◎1950年代初頭の中国共産党洗脳以後
(2014-01-18)
オウム真理教事件の裁判の報道があり、既にかの事件から19年も経ったことを知った。オウム事件では、カルト宗教という看板を隠れ蓑にして、洗脳というものがかくも強引にかつ粗暴なやりかたで行われていることに日本中が驚かされたものだ。
それは一教団内部で行われていたことだが、共産主義国家では、大規模に広汎に徹底的に行われるものである。
中国共産党は、1948年に中国統一を成し遂げて、その直後の数年において中国全土の思想改造という名の洗脳を、対中国人はもとより対外国人に対しても行った。
アメリカは、朝鮮戦争からの帰還兵の中共による洗脳されぶりを見て、その後洗脳技術研究にいそしんだようである。このあたりは、「CIA洗脳実験室/ハービー・M・ワインスタイン/wave出版」などでも書かれており、LSDの教祖ティモシー・リアリーの官憲からの追及の経緯などを見ても、そうした背景があったことはうかがえる。
こうした組織的洗脳について、私はかねてよりその効果が何年もつかについて関心を持っていたが、中国で共産主義政権誕生直後に施設で洗脳を受けた西洋人に対する調査に関する以下の文で、その大概を知ることができた。
『長期の効果
西欧人に適用されたような、刑務所内での思想改造のもつ、長期にわたる成功ないし失敗というものについて何が言えるのか。彼らを説得して、共産主義の世界観へ彼らを変えさせるという観点からすると、そのプログラムはたしかに、失敗だと判断されねばならない。
私の対象である二五人の中ではただ一人(そして、私のその人たちのことについて話を聞いただけの他多数の人々の中では、一人だけあるいはおそらく二人)が、ほんとうにうまくいった転向者と見なし得る人物であった。追跡調査で得られた情報によって、香港でこの人たちに面接したときに、観察しはじめて次のことが確かめられた。つまり、思想改造の精神から、中国共産党の行動をより批判的に見るようになるのが一般的ななりゆきであるということである。
彼らの釈放後三年ないし四年たつと、彼らのほとんどが、収容される以前に感じていたものとははるかにきびしい感情を共産主義に対して表明している。
世界の大きなイデオロギー的問題に対する解答を得るため彼らのあてにしているのは、共産主義ではなくて、彼らが若い頃知った西欧の列強であり、彼ら自身の内なる統合であった。この自分たちのうけた思想改造を意識的に容認するということは、決して、心理的な全景をあらわすものではなかった。しかし、意識的な意見というものは、結局は重要な意味をもってくるものである。』
(思想改造の心理/リフトン/誠信書房P253から引用)
刑務所や収容所などの施設での洗脳であっても、3~4年経てば戻るだろうということ。ただし、その間にまた洗脳を繰り返されれば元に戻るので、洗脳は定期的に繰り返し行われがちなものである。共産主義を1990年代でやめたロシア、東欧諸国の脱洗脳ぶりはどうだったのだろうか。
ともあれ、この時代の覚醒には、なるべく社会による洗脳を避けるように心がけるというのは必要なことですから。