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観閲始まる〜海上保安制度創設70周年記念観閲式

2018-06-13 | お出かけ

 

平成30年海保観閲式にわたしが乗り込んだ巡視船「いず」は
「プップ〜〜〜」という出航合図とともに横浜の
第3管区海上保安本部の岸壁から出航いたしました。

出航時間は1200。
海保でもこれを「ヒトフタマルマル」というのかどうかは知りません。

出航するとすぐ、横浜のベイブリッジ下を通過することになります。
この頃には舫は皆大きなドラムに巻き取られています。

甲板で作業している乗員の中には一人若い女性保安官がいて、
年配の乗員から作業後何か指導を受けているように見えました。

この灯台、ちゃんと名前がついています。

横浜外防波堤南燈台。

人がいますが、この防波堤は陸とは繋がっていないので、
燈台の管理者で、保守点検を行なっているものと思われます。

「いず」、ベイブリッジ下を通過中。
巡視船はわたしがここから出航した時に乗った「ひゅうが」ほど大きくないので、
通過の時にもさほど「ギリギリ感」はありません。

ところで海保の船にはこんなところ(船橋ど真ん中)に探照灯があるんですね。

ベイブリッジの下には通路があることを初めて知りました。
この通路をスカイプロムナードといい、写真右側の橋の下にある
スカイラウンジまでここを通っていくことができた時期があったのです。

横浜スカイウォーク

あった、というのは営業不振で2010年にはラウンジとともに
プロムナードの通行も廃止してしまったからだそうで・・。

残念、一度行ってみたかった、と思ったのですが、どうやら
来年あたり復活するという噂もあるそうです。

船内放送では、船が通過する際に現れる施設や構造物について、
観光案内のように詳しくアナウンスがされます。

向こうの近未来的?な建築は「横浜シンボルタワー」。
階下にある本牧船舶通航信号所より情報や信号を送り、
横浜港に出入りする船舶の交通整理をしています。

タワーは展望室や展望ラウンジがあるようです。
こちらから見るとドーナツの形のような部分、実は半分しかありません。

横浜港に入港する船は皆このブリッジ下を通過することになります。
海中に立てた標識灯?

もしかしたら海面が赤のゾーンに来ていたら大型船は
ブリッジをくぐれないとかそういう目印?

しばらく外にいましたが、わたしは行動海面に到達するまでの間
体を休めておこうと、先ほどチェックした休憩室にやって来ました。

実はこの日の気温は非常に蒸し暑く、出航するまでは服の中で
汗がぽたっと落ちるのを感じるくらい不快な湿度だったのに、
出航したらいきなりデッキは強い風に吹かれるという状態、
昨日から色々あってすっかり疲労困憊していたわたしは、
船内の、クーラーの効いた空間に座って仮眠をとることにしたのです。

モニターがあり、そこでは海保の活動を紹介するビデオと、
海保学校入学式における安倍首相の祝辞が繰り返し放映されていました。

同じ会議室の一隅では、海上保安庁へのリクルート説明が始まりました。

部屋に入ってブースを覗くと、案内の保安官は喜んで?

「ぜひ知り合いの方に勧めてください」

とパンフやボールペンをくれました。
そのパンフレットによると、自衛隊の防大にあたる教育をし、
幹部職員を養成するのが広島県呉にある「海上保安大学校」。

4年間の教育の後、江田島の幹部学校にあたるのが
六ヶ月の専攻科と三ヶ月の研修科です。

これに対し、専門技術を持つ専門職を養成するのが舞鶴の海上保安学校。
保安大学は卒業したら三尉にあたる三等海上保安正からキャリアスタートし、
保安学校は一等海士にあたる三等海上保安士から始まります。

二等海上保安士が海士長、一等保安士が海曹という具合で、
海自と違い、幹部より下の階級分けが少ないみたいですね。

ちなみにこの時同時に配られたお知らせによると、8月末、
横浜港に練習船「こじま」が保安官志望の高校生などを対象に
海保大学の説明会と練習船内の見学を行う予定だそうです。

気がつけば、近くをPC01「まつなみ」が航行していました。

巡視船にしては上にたくさん積んでいる印象だなあと思ったら、
やはり貴賓室を備え迎賓艇としての機能を持ち、要人輸送用だとのこと。

パンフレットのどこを見ても「まつなみ」が参加すると書かれていません。
もしかしたら誰か偉い人をこっそりどこか(やしま?)に運んだ後だったとか。

ちなみにこの船、風の抵抗を多く受けるデザインなので操船は難しいそうです。

「まつなみ」が見えるころ、「いず」の後方を
一羽のカモメが追いかけるように飛んでいました。

「いず」の後部にピタリと付いて、一定の速度で飛んでいます。
あまりに真剣な様子なので、つい写真をいっぱい撮りました。

休憩室で柱にもたれて仮眠をとり、さて、そろそろ、と
下甲板後部デッキから観閲式等を見学することにしました。

折しも晴海から1時に出航した「やしま」「そうや」「だいせん」が、
こちらの航跡につこうとしているところでした。

4隻が単縦陣で観閲を行います。
観閲船は「やしま」。
ということは「いず」が先導船ということですか。

チケットをなくさなければあの後ろの「だいせん」に乗ってたんだなあ・・。
なんだか不思議な気分です。

この写真でよくわかりますが、海保の船は舷梯を全部片づけず、
折りたたむだけで舷側にぶら下げるようにしたまま航行するんですね。

三番船の「そうや」は名前からもわかるようにあの「宗谷」の後継船で、
「だいせん」「やしま」との形の違いが明白ですが、これは
海保の所有する巡視船の中では40歳と最も古い船だからです。

あの「宗谷」についで古く、海上保安庁向けに建造されたものとしては
初めてヘリを運用能力を有する巡視船でした。

また「宗谷」の後継ということで、巡視船の中では唯一、
砕氷船としての能力を備えていると言うことです。

「やしま」の観閲台をアップにしてみました。
胸に花飾りをつけた主賓とその横の海保長官まではっきり見えます。

この日は皇族のどなたかだと聞いた記憶がありますが、
この写真からではわかりませんね。

甲板上には「いず」と同じように観覧用のパイプ椅子が並んでいますが、
はっきり言ってこの椅子に座って写真を撮るのは不可能です。

ところで、カモメ君の追跡はまだ続いていました。
このように別の飛翔体と一緒に写るような高さに上がってみたり・・・・・・、

そうかと思えばガダルカナルで対空砲火の中を飛ぶ一式陸攻のように
海面ギリギリを這うように飛んでみたり。

真正面からのカモメの顔、ちょっと面白いのでアップ。
このカモメ君、なぜこんな一生懸命ついて来てたんだろうなあ・・。

とかなんとかカモメで時間を潰していたら、観閲が始まりました。
受閲船隊、第一小隊の1番船は、先ほど横浜港で一足先に出航した
巡視船「あきつしま」

広い後甲板を見てもわかるように、ヘリを2機搭載することができます。

2番船、「えりも」型巡視船 PL08「とさ」
1000トン型巡視船で、もちろん高知からの参加です。

3番船、「くにがみ」型巡視船、PL13「もとぶ」
「とさ」と同じ1000トン型巡視船ですが、フェンネルの数が一つ。

舷側には正装の保安官が観閲官に対し敬礼をしています。
で、この「海保式敬礼」、どことなく海自式とは違うように感じました。

どこがと言われても口では言えないのですが。
海自(出身)の方、どう思われます?

4番船、「くにがみ」型巡視船 PL84「ざんぱ」

最初に見たとき「ざんぱ」って一体どこの地名?と思ったら、
沖縄県読谷村(よみたんそん)の残波岬なんだそうです。

この時、右側の「観閲船隊」に対し「受閲船隊」対面ですれ違うような陣形です。

第一小隊の最後に、ハデなのキター。
その少し前に体験航海で乗り組んだ「まきなみ」から東京湾で見た、
HL01 測量船「昭洋」です。

「昭洋」は本庁所属なので「東京」と書かれています。

なんだか盛り沢山に色々搭載していると思ったら、なんと
測量艇と小艇計4隻もダビッドに吊っているんですね。

赤いのが機動測量艇(昭洋1号艇)と特殊搭載艇「マンボウII」(昭洋2号艇)で、
このダビッドはミランダ式といいます。

「マンボウII」は活動中の海底火山近傍など、危険な海域では
遠隔操縦での無人運用も可能です。

同船は技術的に革新的な仕様を多く取り入れており、竣工時、

シップ・オブ・ザ・イヤー’98」

を受賞したそうです。

こんなのどうせ自衛艦はもらえないんだろ〜?
と思ってページを開いて見たら、なんと2009年に「しらせ」が受賞してました。

 

ところで、どうも海保の船の命名基準というのはよくわかりません。

特にわからないのが、ひらがな船名と漢字名が混在していることです。

測量船のHLクラスは「拓洋」「明洋」「天洋」など「洋」シリーズですが、
HSクラスの「はましお型」はまた平仮名。

「はましお」「いそしお」「うずしお」「おきしお」「いせしお」
「はやしお」のあとはいきなり海峡の名前になって「くるしま」

なんでやねん。
船名に厳格な基準を設けていないからこうなるんでしょうか。

 

さて、第一小隊では比較的大型の巡視船がお目見えしましたが、
第二小隊は180トンクラスの巡視船が登場します。

 

続く。

 



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5 Comments

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いろいろビックリ (Unknown)
2018-06-13 07:27:23
「いず」の艦橋上にある探照灯のように見えるものは赤外線暗視装置です。機関砲の照準装置(護衛艦で言う射撃指揮装置)を兼ねています。「あきつしま」の後部からのお写真では後部マストに同じものが付いていますが、これは後部の40ミリ機関砲を管制します。

舷悌を取り込まないまま走っているお写真にはビックリです。価値観の問題ですが、自衛隊では定位置以外の舷外にモノを張り出したまま出港することはあり得ません。だからどうということはないのですが、自衛隊の価値観では、出港時に定位置に取り込まないということは「サボっている」と考えられます。

ベイブリッジ下の水路に立っている柱状の物体は航路標識です。クルマ(道路)で言う中央線に相当します。赤いところが見えているので、かなり潮は引いていますが、潮の状況で出入港に注意という信号はその上のお写真のシンボルタワーの役割です。

海上保安庁の広報ビデオはすごいですね。不審者を追い詰める場面だと思いますが、不審者、海保共にかなりの高速で当てているはずですが、海保も不審者(恐らく海上保安官でしょうね)もきちんと銃を構えています。不審者は自動小銃なので、バリバリっとやられたら、右の船のけん銃を構えている保安官は間違いなく倒されます。こんな状況でも、法執行機関なので、先に発砲は出来ないんでしょうね。これは大変です。訓練とは言え、頭が下がります。

迎賓艇は腰高なので、最上層を止めにしたら、ちょうどカッコいいのではないかと思います。
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探照灯 (お節介船屋)
2018-06-13 19:49:18
Unknownさんには悪いのですがエリス中尉の記述のとおり探照灯ではないでしょうか?
Wikiから貼り付けましたが20㎜多銃身機銃に連動させるRFS(Remoto Firing System)はWikiのとおりであり、6月10日にエリス中尉の投稿された写真に「さど」の機銃がありますがリモート機構がありませんので当機銃にはRFSは必要ないものと思います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/RFS
「いず」は災害対応型巡視船であり警備用巡視船ほど射撃は重要視されていないものと思われます。

サーチライトの下部と支持部に箱型の機器が付いていますが、遠隔操作で指向するようにするためと思います。
湘南工作所が得意とする舶用探照灯と思いますがホームページにも写真がありませんので正確に確認が出来ませんが
サンシン製のサーチライトを添付しておきます。
http://www.sanshin-electric.co.jp/data/sec01.pdf#search=%27%E3%82%AD%E3%82%BB%E3%83%8E%E3%83%B3%E7%81%AF%E5%BC%8F%E6%8E%A2%E7%85%A7%E7%81%AF%27
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PC01「まつなみ」 (お節介船屋)
2018-06-13 20:04:10
4代目の御召艇で、昭和天皇が海生物の御研究のため初代は「葉山丸」で3代の先代「まつなみ」まで使用されていましたが本船は平成7年竣工のためご使用されませんでした。
大型の上構内に定員30名の会議室、操舵室後ろ上方に控室付の貴賓室があり、海外からの来賓、他省庁の職員、マスコミが東京湾視察に使用されているそうです。
風圧面積が大きいため横風を受けると操船が難しいとの事です。
総トン数204トン、船質軽合金、全長38.0m(公称船型35メートル型、速力28.3kt
参照海人社「世界の艦船」No881
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「えりも」型巡視船 PL08「とさ」 (お節介船屋)
2018-06-14 10:58:50
ネームシップ「えりも」(元おじか)は昨年解役され、再整備後マレーシアに供与されマレーシア海上法執行庁巡視船「バカン」となりました。
「えりも」型7隻は救難業務を重視したタイプで「おき」をタイプシップとして建造されましたが、この「おき」もマレーシアへ供与されました。
並列煙突の間は潜水機材庫で潜水士の装備とROVが格納され、潜水支援艇も搭載しています。
「とさ」は最終7番船 平成12年竣工
総トン数1,269トン、全長91.5m、速力20kt、兵装35mm単装機銃、20mm多銃身機銃各1基、最大搭載人員34名

「くにがみ」型巡視船 PL84「ざんぱ」
「くにがみ」が「くにさき」と船名変更しましたので「くにさき」型20隻の6番船、建造継続中。
尖閣警備専従部隊船として10隻を整備、船価が下がったのでその後も改正しつつ建造。
尖閣専従部隊は複数クルー制で6隻に8クルーで稼働率を上げています。「ざんば」を含め11隻が石垣所属。
「ざんば」は6番船(平成27年竣工)ですが、番号がこの型は2度大きく飛んでいますが、また番号の続きが出来ない事象となっており飛ぶでしょう。
総トン数1,700トン、全長96m、速力23kt以上(出力未発表)、兵装20mm多銃身機銃1基、又は30mm機銃1基、ヘリコプター支援機能、搭載人員発表なし。
参照海人社「世界の艦船」No881
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「海保式敬礼」 (お節介船屋)
2018-06-14 14:44:26
写真を見せて頂き授閲船艇の人員配置が変わっているのは舷側ではなく上部構造物近くに立っている事と人数が少ないため船首、船尾部分に配員がないこと、船橋横ないし上に指揮官等がいない船艇が多く、どうやって敬礼、直れを号令しているのか分からない事でしょう。ラッパは吹かないでしょうし、マイクですか?

小型舟艇は動揺が大きいためで左手を後ろに回しているのは手摺等構造物を掴んで、態勢を維持している事で動揺による倒れ、転落を防ぐためのようです。
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