ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

国難と桜〜アメリカの大学を通して見るパンデミック

2020-04-04 | つれづれなるままに

世間が驚天動地の非常事態で大騒ぎになっているのに
というか、だからこそ平常運転を心がけてきた当ブログですが、
この辺で少し新型コロナ肺炎こと武漢肺炎について近況報告しておきます。

まず、住んでいる地域周辺についてですが、学校が閉鎖になってから
近隣にある公園は連日週末並みの賑わいを見せていました。

子供が走り回っているのはもちろん、高校生、大学生などがグループで訪れ、
女子大生が公園の芝生で「箪笥長持ちどの子が欲しい」とか
文字通りの追いかけっこをしているなどという、こんなことでもなければ
見ることもなかったであろう光景が展開していたのです。

桜の名所でもあるその公園に、桜が満開になった日散歩に出たところ、
公園事務所が

「飲食を伴う花見は控えてください」

とアナウンスしているのにもかかわらず、外にテントを張って
家族単位で物を食べているグループがあまりに多いので驚きました。

いわゆる人と人の距離2メートルというルールは一応守られているのですが、
ベンチで並んで風の強い中コンビニ弁当を食べているおばちゃんなどもおり、
飲食禁止のお達しはあまり守られていない模様。

インターネットで見るニュースの混乱がまるで別世界ではないかと思うほど
公園内は何がなんでも花見したいマン&ウーマンで埋め尽くされています。


マスク不足については、我が家では高みの見物で、というのは
こんなことになる前から冬場はマスクを常用する傾向にあったため、
なんなら半年分くらいのPM2.5対応とかいう鳴り物入りのブツを
箱買いしてあったうえ、それを洗濯してリユースしているからです。

ところで、先週のことですが、実家の母が倒れました。
妹から肺炎の症状が出て、人工呼吸器を付けるかどうか聞かれている、
という知らせを受け、とりあえずそれはしないことを打ち合わせ、
新幹線に飛び乗った(飛行機は間引き運行で満席だった)のですが、
コロナの検査は陰性と出たあとも病院側は警戒して、
母とはガラス越しにしか対面できず、一時は家族全員覚悟を決めたほどです。

幸い、経過観察の結果コロナの疑いは晴れ、しかも驚異の回復を見せて
今ではベッドに腰掛けてリハビリを行うまでになりました。
あのとき慌てて人工呼吸器をつけていたらと思うとゾッとします。


さて、今ニューヨークを中心に感染が拡大し大惨事になっているアメリカですが、
東部の大学に留学している息子のその後について書いておきます。

アメリカがまだ今ほど大変ではなかった時期、それはまだ春休みシーズンでしたが、
ほぼ全ての学校が早々と閉鎖を決め、「帰省先から帰ってくるな」と通達を出しました。

息子は無人となった寮に一人で住んでいましたが、
3月11日に学校から大体こんなメールが届きます。

3月16日(月)から少なくとも3月30日まで、
コロナウイルスの新しい疾患である
COVID-19から
コミュニティの健康と安全を守るため、

大学はすべての対面教育を一時停止し、
オンラインおよびその他の代替手段に移行します。

キャンパスは、一部のサービスのためにオープンのままです。
ソーシャルディスタンスを守るため、
学生はこの期間中に学内に戻らないでください。


学校に留まる必要のある学生も、遠隔で指導を受けます。

あと、イベントの停止、学校単位での旅行の禁止などが通達されています。
この時点では大学は5月23日に平常に戻る計画を維持しています。

翌日3月12日、WHOがコロナ疾患をパンデミックと宣言しました。
同時に大学は、学校の寮とギリシャコモンズ(大学の社交クラブ)
からの即時立ち退き要求を行いました。

問題は中国から来た留学生です。
祖国が大変なことになっていて帰国したらもう戻ってこれないばかりか、
インターネット情報が遮断されているので授業も受けられません。

だからといって寮を出て行くところもないわけで、
どうやってここから脱出するかSNSで騒然となる彼らは
まるで「ダンケルク前夜状態だった」(息子談)そうです。

わたしたちは早速スカイプで家族会議を行い、対処を検討しました。
Airbnbで部屋を借り、わたしが渡米して車で移動するという案も出ましたが、
先行きが不明なのでそれは危険すぎるだろうということになり却下。
実行していたら今頃わたしが帰れなくなっているところでした。

息子のルームメイトは、あまり社交的なタイプではない彼が、
学校で唯一?というくらい波長の会うアメリカ人学生なのですが、彼、
ゲイブことゲイブリエルが、サンフランシスコの実家に誘ってくれていたので、
最終的に息子はここに長期滞在させてもらうことを決めました。

彼の父親は有名なシリコンバレーのIT関連企業のオーナーです。
当人たちは一度も話題にしたことはないそうですが、

息子は早くからwikiのその人物だと特定していました。

今回、息子を泊めてもらうお礼を送るために住所を聞いたので
検索してみたら、これがまたとんでもない豪邸でした。

家の前にある長細いのは、プールなんだろうなあ。

ちなみにこの邸宅は人里離れた山中で、しかもプライベートのセキュリティが
常駐しているので、たとえ「暴動が起きても安全」だそうです。

今現在、彼のご両親も外に出ず、自宅で過ごしてしているそうですが、
ゲイブも一人っ子らしいし、これだけ広ければ
息子一人くらい増えてもキャパ的には全く問題はなさそうです。

 

3月14日。

大学の学生部長からメールが来ました。

親愛なる学生諸君、

私たちは、安心を提供し、冷静でいることを奨励するために、
この困難な瞬間にもあなたに手を差し伸べています。
春学期の計画が大幅に変更されましたが、新しい学習・生活環境に適応すると、
今度はその調整が必要となってくるでしょう。

私たちのアドバイスは「手放す」ことは、けっして
却下することと同義ではないことを理解し、

とにかく今は不安を手放す方法を見つけてくださいということです。

それは、物事をあるがままに受け入れるということでもあります。
あなたは、制御できない現実であってもそれを受け入れ、また
この状況でもあなた自身に投資することを決して怠らないでください。

例えば、健康的な活動を楽しみ、それをいつものように続けること。
また、今各自に要求されているソーシャルディスタンスを踏まえたうえで、
友人と安全に社交できる創造的な新しい方法を見つけることも大事です。

今学期を最大限、今後の人生に生かしてください。学ぶために学ぶのです。
これは決して大学のカリキュラムには含まれない大きな教訓となるでしょう。
この世界的な危機を乗り越えることが学ぶべき人生の教訓となるはずです。

変化が避けられないのは事実です。これほど単純な真実はありません。
しかしながら、この事実は、学生一人ひとりに、知的に俊敏で、
多文化的な洗練された感覚を持ち、グローバルな視点を通して行動する
能力を吹き込むという当研究所の目標の背後にある原動力のひとつです。


なんかこういうのを読むと、戦争中のアメリカがどんなふうに
国民を鼓舞していたか、うっすら想像できる気がしますね。

国難という意味では戦争も今回も事態は同じであるわけですが。

 

ところが、この直後、こんなメールが届きました。
学生の一部がこのごに及んで皆で集まっていたのがバレたようです。
メールの送信者のタイトルはMDで、大学の健康担当ディレクターです。

親愛なる学生、

まず、ソーシャルディスタンス(6フィート)を実践してきた皆さんに
感謝したいと思います。
CDCとWHOが報告したように、この慣行は

中国ウイルスの

曲線を劇的に平坦化するのに役立っています。

しかし、最近、学生の多くがレジデンスホールで集まっていたことを
わたしは学生から直接知らされました。
レジデンスホールが今日まで開いていた唯一の理由は、学生が持ち物を梱包し、
家に帰る手配をするのに十分な時間を与えるためであったと繰り返します。
社交するのに集まる場所を提供したものではありません。

• CDCの分析によると、入院するのに十分な病気の人の38%が55歳未満であった。

• 米国でコロナウイルスで入院している人の最大20%は、20~44歳の若年成人。
さらに、ICUに入院されたことが知られている121人の患者のうち、12%が20〜44歳。

• 若者が協力せずにこの病気を止めることはできません。ご協力ください。

3月23日。

2020年春学期の成績採点方法を一時的に変更するという通知。
試験が教室でできないので、論文提出に代えるというような感じです。

 

3月25日。

TOが留学していた大学の学長がコロナにかかったとメールが来ました。

このことは日本でもニュースで報じられたようです。

コミュニティの親愛なるメンバーへ

今日、アデルと私はCOVID-19の検査で陽性反応が出ました。
日曜日に症状が出始め、最初は咳、悪寒、筋肉痛が始まり、月曜日に医師に連絡を取りました。
昨日検査を受け、ちょうど数分前に結果を受け取ったところです。

私たちはできるだけ早く皆さんとこのニュースを共有したいと思いました。

私たち二人ともウイルスにどこで感染したのかわかっていません。
良いニュースは、最近私たちと接触した人数は通常よりもはるかに少ないことです。

私たちは、3月14日に自宅で仕事を始め、社会的隔離勧告に従って、
他の人との接触を完全に制限していました。
今後はプロトコルに沿って、過去14日間に密接に連絡を取った人に連絡を取ります。

私たちは、自宅で2週間安静をこころがけ、回復するために必要な時間を取るでしょう。
私は素晴らしいチームに恵まれていますし、たくさんの同僚が
アデルと私が健康になることに心を砕いてくれているので、責任を持って
回復に努めますが、もし私たちに連絡をくれていた方はメールできなくてすみません。

このウイルスは、誰でも簡単に罹患するので、私たちは皆、
他の人との接触を制限し、ガイドラインに従う必要があります。

世界はこのウイルスを打ち負かすために、あなたたちの勇気、創造性、
そして知性を必要としているのです。

ラリー

 

 

3月26日。

息子の学校から、卒業式はオンラインで行うと通知がありました。

今回の事態に鑑み、私たちの伝統的な方法で卒業式を行うことができないという
残念なニュースを共有しなければなりません。
しかし現在の状況下で可能な限り最も特別な方法で卒業生を称えるため、
オンラインセレモニーで、卒業生に正式に学位を授与します。

私たちは一緒に卒業生を祝い、彼らの成功に誇りを表し、
彼らが私たちの社会を守るために払ってくれた犠牲に感謝します。

Oh・・・・・。
 

3月28日。

5月23日学校再開予定はキャンセル。
学期末まで遠隔授業を行うことが決定され通知されてきました。

アメリカはさらに死者数も感染者数も爆発的に
増えているため、全く先行きの見えない状況です。

 

今日も近くの公園は花見の客で賑わっていました。

外国人にはさぞこの光景が異様に見えるのでしょうが、
多くの人々は
こんなときだからこそ桜を目に焼き付けることに
いつも以上の意味を見出しているように見えます。

多くの日本人にとって、桜は命の儚さと生と死の境を象徴するものであり、
その年の桜は必ずそれぞれにとっての「人生の区切り」でもあるからでしょう。

来年の桜が咲く時、この世の中はどうなっているのか。
わたしは、そして私の愛する人たちは無事でこの世に存えているのか。

意識しているとしていないにかかわらず、だれもが今年の桜を見ながら
それに近いことを心に過らせているのでは、という気がします。

皆様も御身大切に。皆でこの局面を乗り越えましょう。

 

 

 

 


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3 Comments

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よかったですね (Unknown)
2020-04-04 15:19:27
息子さんはよかったですね。帰って来られているのかと思っていました。

イギリスが集団免疫戦略という構想を上げていました。コロナウイルスの再生産率(一人の感染者が何人に移すか)を2.5とすると国民の60%が免疫力を持たないと疫病は終息しないのだそうです。

中国のような極端な封じ込めをすると、人が先に参ってしまうので、医療崩壊を起こさない程度に踏み止まって、頑張るしかないと思います。

電車は空きました。前は始発からちょっとで席は埋まっていましたが、最近は街の近くまで埋まりません。かなりの数の人がテレワークしていると思われますが、それでもとりあえず、社会は回っているようです。

疫病終息後も、以前程の頭数がいなくても、社会は回って行くだろうと思います。不景気にもなるだろうし、社会はかなり変化すると思います。
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グローバル化 (お節介船屋)
2020-04-05 10:01:39
人の往来が多く、病気までグローバル化してしまいました。
WHOは何をしているのでしょうか?多大な費用と人員を有していながら、また過去のサーズ等の経験がありながら、何の主導もせず、被害の予想しか発信しているようにしか見えません。
発出元の中国は隠蔽と「放火犯が消防士を演じている」と言われるように知らぬ顔の半兵衛です。
経験した事のない国難に一致団結して当たらなければならない時期に国会と言い、結構な数の国民も他人事では乗り越える事は出来ません。
結局は各国で試行錯誤はあるでしょうが色々な対策で可能な限り発生数を抑制し薬が出来るまで一丸となってこの国難を越えてゆかねばならないでしょう。
マスクや薬の生産に象徴されますがあまりに価格で中国に生産拠点を置くことが如何に問題となったかは教訓として認識しなければなりません。
EUにしても頼りとなるのは最後は自分たちの国であることが分かったのではと思います。
余りにグローバル化した事が災いとなってしまいました。

我が家も妻がリューマチのため免疫抑制剤を服用しており可能な限り在宅で過ごしております。食料品の買い物にも細心の注意を払っています。憂鬱ですが当分の間気を付けながらほぼ在宅で過ごす事となるでしょう。運動不足とならないように朝の散歩は実施中です。

息子さんも不自由でしょうが米国での留学が継続され、ご母堂様、エリス中尉、御主人様が元気に過ごされるよう祈っています。

返信する
みなさま (エリス中尉)
2020-04-08 16:33:03
unknownさん
コロナ以前(BC)と以降(AC)では世界が変わるだろうと言われていますね。
しかしこの状況で腹立たしいのが世界に最近を撒き散らしておきながら、
WHOを抱き込んで責任回避するだけでなく、説教強盗のように振舞う中国です。

よく言われていますが、事態収束後世界は中国を許さないのではないでしょうか。

お節介船屋さん
おっしゃる通り、グローバリズムの弊害が顕になってしまいましたね。
政府は中国から撤退する会社への支援も検討するという動きになっています。
しかし、中国で反日暴動が起きた後も経団連は投資を煽っていましたからね。

「放火犯が消防士を演じ」・・・誰が上手いことをいえと(笑)

いつもお気遣いありがとうございます。
年齢のほか持病があったり喫煙歴があると重篤になるらしいので、
注意しすぎてしすぎることはないでしょう。しっかり自粛して乗り切りましょう。



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