ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

州立公園の鵞鳥艦隊

2012-07-20 | アメリカ

ボストンに来ると、必ず訪ねる場所があります。
住居にしている地区から車で10分ほど走ったところにあるナショナル・パークです。
ホプキントンというこの公園については、二年前の夏にもウォーキングをする場所として紹介しましたが、
今日は、ウォーキングのコースの写真をたんたんと貼りながら、ここをご紹介します。



Dogwood drive と名前のついた小道を走っていくと、いつも車を停めるスペースがあります。
ここに停めておくと一周して帰って来たときも日影のままで、めったに他の車も停まっていません。
というか、朝9時にはあまり人影もなく、ときには誰にも会わないこともあります。



湖を左手に見ながら歩いていきます。
広大な公園にはこのようなピクニックエリアがあり、必ずバーベキューコンロが近くにあります。
指定場所以外の遊泳は禁止です。



浮きで囲まれた部分だけが泳いでもいい場所。
このビーチは犬を連れて立ち寄ることもできないことになっています。
砂に筋目が付いていますが、砂ならしのためのトラックが毎朝やってきています。

この見張り台に荷物を置いて、毎朝泳いでいるおじさんがいます。
「ミスター・ブラウン」と勝手に呼んでいます。
ミスター・ブラウンは、どうやら医師の奨めで膝に負担のかからない水泳を日課にしている模様。
今日は「俺は決められた場所だけを泳ぐ男じゃない!」
とばかりに、
浮き輪の柵の外を泳ぎまくっていましたが、危なくないのかなあ。
というか、気持ち悪くないのかなあ。

この湖、結構いろんな生物がいるみたいなんですよね。

 こんなのとか。

先日、珍しくこの時間にミスター・ブラウン以外に人影あり。
女性がデッキチェアで本を読んでいたのですが、いつも平泳ぎのミスターブラウン、
なぜかこのときはずっとクロールで頑張っていました。
ギャラリーがいると、なんかそういう風になっちゃう人なんですね。

ビーチを左に観ながら通り過ぎると、森を切り開いた公園内の道に入っていきます。



この日はこのあと雨が降ってきました。



確かこの日は人に一人も会わなかったと記憶します。
前方を大きな犬が横切った、と思ったら、鹿だったので驚きました。

  

一応夜間は車が入れないようにゲートを閉め、パトロールの車も回りますが、
木立に潜んで一人で歩いている人間を襲うつもりなら、いくらでもできそうです。
道から外れると、深い森になっていますが、そこは「トレイル」という散策道が通っています。
このあたりは豪雪地帯なので、冬はソリやクロスカントリー?も楽しめる模様。

 こんな感じで、緑のトンネルを抜けて行くようになっています。

 夫婦でウォーキングする人たち。

アメリカ人のデヴ混在率は世界一で、見回せば必ず周りに一人100キロ以上の体重の人が
いる、
というくらいなのですが、こういうところで朝から歩こうというひとに決してデヴはいません。
おそらく、知的レベルも高い層であると思われます。

この杖をついて歩いている老人も常連。

いかにも学者の雰囲気を漂わせており、勝手に「ドクター・ゴールドシュタイン」
と呼んでいますが、プロファイリングによると、ドクター・ゴールドシュタインは、
ハーバード大学の生理学の名誉教授で、かかりつけの医師に勧められて毎日歩いています。



この公園は1870年ごろ開発されたそうで、すでに140年の歴史があります。
このプレートは、公園のパトロンであった人物が亡くなったときに作られたと思われるもの。
アメリカ人は、こういう公園や公共の場所に、故人の名前を刻むために寄付をしたりします。
子供を亡くした親が、我が子が遊んでいた公園に遊具を寄付して、そのかわりそこに
名前を入れてもらうのです。

東海岸を見降ろす高台のベンチに
「2001年9月11日、ワールドトレードセンターで亡くなった誰それを偲んで」
と刻まれているのを見て、思わずはっとしてしまったこともあります。



いたるところに消火栓があります。
アメリカの消火栓はすべてこの形と色。
たまに黄色いものも見ます。
緑の中にアクセントのような赤い色が何とも美しい。

 

この建物は着替えなどをするところで、この向こうは左写真のビーチがあります。
この日は地元の幼稚園が集団で遊びに来ていて、ここにしては大混雑でした。


   

ビーチの反対側はこのようなピクニックテーブルのおかれた地帯があります。
木々の間を潜り抜けると、土手の上に出ます。

 この土手の上を歩くのが大好きです。

写真ではここにいるときの空気の匂い、始終どこから度もなく聞こえてくる鳥の声、
風の渡る湖面の漣、何も伝えることはできません。

わたしはここに身を置いている一瞬一瞬、
からだ全体に満ちてくる絶対的な幸福感を繋ぎとめるように味わいます。
わたしがこの世を去ったあとも、きっと魂はここを訪ねてくるだろうと思うほど、心が安らぎます。

ここにいる一カ月に体とこころに満たされたものを、残りの11カ月でアクアラングの酸素のように
使い果たしたころ、またそれを取り入れるために帰ってくる、そういう感じ。

この「自然を楽しむ場所」が、どんなコマーシャリズムに蹂躙されることもなく、100年以上
守り続けられているというのは、国土の広いアメリカならではですが、
羨ましいことに、このレベルの公園は、郊外であればわりとどこにでもあるんですよね。



いつも犬三匹連れて散歩している、ミスター・陳。
土手から湖にボールを投げ、犬をしょっちゅう泳がせています。
三匹のうち、一匹はいつも嫌がって入ろうとしませんが、みなお利口な犬たちで、
ミスター陳が「ステイ」というと、三匹とも置物のようにいつまでもじっとしています。



こうして見ると、犬って飼い主に似るなあ、と思いませんか。
このミセス・オグラディ(ファーストネームはドリス)は、いつも携帯をいじっています。
犬はその間ヒマなので、草の上をごろごろ転がって遊んでいます。

皆、今年毎日のように見る常連なのですが、
この何年か毎年訪れていて、その年の常連に次の年にもお目にかかるということは
今まで一度もありません。

去年、毎日すれ違って、向こうから挨拶してきたミスター・キムは、何日目かに
「どうしてあなたは私が歩いている同じ所に現われるのか?」と聞いてきた、
はっきりいって自意識過剰のすごくヘンな人でしたが、今年は本人が現われません。
(かなりほっとしました)

平日は前述のようにガラガラですし、常連もすぐにいなくなってしまう。
わたしは「一カ月しかいない」と思って一生懸命毎日楽しみますが、
いつでも来ることができるアメリカ人にとってはありがたみがあまりないのかもしれません。

ところで今日、土手をあるいていると、聴きながら歩いていたサングラス型のイヤフォンから
突然ipodの「軍艦行進曲」が始まりました。

周りの光景とこの曲のミスマッチに、曲を変えようとしてふと湖面を見ると・・・



見よ堂々の艦隊。
軍艦行進曲に乗ってこちらにまっすぐ向かってくるガチョウ聯合艦隊を認む。
一艦隊と二艦隊で、そのまま土手に入港すると、そのまま上陸してきました。

 

鳥好きのエリス中尉が彼らの群れに近付いて、写真を撮りだしたそのとき。
あちらこちらから、鋭い視線と共に、「シュー」「シュー」というガス漏れのような音が聞こえてきました。

 

音源はこの方たち。
なんと、立ち止まってこちらを伺っている外敵をガチョウが威嚇する声だったのですね。
猫も威嚇のときは「シャー」と言いますが、まさに同じです。
鳥類が威嚇する様子を初めて見たので、大喜びで?写真を撮りまくっていたら、



ついには首を振り、荒ぶるカンチョウ、いやガチョウ。
そういや中国語の「殺」って「シャー」って読むんですよね。



しかし、威嚇しているのは、群れの両端を守る「艦長と副長」だけでした。
残りの皆さん(雛含む)は全く危機感なくお食事を継続。
ガチョウにも指揮形態があり、群れを護るつわものがちゃんといるわけですね。
ガチョウですらこうやって仲間を守ろうとするのに(以下略)。



別の日、湖岸でカモメに接敵するガチョウ艦隊発見。



ちゃんと艦長らしきガチョウが「シャー」攻撃していますね。
せっかく広い湖なんだから、一ところで喧嘩してないで、もっと散らばればいいのに・・・。


 掲示板のお報せ。

グレイハウンドが逃げました~。
犬のシルエットの下には
「絶対に追いかけないでね。ただ連絡だけお願いします」
と書いてあります。

今頃彼はすっかり野性の血が覚醒して、森の中で狩りをして食いつないでいるのだろうか。
飼い主が心配するほどこのグレイハウンドは困っていないという気もしますが、どうでしょうか。









最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。