Luna's “ Life Is Beautiful ”

その時々を生きるのに必死だった。で、ふと気がついたら、世の中が変わっていた。何が起こっていたのか、記録しておこう。

TPP 国民と国会議員が知らなければならないほんとうのこと (1)

2013年03月13日 | 反アメリカンスタンダード宣言






毎日新聞の大阪版2013年3月18日付朝刊一面に、こんな記事が掲載されていた。


「毎日新聞世論調査:TPP交渉、支持63% 内閣支持、70%に上昇」


会社の食堂で読んだから今は手元にないので正確には書けないが、2面には、1500世帯ほどにランダムに電話をかけ、六十数パーセントの有効回答を得た、という。およそ1000人弱だ。

内訳は、
「毎日新聞は16、17両日、全国世論調査を実施した。安倍晋三首相が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加を正式表明したことについて
「支持する」との回答は63%で、
「支持しない」の27%を大きく上回った。
 安倍首相の経済政策により、景気回復が
「期待できる」と答えた人は65%に上り、
「期待できない」は30%にとどまった。
安倍内閣の支持率は70%に達し、2月の前回調査から7ポイント上昇。
「支持しない」は5ポイント低下し、14%だった。


 TPP交渉参加の支持は30代以上の世代で6割前後に及び、不支持を上回った。一方、20代では不支持が50%を占め、支持の47%と逆転。市場開放で雇用機会が奪われることに警戒感もうかがえる。地域別にみると、北海道の不支持は53%に上り、支持40%より高い」。

 

 

みなさん、こんな数字を見せられて、「ああ、TPPは参加がトレンドだな、ま、いいか」などと思わないでください。「世界」の今月号に、ずっとTPPの危険性を訴え続けてこられた鈴木宣弘東京大学助教授の魂を絞り出すような訴えが掲載されています。今回、それをご紹介します。


まず、世論調査の数字をどう読むかについて、鈴木助教授はこのように述べておられます。

 

 

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各種世論調査では、TPP推進の声が多いかのように出ているが、人口の4割が集中する首都圏中心に行われる、わずか1000人程度の世論調査の結果は誤解を生む。首都圏の人口を支えているのも、北海道から沖縄までの全国の地域の力である。人口は都市部に多くても、単純に人の数だけで評価されるべきではない。


全国の多くの地域がTPPに反対している。都道府県知事で賛成と言っている方は6人しかいないし、都道府県議会の47分の44(44/47)が反対または慎重の決議をし、市町村議会の9割が反対の決議をし、地方新聞紙はほぼ100パーセントが反対の社論を展開している。


だから、都道府県ごとに世論調査をして47の結果を並べてみれば、圧倒的に反対の声が大きいはずである。だからこそ自民党議員の6割以上がTPP反対を唱えているのである。


しかし、このような全国各地の地域社会の声が、東京中心のメディアの発信では伝わらない。全国の真の声を共有しなくてはならない。

 

 

 

(「世界」2013年4月号/ 「許しがたい背信行為」/ 鈴木宣弘・著)

 

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現に、安倍首相の参加表明後、山形県では850人の反対集会が行われた。毎日新聞の世論調査の賛成派600人ほど(1000人中の60パーセント強)よりも多い人数だ。第一、大手新聞社は企業役人サイドに立った情報しか流さないのに、国民がどうして正確な判断を下せるだろうか。鈴木助教授は国民に隠されてきた情報をいくらか紹介してくださっている。

 

 

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安倍総理は、オバマ大統領から「聖域なき関税撤廃を前提としないことを明示的に確認した」としているがしかし、共同声明は、「全品目を対象として、高い水準の協定をめざす」ことを確認したうえで、「交渉に入る前に全品目の関税撤廃の確約を一方的に求めるものではない」と形式的には当たり前のことを述べているだけで、「例外がありうる」とは言っていない。

 


「早く入れば交渉が有利になる」、「交渉力で例外も作れるし、嫌なら脱退すればいい」というのもきわめて困難である。そもそも米国は、「日本の承認手続きと言9か国による協定の策定は別々に進められる」と言っている。最近、米国がメキシコやカナダの参加を認めたときも、屈辱的な「念書」が交わされ、「すでに合意されたTPPの内容については変更を求めることはできないし、今後、決められる協定の内容についても口を挟ませない」ことを約束させられている。つまり、日本がどの段階で交渉に参加しようが、法外な「入場料」だけ払わされて、ただ、できあがった協定を受け入れるだけで、交渉の余地も、脱退で逃げる余地もない。

 


共同声明では「自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項」について日本が早急に「入場料」を支払うよう明記された。「その他の非関税措置」についても対処を求められた。例外品目確保の保証を得られず、「入場料」だけを一方的に求められるようなものだ。この「入場料」交渉については、国民にも国会議員にも隠されてきたが、今回の共同声明で「公然の秘密」になった。国民には「情報収集のための事前協議」とウソを言い続け、水面下では、自動車、郵政、BSE(狂牛病)の規制緩和など、米国の要求する「入場料」に対して必死で応えようとする裏交渉を進めてきた。

 

 


(上掲書より)

 


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一番めのことについては、わたしたち素人でも見当がついていました。二番めについては、安倍さんは交渉作りリードも撤退もできないことを知っているのです。それはこのあと引用する「しんぶん赤旗」の記事にある安倍首相の反応を読めばわかります。三番めについて、みなさんはどう思われたでしょうか。「保険部門」の規制撤廃を「入場料」として決めるようにという交渉が、アメリカの要求にこたえようとする方針で裏で進められてきており、それが国民と、そして国会議員から隠されてきた、というのです。いったい、TPP導入を推進しているのはだれなんでしょう。


みなさん、日本を愛する人たち、右翼の人は読みたくない「世界」ですが、この記事と続く孫崎さんの記事だけは目を通してください。買うのが嫌なら図書館で読むなどして。この記事と孫崎さんの記事はつづけてわたしのブログで紹介してゆきます。


以下、しんぶん赤旗の記事2本を引用しておきます。

 

 


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■首相“合意ずみルール変更できぬ”

 


 安倍晋三首相は会見で、「TPPが目指すものは太平洋を自由にモノやサービス、投資などが行き交う海とすることだ。世界経済の3分の1を占める大きな経済圏が生まれる」と強調。中国、韓国、インドネシアなどアジアの主要国がTPPに参加していないことには触れず、「日本だけが内向きになったら成長の可能性もない、優秀な人材も集まらない」とし、「アジア太平洋の未来の繁栄を約束する枠組み」とTPPを絶賛しました。


 安倍首相は、農業や医療保険制度などへの深刻な影響が懸念されていることに対しては、「だからこそ衆院選挙で聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉参加に反対すると明確にし、国民皆保険制度を守るなど、五つの判断基準を掲げた」と強弁。交渉参加表明によって公約を踏み破っているという批判には耳を貸さず、「交渉力を駆使し、守るべきものは守り、国益にかなう最善の道を追求する」とのべるだけで、何の担保も示しませんでした。しかも、「すでに合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは厳然たる事実」と述べ、不利益な条件を受け入れざるを得ないことを認めました。


 また記者団から、「国益に反する場合、交渉から撤退するのか」との問いに明言を避けました。

 安倍首相は、TPPの意義は経済効果だけにとどまらないとし、「同盟国である米国と共に、新しい経済圏をつくる。そして自由、民主主義、法の支配といった普遍的価値を共有する国々が加わり、アジア太平洋地域における新たなルールを作り上げていく」と述べました。

 

 

 


■安倍首相のTPP交渉参加表明に強く抗議し、撤回を求める
日本共産党幹部会委員長 志位 和夫
   

 


 一、本日、安倍首相は、TPP交渉参加を表明した。安倍首相は、交渉のなかで「守るべきは守る」などとしているが、いったん参加したら「守るべきものが守れない」のがTPP交渉である。日本共産党は、安倍政権にたいし、TPP交渉参加表明を行ったことに抗議するとともに、参加表明の撤回を、強く求めるものである。


 一、TPP交渉で、「守るべきものが守れない」ことは、さきの日米首脳会談と共同声明からも明らかである。安倍首相は、日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」というが、これは国民を欺く偽りである。


 首脳会談で発表された共同声明では、「TPPのアウトライン」に示された「高い水準の協定を達成」する――関税と非関税障壁の撤廃を原則とし、これまで「聖域」とされてきたコメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産物などの農林水産品についても関税撤廃の対象とする協定を達成することを明記している。「聖域なき関税撤廃」をアメリカに誓約してきたのが日米首脳会談の真相である。


 国民皆保険、食の安全、ISD条項など、自民党が総選挙で掲げた「関税」以外の5項目についても、安倍首相は一方的に説明しただけで、米側から何の保証も得ていない。TPPに参加すれば、非関税障壁の問題でも、アメリカのルールをそのまま日本に押し付けられることになることは、明らかである。


 一、さらにTPP交渉では、新規参入国には対等な交渉権が保障されず、「守るべきものを守る」交渉の余地さえ奪われている。

 昨年、新たにTPPに参加したカナダ、メキシコは、
(1)「現行の交渉参加9カ国がすでに合意した条文はすべて受け入れる」、
(2)「将来、ある交渉分野について現行9カ国が合意した場合、拒否権を有さず、その合意に従う」、
(3)「交渉を打ち切る権利は9カ国にあって、遅れて交渉入りした国には認められない」
――という三つのきわめて不利な条件を承諾したうえで、参加を認められたと伝えられている。日本政府も、この事実を否定できず、安倍首相は、「(交渉参加条件は)判然としない」「ぼやっとしている」と、真相をごまかす答弁をおこなっている。


 「ルールづくりに参加する」どころか、アメリカなど9カ国で「合意」したことの「丸のみ」を迫られるのがTPP交渉である。


 一、今回の交渉参加表明は、自民党の総選挙公約――「聖域なき関税撤廃を前提とするTPP交渉に反対する」「関税以外の5項目でも国益を守る」――を、ことごとく踏みにじるものである。国民への公約を踏み破るものがどういう運命をたどるかは、前政権が示していることを、自民党は銘記すべきである。


 日本共産党は、農林水産業、医療、雇用、食の安全など、日本経済を土台から壊し、経済主権をアメリカに売り渡すTPPの実態を国民に広く知らせ、TPP参加反対の一点で国民的共同を広げるために、力を尽くす決意である。

 

 

 


しんぶん赤旗2012年3月16日、17日付より


 


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