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映画「MORITURI」死に往く闘士の敬礼 (後編)

2022-08-04 | 映画

映画「MORITURI」後半です。

マーロン・ブランドという役者の映画にあまり詳しくない人は、
この作品での彼の演技が、実に独特なのに驚かれるかと思います。
その容姿に似合わない比較的細くて頼りなげな声、ボソボソした喋り方、
大事なことを言う時にも、声を張り上げない台詞回し。

実際、英語圏の人によると、この作品での彼はドイツ人風だそうですが、
わたしはこれがそう見せるための過剰な演技だと思ったくらいです。

この芝居らしくない芝居は、彼が広めた「メソッド演技法」なるもので、

「役柄の内面に注目し、感情を追体験することによって
より自然でリアリスティックな演技・表現を行う」


ことを目的とする、当時画期的な演技方法でした。

この方法は、役作りのために内面を掘り下げようとするあまり、
薬物依存やアルコール中毒で破滅すると言うケースを生んでおり、
その一つの例がヒース・レジャーだったといわれているものです。

そしてブランド本人ですが、この映画の頃彼はほとんど干されていました。
常に周囲と軋轢を起こし、セリフを覚えてこず、共演の女優に手をつける、
と言う問題児だったことが祟って、仕事が激減していたそうです。

父親の借金の穴埋めのために安いギャラで二流作品にも出ていた頃で、
この「モリトゥリ」も、まさにその頃の作品に当たるのですが・・・


とりあえず続きです。

さて、連合国側のスパイ、カイルことクレインが鳴らした汽笛のせいで
駆逐艦に臨検されそうになったドイツ貨物船「インゴ」船長のミュラーは、
積荷ごと船を爆破する決断を下し、総員退船を命じました、



しかし肝心の積荷のゴムが沈められてはたまったものではありません。

カイルが慌てて操舵室に駆け込み、スイッチの鍵を開けているミュラーに
爆破を止めるようにと説得を始めたその時です。

彼らの目の前で駆逐艦が爆発炎上してしまいました。
敵の敵もさるもの、日本海軍の潜水艦が船団を発見し攻撃したのです。



東京でミュラーに任務を命じた提督が乗り込んでいます。
なんか指導のために乗ってやる的な文句を言っていた気がしますが、
日本海軍の潜水艦を舐めていたらいかんよ?

船団が潜水艦の餌食になっている間に、ミュラーは
「インゴ」を霧に突っ込んで逃げることに成功しました。



船橋に上がってくる幹部の一人、航海士ミルカライトを演じているのは
ライナー・ペンカートと言うドイツ人俳優です。

前段の幹部の会食シーンで、若い時、手紙にヒトラーの悪口を書いて
ゲシュタポに捕まった経歴があることをクルーゼにバラされた人物で、
彼はたまたまカイルが煙突の汽笛を鳴らすのを目撃していました。

それからガン見してくるので、カイルもそれに気が付きます。



探りを入れるために彼に航海先を聞き出そうとしますが、
彼は守秘義務を盾に教えようとしません。

彼は敵なのか、それとも?



その後ミルカライトはカイルを自室に呼び出しました。
そこには、すでに何人かが彼を待っていました。



不気味な政治犯の「ドンキー」もいます。

「茶番は終わりだ」

彼は豚の油貯蔵庫での取っ組み合いの後、
カイルが爆破装置を無効にしようとしていたことに気付きました。

今回の汽笛の件が決定打となって、カイルが工作員だと確信したのです。

ミルカライトはというと、ゲシュタポに逮捕されたことが示す通り、
「隠れ反ヒトラー」として、艤装の時から政治犯と組んでいました。

彼らは、敵の敵は味方のセオリーで、カイルを巻き込むつもりです。



カイルは彼らと、爆破物を連合国に渡す前に無効化してから
航路近くの無人島にボートで脱出する作戦を立て始めました。


その時です。
先ほど目の前で米国の船団を攻撃した日本海軍の潜水艦が
「インゴ」に追いつきました。



「インゴ」はまたしても艤装を済ませていました。
今度はどちらからも攻撃されにくい中立国の
スウェーデン船「クリスティーナ」に変えています。



ドイツ海軍の提督が、米船の捕虜を移乗させるついでに、

「スウェーデンの船長と会うのは初めてだ」

などと冗談を言いながら乗り込んできます。

ん?これやばくないか?



「インゴ」は捕虜15名を引き受けることになったわけですが、
ミュラー船長は、その中の一人の女性だけは、
男たちと一緒にできないとして、自分の船室に連れて行かせました。



それからおもむろにウェンデル提督に向かって、
「あなたたちが乗せた監視」(カイル)について嫌味を言うのですが、
提督たちはキョトンとしています。

「そんな人間を乗せた話は聞いてないぞ?」



そこで提督はカイルに次々と質問を浴びせますが、大抵の質問には
「極秘です」か、質問に質問で返すという技でケムに巻こうとします。

が、頭から疑っている提督は、実在しない軍人の名前を話題に出し、
カイルはそれに引っ掛かってしまいました。


ピンチのカイルを救ったのは、なんとミュラー船長でした。

自爆装置を作動させようとした時、それを止めたことをもって
ミュラーはカイルをこちらの味方だと信じていたのです。

「彼がいなかったら今頃ゴムは海の底でした」

そこですかさず、疑われたことは不愉快だから上に報告する、
と逆ギレしたふりして居丈高に反撃するカイル。

ミュラーはベルリンに無電を打って聞けばわかる話だ、と取りなし、
提督たちはとりあえず追求をやめましたが、これはつまり
ベルリンから返事が来れば全てがバレるということですよね。

カイル、ピーンチ。


さて、ミュラーは部屋でアメリカ船の捕虜、ユダヤ人の娘と話していました。

彼女の本名はその民族を表すレヴィですが、ミュラーは
この船ではその名前は隠しておくようにと伝えます。

そして、ボルドーに着いたら彼女の「書類は紛失する予定」だから
そうしたら運が良ければ身を隠すことができるだろう、と言います。

彼はユダヤ人に人種的偏見は持っていないと言いますが、
もしエスターが女性でなかったら、ここまで危険を冒すだろうか、
とここで誰もが思うでしょう。



当事者である彼女もそう思いました。
ミュラーに向かって、あなたは私と寝たいのか、とせせら笑います。

しかし、ロルフ・ミュラーは、真に高潔な人物だったのです。
そのことは、彼がエスターに向かっていう、

Young lady, even this kind of impudence will not stop me 
from treating you simply as another member of the human race.
(お嬢さん、この種の無礼を受けたとしても、だからと言って
私は君を同じ人間としてのみ扱うのを止めない)


という言葉が表しています。

その言葉に動かされた彼女は、レヴィという名前を航海の間だけ、
ゴダードという仮名にすることを了承しました。

ゴダードというと、本名マリオン・レヴィだったハリウッド女優、
ポーレット・ゴダードをアメリカ人なら誰もが思い出すでしょう。


ここで事件発生。

アメリカ人捕虜の手当てに医務室に行ったら、
船医は行方不明で、モルヒネを打ってラリっていたため(実は常習)
医療行為のできるのは、ユダヤ人のエスターしかいなくなりました。

しかもその時、船倉に押し込まれていた他のアメリカ人捕虜が彼女を妬み、
ユダヤ人であることをバラしてしまったので大騒ぎに。

早速クルーゼはミュラーに激しく食ってかかり、
ついでにミュラー船長の古傷である、以前の失策を詰るのでした。

「ナチス党員なら、船長なのに泥酔して船を沈めたりはしません!」



カイルがスパイであることがバレるのも時間の問題となりました。

かくなるうえは一刻も早く、アメリカ人捕虜を説得して
ドイツ人囚人グループとの合同で反乱を起こす準備を始めねばなりませんが、
ドイツ人である彼にアメリカ人捕虜の説得は難しすぎます。

そこで彼は隙を見てエスター・レヴィを物陰に引き込み、
彼女にアメリカ人捕虜の説得を頼むことにしました。



エスターは彼がなぜ連合国側のスパイとしてここにいるのかと尋ねました。



「 I was blackmailed to the strains of Mozart.」
(モーツァルトのついでに恐喝されたのさ)


トレヴァー・ハワード演じるイギリス諜報部員がやってきて、
モーツァルトの交響曲第40番ト短調が流れる中、
いうとおりにしなければゲシュタポに引き渡すと脅迫されたと。

しかしその後がまずかった。

「君はゲシュタポが何をするか知らないだろう」

この一言が彼女のトラウマに火をつけました。



彼女はゲシュタポ17人の見ている前で兄との行為を強要され、
それを断った兄を殺された上、彼らから何日にも亘る辱めを受けていました。

「あなたがモーツァルトを聞いていたとき、私の両親は
ガス室まで行進させられて殺されたのよ。
私がゲシュタポを知らないなんてよく言えるわね!」

だがちょっと待って欲しい。

この映画で私が違和感を感じるのは、そういう体験を持つ女性が、
男ばかりの商船に乗りこんで、医療活動を行なっていただけでなく、
ばっちりナチュラルメイクして、前髪は眉毛の位置で綺麗にカットした
サラサラのロングヘア(ヘアスタイルは60年代風)を結びもせずに靡かせ、
膝をむき出しにした薄いワンピース一枚でウロウロしているという設定です。

もしその種の体験から逃れた女性なら、いくら味方でも、
男性ばかりの船に乗る状況は受け付けないのでは・・・。


まあそれはこの際よろしい。よろしくないけど。

その夜の夕食の時、ドイツのラジオが各種栄誉賞受賞者を報じました。

その中に、ミュラーの息子、カール・ミュラー少尉が、
魚雷艇(トルピードボート)を指揮して英船「カラペス」を撃沈、
その他3ヶ月で5隻撃沈の戦功をあげ叙勲されるというニュースがありました。

喜びに顔を輝かせる父親のロルフ・ミュラー。
船員たちも口々にミュラー船長にお祝いを述べます。

他の区画からも次々に祝意を告げる船員が現れ、
調理長はお祝いのお酒まで持ってきました。



ところが、気を利かせたつもりで他の者が調べたところ、
「カラペス」とは、攻撃すると国際法違反の病院船だったのです。



ページを真っ先にめくったミュラーの顔色が変わりました。



船長室に飾ってあった(夫人の写真はない)息子の軍服姿の写真板を
叩き割った時、ミュラーは既にしたたかに酔っていました。

危ない。これは危ないぞー。



荒れる中年。

クルーゼはチャンスとばかり、ミュラーの指揮続行は不可能だから
この船の艦長に俺はなる!と独断で決めてしまいました。

そして早速被服係に3本だった制服の袖の線に1本追加させるのでした。



一方、エスターはアメリカ人捕虜に計画の協力を頼むため
彼らの閉じ込められている船倉に入ろうとしたところを見つかり、
カイルとクルーゼの前に引っ張ってこられました。

カイルは自分がそれを依頼したことをおくびにも出さず、平然と彼女を殴り、
そんなに船倉がいいなら連れて行け!と怒鳴りつけました。


無事に船倉に入ったエスターはアメリカ人捕虜に説得を始めました。

まず、工作員で火を起こし、甲板に飛び出して混乱に乗じて武器を奪い、
ドイツ側の「反乱組」(つまり囚人たち)9人と組んで戦うこと。

しかし、船の上の暴動は失敗すれば死刑だ、と誰かが言い出し、
決をとったところ、15人のうち10人が賛成、5人が反対。

しかも、揉めているうち、何人かの男が彼女に好色な興味を示し出しました。
男ばかり閉じ込められていた空間に若い女性が入ってきたことで、
平常なら理性とか自制心とかでそういうことを決してしなさそうな男も、
旅の恥は掻き捨て(ちょっと違う)的欲望をむき出しにしてきたのです。



その時彼女は、まるで表情のない顔をしたまま、協力してくれるなら
ここにいる15人全員で自分を好きにして構わない、と言い放ちました。

ゲシュタポであろうがアメリカ人であろうが、生身の男とは、
そのような状況になれば同じことをする醜い生き物であり、
ミュラー船長のような男は稀有な存在だと彼女は見限っています。

それにしても、彼女のこの「壊れっぷり」はなんなのでしょうか。
それだけ最初の出来事によって感情が麻痺してしまったのか・・・・。


しばらくして、カイルは船倉の隅に倒れているエスターを発見します。




彼女は一瞬張り付いたような笑いを見せますが、
その笑いはすぐに拭い去られ、能面のような表情が残されました。



酔い潰れていたミュラーは、正気になって、自分が船長室に閉じ込められ、
鍵も奪われて監禁状態であるのに気が付きます。



そのころクルーゼは、ベルリンからの返事を受け取り、
今度こそカイルが偽物であることを知りました。



さらに船内にも反乱分子がいて、ミルカライトがその一人だったことも。


銃を奪った囚人と船員の間に銃撃戦が行われますが、
彼らは船員によってすぐに制圧され、甲板に並べられました。



エスターの態度も異常です。

船倉から上がってくるなりクルーゼの首に抱きつき、振り払われて倒れ、
とろんとした目で起き上がったところをクルーゼに撃ち殺されてしまいます。



彼女が最後にクルーゼを同じ方法で懐柔できると思ったのか、
それとも既に精神に異常をきたしていたのかは謎のままです。

本当に彼女は生きたかったのでしょうか。
それとも最初から死のうと思っていたのでしょうか。


すぐにカイルとドンキーの捜索が始まるでしょう。
ドンキーは、カイルを庇うためクルーゼの前に進み出ていくのでした。

いつの間にいい奴になった、ドンキー。



カイルは、船を爆破することを決めました。

船を爆破すれば、アメリカの艦が物資を横取りすることもできず、
彼は任務を達成できなかったとして連合国の敵になります。

しかし、今の時点で船を爆破することはドイツの敵にもなるということです。

いずれにしても、彼が誰のための戦いをしようとしているのか、
誰にもわからないまま、物語は突き進んでいきます。

強いて言えば、もはや彼にとって忠誠を尽くす相手はどこにもなく、
ただ生き残るだけが目的の戦いといえるかもしれません。

この考察と「死に往く闘士の皇帝への敬礼」は、全く相反する意味となり、
わたしは今もこのタイトルの真意がどこにあるのかわからないままです。


クルーゼらと彼の壮絶な追いかけっこが始まりました。

普通なら掴まるのも無理そうな船の外壁を軽々と伝って移動し、
カイルはミッションインポッシブル並みの超人的身体能力を見せます。



そして、閉じ込められているミュラーの部屋に侵入し、
一人呆然と座っている彼に一緒に来いと誘いました。



しかし、ミュラーに私は反逆者ではない、と同行を拒否されます。
彼はどうやら船と運命を共にするつもりです。



カイルはそのまま船橋に駆け込み、爆破スイッチを押しました。
まだ全部不発処理しきれてなかったのが功を奏したのです。


クルーゼは、せっかく念願の船長になったというのに、
わずか数時間で総員退船を命じることになってしまいました。



航海士と調理長がミュラーにも退船を勧めますが、
ミュラーは船に残るといいガンとして動きません。



説得されて船を降りる前のクルーゼのその目には、涙が光っていました。



しかし、舫を伝っている時に爆発が起こり、
彼はロープに捕まったまま船殻で額を打ち、海に落下しました。


海面で転覆したボートに捕まっていたドンキーとその他囚人たちは、
「ミスター・クルーゼ!」と呼んで救いの手を差し出していますが、
他の者がボートを漕ぐので、クルーゼはなかなか近づけません。

力尽きて沈んでいくクルーゼをドンキーはほくそ笑みながら眺めています。


そしていつの間にか空は白んでいました。
なのになぜ船は沈んでいないのでしょうか。

それこそ船と運命を共にするつもりで
船長室で夜を明かしたミュラーは、ふらふらと立ち上がります。

しかも不思議なことに、部屋の外の床にカイルが転がっていました。
カイルってば、どうして脱出しなかったんですか?




船内を見回したミュラーは、船が今まで沈まなかった理由を知りました。



そして筏を作ろうとしていたカイルを呼びました。



沈まなかった理由は、穴に詰まったラードです。
ラードが固まって、とりあえず穴を塞ぎ、沈没を防いでいたのです。



「あとどれくらい浮いているんだ」

「2時間浮いていたけれど、後2時間か10時間か・・・わからない」




「ミスター・ミュラー、私のために無電を打ってくれと言ったら?」

ドイツ軍に助けられるということ、それは彼にとって
反逆者として処罰されることを意味します。



「君はあまり狡猾じゃないね、ミスターカイル。
でも、君の勇気は称賛するよ」

おそらく、彼が「私のために無電を」といったのは嘘でしょう。

当初からミュラーは船と運命を共にするつもりでしたし、
カイルを当局の手に渡すことになるのは明白なので、
こうでも言わなければ彼は決して打電しようとしないだろうからです。

つまり彼は、ロルフ・ミュラーという男の命を助けるつもりです。
それでは、自分は?


この後の二人の会話をできるだけ原語に忠実に書いておきます。



「勇気のあるのは君だよ、ミュラー。
自分の息子が無慈悲な狂信者になるのを目の当たりにしても、
カビ臭い祖国の教義を信じ続けるのは、本当に勇気のいることだ」




「私は君のほうが羨ましい。
それだけ信じられることがあればいいと思う」



「何も信じていないのになぜ船を爆破しようとした?」



「わからん」



彼が筏(らしきもの)に手をかけた時、
あの鳥の鳴き声がしました。



ドンキーの鳥です。

そして、同時にモールス信号が打電されているのが聞こえてきました。

”CQ CQ CQ DE SS INGO
CARGO SHIP OUT OF . . . "



本作の撮影の傑出したところは、ヘリコプターから撮影された
息を呑むほど効果的なロングショットなどにあります。

雰囲気のあるモノクロ映像は例えば機械室などのシーンでも完璧で、
特殊効果も古さを感じさせません。
1960年代に作られた白黒映画であることを考えると、
これは驚くべきことだと思います。

登場人物それぞれのキャラクターがリアルに描かれているので、
誰かを一つの形容詞で表現するのは難しくあります。
それが嫌われ者のクルーゼであっても。

これは、原作が小説であるからで、全ての登場人物について
複数の側面が描かれているせいです。

この映画のテーマは「義務と信念の間の葛藤」だと言えましょう。

カイルは、戦争は無益なものと考え、さらに祖国への忠誠心を持たず、
脅迫されて祖国を裏切りますし、ミュラーは、愛国的なドイツ人ですが、
ナチスそのものに対しては、何の共感も持たず、それゆえ
ユダヤ人のエスターを違法に逃すことをなんとも思っていません。

彼らはその意図において等しく「悪」なのです。


魅力的な両俳優が演じる二人の男たちは、
互いが思うよりも、はるかに多くの共通点を持っており、
このことが二人の間にぞくぞくするような対立を引き起こします。

評論家には、この奇妙なタイトルのせいで評価されませんでしたが、
真面目に?見た人からは、必ず高い賞賛を得る映画です。

ただ、わたし個人的には、「名誉と忠誠の帰属先」という問題を考えたとき、
彼らの祖国がナチス・ドイツであれば懐疑的でも仕方ない、という
戦後の価値観に全体が当たり前のように支配されているのは、ある意味、
あからさまな反ナチ映画より巧妙で悪質だなと思わないでもありません。


さて、ところで、この後クレインはどうなったのでしょう。
一人で筏に乗って「インゴ」から脱出したのでしょうか。


終わり。



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2 Comments

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壊れ行く世界 (Unknown)
2022-08-05 08:14:27
>それにしても、彼女のこの「壊れっぷり」はなんなのでしょうか。それだけ最初の出来事によって感情が麻痺してしまったのか・・・・。

今この時もウクライナでは、こういうことが毎日起こっていると思いますが、戦場となっているロシア・ウクライナ国境のドンバス地域が舞台の、今から百年程前のロシア革命前後の時代の赤軍対白衛軍の戦いを描いた「静かなドン」を読むと、今起こっている虐殺や婦女暴行が普通に出て来ます。

この映画はそれから二十年後の話なので、戦争のような異常な状況では、こういうことは普通に起こっていたのだと思います。

パッパと片付くかと思われていたウクライナ戦争。ロシアは何と言っても石油や天然ガスを持っているので、戦い方はグダグダでも、お金があるので、簡単には片が付きません。

中国にも同じ手に出られると困るので、さすがに大統領ではまずいので、野党トップを台湾に送り込んだアメリカ。世界は火種ばっかりです。
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なぞの日本潜水艦 (ウェップス)
2022-08-05 09:13:48
確かに、浮上した日本潜水艦から船上を行き来するキャストをワンカットでとらえたシーンは見事です。今ならCGやドローンで簡単でしょうが。
不思議なのはこの潜水艦です。中~小型で形は架空のものですが、搭載している22号電探や吸気筒がやたらリアルです。調べてみたら、モックアップにそこら辺にあった接収したアンテナ類をくっつけたものでは、との記述がありました。なお、このセットは翌年の「アメリカ上陸作戦」にソ連艦として流用されたそうです( `ー´)ノ
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