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ザルツ・カンマーグートの老人会〜ザルツブルグ-ウィーン車の旅

2019-08-28 | お出かけ

わたしたちがザルツブルグからウィーンの帰りに立ち寄った
ヴォルフガングゼーの湖岸には、

ザルツ・カンマーグート

というオーストリアでも有名な観光地があります。
今回の移動は車だったので、帰りにここに寄ってみることになりました。

ザルツからザルツカンマーグートまでは、細長いヴォルフガング湖沿いに
ずずいーっと右回りに回り込んで、向こう岸にたどり着きます。

しかし羨ましいのは、都会(ザルツ)から少し車を走らせただけで、
すぐにそこは田舎の風景になり、あふれんばかりの自然の中で

保養地を楽しんだり、冬は日帰りでスキーに行くことができること。

「観光地」「休暇」という言葉の持つ意味が、日本人とは全く違うのです。
日本国内は移動に時間とお金がかかる上、どこにいっても日本人でない観光客で溢れ、
大型連休になると争うように国外に出るのが風物詩となっている我が日本。

素晴らしい自然に恵まれた愛する祖国ですが、海外でこういうのをみると、
世界第3位の経済大国という地位ってそんなにいいもんなんだろうか、
などと根源的な問いが浮かんできてしまうので困ったものです。

さて、ザルツカンマーグートに到着しました。
名物の登山電車に乗ってみたかったのですが、時間がないので諦め、
湖の近くで遅昼を食べることにします。

ちょうど、ウォーターフロントに面した良さそうなカフェがあったので
入ってみたのですが・・・

ランチのピークが過ぎたせいか、従業員は一人だけ。
テーブルは二つだけ埋まっていて、彼らはとりあえずビールを飲んで
待っていますが、なかなかオーダーが来ないようです。

「もしかしたらこの人一人で料理も作ってるんじゃない?」

しかも、メニューを見ると、軽食しかありません。
しばらくオーダーを取りに来る様子もなかったので、さっさと見切って
店を後にし、他のレストランを探すことにしました。

一周車で街を回りましたがわからないし車が停められないので、
この、駐車場だけは超大きな「大型店」に行くことにしました。

店内はテラス席と内部に分かれていて、好きなところに座れ、と言われ
一応中を見てみたら、びっくり。

広い店内の半分が埋まっているのですが、座っているのが老人ばかり。
彼らの前ではヴァイオリンとピアノという「楽団」が生演奏していて、
お年寄りのカップルが何組か音楽に合わせて踊っているではありませんか。

「なに?この老人率の高さ・・・」

しかもこの盛り上がり方は・・・・お昼なのになにごと?

どこでも好きな席に座っていいと言われたのですが、どう見ても
わたしたちは完璧な異邦人でしかも彼らの雰囲気にはなじみません。

とりあえずその老人団体の近くは遠慮することにして、
テラス席に座ることにしました。

観察していると、どうもこの老人たちは一つの団体で、
音楽家も自前のようです。

「何だろうあれ・・・同窓会?」

「老人ホームの慰安旅行じゃない?」

「にしては皆元気すぎるんだよなあ・・・」

「趣味の会じゃない?」

オーストリアの老人の趣味って何だろう。
チェスとか、チロルのダンスとか、ヨーデル愛好会とか?

音楽に合わせて何組かのカップルはフロアに出てダンスをし、
その他のみんなは手拍子を取り、一緒に歌って楽しそうでした。

オーストリアでは結構喫煙者が多く、屋外のテーブルでは皆吸うので
各テーブルに灰皿が置いてあります。

瓶のドリンクは「EIS TEE」=アイスティのドイツ語です。

テーブルに座ると、オーストリアの男性の民族衣装、
レーダーホーゼン(革のズボンの意)を女性用にアレンジした
革のショートパンツの制服を着た女の子が注文を聞きに来ました。

オーストリアでしか食べられないことだし、と、MKは
チキンのシュニッツェルを注文しました。
やっぱりクランベリーのソース付きです。

わたしは、ここが湖の近くであることから、マスを注文しました。
横のヴォルフガング湖で今朝釣れたばかりではないかと思ったのです。
おそらくその想像は当たっていたようで、バターで炒めたマスは
全く匂いがなく、レモンをかけていただくと最高に美味しかったです。 

ちなみに、わたしたちが食べているときに老人たちは一挙に出て行き、
駐車場に停めているバスに全員が乗り込んでいきました。

昼食後は街を散策してみることにしました。

1976年、ヴォルフガングという人が司教になってからちょうど1000年目に
記念としてこの看板が制作されたようです。
おそらく、聖ヴォルフガング以降の大司教の名前でしょう。

年代が飛び飛びになっているのはなぜかわかりません。

ツタのからまる建物のアーチ状の入り口には、

SEERESTAURANT KAISERTERASSE

とあり、ここを歩いていくと湖畔のレストラン「カイザーテラス」があるようです。

「Weißen Rössl」というのは「白い馬」なので、「白馬亭」という感じでしょうか。
白い馬が立ち上がっているモニュメントが見えます。

ちゃんとテーマソングもあるようで、大々的に建物に書かれた歌の歌詞は

「♪ヴォルフガングゼーの白馬亭は幸せ溢れる〜♫」

 

このあと街の名前となった聖ヴォルフガング教会の内部を見学。
内部は撮影禁止となっていました。

教会を出るとそこは湖を望む回廊になっています。

ちゃんと調べていませんが、危険だからここに上ってはいけません、
とドイツ語で絶対書いてあるはず・・・・・・なのに、この窓の左側には、
若い中国人女性がスマホでのイメージフォト撮影に余念がありませんでした。

窓枠に座り、片膝を立てて片足をできるだけ長く伸ばし、
身体をそらして片手を後ろに付き、片手を髪に添えるようにし、
満面の微笑みを浮かべて・・・・・。

彼ら彼女ら中国人が写真を撮るとき、見ていて恥ずかしいくらい
気合を入れるのはフィルム時代の昔からのことですが、デジカメ時代になって、
その傾向は一層過熱気味にあり、ある統計では都市部の女性は、
1日平均三回自撮りをするのだそうです。

日本人にも特に若い女性は自撮り好きの人がいっぱいいますが、
自己愛が強いと見られるのを照れる傾向にある日本人と違い、
中国人はそれに加えて「全く人目を気にしない」傾向にあります。

まあ、ポーズを取るのに夢中になって事故が起こっても、
おそらくヨーロッパでは全て自己責任で片付けられるので無問題。

 

下を覗き込んでみると、湖畔にプールのようなものが見えました。

湖畔の上に設えられたサンデッキには、プールとジャグジーがありました。
後から地図で調べたところ、このデッキは先ほどの白馬亭のもので、
ここに泊まれば、こんな特等席で楽しむ事ができるのがわかりました。

湖を泳いでいる人もいます。
ボートにはちゃんとオーストリアの国旗が。

ザルツブルグからウィーンまで田舎道を走っていると、民家の窓には当たり前のように
インパチェンスのような花が咲き誇っていました。

オーストリアの主婦は窓辺に花を咲かせられなければ一人前ではない、
というような習慣でもあるのかと思ったくらいです。

「Seehotel」(ゼーホテル)は湖畔の宿、といった感じでしょうか。
先ほどのホワイトホース・インはだいたい一泊310ドル、
こちらは随分お手頃な165ドルくらいの宿泊料です。

和風の提灯を釣ったアルプスの小屋のようなレストラン。
お店の名前は「マネキ」ですが、中華料理です。

なぜこんなところで日本の名前をわざわざ名乗る?

街歩きを楽しみ、適当な時間にザルツカンマーグートを出発しました。
車中から見る珍しい地形も楽しみです。

しばらく山の中を走りました。
オーストリアはキロ表示なので助かります。

しばらく行くと、岩山と湖畔という、まるでセガンティーニの絵に出てきそうな
風景が現れました。

「車が停められそうだったら降りてみようか」

道路脇の駐車スペースに車を止めて岸まで行ってみると、ここも
驚くほどの水の透明度です。

岸辺にいた鴨軍団が集まってきました。
人の姿を見ると何かもらえるのではと期待するようです。

目をキラキラさせながらこちらを見上げていましたが、
期待されても彼らにやれるようなものは持っていません。

人間なんかから変なものをもらわずとも、ここには普通に
小魚がいっぱいいるんじゃないのかしら。

ウィーンに行くには途中で高速に入りますが、それまでは
農村地帯を延々と走っていきます。

この牧場では、ドイツとフランスの牛を飼育しているようですね。
もちろん全てグラスフェッド、放牧放飼で育ているはずです。

ウィーンに入る手前で日が沈みだしました。

市内に入り、シェーンブルン宮殿前を通る頃にはすっかり夜です。

さあ、明日は最後のウィーン滞在を楽しむことにしましょう。


続く。





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1 Comments

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まだまだ田舎? (Unknown)
2019-08-28 06:40:41
>「観光地」「休暇」という言葉の持つ意味が、日本人とは全く違うのです。日本国内は移動に時間とお金がかかる上、どこにいっても日本人でない観光客で溢れ、大型連休になると争うように国外に出るのが風物詩となっている我が日本。

日本の場合、帰省や休暇が「大型連休」に集中するからそうなるのだと思います。ヨーロッパの場合、国によって差はありますが、7~8月に二、三週間の長い休みを各人がバラバラと取るので、日本みたいに集中しないのだと思います。

なので、仕事の相手としては、7~8月は問い合わせしてもまず答えは帰って来ません。まぁ、のんびりやってますよ(笑)

ザルツブルグとかウイーンのような全世界から人が来る観光地では、アジア系も見ますが、ヨーロッパの田舎だとアジア系がほとんどいないところはたくさんあります。ジロジロ見られなかったですか。

子供に「ヤパーナ。ヤパーナ」言われたことあります。今時、日本でも「あ、アメリカ人だ」とか言いませんよね。ヨーロッパは全般的には、まだまだ田舎だなと思います。
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