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潜水艦「レクィン」〜コードネームは”ロケットウルフ”

2024-02-18 | 軍艦

ピッツバーグのカーネギーサイエンスセンターに展示されている
潜水艦「レクィン」の艦内ツァーシリーズ続きです。
前回、士官区画までをご紹介してきました。



「シルバーサイズ」のときも言及しましたが、「レクィン」のバッテリーも
この士官居住区画、オフィサーカントリーの床下に設置されています。
士官居住区は12番、バッテリー室は10番。
バッテリー室には126個の鉛蓄電池が保管されていました。



さて、オフィサーズ・カントリーから次のコンパートメントに移ります。
区画間のハッチは、Uボートもそうだったように分厚い円筒形の者が多く、
通過するには身を屈めてくぐっていくわけですが、「レクィン」は
ご覧のように縦長の楕円で一般見学客にも「優しい」作りとなっています。

■ コントロールルーム


このコンパートメントは潜望鏡が通るセイルの下部分です。


この図の9番に当たります。
コントロールルームを一言で言うと、

「メイン・ジャイロコンパスとその周りに
潜水と浮上コントロール装置がある場所」

ということになろうかと思います。

■ ハル・オープニングとベント・フラッド警告灯


先ほどの部分とその天井部分です。



SALT WATER DEPTH TO KEEL
SP. GR. OF SEA WATER
1.025

とあります。
まず、Depth to Keel(キール深度)とは、
水面から船舶のキール(最も深い部分)までの水深(または喫水)のこと。
キールは、一般的に定義された測定基準点です。

しかし、潜水艦であるこの艦の場合、その数字が意味を持つのは
海上航走している時だけと言うことになるのですが・・・。

それからSP.GRというのは、Specific Gravityを意味すると推察します。
物体の比重を水の密度で割ったもので、水の密度は1mあたり1,000kg。

というわけで、海水の比重は1.025ということが表記されています。



上の段のランプは、外に向かって開かれるハッチやドアが
潜航の際水密されているかを確認するためのランプで、

HULL OPENINGS

と言う文字が刻まれています。
この確認ランプは現在も生きていて、ブリッジのハッチ、
メインハッチがオープンであとはクローズされていると表示されています。

下の

VENTS(ベント)

は当たり前ですが全てシャットされています。
今更言うまでもないですが、潜水艦は潜航する際ベント弁を開きます。
ベントはメインタンク内部空気排出を行い、
メインタンク下部の海水注入用の穴(フラッドホール)から海水が入り、
船体浮力が低下して艦が沈下を開始するので、今開いていると困ります。

フラッドホールが閉じているかを示すため、右側に

FLOOD(フラッド)

のランプがあります。


その隣の壁面の機器も見ていきましょう。



下はアンプで上には
DELAY
COARSE-OUT
FINE-IN
と操作するダイヤルがある機器です。
製造番号が写っていないので判明しませんが、

ナビゲーター、有資格の修理技術者、または上記のいずれかによって
認可された者以外は、この機器を取り扱わないでください。


と緑のテプラで警告がされているので、
かなり専門的な知識が必要な操作を要するものかもしれません。

それらの乗っているシルバーのロッカーの中には、
小さな武器(小銃など)が収納されているようです。



エンジンテレグラフです。
これはメインのものではなく、艦内各所にあるものの一つで、
この区域の左舷に設置されています。


操舵のアングルをモニターする機器です。

この針が触れている方向に舵が切られているということになり、
現在の「レクィン」はほんのわずか左に舵を切っています。
35以上の数字がないのにちょっと驚きました。

モニターの上の二つの機器はそれぞれ左と右を示しますが、
0から3000までの数字の意味はわかりませんでした。



左は速度計、右はどの方向に進んでいるかを示す磁石、
下の赤いランプはそのままステアリングギアのオンを表します。


潜望鏡が貫通している中心部。
垂直のラッタルは上階のコニングタワーに行くためのものです。



写真を撮っているときは気づかなかったのですが、
ここで初めて艦内の説明版らしきものが出てきました。

ここはコントロールルームで、潜航と浮上に関する装置があり、
この上には司令塔、コニングタワーがあると書かれています。


ラッタルの向こうがステアリングです。

当たり前のことを今更と言う感じですが、水中で舵を切るには、
潜水艦の尾部舵を使って左舷(右)または右舷(左)に旋回します。

操舵手のことを英語でプレーンズマンといいます。
操舵は二人のプレーンズマンがここプレーンズステーションに常駐し、
上下左右の動きを指示するプレーンと舵を速度に合わせて調整します。


ラッタルの横の部分は天井からいろいろと
ものものしいものが迫り出しています。


丁寧に写真を撮っていたら前の人との間がずんずん開いていくのだった。


この階の下の灯りがついていました。



そうなると何があるか見たいのが人情というもの。
潜水艦の井戸がある部分ですから、何かあるはずですが・・・。



前の人を追いかけながら適当に壁を撮るとこんな写真になります。

何が撮りたかったんだって感じですね。


高圧電気の機器(アンプなど)が収納されている部分。
剥き出しになっていると危険なので、まるで金庫のような表面です。



唯一扉のあるコンパートメント、それがレイディオシャックです。
通信室はボートにとって最も重要な情報をもたらすため、
どんな潜水艦でも必ずコントロールルームの近くにあります。

このガラス戸にはここに「レクィン」のコードネームが

ROCKET WOLF(ロケットウルフ)

であることがかかれています。
ロケットウルフか・・・当時はかっこいい響きだったんだろうな。

この無線室は現在でも稼働しています。


コードネームロケットウルフで通信しているのかな。


現在でも現役で稼働中のレイディオ・シャック。
ということは、通信機器は完璧にインストールされているということです。

どんな人がここで通信を行なっているのでしょうか。

検索していたら、昔「レクィン」の通信士だった人が、
大型掲示板のようなところでこんな書き込みをしていました。

The Requin's call sign during my time aboard was ROCKET WOLF....
(We operated with Cutlass whose call sign was CABBAGE...
"Cabbage, Cabbage this is Rocket Wolf, Rocket Wolf...
How do you read me? OVER."


カットラス(戦闘機)のコールサインが「キャベツ」だったので、

「キャベツキャベツ、こちらロケットウルフロケットウルフ、
聞こえますか?オーバー」


とかやりとりをしていたという、まあそれだけの話ですが。



さすがに現役の無線室なので、機器は海軍工廠製ではなく、
普通に民間のトランスミッターなどが装備されています。



NY3ECという番号がわかっていたら通信できる、ってことですか?
アマチュア無線をされる方がおられたらぜひ(って何話すんだ)

https://www.facebook.com/radiocronache/posts/the-ny3ec-station-on-the-uss-requin-ss481-submarine-1945-1968-in-csc-pittsburgh-/1429822994020800/

どうもこの人↑はアマチュア無線愛好家らしい

また、別の書き込みによると、

「NAQCCは水曜日にRequinをアクティベートします。
7.041、10.117、14.061 +/- qrmで彼らを探して下さい。
午前10時頃開始予定。」

ということでした。


続く。