詠里庵ぶろぐ

詠里庵

エアバス社

2006-09-08 06:50:05 | サイエンス
が業績不振ということですが、その中にあって新型巨大機A380の試乗があったそうです。エコノミーのみの座席にすると800人越えるということで、ちょっとした会社や学校は丸ごと移動可能ですね。中でオフィスワークや授業でもしようものならビルごと空を飛んでいる感じです。

日本からアメリカに行くとき偏西風の影響で西行きと東行きで1時間ほど違いますが、A380みたいにでかくても同じでしょうね。飛行機はフリスビーのようにわずかに上に凸の翼が風を切るときの揚力で浮いている(クッタ・ジューコフスキーの定理)ので、大気あっての浮遊です。地面に降りているときは翼が胴体にぶらさがっていますが、飛んでいるときは胴体が翼にぶらさがっているわけです。窓から見ていても角度の違いがわかることがあるほどです。

大気からの相対速度というのは火星でも同じでしょうか? 火星の大気圧は地球の100分の1ですが、地球から砂嵐が見えるほどですから風はあります。そういう環境で飛ぶ飛行機が作られたとしたら、やはり大気に対する相対速度になるでしょう。

では真空中でも浮いたり飛んだりするロケットはどうでしょう? 大気を利用するのでなく、モノ(燃料)を放り投げる反作用で推進しているわけですが。これも大気の中で運動している場合は同じはずです。

ちょっと考えるとこれは不思議です。だってロケット打ちあげ直前は地面に固定されているのに、浮いたとたんに風の速度ヴェクトルをプラスしなければならないのでしょうか? そんなことはないでしょう。

ロケットが浮いた直後はやはり直前まで固定されていた地面に対し水平方向の速度はゼロです。しかし風に押されて徐々に水平方向は風速に一致して行くでしょう。その時間が経った後は大気からの相対速度になります。風向きや風力が急に変われば、それに追随する時間のあとは、新しい風速ヴェクトルを足したものになります。(追随時間---緩和時間ともいう---より速く風速が変化する場合は、慣性の勝った運動になりますが。)

というわけで、飛行機もロケットも木の葉も追随時間の差があるだけで、追随時間の後の定常状態では火星といえども浮いているものは大気が基準となるでしょう。もっと真空に近い薄い大気でも、定常状態を考える限り大気からの相対速度で推進することになります。地球の大気中を長時間飛ぶエアバスは間違いなく偏西風の影響を受けますね。
コメント
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