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「絆」と「日本」〜平成30年 自衛隊音楽まつり

2018-11-28 | 自衛隊

音楽まつりについてここでお話しするのは楽しいのですが、
楽しすぎて案の定なかなか先に進まないのが困りものです。

三日目にしてまだ第1章も終わっていないわけですが、
この後最終章を入れて全部で5章あるというのに・・・・。

まあ、これが当ブログの避けられない定めと諦めてお付き合いください。

陸自と第302保安警務中隊の演奏が終わったあと、再び
海兵隊と陸軍、つまり在日米軍合同のトロンボーンセクションが出てきて
フランス国家の冒頭部分をファンファーレ風に演奏しました。

お、フランス海軍に忖度したのか?と思ったら続きがありました。

ALL YOU NEED IS LOVE

日本でこのビートルズの曲が最初にリリースされた時、
「愛こそはすべて」というタイトルだったようですが、今では
普通に英語題でこの曲だと皆がわかります。

それだけ人口に膾炙しているということなのですが、実はこの曲、
4/4拍子と3/4拍子を組み合わせた7拍子のメロディという
ポップスには画期的な曲なんですね。

複雑な変拍子のメロディがポップスとして世界を席巻したという
そのこと一つとってみてもすごい。
これを30分で作ったジョンレノンってやっぱ天才だと思います。

それはともかく、最後をハートシェイプで締めくくったこの曲、
わたしは全く知りませんでしたが、東日本大震災の復興ソングとして
日本を代表する30名のミュージシャンがカバーしたと紹介されました。

一応どんなものだったか貼っておきますと

JAPAN UNITED with MUSIC - All You Need Is Love

発起人は坂本龍一大先生だそうですがこのアレンジ・・・(´・ω・`)

ちなみに出演ミュージシャンは

AI、今井美樹、EXILE ATSUSHI、EXILE TAKAHIRO、Crystal Kay、Kj(Dragon Ash)、
小泉今日子、小林武史、桜井和寿(Mr.Children)、
Salyu、JUJU、SUGIZO(LUNA SEA / X JAPAN / Juno Reactor)
Superfly、トータス松本、東京スカパラダイスオーケストラ(GAMO、北原雅彦、NARGO、谷中敦)
ナオト・インティライミ、難波章浩(Hi-STANDARD)、VERBAL(m-flo)、一青 窈、
藤巻亮太 (レミオロメン)、布袋寅泰、BONNIE PINK、miwa、屋敷豪太、
YMO(坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣)
の25組30名

だったそうです。(コメントなし)

続いて東北本面音楽隊、そして西部方面音楽隊が楽器を持たずに現れました。
この東西の両部隊が同じ音楽まつりのステージに上がるのは、
あの東日本大震災、そして5年後の熊本地震の後、初めてということです。

 ピアノのイントロに重ねた、

「被害を受けられた方、そのご家族、関係者の皆様に心から
お見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます」

というナレーションに続いて日米の全陸軍音楽隊が登場し曲が始まりました。

ピアノ伴奏だけで歌い出したのは「明日へ」

「明日へ」という題名の曲はWikipediaに掲載されているだけで
じつに22曲もあるわけですが、これはMISIAの歌です。

在日米軍の音楽隊員も、歌える人は歌っているように見えました。 

明らかに口パクしているらしい人もいることはいましたが、
昨日今日日本に赴任してきたなんて人なら、歌えなくても仕方ないよね。

東北方面音楽隊のカラーガードのお嬢さん方は
にこやかな表情でステージに立つことが任務(たぶん)

会場のスクリーンには、目を覆うばかりの悲惨な災害現場の様子が
災害派遣された陸上自衛隊の隊員と
被災者たちの姿とともに
歌詞を伴って次々と映し出されました。

曲の後半、舞台中央床には「絆」「愛」「勇気」「希望」などの言葉と
自衛官たちの姿が投影されました。

「明日へ 明日へ 明日へと歌おう」

というサビの、実に耳馴染みのいい曲で、一度聴いただけで
メロディを完璧に覚えてしまうくらい平易です。
いわゆる震災復興ソングではないと思いますが、歌詞が
復興支援にこの上なく相応しいのでこの場に選ばれたのでしょう。

後半は楽器を持っている在日米軍は伴奏を行います。
シンプルだけどしみじみとした、いいステージでした。

 

さて、ここからが第2章になります。

バガット・ド・ラン=ビウエ軍楽隊 ( Bagad de Lann-Bihoué )

一度聴いただけではとても覚えられなさそうな名前の
軍楽隊がフランス海軍から来日しました。

何度か音楽まつりに参加していますが、フランス軍楽隊は初めてです。
昔セーラー服について調べたとき、フランス軍の制服も絵に描いたことがありますが、
実際に目にしたのはもちろんこれが最初でした。

この制服とか、フランス海軍のマークとか

を見ると、ああ、やっぱりモードの国だなあと頷く思いがするんですよね。

 

バガット・ド・ラン=ビウエ軍楽隊は、フランスはブルターニュ地方にある、
ラン=ビウエ海軍航空基地所属の
ブルターニュ伝統のバグパイプバンドです。

バグパイプというとスコットランドでしょ?と思われた方、
ノンノン、実はバグパイプはスコットランドのもの、というものではなく、

「ケルト民族のもの」

なんですね。
つまり、ケルト民族が住んでいたところにはバグパイプの伝統が残っており、
ブルターニュもその一つなのです。

ヨーロッパではそのほかにもスペイン北部、ブルガリア、ボヘミア地方、
ポーランド、チェコスロバキアにバグパイプが形を変えて存在します。

ちなみにこのバンド名の「Bagad」とは正確には「ヴァガドゥ」と発音し、

バグパイプ

ボンバール(円錐形のダブルリード笛)

ドラム(スネア・ドラムを含む)

から構成される楽団、を意味します。
つまりこのバンド名は

「ラン=ビウエのバグパイプバンド」

という意味で、ヨーロッパで最も有名なバガドウの1つなのです。

同軍楽隊は人手不足や財政難などで実質二度解散の憂き目にあっており、
それを克服するために海軍所属でありながらプロのバンドとなって
アルバムを出したり、他のミュージシャンのレコーディングに参加し、
隊員は3年ごとに更新する契約制となって存続しているのだそうです。

隊員は軍人というより軍属の扱いなのかもしれません。

一番右にいる下士官は音楽隊長なのですが、おそらく
この人は本ちゃんのフランス海軍軍人で、
バガドウの監督というか、顔として据えられているんだと思います。

たぶん楽器は何もできないと思います。(できたらごめん)

面白かったのがこの手前の指揮者で、手はあまり動かさず、
左足でパタンパタンとリズムを刻んで指揮をしていました。

曲の終わりには足を少し高く上げる、とか独特の決まりがあるようです。

会場では「ブルターニュのオーボエ」と紹介されていましたが、
この二人が演奏しているのが「ボンバール」(bombarde)です。

Quiberon: Bombarde Cornemuse musique Bretagne 

プログラムには「Azerty」という曲名しか書かれていなかったのですが、
二曲めにはボンバールをフィーチャーした曲を演奏しました。

この曲はピアノ伴奏を東京音楽隊のピアニストがつとめ、何より旋律が
日本の曲っぽかったのですが、プログラムに記載がありませんでした。

どなたか2曲めの題名ご存知の方おられませんか。

わたしはこの曲、ラン=ビウエが日本の観客サービスとして急遽
即席アレンジして持ってきたのではないかと思っています。

なぜかというと、ピアノのアレンジがところどころものすごく変だったんです(涙)
太田海曹は絶対これ変、と思いながら弾いていたとわたしは思います。
しかしほとんどぶっつけ本番だったのと、英語が通じないので、
訂正できなかったのではないかとまで想像しているんですが、どうでしょう。

 

演奏中は何もせずに立っていた音楽隊長は、その名も

パスカル・オリヴィエ上級上等兵曹(CPO)

おお、フランス人!というお名前(当たり前だ)。

フランス海軍の敬礼を生で見たのもこれが初めてです。
なるほど、手のひらは完璧に外に向けるわけね。

 

さて、続いての外国招待バンドはシンガポール軍軍楽隊

第2章は「海の挑戦」ということで、最初にフランス海軍所属の
ラン=ビウエが登場しましたが、シンガポール軍楽隊は
Armed  Forces、つまり陸海空統合の音楽隊だそうです。

しかし、シンガポールは海に囲まれた日本と同じ島国なので、
この章に登場ということになりました。


詰襟にエポーレット(房付きの検証)、肋骨服と
正統派軍楽隊スタイルといった感じの制服のシンガポール軍楽隊。

登場するやいなや、絢爛豪華な色合いの衣装を身につけた
ダンサーが走り寄ってきて絡みます。

なるほど、この路線か・・・・。

しかもダンサーは一人ではなく、男性ダンサーも投入してきました。
とにかく派手。きらびやか。

シンガポールはあらゆる民族の複合国家ではありますが、中華系が多数派なので、
やはりこういった色彩はタイガーバームガーデン的なセンスですね。

ダンスも派手。飛んだり跳ねたり回転したりバク転したり。


ところで今回検索していて、防衛省がこの音楽まつりに備えて、
シンガポール軍楽隊の宿舎を
一般競争入札していたという公告が見つかりました。
さすが防衛省、そんなことも入札で決めていたんですね。

彼らは結局どこに泊まっていたのでしょうか。

シンガポールで有名なヒット曲「Love at first sight」に始まり、
演奏曲は8曲からなるメドレーです。

中には、建国記念として作曲された「五星が昇る」という曲もありました。

Five Stars Arising

その間ダンサーはスカーフを振ったりリボンを振ったり、
あらゆる振りものを投入してくるので、軍楽隊のフォーメーションより
ついそちらに目が奪われてしまいます。

このジャンプ!
軍楽隊とは別にプロのダンサーを雇ったようですね。

リボンに続いてはついに孔雀の羽の扇子まで登場。
やっぱりこの辺は中華圏ですな。

 

アップテンポの一連の曲が終わると、雰囲気が一気にスローになり。

オーボエ奏者の歌う「涙そうそう」が日本の観客を喜ばせます。
音楽まつりで外国軍楽隊はしばしば日本語の歌をサービスで歌ってくれますが、
特に東南アジアの人たちは日本語の発音が皆うまいですね。

「会いたくて 会いたくて」

のところからは後ろのメンバーがコーラス。


こんな時にもカップルで踊りまくっていたダンサー(笑)

相手をを抱え上げてそのままボディスラムへと!

ということはありません。

 

わたしたちへのサービスとして日本の曲はもう一つありました。
「涙そうそう」からなんと!いきなり

「進撃の巨人より 紅蓮の弓矢」

が始まったのです。
そういえばイントロの時など「あれ?これって・・?」
とわかる程度に「進撃の巨人」のフレーズが入り込んでいて、
なんとなくそんな予感はあったのですが。

そこで張り切って出てきたのがドラムメジャー。
このドラムメジャーは、ダンサーがいなかったらさぞ
目を引いただろうと思うくらいド派手にバトンを回しまくっていましたが、
どうもメジャーバトンを振らせたら俺の右に出る者ナシ!
みたいな名物メジャーらしく、他の音楽隊が決してやらない、

バトンを高く投げ上げて受け止める(しかもなんども)

という技を披露して会場を沸かせました。


冒頭写真は彼がどのくらい投げ上げていたかがわかる瞬間ですが、
これを見るとほとんど二階席(彼から見ると三階)まで投げ上げています。

このキャラの立ったドラムメジャーの名前は

ジャッシュ・チュア・ケン・ウィーア1級上士

一等上士はアメリカ軍でいうとPO1、一等兵曹に相当します。

指揮者は、

イグナティウス・ワン・ケヴィン上尉

上尉は大尉で自衛隊なら一尉。中華圏では尉官は上から

上尉 中尉 少尉

となっています。

ウィーア1級上士のバトンとダンサーのひらひらに目を奪われていると、
軍楽隊がまず人文字で「SG」と描きました。

シンガポールのことかな、と思って見ていたら、あれよあれよと
人文字は
「日本」に・・・・・。
こういうのって普通に嬉しいものですね。

招待バンドが舞台で自分の国の国旗を出したりするときには、必ず対で
日本の国旗も揚げてくれるのが礼儀というか、友好を深めるために
ほとんどの国がそうしてくれるのですが、そういえば過去唯一、
自国の巨大な旗だけををステージで広げていった国がありましたわ。

今の時期あえてどことは言いませんけど。


とにかくありがとう、シンガポール軍楽隊のみなさん。

 

 

続く。

 



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