娼年

2008年07月10日 | 健康・病気
今夜は石田衣良の小説「娼年」(集英社文庫)のことを書こう。
この小説はかなりものすごい内容です。
なにしろ金持ちの女性が、若い男をお金で買う話だ。
でも、石田衣良の文章のせいか、清潔な話として読めた。

<女性だけではなかった。大学も友人も家族も、世のなかすべてつまらない。>
と思っている二十歳のリョウは、銀座の小さなバーでアルバイトをしていた。
大学にはほとんど行っていない。
ある日、会員制ボーイズクラブのオーナーの御堂静香から誘われ
“娼夫”の仕事を始める。
そして、いろいろな女性に買われ仕事をする。

<女性ひとりひとりのなかに隠されている原型的な欲望を見つけ、
 それを心の陰から実際の世界に引き出し実現する。
 それが娼夫の仕事だとぼくは考えるようになった。>
仕事を続けていくうちにリョウは、“娼夫”という仕事に前向きになり、
いつしかVIP専用の娼夫になっていく。

リョウの気持ちがわかるような気がする。
もし、二十歳の私にそのような仕事があったら私もしてみたいと思う。
いや、彼のような容姿もテクニックもない私にはむりな話か。

御堂静香と娘の咲良のことがちょっと理解できない。
むかし、御堂静香は売春婦をしていた。
その母親を見て育ち自分も客をとるという。
そう思う娘も、そうさせる母親もいるのだろうか?
会員制ボーイズクラブというものをつくるためには、
そういう設定が必要だったのかも知れないが、少しむりがあると思う。

それはそれ、私は興味深くこの小説を読んだ。
みなさんはどう思うのだろう。

コメント
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