修理を待ちながら 2

2005年09月21日 | 健康・病気

訊くと、3代目の前職はパン工場でパンを作っていたという。
工場のラインの一部になり、
毎日パンを作っていることが嫌になり、営業マンになったらしい。
「車売れてるの?」と訊くと、「売れないですね」という。
「ホンダにこれだ、という車種もないですから」
「他のメーカーに行っちゃうのかな」
「そうですね。でも9月は半期の締めなので
 売らないといけないんです」
「いや、おれはダメだよ。金ないから今のを長く乗るんだから」
「分かってます」
そうはっきりいわれると、ちょっと寂しい。

去年まで車の営業マンは、駐車場に停めてある車を見て、
車検がいつまでとか調べて、営業活動していた。ところが、
個人情報保護法によりそれをやってはいけなくなった。
「営業もやりずらいですよ。店で待ってるしかないんです。
 まっ、それなりに会社のデータを元にして営業してますが、
 ダイレクトメールを入れておくぐらいしかできないんです」

「パン工場に戻りたいと思わない?」
「それはないです。工場での全体責任みたいのが嫌なんです。
 営業は、わたし個人の責任ですから」

去年、あまり感じよくないと思った彼がかわいくなった。
修理がなかなか終わらなかった。
1時間半かかった。それまでの間、
私は昔、求人広告の営業をした苦労とか、
それからいくつも転職したこと、などを話した。
双子の息子のことも喋った。
現在の作業所での仕事のことも話した。

私が、半生を話し終わった頃、
「修理終わりました」と整備士が来た。

コメント
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