体はアルミ鋳物(肉が厚いし突き出しピン痕ないのでダイカストではない)、
出力軸はスチールだ。
どうかすると、本体と軸受が亜鉛鋳物のやつもあるようだ。
亜鉛の場合、軸受部の□とか六角とか工具かけるところの強度がないので、
分解はあきらめよう。
全体が変に重く感じ、
目立たないところを削ってみて、削りカスがぐんにゃりしてたら亜鉛かもしれない。
アルミはけっこう硬く感じる。
この軸受にOリングが嵌まっている。
軸受は1箇所外せば、出力軸が抜けてくる。
また出力軸が抜ければ、Oリング上下2箇所も外せる。
ということは、
この軸受を外すと、内部の残った油がどばっと出てくる。
そこで、
本事例のような万力を使う場合でも、
インパクトを使う場合でも、
緩み始めるところまで万力やらインパクトやらを使い、
廃油受けに移動したのち、
手工具で外れるまで緩めよう。
・廃油排出→内部洗浄
本体のドア側に(+)頭のビスがあり、これが油注入口である。
であるが、この例では軸受部ががばっと開いている。
本体を逆さにして、油を落す。
このとき本体側方にある減衰力ナブリネジNo.1,No.2は緩めておいたほうがよい。(抜き取らないように)
あやしげな廃油が出る。
この事例での内部の油全量は約80mlであった。
・灯油を入れ→落としを数回
軸受外した穴から灯油を入れてやる。
本体長手方向の中央に穴あるから、
左側下にして灯油入れ落す→右側下にして灯油入れ落す、というふうに行う。
オリフィス付近に廃油たまっているらしく、しつこめに行う。
灯油洗浄の場合は、入れてしばらくしてから落すでもいいけどね。
灯油はなかなか揮発しないし、洗浄力も弱いから時間かけて汚れ溶かすつーナニで。
灯油を使う場合には、廃油受けの容量は、
入っていた廃油+灯油=廃油受けの容量
となる。
灯油洗浄3回すると、
入っていた廃油80ml+灯油80ml*3=廃油受けの容量320ml
以上は必要だ。
灯油で本体回りも洗浄するから、暫定で廃油受けの容量500ml~1Lは要るかな。
内部洗浄に灯油が好適なのは、
ゴムに対する攻撃性が少ない上
価格が安いからである。
欠点は
クサイ+廃油受けの容積が大きくなる
かな。
・パーツクリーナーの種類,使い方,廃油受け
洗浄用の灯油の無いヒトは、洗浄にはパーツクリーナーだけを使う。
・パーツクリーナーの種類
パーツクリーナは洗浄力が強いのはいくない。
ゴムを痛める可能性がある。
洗浄力普通、できれば速乾でないタイプ(中乾速とか)で、なるべく安くて量が多いものを使おう。
つまり、ももたろうのミドリ ブレーキ&パーツクリーナー魂 2000 840ml \300-位 とかがよい。
安いやつは洗浄力が弱めなの多し。
・廃油受け
ヱンジンオイル交換時に使う廃油受(オイルパックンとかの名が多い)が市販されています。
しかし、これだけのためにオイルパックン買うのもねえ。
廃油受のないヒトは、ぼろきれを丈夫な袋に入れれば簡単にできます。
パーツクリーナーを使うときには新聞紙を細かくちぎった物も加えるとよい。
一例として
昔のパチンコ屋で景品貰うと入れてくれたような薄茶の紙袋の、
中に丈夫なプラ袋入れ、
プラ袋の中に、ぼろきれや新聞紙細かくちぎったの入れる、
と好適かもしれない。
ヱンジンオイル4~6Lに比べて、量が少ないから、てんぷら油のノリでOKだ。
・廃油受けの容積
入っていた廃油+揮発前のパークリ=廃油受けのとりあえずの容量
となる。
パークリは揮発してしまえば体積が0になる。
廃油受けの口を開いておくと(クサイのでベランダなどに置いておく)
パークリは揮発してしまうから、結局元の廃油の体積あればよいことになる。
廃油受けのとりあえずの容量を500ml位としておき、
ゴミ捨てるときには、元の廃油量80ml位になる。
たいへん捨てやすい。
・パーツクリーナーの使い方
給油口の穴から
パーツクリーナをブシューと吹いて、
本体をふるふるとゆすり残った廃油をパークリに溶かして、
揮発する前に廃油受けに落す。
あまりもたもたしていると、パークリが揮発してしまう。
内部でパーツクリーナ揮発しようとして沸くのでごぼごぼと音するよ。
数回繰り返す。
軸受外した穴からやる場合には、
本体長手方向の中央に穴あるから、
左側下にして灯油入れ落す→右側下にして灯油入れ落す、というふうに行う。
・開口部をパークリで掃除
するとこうなる↓
軸受ネジ側

軸受はテーパネジだ。
管用(くだよう)テーパネジとは規格が違いピッチが細かい。
軸受の位置決めもするし、強度も要るからであろう。
残存している固いノリはとんがりで可能な限りかき落す。
軸受□対辺28mm側

万力のナニで少々ダメージがある。
ヤスリで気はココロで修正。
・Oリングの番手
こーゆーものは始めに規格品があって、あとから個別機械の設計をする。
出力軸はφ16。
その他の寸法をとる。
そして、
こーゆーところにはもっともアタリマエな規格品を使う。
Oリング規格表を見る。
寸法はP規格の線径2.4mm、P-16つーやつである。
材質は最も一般的な耐油性に優れるNBR系の1種Aでよい。
つまり下の写真にあるように、
1AP-16 でよい。
ぽち。
個別に選択する場合は、
出力軸の直径を測り「Oリング規格表」をみたらよい。
材質は1種Aでよく、ぽちとかホームセンターで買えるのの材質も1種Aであろうから、あとは寸法だけである。
おそらくは、
P-12,-14,-16あたりかとおもう。
出力軸直径φ12mm→P-12、φ14mm→P-14、φ16mm→P-16……だ。
Oリング線径が一段細いφ1.9mmOリングP-2~P-10の適用軸はφ2~φ10と、ドアクローザの出力軸としては細すぎるので、たぶんない。
Oリング線径が一段太いφ3.5mmOリングP-22A~の適用軸はφ22~なので、ご家庭のドアクローザの出力軸には太すぎる。
ビルの地下駐車場にあるどでかい鉄扉のドアクローザには使っているかもしれないが。
結局、
線径2.4mm,適用軸φ10~φ22の、P-10~P22を使っているハズだ。
だから、出力軸直径と、たぶんφ2.4であるハズの旧Oリング線径をノギスで測ればOKである。
Oリング線径は、規格が下からφ1.9→φ2.4→φ3.5であるから、柔いものではあるが測り間違えもないであろう。
来た。
給油口フタネジ、同パッキン
ピニオン付き軸、旧Oリング2個、新Oリング2個

ぴったんこだ。

古いOリングは、摩耗はないが固くなっている。
※油が抜けきると、Oリングが摩耗してしまい、
すると後述の無分解保守ができないゾ。
・組立
こーゆーことはしなくてもいいとおもふけど、
せっかくなので軸を旋盤でナニして中古の3Mマイクロで研磨。
更に軸の上下替え。
ピニオンが多少摩耗していたので、軸の内外入れ替えで組もう。
ピニオンは本体側の半回転程しか使わないから、これで新品同様。
軸受に油を塗布したOリングはめる。
軸受のテーパネジは位置決めもしているので、
テフロンテープはちと問題がある。
手持ちのわこちゃんの高い液状シリコーンガスケットを使おう。

このときテーパネジ部は脱脂されている必要がある。
本体を万力にこわえ、KNIPEXのアゴが平行移動するやつで締める。
テーパネジであるから、むぎゅーと締まったところで止める。
バカ締めしてはいけない。
ずぼっと抜けるからな。

しばしガスケット養生。
要部詳細
。
テーパネジ部分の液状シリコーンガスケットの固まったやつが漏れ止めをしている。
はみ出た分はどうでもよいけど、はみ出さないくらいだと不足のおそれあるからマズイ。
・使用する油→給油
元の油はたぶん粘度ISO VG22か32だな。
このようなところには、
作動油または油圧作動油と呼ばれるのを使う。
うまい具合に手持ちで耐摩耗性油圧作動油 日石スーパーハイランド32があるので使用した。
おそらくは元油もこの手の耐摩耗性油圧作動油であろう。
また、
工業用多目的油も作動油として使える。
商品名だと
旧日石 現ENEOS(以下ISO VG32)
スーパーマルパスDX32
スーパーマシンルブP32
FBKオイルRO32
ハイドロS32
などがあるがこれらに限定されない。
こんな油はフツウ持ってないだろうから、
そーゆーときには、ホームセンターでジャッキオイルとかエアツールオイルつーのが売っている。
これが油圧作動油である。
\0.5~1k位/300ml/本
1本で3台保守可能。
売っているオイルの粘度はISO VG32か46だとおもう。
以下参考 とりあえず動くだろうもの
150スピンドル→ISO VG22
90タービン→ISO VG32
120マシン→ISO VG46
ヱンジンオイル10W→ISO VG22~46
ヱンジンオイル20W→ISO VG32~68
粘度ISO VGが低いほうが減衰力が弱く、粘いと減衰力が強い。
・作動油の量と入れ方
約80mlであった。(ちゃんとは測ってない)
給油口からポリスポイトで注入。
給油口側を高くして入れるんだぞ。
オーバーフローで止める。
・給油口
給油口にはゴムのパッキン入っている。
硬化してるのよ。
この部分は脱脂できないので、液状シリコーンガスケットは使用不可。
テーパネジでもないから、テフロンテープもダメか。
パッキン紙で作るのもめんどうだし。
パッキンが漏れ止め剤で膨潤する前に漏れるのも困る。
んで、旧パッキン両面に高粘度のシリコーングリースを塗布して組んだ。
シリコーングリースと油圧作動油は混ざらないので、シリコーングリースが境界面にずーと居座り、その高粘度で漏れを防止する、のではないかなあ。
ここはバカ締めしない。
締めすぎると、ゴムパッキンに亀裂が入る。
ここには油圧はかからないんだから、だいたいで締めればよい。
元パッキンでも漏れないかもしれないから、そのままつー手もあるかな。
パッキンに作動油塗って組もう。
パッキン紙などで自作してもよい。
自作パッキンにゴム使うときは、NBR系等の耐油性ゴム使用のこと。
耐油のゴムでないと、すぐぐちゃぐちゃになり、油漏れてくる。
・動作試験
バッタの足部分も清掃給油脂増締調整。
ドアに取付。
オシ。
作動音も「しゅーーぅちゃ」つー感じで正常化した。
--------------
事例2
無分解予防保守の部
更にふるーいドアクローザがあるので、油漏れや減衰力不足もないが、今のうちに無分解で予防保守しよう。
このドアクローザにも本体の給油口があるから、無分解保守が可能だ。
本体の給油口はドアクローザを外すとドア側にネジの頭があるからすぐにわかる。

本体に給油口が無いドアクローザもあるようだ。
その場合には、事例1の分解修理しかないなあ。
給油は外した軸受の穴から行う、やりにくいけどもね。
分解に必要な工具なども事例1に書いてある。
本体に給油口が無いドアクローザで、亜鉛でできていたら、もうムリだなあ。
以下専門的↓
やるなら、M6給油口とM6空気抜き口を作る。
上のほうにφ5穴明けて→空気抜き含め2箇所M6ネジ立てて(先端をころしたスパイラルタップにグリース付けてネジ立て)→洗浄→途中でキリコ排出のためエアを吹く/反対側から灯油とエアと、キリコ出るといいなあ/交互に行う→油の交換して、ネジ締めて塞ぐ。
M6一箇所では油出てこないとおもうし、キリコ排出のエアができない。
または、M8を一箇所か、キリコはどーする?
ネジの漏れ止めには、ネジ山にロックタイト603のようなスキマ用中強度を用いる。
ロックタイトは多少の油分あっても硬化する。
亜鉛なので、立てたメネジがおそらくは拡大してるはずだから、ネジ用のロックタイトでは硬化しないとおもう。
ネジ先端にはロックタイトをつけないように。
または、手作りパッキンかな。
亜鉛はネジ強めに締められないから、紙パッキンでいけるかどうか。
ゴムパッキンとなろう。
ドアから外す。
掃除。
・分解できず
出力軸の根本は□で対辺28mm。
前述と同じようなもののようだ。
Oリングも事例1と同じP-16であろうし、P-16あと8枚あるので、分解出来るならそうしたい。
万力で□対辺28mmをくわえ、本体に木っ端を当ててポンドハンマーで叩くが、まったく動かない。
さすが大古品。
分解あきらめ。
・本体の給油口
(+)頭がかなり固く閉まっていたので、すぐにあきらめてインパクトを使って緩めた。
すぐにあきらめることが肝心。
ごちゃごちゃやっていると、頭をなめてしまう。
こーゆーところには、
ショックドライバ,アタックドライバ,インパクトドライバなどの名で売っている、柄の尻をハンマーで叩くと緩まるやつでもよろしい。
□6.35mmのものが2~3kと安く売っている。
ドアクローザ本体をドアから外すときにも使えるよ。
玄関などに多い取付が木ねじでない場合には、雨にもあたるし、たいてい固着しているからね。
□12.7mmのは高いゼ。
・廃油排出→内部洗浄

給油口開いて廃油を出す。
このとき本体側方にある減衰力ナブリネジNo.1,No.2は緩めておいたほうがよい。(抜き取らないように)

えぐいのが出てくる。
常備しているこの廃油受けは、
市販のオイルパックンなどのふわふわをお菓子の缶に入れものである。
廃油が確認しやすいよう、また本体を上に置いたとき廃油受けにたまった汚れが逆流等せんよう、ふわふわの上に新聞紙入れてある。
(パーツクリーナーや廃油受けについては前掲事例1参照)
灯油で洗浄。
※洗浄中に出力軸を動かさないこと。

最後に黒いのが出てくる。
しつこいので、
給油口からあまりリキのないパークリをぶしゅーと拭き入れ、
振動で廃油をナニするために本体をプラハンマーでコツコトどやし、
しばし放置し、
灯油入れて抜く。
3回くらいやった
ら
ようやくキレイになった。

・無分解修理の際のケミカル用品の名
こっからが無分解保守のナニですよ。
(注入時の写真を取り忘れた)
クルマのエンジンオイル漏れ止め剤つーのが売っている。
ゴムのガスケットだのOリングだのは、古くなると硬化し、漏れ止め能がいけなくなる。
そこで、ゴムにしみこんで膨潤(ぼうじゅん/やわく膨らます)させ、漏れ止め能を回復させるのがオイル漏れ止め剤である。
(PITWORKのNC81オイルシーリング剤は、熱・窒素・UVなどで重合/架橋する仕組みのようだ。ドアクローザは、熱ないし、窒素ないし、UVもないので止めておこう)
ざっとみると、
クレのオイルシステムストップオイルリークが\1k程度で安い。
150ml入り。
ヱンジンオイル3Lに半量の75ml、6Lに全量150ml使う。
つーことはだいたい2.5~5%となる。

(せっかく買ったのでキカイの変速歯車箱にも入れたときの写真)
わこちゃんの高い漏れ止め剤でもいいけど、あれはたしか油をねばーとさせる成分も入っているから、作動油にはどーかなぁ。
わこちゃん入れるならミッション用のほうがいいようにおもふ。
まあ、手持ちのなにかがあるなら、それ流用でいいんじゃない。
この保守には少ししか使わないので、残りをクルマに使えば両方よい。
・給油
今回のドアクローザの全油量75ml。
しかし、ゴムを膨潤さすということは、ゴムに喰われる容積の漏れ止め剤が必要なわけだから、容量%だけではナニではないか?
Oリングなどを使っている部分,使っていると推定される部分は、
出力軸上下2箇所(Oリング P-16*2)+減衰力ナブリネジNo.1,No.2の2箇所(形状不明)+給油口1箇所(穴あき円盤形状)=都合5箇所。
そこで、オイルシステムストップオイルリーク漏れ止め剤 10ml、スーパーハイランド32 65ml使い、合計75ml。
漏れ止め剤濃度13%ということになるな。
給油口からポリスポイトで、始めに漏れ止め剤、後から作動油注入。
オーバーフローで止め。
追記2025_03_14
・漏れ止め剤の効果測定結果
プリンの入れ物に、
作動油 4ml
漏れ止め剤 0.1ml 2.5%
を入れ、
事例1で外した、硬化したOリングを浸漬し、室内に置く。
濃度も2.5%と最低であるし、
漏れ止め剤の絶対量も1本のOリングP-16≒容積0.3mlに対しても少ないとおもわれるから、
これで効けば常温で運転するドアクローザにも効くであろう。
測定は
膨潤の程度を正確に測るのはタイヘンだし、
線径方向に指でつぶしてもよくわからない。
そこで、Oの字の外側から指でつまんで概楕円状につぶしてみて、
反発の程度を新品Oリング,硬化したもう1本のOリングと比較した。
・7d後 よくわからない。
硬化したもう1本のOリングとあまり変らないような気がする。
14d後 おおっ。
固さが、新品<膨潤Oリング<硬化したもう1本のOリング
となった。
17d後 すげえ。
固さは新品≒膨潤Oリング<<硬化したもう1本のOリング
であり、見分けがつかない。
つまりおおよそ半月で効いてくる。
よくキクなあ。
Oリングの硬化の程度にもよるが、
漏れ止め剤の濃度と絶対量を上げた事例2の方法は、相当に有効であろう。
・「ドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式」
やってはみてはいないんだけども。
ヤケクソと、
作動油をいちいち買うのがめんどくさい、
つーかフツウはこうだとおもうけど、
作動油に他の用途がない人は、全量漏れ止め剤つー手もあるなあ。
作動油などに漏れ止め剤を混ぜないで、
漏れ止め剤だけで全量としてしまうのだ。
その場合には、
漏れ止め剤1本\1k+灯油+パークリが修理材料費のすべてとなるわけで、なかなかいいんじゃないか。
しかも、漏れ止め剤はクレのオイルシステムストップオイルリークの場合150ml入りで、当該ドアクローザには75ml使うから、1本の漏れ止め剤で2台修理できる。
クレのオイルシステムストップオイルリークの粘度はISO VGで46位の感じだ。
減衰力が少し上がるが、これくらいなら減衰力ナブリネジNo.1,No.2の調整でどうにでもなろう。
【0051】
本実施形態に係るドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式によれば、漏れ止め剤は作動油よりも粘度が高いことが多いから、漏れ止め剤がゴム製Oリングを油漏れを阻止するに足る程度に膨潤させるまでの間に、ゴム製Oリングをすり抜けて漏れ落ちる油の量が、その粘度によって少なくなるという優れた効果を奏する。
【0052】
また、漏れ止め剤の濃度が十分に高いから、漏れ止め剤がゴム製Oリングを油漏れを阻止するに足る程度に膨潤させるに掛る期間が短くなるであろう優れた効果を奏する。
【0053】
さらに、作動油等を別途用意する必要が無いので、修理作業が簡易化され、加えて修理コストが低減されるという優れた効果をも奏する。
エアツールとか油圧ジャッキ使ってて作動油使う/持っているヒトは、作動油と漏れ止め剤を混ぜて使いましょう。
このようなヒトは余った作動油,漏れ止め剤も有効に活用できることであろう。
・動作試験
これで前述事例1と同様に組立。
バッタの足部分も清掃給油脂増締調整。
ドアに取付。
あたりまえだがオシ。
作動音も「しゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅちゃ」つー感じで正常化した。
従前は「じゅじゅーぅぃきいーこーぐちゃ」と云うておった。
ゴミが詰まってて、故に漏れが止まってたかなとおもったが、そーゆーこともなかったようである。
この作業は
さくさく行って30分位かな。
のんびりやっても1時間であろう。
------------
総括
廃油排出と灯油等による内部洗浄はとても大切です。
しっかりやりましょう。
少なくとも、廃油排出→新油入れ(内部洗浄は省略)はしてください。
ただ、廃油排出→パークリ洗浄→パークリ排出→新油入れとしても、この手間は廃油排出→新油入れ(内部洗浄は省略)とさして変りません。
特にパークリ洗浄の場合、そもそもパークリ使用量が少ない上、汚れを残して他は揮発してしまうから、廃油の量も極少なく、その処理も簡単になります。
汚れきったゴミだらけ旧油入ったまま、例えばOリング交換しても、比較的に短期間でまた油漏れするとおもうんだな。
事例2は漏れる前の予防保守であったけども、
ヱンジンオイル漏れ止め剤による無分解修理も可能なはずだ。
試されては如何。
くれぐれも油が抜けきる前に作業しよう。
事例1から、油がある限りは、Oリングの摩耗はなさそうである。
なお、エンジンと比べてドアクローザは運転温度が低いし、油もたいして攪拌されないから、漏れ止め剤の効果が出るのにそれなりの時間がかかるであろう。
ドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式は、効果が出るのが早くなることが期待できよう。
この方式で、機械としてドアクローザ内部の歯車などがどのくらい保つかは全くわからない。
でも、せっかく分解したのに、廃油抜かず、少量のヱンジンオイル補充して組んでしまうヒトもいるので、
内部洗浄し、全量漏れ止め剤とする本例のほうが、それよりは明らかにいいとおもうよ。
漏れ止め剤の効果がどのくらい保つのかは、やってみないとわからないが、
以前電話して聞いたわこちゃんのヒトによると、ウチの漏れ止め剤の場合、一度膨潤したゴムは膨潤したままになるから、漏れ止め剤を追加で入れる必要は無いといっていました。
修理保守したら20年は使うし、20年後以降20年おきに作動油だけ入れ替えればいいことになるから、
無限に保つかも!
まっ、漏れる前の予防保守がいいけどね。
20年に一回かなあ。
貴君の健闘を祈る。
編集後記
物事をていねいに説明するのはタイヘンだ。
2025_02_28 現在30枚。
作業時間の数倍かかっている。
さらに、
「ドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式」つーのも考えたよん。

三十数年もののドアクローザーが、
下部出力軸付近から油漏れしている。
事例1では、
これの分解修理やってみよう。
事例2では、
無分解での油漏れ予防保守方法も記述する。
確認はしていないが、油漏れ修理にも応用できるハズ。
さらに、
「ドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式」も書いた。
---------------
事例1
ドアクローザ油漏れ分解修理の部
玄関などの半屋外にも使えるタイプのドアクローザが、
数ヶ月前からぽたりぽたり。
下に新聞紙敷いてナニしてたが、ついに減衰力が発生しなくなったので分解修理に及ぶ。
ドアから外す。
掃除。
・分解
出力軸の根本は□で対辺28mm。
インパクト使おうにも、そんなコマは現有してない。
この世に無いのでは?
とおもったけど、いま見たら、
コーケンの14415M 1/2インパクト用ソケット二重四角28 \3kがあった。
この世にありました、よかった。
などの、調査をしないママ↓
本体を万力にくわえ、始めはKNIPEXのアゴが平行移動するやつで□対辺28mm緩めるがびくともせん。
イギリス+ヒミツのパイプ(トヨタ車のストラットを分解すると出てくるやつ)でやったがダメ。
しよーがないから、
万力で□対辺28mmをくわえ、本体に木っ端を当ててポンドハンマーで叩く。
よーやく緩んだ。
テーパネジに固いノリがついておった。
気密性のロックタイトのたぐいだな、これ。
そりゃなかなか緩まないよ。
ここを緩めるのが本件修理作業でネックになっているようだ。
(後述する事例2無分解保守も参照されたい)
なお、
今回外したテーパネジは右ねじであった。
逆側も同じであろう。
逆ネジする理由が無いからだ。
ここが六角のドアクローザもあり、分解に成功した少数の人はインパクトレンチを使っていた。
この場合、その寸法のコマが手元にあるかつー問題はあります。
手持ち見たらインパクト用ではないけど、3/8で24,1/2で27までは有った。
どちらもセットものを買ったから持っているんだな。
こーゆーのは5年に一回程度使うのよ。
コーケンのインパクト用は、3/8で対辺24 \2k弱,1/2で対辺41 \5k弱まであるゾ。
すげえ。
※本体の左右に一対ある丸いフタは開けてはいけない。
油漏れの本件とは無関係だし、内部には圧縮された強力なバネがあって、不用意にナニするとばちーんと飛び出して怪我するぞ。
今緩めたものは、出力軸の軸受だ。
この軸受はアルミ(鋳物っぽい)に軸受のスチールブッシング、
本体はアルミ鋳物(肉が厚いし突き出しピン痕ないのでダイカストではない)、
出力軸はスチールだ。
どうかすると、本体と軸受が亜鉛鋳物のやつもあるようだ。
亜鉛の場合、軸受部の□とか六角とか工具かけるところの強度がないので、
分解はあきらめよう。
全体が変に重く感じ、
目立たないところを削ってみて、削りカスがぐんにゃりしてたら亜鉛かもしれない。
アルミはけっこう硬く感じる。
この軸受にOリングが嵌まっている。
軸受は1箇所外せば、出力軸が抜けてくる。
また出力軸が抜ければ、Oリング上下2箇所も外せる。
ということは、
この軸受を外すと、内部の残った油がどばっと出てくる。
そこで、
本事例のような万力を使う場合でも、
インパクトを使う場合でも、
緩み始めるところまで万力やらインパクトやらを使い、
廃油受けに移動したのち、
手工具で外れるまで緩めよう。
・廃油排出→内部洗浄
本体のドア側に(+)頭のビスがあり、これが油注入口である。
であるが、この例では軸受部ががばっと開いている。
本体を逆さにして、油を落す。
このとき本体側方にある減衰力ナブリネジNo.1,No.2は緩めておいたほうがよい。(抜き取らないように)
あやしげな廃油が出る。
この事例での内部の油全量は約80mlであった。
・灯油を入れ→落としを数回
軸受外した穴から灯油を入れてやる。
本体長手方向の中央に穴あるから、
左側下にして灯油入れ落す→右側下にして灯油入れ落す、というふうに行う。
オリフィス付近に廃油たまっているらしく、しつこめに行う。
灯油洗浄の場合は、入れてしばらくしてから落すでもいいけどね。
灯油はなかなか揮発しないし、洗浄力も弱いから時間かけて汚れ溶かすつーナニで。
灯油を使う場合には、廃油受けの容量は、
入っていた廃油+灯油=廃油受けの容量
となる。
灯油洗浄3回すると、
入っていた廃油80ml+灯油80ml*3=廃油受けの容量320ml
以上は必要だ。
灯油で本体回りも洗浄するから、暫定で廃油受けの容量500ml~1Lは要るかな。
内部洗浄に灯油が好適なのは、
ゴムに対する攻撃性が少ない上
価格が安いからである。
欠点は
クサイ+廃油受けの容積が大きくなる
かな。
・パーツクリーナーの種類,使い方,廃油受け
洗浄用の灯油の無いヒトは、洗浄にはパーツクリーナーだけを使う。
・パーツクリーナーの種類
パーツクリーナは洗浄力が強いのはいくない。
ゴムを痛める可能性がある。
洗浄力普通、できれば速乾でないタイプ(中乾速とか)で、なるべく安くて量が多いものを使おう。
つまり、ももたろうのミドリ ブレーキ&パーツクリーナー魂 2000 840ml \300-位 とかがよい。
安いやつは洗浄力が弱めなの多し。
・廃油受け
ヱンジンオイル交換時に使う廃油受(オイルパックンとかの名が多い)が市販されています。
しかし、これだけのためにオイルパックン買うのもねえ。
廃油受のないヒトは、ぼろきれを丈夫な袋に入れれば簡単にできます。
パーツクリーナーを使うときには新聞紙を細かくちぎった物も加えるとよい。
一例として
昔のパチンコ屋で景品貰うと入れてくれたような薄茶の紙袋の、
中に丈夫なプラ袋入れ、
プラ袋の中に、ぼろきれや新聞紙細かくちぎったの入れる、
と好適かもしれない。
ヱンジンオイル4~6Lに比べて、量が少ないから、てんぷら油のノリでOKだ。
・廃油受けの容積
入っていた廃油+揮発前のパークリ=廃油受けのとりあえずの容量
となる。
パークリは揮発してしまえば体積が0になる。
廃油受けの口を開いておくと(クサイのでベランダなどに置いておく)
パークリは揮発してしまうから、結局元の廃油の体積あればよいことになる。
廃油受けのとりあえずの容量を500ml位としておき、
ゴミ捨てるときには、元の廃油量80ml位になる。
たいへん捨てやすい。
・パーツクリーナーの使い方
給油口の穴から
パーツクリーナをブシューと吹いて、
本体をふるふるとゆすり残った廃油をパークリに溶かして、
揮発する前に廃油受けに落す。
あまりもたもたしていると、パークリが揮発してしまう。
内部でパーツクリーナ揮発しようとして沸くのでごぼごぼと音するよ。
数回繰り返す。
軸受外した穴からやる場合には、
本体長手方向の中央に穴あるから、
左側下にして灯油入れ落す→右側下にして灯油入れ落す、というふうに行う。
・開口部をパークリで掃除
するとこうなる↓
軸受ネジ側

軸受はテーパネジだ。
管用(くだよう)テーパネジとは規格が違いピッチが細かい。
軸受の位置決めもするし、強度も要るからであろう。
残存している固いノリはとんがりで可能な限りかき落す。
軸受□対辺28mm側

万力のナニで少々ダメージがある。
ヤスリで気はココロで修正。
・Oリングの番手
こーゆーものは始めに規格品があって、あとから個別機械の設計をする。
出力軸はφ16。
その他の寸法をとる。
そして、
こーゆーところにはもっともアタリマエな規格品を使う。
Oリング規格表を見る。
寸法はP規格の線径2.4mm、P-16つーやつである。
材質は最も一般的な耐油性に優れるNBR系の1種Aでよい。
つまり下の写真にあるように、
1AP-16 でよい。
ぽち。
個別に選択する場合は、
出力軸の直径を測り「Oリング規格表」をみたらよい。
材質は1種Aでよく、ぽちとかホームセンターで買えるのの材質も1種Aであろうから、あとは寸法だけである。
おそらくは、
P-12,-14,-16あたりかとおもう。
出力軸直径φ12mm→P-12、φ14mm→P-14、φ16mm→P-16……だ。
Oリング線径が一段細いφ1.9mmOリングP-2~P-10の適用軸はφ2~φ10と、ドアクローザの出力軸としては細すぎるので、たぶんない。
Oリング線径が一段太いφ3.5mmOリングP-22A~の適用軸はφ22~なので、ご家庭のドアクローザの出力軸には太すぎる。
ビルの地下駐車場にあるどでかい鉄扉のドアクローザには使っているかもしれないが。
結局、
線径2.4mm,適用軸φ10~φ22の、P-10~P22を使っているハズだ。
だから、出力軸直径と、たぶんφ2.4であるハズの旧Oリング線径をノギスで測ればOKである。
Oリング線径は、規格が下からφ1.9→φ2.4→φ3.5であるから、柔いものではあるが測り間違えもないであろう。
来た。
給油口フタネジ、同パッキン
ピニオン付き軸、旧Oリング2個、新Oリング2個

ぴったんこだ。

古いOリングは、摩耗はないが固くなっている。
※油が抜けきると、Oリングが摩耗してしまい、
すると後述の無分解保守ができないゾ。
・組立
こーゆーことはしなくてもいいとおもふけど、
せっかくなので軸を旋盤でナニして中古の3Mマイクロで研磨。
更に軸の上下替え。
ピニオンが多少摩耗していたので、軸の内外入れ替えで組もう。
ピニオンは本体側の半回転程しか使わないから、これで新品同様。
軸受に油を塗布したOリングはめる。
軸受のテーパネジは位置決めもしているので、
テフロンテープはちと問題がある。
手持ちのわこちゃんの高い液状シリコーンガスケットを使おう。

このときテーパネジ部は脱脂されている必要がある。
本体を万力にこわえ、KNIPEXのアゴが平行移動するやつで締める。
テーパネジであるから、むぎゅーと締まったところで止める。
バカ締めしてはいけない。
ずぼっと抜けるからな。

しばしガスケット養生。
要部詳細

テーパネジ部分の液状シリコーンガスケットの固まったやつが漏れ止めをしている。
はみ出た分はどうでもよいけど、はみ出さないくらいだと不足のおそれあるからマズイ。
・使用する油→給油
元の油はたぶん粘度ISO VG22か32だな。
このようなところには、
作動油または油圧作動油と呼ばれるのを使う。
うまい具合に手持ちで耐摩耗性油圧作動油 日石スーパーハイランド32があるので使用した。
おそらくは元油もこの手の耐摩耗性油圧作動油であろう。
また、
工業用多目的油も作動油として使える。
商品名だと
旧日石 現ENEOS(以下ISO VG32)
スーパーマルパスDX32
スーパーマシンルブP32
FBKオイルRO32
ハイドロS32
などがあるがこれらに限定されない。
こんな油はフツウ持ってないだろうから、
そーゆーときには、ホームセンターでジャッキオイルとかエアツールオイルつーのが売っている。
これが油圧作動油である。
\0.5~1k位/300ml/本
1本で3台保守可能。
売っているオイルの粘度はISO VG32か46だとおもう。
以下参考 とりあえず動くだろうもの
150スピンドル→ISO VG22
90タービン→ISO VG32
120マシン→ISO VG46
ヱンジンオイル10W→ISO VG22~46
ヱンジンオイル20W→ISO VG32~68
粘度ISO VGが低いほうが減衰力が弱く、粘いと減衰力が強い。
・作動油の量と入れ方
約80mlであった。(ちゃんとは測ってない)
給油口からポリスポイトで注入。
給油口側を高くして入れるんだぞ。
オーバーフローで止める。
・給油口
給油口にはゴムのパッキン入っている。
硬化してるのよ。
この部分は脱脂できないので、液状シリコーンガスケットは使用不可。
テーパネジでもないから、テフロンテープもダメか。
パッキン紙で作るのもめんどうだし。
パッキンが漏れ止め剤で膨潤する前に漏れるのも困る。
んで、旧パッキン両面に高粘度のシリコーングリースを塗布して組んだ。
シリコーングリースと油圧作動油は混ざらないので、シリコーングリースが境界面にずーと居座り、その高粘度で漏れを防止する、のではないかなあ。
ここはバカ締めしない。
締めすぎると、ゴムパッキンに亀裂が入る。
ここには油圧はかからないんだから、だいたいで締めればよい。
元パッキンでも漏れないかもしれないから、そのままつー手もあるかな。
パッキンに作動油塗って組もう。
パッキン紙などで自作してもよい。
自作パッキンにゴム使うときは、NBR系等の耐油性ゴム使用のこと。
耐油のゴムでないと、すぐぐちゃぐちゃになり、油漏れてくる。
・動作試験
バッタの足部分も清掃給油脂増締調整。
ドアに取付。
オシ。
作動音も「しゅーーぅちゃ」つー感じで正常化した。
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事例2
無分解予防保守の部
更にふるーいドアクローザがあるので、油漏れや減衰力不足もないが、今のうちに無分解で予防保守しよう。
このドアクローザにも本体の給油口があるから、無分解保守が可能だ。
本体の給油口はドアクローザを外すとドア側にネジの頭があるからすぐにわかる。

本体に給油口が無いドアクローザもあるようだ。
その場合には、事例1の分解修理しかないなあ。
給油は外した軸受の穴から行う、やりにくいけどもね。
分解に必要な工具なども事例1に書いてある。
本体に給油口が無いドアクローザで、亜鉛でできていたら、もうムリだなあ。
以下専門的↓
やるなら、M6給油口とM6空気抜き口を作る。
上のほうにφ5穴明けて→空気抜き含め2箇所M6ネジ立てて(先端をころしたスパイラルタップにグリース付けてネジ立て)→洗浄→途中でキリコ排出のためエアを吹く/反対側から灯油とエアと、キリコ出るといいなあ/交互に行う→油の交換して、ネジ締めて塞ぐ。
M6一箇所では油出てこないとおもうし、キリコ排出のエアができない。
または、M8を一箇所か、キリコはどーする?
ネジの漏れ止めには、ネジ山にロックタイト603のようなスキマ用中強度を用いる。
ロックタイトは多少の油分あっても硬化する。
亜鉛なので、立てたメネジがおそらくは拡大してるはずだから、ネジ用のロックタイトでは硬化しないとおもう。
ネジ先端にはロックタイトをつけないように。
または、手作りパッキンかな。
亜鉛はネジ強めに締められないから、紙パッキンでいけるかどうか。
ゴムパッキンとなろう。
ドアから外す。
掃除。
・分解できず
出力軸の根本は□で対辺28mm。
前述と同じようなもののようだ。
Oリングも事例1と同じP-16であろうし、P-16あと8枚あるので、分解出来るならそうしたい。
万力で□対辺28mmをくわえ、本体に木っ端を当ててポンドハンマーで叩くが、まったく動かない。
さすが大古品。
分解あきらめ。
・本体の給油口
(+)頭がかなり固く閉まっていたので、すぐにあきらめてインパクトを使って緩めた。
すぐにあきらめることが肝心。
ごちゃごちゃやっていると、頭をなめてしまう。
こーゆーところには、
ショックドライバ,アタックドライバ,インパクトドライバなどの名で売っている、柄の尻をハンマーで叩くと緩まるやつでもよろしい。
□6.35mmのものが2~3kと安く売っている。
ドアクローザ本体をドアから外すときにも使えるよ。
玄関などに多い取付が木ねじでない場合には、雨にもあたるし、たいてい固着しているからね。
□12.7mmのは高いゼ。
・廃油排出→内部洗浄

給油口開いて廃油を出す。
このとき本体側方にある減衰力ナブリネジNo.1,No.2は緩めておいたほうがよい。(抜き取らないように)

えぐいのが出てくる。
常備しているこの廃油受けは、
市販のオイルパックンなどのふわふわをお菓子の缶に入れものである。
廃油が確認しやすいよう、また本体を上に置いたとき廃油受けにたまった汚れが逆流等せんよう、ふわふわの上に新聞紙入れてある。
(パーツクリーナーや廃油受けについては前掲事例1参照)
灯油で洗浄。
※洗浄中に出力軸を動かさないこと。

最後に黒いのが出てくる。
しつこいので、
給油口からあまりリキのないパークリをぶしゅーと拭き入れ、
振動で廃油をナニするために本体をプラハンマーでコツコトどやし、
しばし放置し、
灯油入れて抜く。
3回くらいやった
ら
ようやくキレイになった。

・無分解修理の際のケミカル用品の名
こっからが無分解保守のナニですよ。
(注入時の写真を取り忘れた)
クルマのエンジンオイル漏れ止め剤つーのが売っている。
ゴムのガスケットだのOリングだのは、古くなると硬化し、漏れ止め能がいけなくなる。
そこで、ゴムにしみこんで膨潤(ぼうじゅん/やわく膨らます)させ、漏れ止め能を回復させるのがオイル漏れ止め剤である。
(PITWORKのNC81オイルシーリング剤は、熱・窒素・UVなどで重合/架橋する仕組みのようだ。ドアクローザは、熱ないし、窒素ないし、UVもないので止めておこう)
ざっとみると、
クレのオイルシステムストップオイルリークが\1k程度で安い。
150ml入り。
ヱンジンオイル3Lに半量の75ml、6Lに全量150ml使う。
つーことはだいたい2.5~5%となる。

(せっかく買ったのでキカイの変速歯車箱にも入れたときの写真)
わこちゃんの高い漏れ止め剤でもいいけど、あれはたしか油をねばーとさせる成分も入っているから、作動油にはどーかなぁ。
わこちゃん入れるならミッション用のほうがいいようにおもふ。
まあ、手持ちのなにかがあるなら、それ流用でいいんじゃない。
この保守には少ししか使わないので、残りをクルマに使えば両方よい。
・給油
今回のドアクローザの全油量75ml。
しかし、ゴムを膨潤さすということは、ゴムに喰われる容積の漏れ止め剤が必要なわけだから、容量%だけではナニではないか?
Oリングなどを使っている部分,使っていると推定される部分は、
出力軸上下2箇所(Oリング P-16*2)+減衰力ナブリネジNo.1,No.2の2箇所(形状不明)+給油口1箇所(穴あき円盤形状)=都合5箇所。
そこで、オイルシステムストップオイルリーク漏れ止め剤 10ml、スーパーハイランド32 65ml使い、合計75ml。
漏れ止め剤濃度13%ということになるな。
給油口からポリスポイトで、始めに漏れ止め剤、後から作動油注入。
オーバーフローで止め。
追記2025_03_14
・漏れ止め剤の効果測定結果
プリンの入れ物に、
作動油 4ml
漏れ止め剤 0.1ml 2.5%
を入れ、
事例1で外した、硬化したOリングを浸漬し、室内に置く。
濃度も2.5%と最低であるし、
漏れ止め剤の絶対量も1本のOリングP-16≒容積0.3mlに対しても少ないとおもわれるから、
これで効けば常温で運転するドアクローザにも効くであろう。
測定は
膨潤の程度を正確に測るのはタイヘンだし、
線径方向に指でつぶしてもよくわからない。
そこで、Oの字の外側から指でつまんで概楕円状につぶしてみて、
反発の程度を新品Oリング,硬化したもう1本のOリングと比較した。
・7d後 よくわからない。
硬化したもう1本のOリングとあまり変らないような気がする。
14d後 おおっ。
固さが、新品<膨潤Oリング<硬化したもう1本のOリング
となった。
17d後 すげえ。
固さは新品≒膨潤Oリング<<硬化したもう1本のOリング
であり、見分けがつかない。
つまりおおよそ半月で効いてくる。
よくキクなあ。
Oリングの硬化の程度にもよるが、
漏れ止め剤の濃度と絶対量を上げた事例2の方法は、相当に有効であろう。
・「ドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式」
やってはみてはいないんだけども。
ヤケクソと、
作動油をいちいち買うのがめんどくさい、
つーかフツウはこうだとおもうけど、
作動油に他の用途がない人は、全量漏れ止め剤つー手もあるなあ。
作動油などに漏れ止め剤を混ぜないで、
漏れ止め剤だけで全量としてしまうのだ。
その場合には、
漏れ止め剤1本\1k+灯油+パークリが修理材料費のすべてとなるわけで、なかなかいいんじゃないか。
しかも、漏れ止め剤はクレのオイルシステムストップオイルリークの場合150ml入りで、当該ドアクローザには75ml使うから、1本の漏れ止め剤で2台修理できる。
クレのオイルシステムストップオイルリークの粘度はISO VGで46位の感じだ。
減衰力が少し上がるが、これくらいなら減衰力ナブリネジNo.1,No.2の調整でどうにでもなろう。
【0051】
本実施形態に係るドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式によれば、漏れ止め剤は作動油よりも粘度が高いことが多いから、漏れ止め剤がゴム製Oリングを油漏れを阻止するに足る程度に膨潤させるまでの間に、ゴム製Oリングをすり抜けて漏れ落ちる油の量が、その粘度によって少なくなるという優れた効果を奏する。
【0052】
また、漏れ止め剤の濃度が十分に高いから、漏れ止め剤がゴム製Oリングを油漏れを阻止するに足る程度に膨潤させるに掛る期間が短くなるであろう優れた効果を奏する。
【0053】
さらに、作動油等を別途用意する必要が無いので、修理作業が簡易化され、加えて修理コストが低減されるという優れた効果をも奏する。
エアツールとか油圧ジャッキ使ってて作動油使う/持っているヒトは、作動油と漏れ止め剤を混ぜて使いましょう。
このようなヒトは余った作動油,漏れ止め剤も有効に活用できることであろう。
・動作試験
これで前述事例1と同様に組立。
バッタの足部分も清掃給油脂増締調整。
ドアに取付。
あたりまえだがオシ。
作動音も「しゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅちゃ」つー感じで正常化した。
従前は「じゅじゅーぅぃきいーこーぐちゃ」と云うておった。
ゴミが詰まってて、故に漏れが止まってたかなとおもったが、そーゆーこともなかったようである。
この作業は
さくさく行って30分位かな。
のんびりやっても1時間であろう。
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総括
廃油排出と灯油等による内部洗浄はとても大切です。
しっかりやりましょう。
少なくとも、廃油排出→新油入れ(内部洗浄は省略)はしてください。
ただ、廃油排出→パークリ洗浄→パークリ排出→新油入れとしても、この手間は廃油排出→新油入れ(内部洗浄は省略)とさして変りません。
特にパークリ洗浄の場合、そもそもパークリ使用量が少ない上、汚れを残して他は揮発してしまうから、廃油の量も極少なく、その処理も簡単になります。
汚れきったゴミだらけ旧油入ったまま、例えばOリング交換しても、比較的に短期間でまた油漏れするとおもうんだな。
事例2は漏れる前の予防保守であったけども、
ヱンジンオイル漏れ止め剤による無分解修理も可能なはずだ。
試されては如何。
くれぐれも油が抜けきる前に作業しよう。
事例1から、油がある限りは、Oリングの摩耗はなさそうである。
なお、エンジンと比べてドアクローザは運転温度が低いし、油もたいして攪拌されないから、漏れ止め剤の効果が出るのにそれなりの時間がかかるであろう。
ドアクローザーオイル漏れ無分解修理全量漏れ止め剤方式は、効果が出るのが早くなることが期待できよう。
この方式で、機械としてドアクローザ内部の歯車などがどのくらい保つかは全くわからない。
でも、せっかく分解したのに、廃油抜かず、少量のヱンジンオイル補充して組んでしまうヒトもいるので、
内部洗浄し、全量漏れ止め剤とする本例のほうが、それよりは明らかにいいとおもうよ。
漏れ止め剤の効果がどのくらい保つのかは、やってみないとわからないが、
以前電話して聞いたわこちゃんのヒトによると、ウチの漏れ止め剤の場合、一度膨潤したゴムは膨潤したままになるから、漏れ止め剤を追加で入れる必要は無いといっていました。
修理保守したら20年は使うし、20年後以降20年おきに作動油だけ入れ替えればいいことになるから、
無限に保つかも!
まっ、漏れる前の予防保守がいいけどね。
20年に一回かなあ。
貴君の健闘を祈る。
編集後記
物事をていねいに説明するのはタイヘンだ。
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作業時間の数倍かかっている。