ご当地アイドルを迎えての防衛パネルディスカッションが無事終わり、
わたしはまず潜水艦救難艦「ちはや」の見学に出撃しました。
艦内は通路に沿って最後まで見て歩くコースらしく、そのせいで
十人ずつ混雑具合を見て乗艦させていたため、結構長い列ができています。
「ちはや」の舷門は低く、乗艦は容易。
ただし、退艦は甲板から階段を降りていきます。
一般客の見学については、自衛隊は気を遣いすぎるくらい配慮をするのが常で、
この写真でもお判りのように舷梯の下には海への転落を防止の
ネットが張られています。
乗艦するとまず潜水艦救難艦の救難装備品の一つである深海救難艇、
DSRV (Deep Submargence Rescue Vehiecle )があります。
カバーをしている部分は非公開か安全対策?
小型潜水艇とはいえ、この角度から見ると大きさに圧倒されます。
DSRVの揚収設備は艦体のほぼ中央(上部構造物の後方)にあります。
外殻のところどころに穴がありますが、これは耐圧のためでしょうか。
海中を照らすライトが下部に確認できます。
潜水艇の艇首は甲板の方向を向いていますが、これは、
「ちはや」のの搭載艇(09DSRV)は艦尾側に向けて発進し、
艦首側から進入して揚収される方式を取っているからです。
揚収施設の下部分。
この写真からは想像できませんが、救難艇の発進は、艦隊船体中央部にある
ムーンプール(センターウェル)から行われます。
センターウェル下部には艦底閉鎖装置が設けられていて、
2分割した閉鎖板が油圧によって外側に向かって観音開きに開閉する方式です。
見上げるとすごい迫力。
プロペラを囲むようについている「天使の輪」は何かと思ったのですが、
英語では、
「Steering Shroud」
ステアリングは「操舵」でいいのですが、「シュラウド」というのは
一般的には遺体を包む布(聖骸布)の意味があり、海事用語では
マストに掛かっているネット状の舫のことであり、原子力用語では
原子炉内中心部の周囲を覆っている、円筒状のステンレス製構造物
のことを言ったりします。
潜水艇のシュラウドというのはどれなのかいまいち意味がわからないのですが、
とにかく「周りを取り囲むような形状の操舵装置」でいいかと思います。
(違ってたらすみません)
ふと装置の隙間を見るとダイバースーツが干してありました。
「ちはや」にはやはりセンターウェルから出し入れする
PTC(Personnel Transfer Capsule、人員輸送カプセル)
も備わっていて、潜水員を水中に輸送することができます。
か、かわいいじゃねーか////
「ランタン・アングラー」
というのはこの絵でも薄々お判りのおようにチョウチンアンコウです。
潜水艦救難艇をチョウチンアンコウに見立ててアイコンにしてるんですね。
実際には見ることができませんが、この絵でわかる艇体下部の「スカート」、
このスカートを救難艇は遭難した潜水艦のハッチに連結し、
そこを通って脱出してくる潜水艦乗員を揚収します。
このマークのチョウチンアンコウくんの背中にはシマシマがありますが、
潜水艦救難艦の上部には赤く太いラインが4本入っています。
これがシマシマ。
「ちよだ」のDSRVがセンターウェルに沈んでいくところ。
どうも、艇体を一度吊り上げて持ち上げ、下支えをレールで移動させると、
そこはセンターウェル、という仕組みのようですね。
救難艇の前からきっちりと仕切られた見学路ができていて、
見学者は一列でじわじわと周りを見ながら進んでいきます。
救難艇を格納するらしい部分から見た救難艇。
皆暑さに耐えながら黙々と並んでいますが、このあと、
格納庫奥にあるそれはそれは細くて急な階段を上っていかねばならず、
そのため列は遅々として進みません。
前の方に12cmのストームヒールサンダル+スカートの女子がいましたが、
登るときはまだしも、この後の舷側の階段を降りるとき大変だっただろうな。
本人は「ヒール履き慣れてるから大丈夫!」ってところかもしれませんが、
下で一般人が滑り落ちたりしないか見張っている自衛官は
ハラハラさせられる上、人によっては見たくもないものを見せられるわけで、
はっきり言って大迷惑ってやつだったと思います。
厳しいようだけど、こんなお洒落番長は舷門で乗艦禁止にしてもいいと思う。
何かあったらこんなのでも自衛隊の責任が問われたりしますから。
救難艇の発進&揚収作業の時に使用すると思われるヘルメット。
上は潜航士用のマーク入り特別製?で下は普通用。
当潜水艦救難艦には自転車も搭載しています。
上から見た深海救難艇。
背中の赤いラインがかろうじて見えています。
艇体に入った切れ込みを見る限り、ステアリング・シュラウドとやらは
前後に角度を変えることができるだけみたいですね。
ぐるぐる回ったりはしないのか・・。
階段を上っていったところにあったのはDSRVの電池室でした。
電池といっても、あれだけのものを動かすための動力ですから、
こんなに大きいわけです。
深海救難艇の機関は蓄電池により電動モーターで駆動させるので、
ここで充電して入れ替えるということなんだと思われます。
入ってすぐ気がついたのは、この部屋の涼しさ。
「電池のために冷房しているんですか」
とそこにいた乗員に聞くとそうだとのことでした。
充電した電池そのものが放熱するのでしょう。
まさか、この、カバーのかかっていない白いのが電池なの?
電池室の後は、右舷デッキに出てきました。
この日やはり一般公開されている「さざなみ」が絶好の角度で見えます。
それにしても眼に突き刺さるような夏空の青さよ・・・。
わたしの前を歩いていた男女は「ちはや」乗組員のご両親らしく、
一人の海士くんがやってきて、少し照れくさそうな、ぶっきら棒な様子で
「あとで別のところ案内するから」
などと言いつつ、母親と並んで写真に収まっていました。
この日は関西出身の乗員の家族が息子娘に会うために来ているらしく、
会場では時々「隊員家族」というタグを掛けた人を見かけました。
艦橋の操舵室にたどり着きました。
艦首側左舷に向いたジャイロレピータ。
艦尾側にあるジャイロは稼働可能タイプです。
こんなところに測距儀が!(予備かしら)
「国際信号における緊急信号」
とあり、
「O」人が、海中に落ちた
「IT」私は、火災を起こしている
後はWが見えますが、「医療の助力を求む」かな。
それにしてもこの文章、句読点要る?
艦長(二佐)の座る艦長席。
一般公開で見学者が座るのは全く問題ありませんが、
艦長以外の自衛官が座っているのを見られたら、たぶん大ごとです。
訓練中の環境における人員配置がわかりやすく写真で説明してありました。
ただしこの写真では艦長は赤い椅子なので、「ちよだ」ではなく
イージス艦、ヘリ搭載型護衛艦、輸送艦などの大型艦での一コマでしょう。
一般客の目から数字を隠すパネルがわりに航海科の看板が(笑)
舫でかたどった錨、そしてJSLTは
日本リンパ浮腫治療学会(Japanese Society for Lymphedema Therapy)
んなわけあるか〜い!
艦橋から艦首甲板を望む。
「ちはや」はサイドスラスタを搭載しているのでタグボート要らずです。
「ちはや」にはサイドスラスタの他に可変ピッチプロペラも使用されています。
可変ピッチプロペラ(CPP: Controllable Pitch Propeller、 CPP)は、
艦の全速から微速、停止、後進の全範囲の運転に対して、翼角の制御させることで
前後進の必要な速度が簡単に得られる仕組みです。
サイドスラスタは横に動くため、CPPは速度をコントロールしながら
前進後進ができるというわけ。
もしかしたらこれはカモメプロペラの製品かもしれないので、
HPをあげておきます。
ふと海面に目をやると、そこには内火艇(交通船)が、
明らかに一般人と思われる乗客を乗せて航行していました。
そういえば、サマーフェスタ事前に応募すれば乗れる、
とかHPに書いてあったような気がします。
落ちないようにネットを張っているとはいえ、
船上の人たちはずっと立ったままなのね・・・。
信号ラッパの収納場所見つけた。
降りれます!!じゃないだろ?降りられます!!だろ?
と突っ込むのも面倒臭くなるこの存在の耐えられない軽さ。
「ご当地ゆきお」というこのシリーズ、めんたいこ以外にも
などが展開しています。ってなんなのよこれ。
続く。