ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

パイプオルガン

2011-01-12 | 音楽
先日TОが新聞の切り抜きをデスクに置いていってくれました。みれば
「復刻版 戦前日本の名行進曲集」
戦前のレコード会社の貴重な音源から厳選。収録作品のほとんどが初CD化!


もう、いくらなんでもこのようなものは買いませんよ、なんといっても一応音楽関係者なんですから、と笑いながら手にとって1分後

「買おうかな・・・・・」

だって、三枚組でそのうち一枚は海軍軍楽隊(あとは陸軍と秘蔵名盤)、
「敷島艦行進曲」「軍艦旗」「連合艦隊行進曲」「大海軍行進曲」勿論原版・・・・
ってこれ、無茶苦茶聴いてみたいんですけどー!


日曜日の家族団らんのひととき、
「映画観ていい?」といいつつ、「軍閥」のパッケージをいそいそ開ける妻に、
さすがに目を細めはしないものの、いつも生暖かく見守ってくれてありがとう、TО。
すっかりこんな連れ合いに慣れてしまったのね。こんな情報まで取っておいてくれて。


ともすれば生活が偏りがちな毎日、やはり腐っても音楽関係者、ブログでは一向に触れませんが、
やはり音楽は空気のごとく当然のようにエリス中尉の傍らにあるわけで。
先日、パイプオルガンの発表会がありましたのでご報告。

この壮大なオルガンは日本の地方都市の津々浦々には当然のごとくある、無駄に立派なホールのものです。
ピアニストの中村紘子さんなども感心して何かに書いておられましたが、
本当に日本と言う国は不思議な国で、どんな田舎に行っても
「いったい誰が演奏するのか」
と言うくらい音響のいいホールがあって、たとえ普段はコロッケのモノマネリサイタルで使われるだけであっても、
スタンウェイのフルコンサートピアノが当たり前のように装備されていたり、
ここのように物凄いパイプオルガンが据えてあったりするわけです。

まあ、いわば地方行政の税金の分かりやすい使い道としての大盤振る舞いの結果なのでしょうが、
ほんと、こういうことは海外では「ありえない」のですよ。
あるヨーロッパのホールでは「押したら元に戻らないピアノのキーを本番中横に控えていて戻す係」
なんていう人がいたりするところもあるっていいますから。


それはともかく、一年に二度、こうやって素晴らしい装置で思う存分オルガンの響きを楽しむおさらい会。
先生はもちろんプロの演奏家です。

先生の模範演奏。
横にいるのは夫君で、たくさんあるボタンを曲の途中に操作して音色を変えるアシスタントをしています。
左手に見えるたくさんのボタンがそれ。
画面左上にはバックミラーがあって、客席から演奏者の顔が少し見えますが、それが目的ではなく、
演奏者がオルガン協奏曲などをするとき、振りかえらずに指揮者を見るためのミラー。
「ウケているかどうか」客席を見るためではありません。


これもエリス中尉ではありません。
御存じとは思いますが、オルガンの場合は両手両足をフルに演奏に使います。
エレクトーンも足鍵盤はありますが、使用するのは左足のみ。
右は強弱ペダルに置きっぱなしです。
当然のように足でメロディーを奏でつつ、指でその旋律を追いかける(フーガですね)
などということもするわけで、TОいわく
「人間のすることとちゃう」

ピアノを弾かない人に右手でテーブルを3回叩く間に左手で2回叩き、さらにそれを連続せよ、というと
まさか、という顔をしますが、ピアノ弾きに取ってこれはできて当たり前。
(あなたはいかがですか)

さらにオルガン弾きはこれに両足が加わります。
本日の生徒さんはわたしも含め、ピアノを経験していてかなり弾ける人間ばかり。
当然のように音大卒もたくさんいます。
趣味の会とはいえ、全員がちゃんとした曲を弾くわけですが、オルガン歴の浅い人は
「ほとんど足鍵盤が出てこない」曲を選びます。

男性もおられました。
この方はバッハのファンタジアを弾かれましたが、お上手でした。


そして、エリス中尉。
バッハのプレリュードとフーガを弾く雄姿。
「あがる」という文字が辞書にはない本番強さを買われてか、
当初トリに弾かせていただくことになっていたのですが、
なぜか直前にアイウエオ順に変わりました。

息子の病気やらなんやらで練習室に行けず、その割には平然としていたので
もしかして先生は不安になられたのかもしれません。
しかし、本番ではなんの大きなミスももなく、壮大な響きを思いっきりエンジョイしながら
「ああ、もっともっと弾いていたい・・・」
という気持ちで弾き終わりました。

一般論ですが、ジャズをする人間って、クラシック一本やりの人間よりある意味いいかげんなので、
「わたしの辞書に間違いはない!わたしが弾いた音が正しい音である」
みたいな開き直りでいってしまう傾向があります。
多少音が違ってもコードさえあってればOK、みたいな。
クラシック畑の人間には(できない腹いせかもしれませんが)そういう態度が嫌われたりするのですが。


そう、趣味でやる音楽の素晴らしいのはやっていて「楽しいこと」。
お金をいただく仕事には必ずしも楽しいとは言い難いときもあるのです。
ブログもそうですね。
報酬がからまないからこそ、誰からも干渉されず自分の「独断日記」を公開できるわけ。
逆に言うとお金を頂く仕事でがまんしたり、不当な目にあったり、
勿論そのためにプロとしての技術や勉強が厳しく要求されたり、

それは当然のことではないですか。なんたってお金もらってるんだから。


演奏する喜びは勿論どちらにもありますが、しかし、あえて違いを言うと

「弾いているときひたすら楽しく、終わると残念なのが趣味」
「弾き終わったとき初めて本当に幸せを感じるのが仕事」

でしょうか。







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1 Comments

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確か (エリス中尉)
2015-02-26 22:45:37
ここがどこのホールだったか全く記憶から消え失せていたため、都内ホールのオルガンの有無を
かたっぱしから調べて判明(というか思い出)しました。
川口リリアホールです。
その時初めてだったのですが、あまりにホールが素晴らしいので驚きました。
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