九州大学山岳部 ブログ 「QUAC blog」

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北ア縦断(中盤)

2022年11月30日 | 夏合宿

どうもこんにちは。3年の青木です。

先日,糸島4座の歩荷練習をしまして,それをブログに起こすか~と思ったら,夏の縦走の担当分がまだだった.
いやね,書くのは進めてたんです.
ただね,gooブログって写真をアップするのが少し手間でしょ?
億劫だな~て思ってたら,そのまま記憶からフェードアウトしてたんです.
別にサボってた訳じゃないんだ.信じてくれ.
というか,他のメンツも書いてないやん.おいこら.書こうぜ.


そんなわけで,今更ですが,
北アルプス縦走の報告です.
旅の中盤,種池小屋で松林と別れてから、烏帽子小屋に至るまでを紹介します。

 

今回報告する区間は,後立山と裏銀座を繋いでいます.

ルートの印象としては,崩れやすいザレ道が多く、存外険しい岩場や判然としない道、絶え間ないアップダウンなど、ちょっとビミョーな要素が散見されます.
反面,北アルプスの中心に位置する針の木岳,コマクサ群生地があり山容も美しい蓮華岳,庭園のような広々とした山頂をもつ南沢岳,奇怪な容姿の烏帽子岳など,魅力的な山もたくさんありました.
登山者も比較的少なく,北アルプスの中では随分と静かな印象.
中間地点にあった船窪山荘は,何だか隠れ家のような,山奥で悠々自適な隠遁生活するのにうってつけな感じの、落ち着く場所でした.

他の3区間に比べれば少し地味だけど小さな魅力が散りばめられてる,そんな縦走路での旅の記録です.


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8月29日

久々のピーカンを爺ヶ岳で堪能したあと,種池小屋で3人での最後の写真を撮って松林と別れました.本日が下山の松林は,降りたら何をしようかと早速作戦を練っていました.
定着も後立山もビミョーな天気が多かったけれど,締めで晴れてくれて良かった.山ってのは,下山日は晴れるって相場が決まってるんです.何なんだろホント.


仕切り直して縦走続行.
ここからは3年生2人だけ.天気も申し分なし.勝手知ったりで気楽なもんです.
新越乗越山荘では,盛大に布団が干してあり,のほほんとした気分になりました.久々の晴天ですからねー.

黒部を挟んだ対岸には,剱と立山がどっしりそびえてます.ここら辺はこれしか見るもんないけど,これだけで事足りる.何度見てもかっけえ.


この山域は人も少なかったです.
すぐ下に扇沢のバスターミナルがあるので,日帰り山行もしやすいらしく,いろんな人が登っていましたが,この好天の割には少ない.
静かな山行の方が好きな自分としては,こうやってのんびり景色を堪能しながら,たまに出会った人と,しばし話し込むぐらいが丁度いいです.

いるのは,人だけじゃありませんでした.
鳴沢岳に差し掛かるあたりで,やや大きめの糞やら食いかけの木の実などが目立ち始めました.
すると,付近でガサガサと生き物の気配が.
デカい.鳥じゃない.まさか,クマか.
今朝,冷池山荘には,熊出没厳重注意の張り紙があった.
他大の死亡事故が一瞬頭をよぎり,一転恐怖に.
冗談じゃない,遭遇なんかしてたまるか.
とっさに吠えながら柏手を打ち鳴らす.
気配が逃げる.
続いて安平がホイッスルを吹く.
ピーッ,ピーッ,ピーッ
気配の正体も行方も分からないまま戦々恐々と進みます.
これ戻った方がいいのかな.これだけで?けど,万一熊に狙われてるんなら。。どうしよう.
緊張しながら進むのも束の間,前方で気配の正体が姿を現しました.

サルでした.サルかいっ.
一族総出で木の実を食べつつ物見遊山を楽しんでいる様子.
子連れで何十匹もいました.
何か焦ったのが恥ずかしい.けど怖かった.
クマじゃなくて本当に良かった.


この日の締めは,北アルプスの中心に鎮座する針ノ木岳(2,821m).

天気がいいので,北アルプスが全て見渡せました.
後立山方面を見て達成感に浸ります.いやー思えば遠くに来たもんだ.
そして,これから歩く道を見て不安に陥ります.

。。。槍遠くね?分かります?
あそこまでを、たった4日で行きます。
そっから穂高縦走も続きます。
頭おかしいだろ.最高かよ.今日は早よ寝らんば.

最後の1ピッチで針の木小屋に向かいました.途中見かけた区画がテン場っぽかったので,小屋の受付は空荷で行こうと荷物をデポしてしまいました.ところが意外と距離がある上に,本当のテン場は小屋のすぐ前.回収しに登り返すはめになりました.疲れているからと横着をこくとこうなります.くそー.
この小屋のテン場はトイレが窓付きの絶景仕様.その名も槍見toilet.こっちは某山荘にある類似トイレの致命的なミスをしっかり克服していて安心です(笑)
テントも3~4人用を2人で使うので,めっちゃ広い.
やったぜ.快眠間違いなし.

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8月30日

翌朝,一座目は蓮華岳.
昨日の針ノ木でとてもきれいな山容が見えたので楽しみでしたが,あいにくのガスなので黙々と登りました.
両脇には無数のコマクサがいました.シーズン中にも来てみたいです.
山頂に着いた後,ガスが薄れたので色々写真を撮ろうと頑張りましたが,上手くいきませんでした.
まだ先が長いのでさっさと降りよう。。。
と思ったら何と何と,虹が出ました.
うおー----っっ!!

。。。けど写真で撮るとやはりイマイチ.
技術が要るんでしょうね.
安平も,自分を虹と一緒に撮ろうと頑張って,諦めてました.
光のアートは撮るのが難しい.

ここから,岩場を降りて,北葛岳を越えて,七倉岳を踏んで,船窪小屋に辿り着きました.
この日はずっと視界が悪くて足場が脆くて身体もきつくて道も低山みたいで,写真をほとんど撮っていません.特筆事項も思い当たらない.
というわけで,
あっという間に本日終了です.


この小屋がすごく良かった.
内部の写真が無いのが悔やまれますが,奥に囲炉裏と茣蓙があるんです.
入口には,我々の部室にもあるチベット仏教の旗.
玄関入って左手にはヒマラヤの地図.
売ってるバンダナのデザインも自分好み.
温かいお茶のサービスも下さいました.
天水で貴重だったはずなのに.
ありがとうございました.めっちゃ沁みました.
いつか泊りに来たい小屋が,また一つ増えた.
今日頑張った甲斐があったってもんです.

あと,この辺りから足の疲労が顕在化してきました.
実は数日前から膝も痛くて湿布を貼っていました.
天候悪化以外での途中下山は嫌だし,まだ予備軍なので,しっかりケアすれば治るはず.
原因は柔軟不足だと分かり切っていたので,テントで安平にならってストレッチをしました.

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8月31日

獲得標高に関してはおそらくこの日が核心.
今日も今日とて天気は曇天です.
けど雨じゃない.

まずは船窪岳と第2ピークを無心で突破しました.
この辺りも崩壊がひどくて歩くのが大変でした.

続いて,疲れた身体にムチ打って,不動岳の標高差300mを一気に登りました.
くじけて立ち止まりそうになっても,爆速で突き進む安平がそうさせない.気を抜けば見失いそう.あいつが先頭じゃなかったら,多分この辺りから,コースタイムを守れなくなってた.ほんとすごい奴です.
山頂付近は巨大な花崗岩が点在していました.昨日今日と低山のような道が多かったので,久々のダイナミックな景観で,ここが北アルプスだということを思い出しました.

 

そこからの下りでは再び虹に遭遇して元気をもらいました.いやっほーい.この旅の癒し.

 

その先に見える南沢岳は,個人的に好きな山容でした.南アルプスにはこれのデカい奴がたくさんいるんだろうなー.

ただし砂地が脆すぎて,ステップを刻みながら登らされました.何これ,雪山かな.きつくて徐々にイライラしていましたが,山頂が広くてきれいな庭園のような空間だったので直ぐに吹っ飛びました.

 

烏帽子田圃の雰囲気を楽しんで,

奇妙な形の烏帽子岳を拝んだら,裏銀座の起点である烏帽子小屋に到着です.

烏帽子岳は200名山なのでピストンして踏みたかったのですが,足の疲労が限界だったので諦めました.
小屋ではご主人の娘さんが中学時代に描いたという油絵のポストカードが,
経年劣化?を理由に無料配布されていました.
すごく綺麗な絵で,山でそういう楽しみ方をできるのを羨ましく感じました.

さて,ここから先は裏銀座で,いくつもの名山を辿りながら槍へと迫るわけですが,翌日の天気がやや荒れ模様な上に,私の脚も日に日に音を上げるのが早くなってきていたので,一度沈殿を挟むことになりました.

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翌朝の9月1日,元気な安平は朝早く雨足が強まる前に烏帽子岳をピストンしていました.

当人は疲れてると言うが、こいつの体力には底があるのか無いのかよく分からん.

俺も行けるかなーと,少し歩いてみたけど,筋肉痛で諦めました.

安平の帰幕後は,予想より強い雷雨に少しビビりつつ,穂高縦走を見据えて歩荷量を軽くするために,食料計画を見直しながら一部を消費します.
南西諸島付近で停滞していた台風11号が徐々に北上を始めたので,その動向にも注視しつつ就寝.

せめて槍は踏んで帰りたいなーというところで,旅の中盤戦は終了です.
以降は,9/2以降の裏銀座+穂高縦走に続きます.

 

To Be Continue…

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P.S.
因みに11/26の糸島4座の報告ですが,青木,外和田,山崎の3名で行いました.
うち2名の遅刻により,予定より遅めにスタート(ごめんなさい).
めちゃくちゃペースが良く,気づけば遅れを取り戻し,巻き始め,当初の予定より早く下山完了.
翌日以降3日間はしっかり筋肉痛でした.ほんとにいい練習だ.これ.
前述の北ア縦走で,針の木から烏帽子までの2日間を乗り越えられたのは,この練習のおかげもあった気がする.
けど,なんでこんなに速かったんだ?
我が部のラジオ的存在である山崎が終始,おしゃべりしていたおかげか.
静かな山行もいいが,賑やかなのも楽しくてありだな.
次はその調子で,あと5kgぐらい増やそうか(笑)


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