ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

式開始まで〜大学卒業式@ベイエリア

2024-06-25 | アメリカ
■Airbnb引越し

MKの卒業式の少し前、Airbnbの部屋を引っ越しました。
前回のエメラルドヒルズから、今度はメンローパークの住宅街の一角です。


上空から見ると、明らかに他の地域より緑が多い地域。
その一角のAirbnbは、ドイツ系家族が住む敷地の離れでした。



プールのある家はこの辺では珍しくありません。


宿泊するのはこの離れ。
オーナーによると、この家はちょうど築100年だそうです。

1924年は、前年に関東大震災が起こった年ですが、この時期、
ヨーロッパではイタリアでムッソリーニ率いるファシスト党が政権を獲得し、
前年にヒトラーのドイツ労働党はミュンヘン一揆によって統制を拡大させ、
ここアメリカでは排日条項を含む移民方が成立し移民が全面禁止されました。

そしてちょっと感慨深かったのが、
この年のオリンピックがパリで5月に開かれたという事実
です。

今年はオリンピックイヤー。
そして開催地はなんとパリ。

もしコロナの拡大がなければ、東京オリンピックが延期されることもなく、
前回から100年目に同じ場所が開催地になることもなかったわけで。

そしてついでに、この頃のオリンピック開催は8月ではなかったんですね。

8月開催というのは、いつの頃からか、アメリカの大手テレビ局が、
「この時期はアメリカ国内で大きなスポーツの大会がないから」
という理由で固定したという話はやはり本当なんですね。


そんな頃に建築されたということですが、実際のところ、
アメリカでは100年越えの物件はそれほど珍しくもありません。
内装や配管を取り替えながら、古い家に住み続けています。

古さを実感したのは、キッチンにディスポーザーがなかったのと、
夜中、どうやら天井裏にリスが住み着いているらしく、
小動物が歩く音が聞こえてきたことくらいでしょうか。

次の朝、外のテーブルで食事を取りました。
庭には、お父さんの力作?らしい子供用のお家があり。


プールの奥には巨大なトランポリンが設置されています。

左がガレージ、右がおそらく倉庫。


全力で体を動かすことを楽しむオーナー夫妻らしく、
ガレージにはバイクが2台ありましたし、ある朝など、
プールサイドに干してあったのは、アイスホッケーの防具一式!
しかもゴールキーパー用です。(キアヌ・リーブスを思い出した)

このAirbnbは、オーナがドイツ人ということもあるのか、
古くて小さな部屋の中を考える限り機能的に整えており、
スタンディングデスクと滅法早いWi-Fi、優秀なコーヒーマシン、
今まで体験したことのない寝心地のいいマットレス、
どんなうっかり者でも壊さなくてすむプラスティックのグラス、
(しかも本物のガラスにしか見えない)
アメリカでは初めて見たミッソーニのタオル類と、最高の環境でした。

■ 卒業式当日

ほとんどの関係者にとってこの大学の卒業式は初めてのはずですが、
わたしたちのような外国人の親にとっては、それがどういうものか、
予想がつかないだけに心配は募るばかりでした。

卒業式に参加するためには、必ず卒業生からの招待が必要で、
招待者にはこのような入場チケットがオンラインで配られます。



つまり全員がスマホを持っているという前提ですね。
これをアップルウォレットなどに入れて当日バーコードをスキャンします。

そして同時に車はどこに停めるなどというお知らせももらえますが、
わたしたちは会場に近い駐車場に停めるため、前日に現地を視察して、
開場時間の45分前である6時45分に家を出ることにしました。

しかし、前日は緊張して?寝られず、しかも早く起きてしまう始末。

前日から徹夜で並ぶ総火演&観艦式のガチカメラ勢みたいなのが、
まさかここ西海岸にいるとは思えませんが、こういう状況になると
かつての血が騒ぐのか、どうも平静ではいられないんですよね。



案の定アメリカ人にはそういう意味でのガチ勢はいなかったらしく、
開場30分前でも広大な駐車場はガラガラ、
正面ゲート前にはわたしたちの前に数人いるだけという楽勝モード。


ほっとしながら目の前の注意書きを見ていて、
わたしは自分のバッグがこの図でいうところの
「スモールクラッチ」の大きさ以内なのか心配になってきました。

推奨されるのは中身が丸見えになる透明なバッグで、
そのことは前日にMKからくれぐれも言われていました。
一応ターゲットなどを覗いてみましたが、なかったので、
小さなバッグなら大丈夫だろうと思ったのですが、
それが12センチ✖️16センチ以内かどうかわかりません。

現に後で測ったら14✖️21だったので完全にアウトだったのですが、
規格外のバッグは没収と厳しいことを聞いていたので、

「もしダメだったら、先に行って席取っておいて」

と打ち合わせし、開場を待ちました。
時間になると、それから待機していた係員が配置につき、
自衛隊イベントの時のように、手荷物を台に置いて金属ゲートを通ります。

わたしは大きさを目立たせないように、最初からバッグの蓋を開け、
係に中を見せながら渡し、大きさを問われることはありませんでした。

荷物検査の先には小型のスキャナーがいっぱいあって、
そこでチケットをスキャンしてから会場に向かいます。

大学の卒業式に手荷物&金属検査というのも仰々しいですが、
ここアメリカで大学など学校現場の銃撃事件が相次いでいるため、
当大学ではスタジアムイベントには必ずこの方法が用いられているようです。


推奨されるクリアバッグ一例

ちなみに指定のクリアバッグですが、後にスクールショップに行ったら、
ロゴ入りのが各種売られていて、みんなそれらを買っていました。

バッグ業者の陰謀か?



そしてゲットしたステージ真正面の席。
もっとも、後から考えれば、どうしてもここでなければ、
というような状況でもなかったんですが・・・。

開始2時間前から死ぬほど暑い場所で待ち続ける価値があったか?
と問われると、微妙だったという点で。

学校からは前もって、この日のスタジアムの暑さについて言及がありました。

全員にペットボトルの水が配られましたし、
最初からこれはきつい、という人のためにビューポイントが用意され、
室内の涼しいところ(日陰は涼しいんですよ)で
座って大画面を見られるような用意もありました。


わたしはというと、白の長袖長ズボンにターゲットで見つけた
10ドルの折りたたみ帽子で極力陽を受けないことを考慮したファッション。



さらにはこれに薄手のスカーフとジャパニーズマーケットで見つけた
接触冷感(日本製は神)の日除け手袋で更なる防護をします。

日本のように湿度がないので、重ね着しても暑くはなく、
むしろヒジャブの国の人みたいに、できるだけ露出部を少なくすればOK。
快適快適とほっとしていると、TOが写真を撮りながら

「ヤ⚪︎ルトおばさんみたい」

とわたしもうっすら感じていたのと同じことを言いましたが、
画像検索したところ、ヤクルトというよりゴルフのキャディっぽい。


だんだん両側に人が埋まりだしました。
わたしたちの前列左はヒスパニック系の大家族。
このときは父ちゃんがひと足さきに席を取って待っています。

この、今の所空いているわたしの左側ですが、中国系家族がやってきて
二人の男の子(2歳と5歳くらい)に前の人は背中を土足で蹴られるわ、
何かというと子供連れで座席の前を行き来して出たり入ったりするわ、
意味もなく横の椅子をバタンバタン上げ下げするわ、
それを抑えると睨んできて(!)力任せに同じことを続けるわで大変でした。

二人いるので、いわゆる一人っ子政策の「シャオファンティ」(小皇帝)
には当たりませんが、いずれにしても日本人から見ると躾がなっとらん。

そもそも魔の2歳児をこんなかんかん照りの場所で
何時間もじっとさせておこうとするのが大間違い。
もう少し後ろの日陰席にすれば出入りも簡単だったのに・・。

そうそう、中国人といえば、今回空港で入国審査に並んでいたとき、
審査の順番がきた年配の中国人女性が、なんと列のはるか後方に向かって
大声で旦那さんらしき人の名前を呼ばわるという椿事が発生しました。

その場に並んでいた世界中の人々が彼女に注目する中、
後ろの方にいた男性がひょこひょこ前に出てきてざっと百人の順番を抜かし、
ちゃっかりおばちゃんと一緒に審査を受けようとするじゃありませんか。

もちろん、その次の瞬間、係員に元の場所に戻れと追い返されたわけですが、
そもそもどうしてこの人たちは一緒に並んでないのかね。

まさか、トイレに行っている旦那を待たずに、奥さんだけが並び、

「あたしが先並んでおくから、アンタ呼んだら前まできて!」

とかいう話だったんかな。

入国審査場で大声で叫ぶだけでも大概ですが、加えて
自分と連れ合いに満場の目が注がれても一向に気にしない!というメンタル、
さすがは中国4000年の神秘。

中国人が列の割り込みを悪いことともなんとも思っていない、
というのはよく見聞きする話ですし、わたしも現に中国で目撃していますが、
入管の係員に至っては日常茶飯事レベルでこういうのを見てるんだろうな。

閑話休題。


スタジアムの向かって右手はセレモニーの間日陰になるため、
最初からここに座る人たちがいました。


■ コマンスメント開始

アメリカらしく、時間きっちりにではなく、少し遅れて
今から卒業式が始まるというアナウンスがありました。



エルガーの「威風堂々第1番」中間部のメロディが流れ、
ガウンに身を固めた大学教授陣の入場が始まりました。

アメリカの学校は必ず卒業式にこの曲を用いますが、これは、
1905年、作曲者のエルガーがイェール大学から博士号を授与されたとき、
同校で使用されて以来の慣習になっています。


学長と一緒に入場してきたのは、メリンダ・フレンチ・ゲイツ。
言わずと知れたビル・ゲイツの元妻です。
彼女が本日のスピーカーであるとは前もってMKから聞かされていました。

ゲイツとの離婚の原因は、やっぱりというかなんというか、

「ビルがジェフリー・エプスタインと付き合っているのが許せなかった」

こととはっきり言及していましたね。
彼女本人は彼を一目見てその悍ましさに震え上がったという話ですが、
やっぱりエプスタイン島行ってたのか、ゲイツ・・・。

しょうがないやっちゃな。


こういうアングルの写真が撮れたのは早起きの恩恵というやつでしょうか。
彼女がストームヒールの紐付きサンダルを履いていたのもわかりました。

メリンダが着ているアカデミックガウンは出身のデューク大のもので、
色がドラブなのは、経済学の学士号をもっているからです。

アカデミックガウンは、今在籍している学校に関わらず、
その人の出身大学を表すため、教授席は色とりどりのガウンが混在し、
それらが一堂に集まっているのは大変美しいものです。

続く。