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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

モンロー主義とアメリカ・・・孤立が守る利益

2016-04-13 06:28:00 | 時事/金融危機
 

■ モンロー主義 ■

今でこそ「世界の警察」としてあちこちで紛争の火種を振りまくアメリカですが、第二次世界大戦以前は「不干渉政策」を取っていました。

宗主国として南米諸国に鑑賞するヨーロッパ各国に対して、「アメリカはヨーロッパに干渉しない、従ってヨーロッパもアメリカ大陸に干渉するな」というのがアメリカの主張で、1823年に当時のジェームス・モンロー大統領が教書演説でこの主張を打ち出した事から「モンロー主義」と呼ばれています。

この当時、中南米諸国はヨーロッパ大陸からの独立の気運が高まっていました。これに対してヨーロッパの宗主国は干渉しますが、アメリカはそれをアメリカに対する敵対行動だと見なすと表明する事で、中南米の独立運動を支持します。イギリスの自由党もこれを支持していたので、「モンロー主義」は実は大英帝国の戦略の一環であったとも考えられます。

当時のヨーロッパは絶えず戦争を繰り返していました。特に近代国民国家の成立以降は、戦争は職業軍人同士の戦闘から、国民同士の戦闘と変化し、その規模も拡大します。帝国主義の時代、国家間の利権の争いは戦争によって解決されていましたが、その結果戦争は大規模化し第一次世界大戦へと発展します。

モンロー主義を打ち出していたアメリカはヨーロッパの戦争に「不干渉」を貫き、戦争に巻き込まれる事を巧妙に避けていました。一方でヨーロッパの戦火を逃れた人々は移民としてアメリカや南米に渡り、豊富な労働力を提供します。

「モンロー主義」は第二次世界大戦前夜まで継続します。ヨーロッパではナチスドイツが台頭し、フランスが占領されイギリスも空襲に遭います。連合国はアメリカの参戦を望みますが、アメリカの世論はモンロー主義の継続を望みます。要は他国の戦争に巻き込まれる事を嫌っい、戦争による漁夫の利を求めたのです。

この気運を一変させたのが日本軍による真珠湾攻撃です。卑怯な奇襲攻撃に対し、アメリカの世論は「好戦的」に変化します。当時、ルーズベルトは真珠湾攻撃を事前に知っていたと言われていますが、あえて攻撃させる事でアメリカの参戦の切っ掛けとしたのです。

■ モンロー主義に回帰するアメリカ ■

第二大戦後によって荒廃した大陸ヨーロッパとは対照的に、本土が無事であったアメリカは戦後復興の好景気もあって一気に覇権国家となります。ブレトンウッズ会議によって基軸通貨がポンドからドルに変更されたのもこの時期です。

その後アメリカは「世界の警察」として積極的に軍事行動を展開しますが、ベトナム戦争を例に取るまでも無く、その目的は「社会主義の拡大の阻止」でした。その後、冷戦の終結と共に中露とイデオロギー戦争は一旦幕を閉じ、それに代わって「宗教の戦争」が始まります。中東を中心に「キリスト教 VS イスラム教」という新たな対立軸が生み出されたのです。

「宗教の戦争」はISとの戦闘という形で現在も表向きは継続していますが、アメリカ軍はISへの攻撃にあまり積極的ではありません。むしろISと共闘してアサド政権の崩壊を画策していましたが、流石にロシアがこれを許しませんでした。

一方、アフガニスタン、イランの米軍は撤退しており、オバマ政権の元、アメリカは徐々に中東地域から軍を撤退させて来ました。

共和党のドナルド・トランプ候補が「日韓はアメリカに頼らず独自に自国を守るべき」と発言していますが、1990年代後半から進められている「米軍再編=トランスフォーメーション』計画では、在韓米軍は2016年に撤退、沖縄海兵隊もその多くがグアムとオーストラリアに移転する事が予定されており、その準備も着々と進めらて来ました。

「オバマの弱腰外交」と揶揄されていますが、米軍自体が世界から撤退を始めているのです。ただ、国内的に「撤退」は印象が悪いので、「平和」的な印象の強いオバマを大統領とする事で国民の支持を保っています。

世間では「平和的なオバマ」と「軍産複合体やネオコンと癒着した好戦的なヒラリー」という対立軸で語られますが、ヒラリーはアメリカの外交を決めるシンクタンク「外交問題評議会(CFR)」のメンバーです。米軍再編の動きはCFRが主導するものと思われますから、オバマ対ヒラリーというのも国民や陰謀論者向けのポーズに過ぎません。

■ さらにモンロー主義的はトランプ ■

ドナルド・トランプ氏は選挙戦で「アメリカは世界の警察を辞めるべきだ」と主張しています。軍事予算が財政を圧迫する状況で、この主張は国民に支持されています。

現代のモンロー主義とも言えるトランプ氏の主張ですが、「平和主義」では無く「実利主義」が色濃い発言で、アメリカ国民も自分達の血税が他国の平和を守る事に使われる事を嫌っているだけとも言えます。

こうなると「軍産複合体が黙っていないだろう」というのが大方の陰謀論者の見方で、大統領選挙ではヒラリーに相当肩入れして、トランプ陣営を邪魔するはずだと予測します。

■ 軍事的空白の後には紛争が発生する ■

少し冷静に考えると分かるのですが、実は米軍という強大な軍事力が撤退した後には「混乱」が訪れこそすれ、「平和」がやって来る事はありません。

これは旧社会主義国の政権が崩壊した後に、旧ソ連や東ヨーロッパ諸国が民族間で分断され、戦闘が始まった事でも予測が着きます。

アメリカ軍は現在世界から撤退する一方で、その地域の軍事的、社会的バランスを崩してからそこを去っています。

リビアでも、イラクでも、そしてシリアでも、それまで安定していた「独裁」を壊し、さらに戦乱で国土を荒廃させてから軍を引き上げています。後に残されたものは「部族間対立」と絶える事の無い内紛です。この様に中東では、かつてイスラエルと敵対していた「独裁国家」は見事に無力化されてしまいました。

最後に残るのはイランとサウジアラビアですが・・・・アメリカはサウジアラビアと関係を徐々に薄めています。サウジとイランが対峙して双方が動きが取れない状況がイスラエルにとっては最も好ましいとも言えます。

■ アジアの置き土産 ■

アメリカは日本や韓国といった極東地域からも撤退を予定していますが、ここでも中東同様に対立の芽を残しています。

北朝鮮に核技術の供与したのはアメリカですが(6か国協議を無効化した)、これによって南北朝鮮の統合は永続的に妨げられます。

一方、尖閣諸島や南沙諸島での中国の台頭を見逃す事で、中国との新たな対立の火種を育てています。

在日米軍、在韓米軍、第七艦隊がアジアでの影響力を弱めた場合、日韓やASEAN諸国は軍備を増強して中国やロシアと対峙せざるを得なくなります。

アメリカ人の血税で軍隊を派遣する余力が無くなったので、自分達でお金を出して自国を守れと言う事です。但し、兵器はアメリカから買ってね・・・という注文が付くでしょう。そして安価で確実な「核武装」をアメリカは許しません。

■ 「核軍縮」に逆行する北朝鮮 ■

ケリー国務長官が広島を訪問するなど、オバマ政権は「核軍縮」を積極的にアピールしています。しかし、「核軍縮」を進めれば進める程、核兵器開発を続ける北朝鮮やイランは「悪者」のレッテルが貼られてゆきます。

オバマは「平和主義」の仮面を被っていますが、実は彼が平和を叫べば叫ぶ程、世界は不安定な状態に陥ります。

ここら辺はCIAの出先機関の北朝鮮ですから阿吽の呼吸で動いているのでしょう。

■ 世界の戦乱によって利益を生み出す「モンロー主義」 ■

アメリカがかつて打ち出した「モンロー主義」は一見平和主義の様に見えますが、その実は他国の戦乱から利益を生み出す政策です。

アメリカは運が良い事に、世界の他の大国とは海によって隔てられています。ですから、世界の戦乱が飛び火し難い。

モンロー主義は、戦火から離れた高台に立って戦争によって生まれる利益機会を伺う政策と言えるのでは・・・。

トランプの台頭は、実はヒラリーが大統領になるよりも「怖い」のです。

円高=日本売り

2016-04-08 06:51:00 | 時事/金融危機
 

「そろそろアベノミクスも終わりだな」

「円安タイムも終了だ」

「しかし日本株は楽でいいよ」

「そうそう、薄商いの中で買えば株価は戻るし、そこで売れば公的資金が買ってくれる」

「まさにATMだな」

「しばらくは円高で為替差益も享受できるしな」

「G20で為替介入には釘を刺したから、やりたい放題だよ」

「しかし、日本人の年金が簡単に手に入るとはアベには感謝してもし切れないな」

「良く日本の国民が黙っているな?」

「GPIFの損失は参議院選挙後まで発表しないらしい」

「そんなミエミエの手に日本人は騙されるのか??」

「まあ、国民なんてメシが食えている間はおとなしいもんさ」

「アメリカだって大差無いさ。フードスタンプ万歳だ」

「我らにカネを、民衆にはメシを・・・だな」





GPIFの収支の発表が参議院選挙後になると報道されています。当然、選挙に影響が有るからですが、街行く人に「GPIFって知っていますか」と効いても半分の方は???でしょう。

ネット社会になったとは言え、大方の国民はTVのニュースで流される情報を信じています。そしてTVが「キャンペーン」を打たない事件は、社会を揺るがす事は有りません。

さらに国民は身近で生活感のある情報には反応します。「保育園落ちた」には過剰に反応しますが、「GPIF」の損失には関心が有りません。


尤も、異次元緩和やマイナス金利政策で、日本国債を大量保有する事自体が「リスク」となった現在の日本では、年金の積立金も、ゆうちょ、かんぽの資金も、そして地方銀行や信用金庫も生命保険各社も、「国債の大量保有=リスク」になってしまった事は国民に説明されていません。


財務省と金融庁、そして政府は「日本国債保有=リスク」となる事を前提で行動していますから、GPIFの運用比率を事前に調整したり、金融庁を通して中小の金融機関の国債離れを盛んに促して来ました。

しかし、国債から引き剥がされた資金が融資に向かうかと言えば・・・どうやらそうはならない様です。とりあえずアベノミクスの期待感が拡大する間は株式市場で運用されていましたが、短期的には外国人が安全に日本株を売り抜ける資金となっています。

では、年金の日本株の運用が悪手かと問われれば、私はNOと答えます。日本国債は将来的に金利上昇で確実に損失を産みますが、株は長期的には「円の信用喪失」に反比例する形で値を上げるはずです。


ただ、悔しいのは、日本人の資産がミスミス外国人の手に渡る事・・・・。日銀が思いっきり為替介入して彼らの肝を冷やしてやればイイのにと思うこの頃ですが、そんな勇気は黒田総裁にも安部首相にも有る訳が有りません・・・。

オフレコ流出?

2016-04-05 11:34:00 | 時事/金融危機
 

「マイナス金利まで導入して何で円高が止まらないんだ・・・」

「それは皆んな日本の資産を売りたいからさ、円が本当に安くなる前に売れって事さ」

「円が安全資産だからじゃないのか・・・」

「当たり前じゃないか。日本国債に何か仕掛けが無いか注意した方がいいぞ!」

「確かに、外国人投資家が買い増しているが、為替で利益が出るからじゃないのかい?」

「今、一番攻撃しやすいのが日本国債さ、なんせ金利がチョコっと上昇に転じれば・・」

「日銀には勝てんだろう・・」

「先物市場が曲者なのさ」

「選挙までは大丈夫だろうか・・・・」

「そこら辺は彼らもわきまえてるさ、逆らっちゃいけないのは誰かは分かっているさ」

「少なくとも、私で無い事は確かだな・・・。」

「あんたは良くやってくれたよ。感謝している」


・・・こんなオフレコの会話を妄想してしまう今日この頃・・・。

金融政策の限界・・・高度に発達したグローバル金融の元では金融政策は無効化される

2016-04-05 09:24:00 | 時事/金融危機
 

■ 日銀の異次元緩和は何故失敗したのか? ■

クルーグマンが来日して自民党の勉強会で「増税すべきでは無い」と発言した事が新聞の記事になっている様ですが、実か彼はこの勉強会で次の点を指摘した。


http://blogos.com/article/170289/より引用

(1) 経済の弱さは世界中に広がっている。多くの面で今は、我々はみな日本なのだ(In many ways, we are all Japan now) 。その結果、日本を含めて難しい経済運営に直面している。

(2) 主要国どうしの経済の結び付きが強い。その結果、資本の出入りが激しい。

(3) 大胆で非伝統的な金融政策をもってしても目的の実現が難しい。

(4) 金融政策だけでは不十分で財政出動が必要だ。

<引用終わり>


「緩和の規模が足りない」と主張していたクルーグマンやバーナンキですが、どの口が言うか・・・と飽きれるばかり。彼らは以前は下記の主張をしていました。

1)0金利でも回復しない経済では従来の金融政策は効かない(ゼロ金利の罠)

2)金利が0でも高すぎるので実質金利をさらに下げて景気刺激する必要が有る

3)大規模な金融緩和によって「期待インフレ率を引き上げ」ればインフレを生み出せる

4)インフレが達成されれば実質金利は0以下となるので資金循環が活性化される

5)資金循環が活性化されれば景気回復のポジティブなサイクルが回り出す


リフレ派の主張は「異次元緩和」と言う日本の経済実験によって見事に否定されたのです。尤も、クルーグマンは以前より「日本の人口動態は酷すぎる」と指摘し、異次元緩和が失敗に終わるであろう事も示唆していたので、「嘘つき」のレッテルを貼られる事を巧妙にヘッジしています。

■ リフレ派的なケインズ理論 ■

クルーグマンらリフレ派の面々はリフレ政策のみでは先進国の景気が回復しない事が判明すると、次の様に主張し始めました。

1)成長力の低下した先進国で不足する需要は金融政策だけでは補えない

2)これはリフレ政策で実質金利を下げても未だ金利が高すぎるからだ

3)この様に極端に需要の低下した経済では財政政策で需要を直接作るしか方法は無い

4)先進国の政府は緊縮財政を止め、財政を拡大して需要創出に励むべきだ

リフレ派がケインズ派に豹変した訳ですが、リフレ派は別に財政政策の効果を否定していた訳では無いので、彼らにしてみれば「実質金利を低下させる方法を追加しただけ」と答えるでしょう。

要は、リフレ政策という大きな集合の中の一つにケインズ政策も含まれるのです。(彼らの脳内では)

■ リフレ政策の最大の効用は国債金利の低下だった ■

ここで、注目すべきは「財政拡大しても財政負担が掛らない状態」に世界が在る事では無いでしょうか。実はリフレ政策の現実的な効果は、国債金利を極限まで低下させる事として現れています。欧州も日本も短期国債や、コール市場の金利がマイナスにまで低下しています。

欧州各国(特にドイツや北欧諸国)、日本は短期的には財政負担を気にせずに財政を拡大する事がで行きます。

なんだか三橋信者の勝ち誇った顔が見えそうでイヤな気分がします。

■ 緩和規模や財政規模の拡大が足りなかったのだ?! ■

では、はたして財政拡大が少子高齢化が進行する日本の景気を回復させる事が出来るでしょうか?

1)政府が支出を拡大して公共施設やインフラを整備、或いは公のITインフラを整備する

2)政府が補助金や助成金を出して民間のビジネスをサポートする

3)政府が国民に○○手当を支給し、直接お金を配る

財政が財政を拡大して民間にお金を配る方法は上記の三つの方法が有ります。

アベノミクススタート時に自民党が集票に使った「国土強靭化」が1)に相当します。
「ふるさと創生補助金」は2)に相当します。民主党の「こども手当」は3)に相当します。

いずれにしても国民にお金を配れば、当然使うでしょうから、その分消費も増え、GDPも拡大します。当たり前の事です。

これらの政策は日本はバブル崩壊後から継続して行って来ました。しかし、景気は回復していません。クルーグマンら「変質リフレ派」や「三橋教」(最早区分が難しくなった・・・)は、「規模が足りなかったのだ」と主張するでしょう。

確かに今日の生活にも困る人達は貰ったお金は直ぐに使います。スーパーの298円の弁当が半額になるのを待っていた人達は、吉野家で暖かな牛丼を食べれるかも知れません。お兄ちゃんのお下がりのランドセルで入学式を迎えようとしていた1年生は、新しいランドセルを買ってもらえるかも知れません。こうした「少しの贅沢」が蓄積すれば、消費は若干は上向くでしょう。

■ 最大の問題は「賃金の上昇」が起きない事・・・生産性が上がらない理由■

では、これで企業が設備投資を拡大する程消費は増えるでしょうか?答えはNOです。

最大の問題は企業は財政拡大の継続性を疑いますから容易に設備投資を拡大しませんし、雇用を拡大して固定費を増やす事もしません。

「生産性が上がれば賃金は上昇する」という意見も良く聴きます。しかし、少子高齢化で経済の規模が縮小する日本で起きている事は「生産性を低下させて雇用を増やす」事です。要は限られたパイを奪い合う為に過剰な競争が起きており、失注する仕事に多大な労力が割かれ、商品やサービスは適正価格より相当低い価格で提供されます。

「労働生産性の低さ=ワークシェアリング」ではありますが、「低い生産性=低賃金=ブラック企業」という悪循環を生み出しています。

1)将来縮小する需要を見越して企業は投資を控える
2)固定費となる正社員の雇用を拡大せずに非正規雇用を拡大する
3)無理が生じる所は、非正規の安い雇用を拡大するか、長時間労働で切り抜ける

日本の企業の多くがこの悪循環から抜けられずに居ます。そして現在起きているのは非正規雇用の人材の不足です。

■ コストカットが正義とされる社会で「賃金の回復」は実現しない ■

現在企業は「優秀な非正規雇用」を血眼になって探していますが、若年労働人口の減少でそれが手に入り難くなっています。本来ならば「賃金を上げ」て労働力を確保すべきですが、赤字ギリギリの経営が続いていれば、それは不可能です。

そこで企業は「もっと安い非正規雇用」を奪い合います。外国人労働者や、能力の低い労働者やの奪い合いが始まっています。

現在、東京の安い居酒屋でフロアーに日本語の通じる店員は少なくなっています。注文は液晶画面をタッチして済ませいます。或いはメニューを指さして、一つとか二つとか言いながら指をその数だけ立てれば大抵通じます。

建築現場でも「労働力の不足と労働者の質の低下」が大きな問題になっていますい。団塊の世代が抜けた後、それを補う事が出来ないのです。特に現場の作業員(職人さん)や、現場管理の人材が不足しています。(設計は足り過ぎていますが・・・)特に、現場監督を派遣の人材で済ませ様とした場合、派遣会社が中抜きをするので、派遣される人材のレベルも労働意欲も非常に低くなります。

これIT企業でも起きている事で、結局孫請け、ひ孫請けから人材が派遣される為、企業が支払う金額よりも相当に能力が劣る人材しか現場には来ません。結果的にシステムトラブルが頻発する様になります。


この様に「欧米型経営」が浸透した社会においては、需要の拡大が賃金の上昇に結び付き難いという現象が生まれます。ケインズ理論の根底に有る労働力不足からの賃金上昇を足掛かりにした景気回復が起こり難くなっているのです。

■ グローバル競争が解消する「偏差」・・・フラット化する世界 ■

現在日本の経済は内需型です。しかし、内需の多くを外需が支えている事も事実です。経済は無から有を生み出す事は出来ません。日本が完全に内需だけで成り立つ為には、自然がもたらす恵み(農業、漁業、林業)と天然資源が日本の消費を満たすだけ存在しなければなりません。それこそ、国内だけで経済を回したらGDPは明治時代以前に縮小してしまいます。

日本は「加工貿易」という外需型産業で外貨を稼ぎ、それで海外から食糧や品物を輸入している点は昔も今も変わらないのです。

確かに高度成長期に蓄えたストックによる「所得収支」も無視できない額に達しているので単純に外需依存では無いにせよ、輸出額の減少や、貿易収支の赤字化は確実に日本の国内経済(消費量)を減少させて行きます。

本来ならばインフレが発生して通貨が下落し始めるのですが、日本の場合は少子高齢化によって需要が縮小しているので、輸出量の低下が経済に与える影響は見えにくくなっています。

しかし、新興国のキャッチアップによって日本の輸出製造業は確実に衰退し、それは下請けの利益減少など内需にも確実に影響を与えています。これらが循環する形で、日本のサービス業を含めた内需産業の利益は圧迫され、結果的に「賃金上昇」を抑制します。

この様にグローバル化がもたらす「生産性の向上=製造コストの削減」は日本やアメリカやヨーロッパの先進工業国の利益低下の形で、これらの国のGDPの拡大を抑制してきました。これらの国では製造業からサービス業へのシフトが起きていますが、サービス業の労働生産性は製造業のそれに大きく劣るので、結果的にGDPを抑制します。

現在先進国が直面している「需要不足」の原因は、先進国が製造業からサービス業中心の経済になって労働生産性が低下した事による所得低下にその原因を求める事が出来るのではないでしょうか?


■ グローバル金融で利益を奪い合う時代 ■

先進諸国は「生産」や「労働」で効率的に富を拡大出来なくなったので、新たな手を考え出します。それが「グローバル金融システム」です。


1)先進国内で国民から投資という名目で資金を集める
2)集まった資金を新興国や途上国に投資する
3)新興国や途上国の経済が発展する
4)新興国や途上国で新たに生まれる富を資本を通じて吸収する

イギリスは第二次世界大戦後に覇権国家の座をアメリカに譲りますが、アメリカはかつてのイギリスの殖民地ですから、ドルを通じてアメリカに集まる富は資本を通じてイギリスに還流します。

この様に、グローバル金融システムは、庶民のお金をイギリスに還流させる装置とも言えますが、その中でドルの果たす役割は極めて大きな物があります。

■ 円もユーロもドルに変換される事でアメリカやイギリスに富を運搬する ■


1)ヘリコプターマネーとして政府が日本国民にお金を配る(財政拡大とバーター)

2)資金は国内の経済活動の結果、貧困層から比較的富裕層(老人など)の手に渡る

3)消費を超える分の資金は預金や投資を通じて金利の高い海外に引き寄せられる


FRBは金利を正常化しようと必死ですが、日本とアメリカの金利差が拡大すれば資金は一気にアメリカに流出します。リーマンショック前や、昨年はこの流れが顕著でした。円キャリートレードの拡大により円安が加速するので、為替差益を求めてさらに資金は海外に流出します。


■ 日本やヨーロッパが財政赤字を拡大した分はアメリカ(イギリス)が儲かる ■

先進各国の需要の低下は、新興国の輸出不振をも引き起こすので確かに全世界の問題です。

しかし、一方で、リフレ政策でばら撒かれたお金がグローバル金融システムを通じて誰かの手に渡った事で、実体経済にほとんど影響を与えられなかった事と同様に、ヘリコプターマネーも各国の国内景気(需要)を本格的に回復させる事は出来ずに、お金は金融システムを封じて誰かの手に渡るのでしょう。


クルーグマンは嘘はついていませんが、しかし本当の事も言ってはいません。


そもそもマクロ経済学は、景気回復の解答など与えてくれないのかも知れません。私達の実生活の豊かさは、昔も今も、額に汗して得た労働と、子供を生み育てる事で受け継がれてきたものです。

そうして生み出された富を、「マクロ経済学」という魔物が「金利差」を利用して収奪して行く。私には現在の世界はその様に見えてなりません。


そして「資本」という怪物は、「需要創出」や「生産設備の破壊によるリバランス」の手段として「戦争」を好む傾向に有る事に、私達は十分な注意が必要なのだと思います。


<追記>

マクロとミクロを同列で語るなとの指摘はあるかと思いますが、マクロ経済学は「人」をあまりにも軽視し過ぎているのでは無いかと感じています。

物理学で言うところの「理想気体」で議論が進められている気がしてなりません。実際の物理学においては「非線形」の現象は外に多く、経済においても「パニック」の発生で、「相」や「系」そのものが変化する事は往々にして発生します。

「ショック」や「パニック」は市場には付き物ですから、それを上手く利用すれば莫大な利益が得られます。中央銀行はバブルを抑制する事は出来ませんが、それを思い通りのタイミングで潰す事にかけては昔から天才的です。

陰謀論的には彼らこそ黒幕なのです・・・。

シングルスピードで箱根は登れるのか?・・・脳内箱根駅伝から逃げる?

2016-04-03 06:00:00 | 自転車/マラソン
 




■ そうだ、箱根に行こう ■

私、昨日気になってしまったんです。
シングルスピードで箱根駅伝から逃げられるかぁてーー

そこで、試してみました。

例年、1月2日に行われる勝手イベント「箱根駅伝から逃げる」。足に自信のある自転車乗り達が東京大手町を箱根駅伝の1時間前に出発して、箱根の国道1号線の最高到達点まで、交通規制が掛る前に到達する事を目指す遊びです。

私も昨年は勝手に走りましたが、先行する自転車を渋滞する道で抜き続けるのは危険。
そこで、今年は自粛しました。
しかし、自転車乗りたるものヤビツ峠を制したならば、次は箱根と決まっている。
箱根はヤビツよりも標高も高く斜度も高い、ワンランク上の存在です。


そんなこんんなで、チャレンジしてみました。「脳内駅伝から逃げる2016」

雨予報だったのでのんびりと7時過ぎに家を出ます。昨日のお酒が残っていて頭がシャッキリしません。そういえば昨日はお昼抜き、夕飯は炭水化物を取っていません。これはイカン。新橋でコンビニに入ってゆっくりと朝ごはん。そしてレッドブルを早くも注入。

これで気合いが入って、都内は車の後ろに付いて走ります。


■ 都心部の走行は神経が削られる・・・足も削られる。 ■


都心部の朝の路肩は作業の車や路上駐車が邪魔でとてまともに走れません。突然停車中の車のドアが開いたり、車の影から配送の方が出て来ます。さながらシューティングゲームの様で神経が削られます。この様な場合、車の後ろに付いて車道の中央を走った方が安全です。ただ、時々40km/h位までスピードが上がりますし、車の加速は早いので、信号からのスタートで強制的に足を使わされます。

都心部を抜ければ、路肩の駐停車も少なくなり、ようやく自分のペースで走れる様になります。とは言え、300m置き位に信号に引っ掛かり、その都度スタートダッシュを繰り返しますから確実に足のライフポイントが削られます。

■ 戸塚を二回通過 ■

順調に横浜を通過して、保土ヶ谷の先の権太坂を軽快にダンシングで登ります。いつもは苦しむ坂ですが、時速25km/hを切らなければ、ホイールの回転を利用してグングンん登って行きます。これがシングルギアーの坂道の登り方です。要は小学生の「立ちこぎ」と一緒。

戸塚の手前から道が渋滞して来ます。バスが行く手を塞いでいるので、仕方無くデコボコの歩道を走ります。戸塚からは藤沢バイパスに入らずに戸塚踏切を通ってみようと思います。「逃げる」イベント最大の難関と呼ばれる「開かずの踏切」ですが・・・・何故か踏切を渡らずに橋で超えてしまった・・・。変だな?と思いつつも進むと「野庭(のば)団地」という見慣れない場所に来てしまいました。スマホの地図アプリで確認しようとしましたが、3Gの表示しか無く、さらに地図がダウンロードされて来ません。これはもしや北に向かい過ぎているのかも知れないと、少し手前の交差点に戻ってそこを左折して南下し始めます。

これがイケなかった。完全に道に迷いました。実は戸塚で線路を超えたと思っていたのは川を渡る橋でした。東海道線を超えていなかったのですね。雲が厚くて方向感覚が分からないので、西に向かうハズが、南に向かっていました。それをさらに左折したので、今度は東に逆戻りし始めていたのです。

大きな道路に出ると「新横浜←→磯子」とあります。方向感覚が完全にズレテいるので「磯子って???」と思いながらも右折を選択。しかししかし、先方に鎌倉街道の分岐が出て来て???。

ここで地図アプリを立ち上げると、今度は地図が表示されました。・・・何と、横浜方面に戻っています。あわてて逆に向い、再び国道1号に復帰しますが、戸塚のかなり手前に戻ってしまいました。丁度道幅が狭くなる所で、再び歩道走行よ余儀なくされます。

ここで1時間をロスしたので、「脳内駅伝」の交通規制に引っ掛かりました・・。「本日のチャレンジは終了」って感じでテンションダダ下がりですが、箱根は諦めません。戸塚手前から藤沢バイパスに入ってロスタイムを取戻します。

■ 激走!? 海岸通り ■

風は追い風気味ですが、海沿いに出ると強い横風に悩まされそうです。鵠沼の辺りで先行するロードバイクを一気に追い抜きます。海岸に出た信号待ちで、先ほどの自転車乗りさんが後ろに居る事に気付きます。

後ろに付かれるのは嫌いなので、海岸通りは思いきり飛ばします。しかし、後ろの方から微かに「チリン、チリン」という鈴の様な音がずっと付いて来ます。アチャー、ピッタリ後に着かれちゃったよ・・と思い振り返ると・・・誰も居ない。ゾおおーーーーとした悪寒が背筋を走ります。心配になったのは幽霊では無くて自分の自転車。

後輪のフリーコグは以前から盛大に音鳴りがしてますが、チリンチリンという音ははたして、何だかネジが緩んでいる音かも知れません。茅ヶ崎で路肩に停車してチェックしてみると、なんと両面テープで固定していた後輪のブレーキワイヤーガイドが外れていました。これとボディーが接触して「鈴の音」を生み出していました。実害は無いのでコースに復帰しようとすると、先ほどの自転車乗りさんが通過。

本能的に追走して次の信号で追いつきます。信号の発信でゆっくり走られていたので、これは先行しろとの合図かと思い、先行して平塚大橋の登りでガッツリ漕ぎます。下りで足を緩めると、先ほどの方が抜いて行かれました。

これまた本能的に追走してしまい、結局大磯まで二人でガッツリと走っちゃいました。風でダレ易い海岸通りですが、おかげ様で良いペースでクリアー出来ました。

■ 小田原で鹿児島まで野宿のランドナーの若者と出会う ■

大磯から先は、箱根の登りに備えて足は温存。途中、二宮でラーメンをガッツリ食べてチャージします。

あっさりと小田原に着きましたが、前方にサイドバックを沢山付けた自転車を発見。信号で抜いてから振り返ると・・・自転車旅行らしき若者でした。

「何処まで行くの?」
「鹿児島までです。2か月休みが取れたので」
「今夜は箱根の泊まるの?」
「いいえ、野宿です。昨日は橋の下で寝ました」

自転車の前方に突き出しているのはアルミ色のグラウンドマット。確かに「野宿」のスタイルです。昔は皆なそうだった。テント持参で日本縦断は自転車乗りのロマンだった。今は道端や公園にテントを張ると通報されてしまう時代。或いは悪ガキに身包み剥がされる時代。最近では野宿で自転車旅行をする方も減りました。

妙に懐かしく感動しながら、小田原城を見て行くという若者と分かれました。旅の安全を祈っています。

■ 箱根の山は天下の剣 ■

箱根湯本でコンビニ休憩した後に、いよいよ箱根路に取り付きます。渋滞を嫌う大方の自転車乗りさん達は、既に下山した後なので、一人黙々とペダルを踏みます。

時速10km/h以上をキープしたまま大平台のヘアピンをクリアー。傾斜はここからキツクなります。宮ノ下で若い男女のクロスバイクを追い抜きます。普段着で「とっとそこまでサイクリング」みたいな二人ですが・・なんと笑顔でクルクルとペダルを回しています。マウンテンバイクのギアー設定のクロスバイクって意外に坂道に強いんですよね。ペダルをクルクル回せば、箱根だってゆkっくりながらも登れてしまいます。

そんなサワヤカなカップルを、顔をオニの様に赤くして、全身から汗が噴き出した50歳オヤジが抜いて行きます。「頑張って!!」と爽やかに声援を送ってはみましたが・・・。

箱根の登りの一番キツイ所は、宮ノ下から小涌谷の間。先ず、宮ノ下のすぐ上で・・・1度目の足着き。ここであまり頑張り過ぎると、脚が攣って登れなくなります。1分程、息を整えて、再び登り始めますが、小涌谷のセブンイレブン前でもう登るのがイヤになって5分程休憩していると、先ほどの若者二人が自転車を押して上がって来ました。

そう、劇坂を46T-16Tで登る速度は8km/h程度まで落ちています。人間が歩くスピードは5km/h程度ですから、歩いていても直ぐに追いつくのです・・・。

なんだか、カッコ付かないななんて思いながら、彼らとちょっと話をします。

「どこまで行くの」
「沼津まで行こうと思います。まだ登りますか?」
「今550m位まで登ったから、後300m位い登るかな?」
「そこからは下りですか?」
「湖まで下って、そこから少し登ったら沼津までは下りのはずだよ」
「じゃあ、頑張ります!!」

と、あくまでも爽やかなお二人。ここまで登って来て未だ心が折れていないって・・・若いってイイな。・・・そんな嫉妬にも似た醜い感情が浮かびそうになったので、慌てて二人を分かれて、再びペダルを踏みます。

小涌谷を過ぎると傾斜は少し緩くなります。なんとかシッティングで登れるので、「オールダンシング!!」よりは大分楽になります。ちょっと左膝が痛み出したので、丁寧なペダリングを心がけ、ジリジリと登ります。

■ これを箱根制覇とは呼べないが・・・良く頑張った!! ■




そしてついに国道1号線最高標高の874mに到達です。

途中からサイコンが計測しなくなったので、時間だけ。
14:15 箱根湯本出発
15:48  最高点到達

と言う訳で、1時間33分掛っています。足を付いたので完全制覇とは言い難いですが、浦安から自走(かなり爆走)して来て、シングルギアの46T-16Tで登ったので、「良く頑張った」オレ。

■ 下りはちょっと怖い・・・ ■

気温は10℃程度、下りは寒いはずです。ウィンドブレーカーを羽織って、一気に来た道を下ります。途中、例のカップルが芦の湯の手前でスマホを操作していました。意外のこの二人早いし、タフだね。気を付けてね!!

CAPOの下りは少し怖い。フレームが小さいのでフワフワします。さらに、リム面がペイントのリアホールのブレーキ性能がピーキーです。カンパでこれですから、シマノだったらチョウー怖い。

乗用車がペースメーカーになってくれたので、安全に下山しました。






少し観光っぽい写真もアップしておきます。本日は「マジ」だったので、写真はほとんど有りません。

それにしても、シングルスピードで箱根が登れる事も証明されました。最早、ギアーは要らない???



・・・旧道を登れとの囁き声が聞こえた様な・・・。