前回「宮古島まもる君」の紹介で力尽きてしまった海保観閲式のフェアウェル、
気を取り直して続きと参りましょう。
やはり石垣第11管区の「ざんぱ」です。
「ざんぱ」の所属する部隊は尖閣警備専従部隊として
日夜最前線での警備警戒を続けています。
甲板では三線(さんしん)の演奏をしている人が二人、
あとはそれに合わせてエイサーを踊っていると思われます。
船尾で櫂を操ってる人がいますが・・・・何だろう。
沖縄古武道の演舞か、それとも「久松五勇士」の関係?
巡視船の船尾はいかに海面と近いか、この写真はよくわかります。
もしかしたら楕円形のスリットから甲板には海水が入りまくりかもしれません。
徳島第五管区の巡視艇「びざん 」。
そして徳島、とくればこれしかないでしょう。
職員総出での阿波踊り。
お揃いの浴衣を揃えてあるところが、彼らの本気度を表します。
例年海保のチームは実際の阿波踊りに参加しているのに違いありません。
フェアウェル最後は同じ第五管区でも高知から「とさ」。
高知の踊りといえば・・・当然「よさこい」ですね!
どんな踊りか全く知りませんが。
そして、甲板に見たことのあるあのお方が・・・・。
龍馬は確かにロン毛だけど、こんなおばちゃんパーマじゃなかったぞ。
東京にありながら高知県の産物が手に入るスーパーマーケットだとか。
そして、海保観閲式のフィナーレ、「フェアウェル」には、海自から唯一参加した
護衛艦「はたかぜ」もその姿を見せてくれました。
海保以外で唯一高速機動連携訓練に参加した「はたかぜ」です。
ところでみなさん、いきなりですが海保、海自の人たちは互いのことを
どう思ってるのか、そんなことを考えたことはありませんか?
もちろん、昔と違い、今は日本の国防という一点で互いに緊密に連携、
協力し合っているのだと我々国民は思いたいですが、実のところ
組織同士という点では、特に上のレベルでやはり色々と軋轢があるものらしい。
それは主に海自が防衛組織(ただし軍ではない)であり、海保が警察組織であることに
起因するものだそうで、具体的に何たるかは外部からは窺い知るよしもありませんが、
ただ一つ確かなのは、この齟齬の根本理由を辿っていくと、そこには自衛隊を
「軍隊ではない防衛組織」と定義付けている処の現行憲法に行き着くということだ、
と、わたしは中の人から聞き及びました。
まあしかし、そのようなことは両組織にとってあくまでも政治的な案件であり、
ほとんどの海自・海保の隊員職員の皆さんのあずかり知らぬことだと思われます。
自衛隊内部でも陸海空で色々ある(らしい)のですから、別組織で、しかも
任務に重なる部分も多い海自と海保ではそれなりに問題もありましょう。
と言い出しておいて無難にこの話題を収めてしまう小心なわたし(笑)
さて、この日も海自&海保の友好をアピールすべく、「はたかぜ」艦上では
フェアウェルを盛り上げるために、「制服ファッションショー」を見せてくれました。
まず、左から幹部、海曹、海士の常装第1種冬服。
海曹と海士の第1種夏服、それから第3種夏服。
ピクルス王子とパセリ嬢はどちらも階級は三尉です。
それから海上迷彩の作業服ですが、一般人でも買えます(笑)
この間某航空基地に行ったら、全員がこれを着ていてビビりました。
東日本大震災の時、ブルーの作業服では一般人への認知度が低く、
自衛隊と思ってもらえずに苦労した経験からこうなったそうです。
ちなみに、この海自迷彩、よくよく見ると錨のマークが隠れています。
どこかの基地公開で海自迷彩の人に出会ったら見せてもらってください。
ここからは特殊任務の制服。
一番左は、幹部が着ている作業服だと思いますが、もしかしたら
警衛の人かもしれません。
二人防火服が続き、最後にはダイバーがいます。
フェアウェルの列の向こう側でやたら張り切って水を撒いている「はまぐも」。
先ほどタンカーの消火を行うという設定の訓練で、
実際に放水できなかったストレスを発散すべく・・・
こちら「ひりゆう」もノズルを全てぐるんぐるん動かしながらの派手な放水です。
背景にはスカイツリーが見えます。
もし本日一番印象を残した船「シップ・オブ・ザ・デイ」を一つ挙げるなら、
それはこの消防船「ひりゆう」ではないかとわたしは思いました。
沿岸警備隊の「アレックス・ヘイリー」はフェアウェルを行いませんでした。
さて、フェアウェルが終われば、解散し、各港に舳先を向けます。
「やしま」「そうや」「だいせん」はいずれも晴海出航組なので、
われわれの「いず」だけが彼らと別れて取舵です。
横浜港を出港してから東京湾の行動海域で観閲船隊と合流するまで、
ピタリと後ろをついて護衛を行っていた「のげかぜ」くんが、
船隊を離れた途端、影のように寄り添ってきました。
往路航海中、船内で後ろを警備している「のげかぜ」について、
「皆様の安全のために警備を行なっておりますので、ご安心下さい」
と紹介されていました。
海自の艦だと転落者などが出た時に救助するために同乗している
ダイバー(海保では海猿)もこちらに乗っていたに違いありません。
わたしは船尾後ろ向きのデッキにずっといて、その姿を見ていましたが、
このナイトが「いず」の後ろを付いてくる様子を例によって擬人化し、
そのひたむきさに勝手に萌えておりました。
観閲船「やしま」の左舷サイドを今日初めて見ます。
船上の人たちは今だに皆右舷側を向いてそちらに集中しているようですが、
我が「いず」でも、観閲と訓練展示の時には皆が右舷に集中し、
船が傾くので気をつけて下さい、とアナウンスされました。
これは如何ともし難いので、もしかしたら手の空いた乗員は、
できるだけ左舷側に行かされていたのかもしれません。
同じく「そうや」の左舷。
わたしが当初乗るはずだった「だいせん」。
「だいせん」は舞鶴の船だそうですが、今(6月17日)調べたら、
観閲式が済んだ翌日の5月21日に晴海を出港してから、
関門海峡を回って舞鶴まで帰る途中で、現在位置鳥取県沖でした。
途中で海保基地に寄港することもあったのでしょうが、
舞鶴まで帰るのに一ヶ月もかかるものなんですね。
晴海に向かう3隻との距離はあっという間に離れていきます。
「アレックス・ヘイリー」は横須賀に向かっているらしく、
われわれと舳先は同じ方向に向けています。
しかし、すぐにその姿は見えなくなりました。
最後の挨拶のつもりか、全速力で飛んできて追い抜いていった「ともり」。
これからこの小さな体で宮古島まで帰るんですね。
巡視艇の舳先が切り裂く波飛沫の作る形の芸術的なこと。
皆さん、尖閣の守りをどうぞよろしくお願いします。
続く。