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国家と国民、そして資本家・・・現代における国家とは?

2016-04-25 06:14:00 | 時事/金融危機
 

以前の記事尖閣国有化・・・売国奴にまんまと騙された国民にコメントを頂いたので、そのお返事として記事をアップします。

私達日本人は「明治維新」によって作られた「日本国」というシステムに誇りを抱いていますが、はたして近代国民国家とは如何なるものなのか・・・陰謀論的に考察します。


■ 民主主義の根本的欺瞞 ■

『パナマ文書』が問題となっていますが、企業や富裕層がタックスヘブンに利益を隠ぺいする事は近代国民国家のシステムの根幹に関わる問題です。

1)企業や国民は国家に税金を払う義務が有る
2)国家は徴税権と警察権を独占し、国民や企業を支配する
3)国家は代償として国民と国土を外敵から守る
4)国家は代償として国民の福祉を実現する

国家は「徴税権」と「警察権」を独占する事で国民を支配していますが、「国民主権」という「幻想」によって国民は国家の奴隷である事から目を逸らされています。

一方で一部の企業はロビー活動によって国家と国民を都合良く利用しています。そしてこれらの企業はタックスヘブンに利益を隠ぺいする事で、国家に税金を納める義務を放棄し、国家からの恩恵のみを独占しています。

■ 近代国民国家は資本家の為に生まれた ■

近代国民国家はイギリスの市民革命やフランス革命を経て生まれました。社会の教科書では「市民」が王族や貴族からその権利を奪い、「国民主権」が確立したと教わります。

しかし、これは大きな誤りで、「市民=資本家」である事は何故か隠ぺいされています。「市民革命」とは王族貴族が独占していた富と権利を資本家達が奪う行為だったのです。

議会制民主主義の元祖とも言えるイギリス議会においても、下院(庶民院)の議員の資格は「ジェントリ」(地主)に限られており、これが改正されたのは1832年の事です。しかし,
中産階級まで選挙権が拡大したものの、「財産制限」は残されました。

■ 資本家達は王族の駆逐に庶民の暴動を利用した?・・・これが革命 ■

フランス革命は市井の人々の「暴動」によって達成されましたが、その暴動の切っ掛けは「財政破綻によるインフレ」でした。その「財政破綻」は計画的に引き起こされています。

1)1717年スコットランド人のジョン・ローがミシシッピ会社の経営権を入手
2)ジョンローはフランスの貿易権を独占する(東インド会社などを併合)
3)ジョン・ローは王立銀行も手に入れる
4)ペーパーカンパニーであるミシシッピ会社の将来性を宣伝して株を大量に発行
5)国民の間にミシシッピ会社の株バブルが発生
6)ジョン・ローは政府の負債をミシシッピ株式会社の株券で買い上げた
7)政府の債権者達は喜んで株券の交換に応じた
8)ミシシッピ株式会社は1921年に破綻した

ミシシッピ株式会社の破綻以降、フランス政府は深刻な財政危機に陥り、フランス経済も破綻状態になります。同時期、ルソーらの「啓蒙思想」が流布される事で、絶対君主制に対する貴族や国民の不満が高まって行きます。ところで、この貴族や国民が何かと言えば「資本家」です。

市井では財政破綻による強烈なインフレが発生しており、市民はパンを得る為に「暴動」を起こしますが、彼らがルソーらの啓蒙思想を理解しているとは思えません。市井の人々の間に入り込んだ「ジャコバン派」らの煽動者が巧みに暴動を引き起こしていたのです。そしてジャコバン派らに資金を提供していたのは資本家達です。

ミシシッピ会社の騒動が起きた同時期にイギリスでも「南海泡沫事件」という株バブルの崩壊が置きており、政府債務をこのバブルで帳消しにした手法も同じです。一方でこのバブル崩壊で被害を一番受けたのはフランスでした。どうもこの二つのバブル崩壊事件は裏で繋がっている印象を受けます。

ところで、革命を成功させたフランスは1792年に「男子普通選挙」を実施しますが、その後1795年からは「制限選挙」に後戻りしてしまいます。これが再び普通選挙となるには1848年の二月革命まで待たねばなりませんでした。

■ 植民地経営を国家に売却した東インド会社 ■

イギリスの東インド会社(ロスチャイルド)は貿易を独占していました。当時の貿易会社は私設軍隊も兼ねており、植民地の治安維持なども自力で行っていました。

イギリス東インド会社はインドのベンガルを獲得して徴税権を得ます。しかし、現地人の反乱に手を焼く一方で、徴税は増えず、1858年8月2日にインド統治改善法を可決し、東インド会社が保有する全ての権限をイギリス国王に委譲させます。

1)東インド会社のインド植民地経営は現地人の反乱で採算が取れなくなった
2)植民地経営を国家が買い取った
3)国家の軍隊(国民)が植民地での戦闘に投入された
4)植民地の利益は資本から旧東インド会社が独占する

この様に資本家達は植民地経営のリスクを国家(国民)に押し付け、その利益を独占していたのです。

これこそが王族から権利をはく奪した資本家達が作り出した国家と国民を自分達のビジネスの動員するシステムです。これを一般的には「帝国主義」と呼びます。

「国民によって組織された軍隊を戦闘させる事で、他国の領土を奪い、その地のビジネスを独占する」・・・近代国民国家とはその為に作られたものとも言えます。

■ 倒幕に裏で暗躍した東インド会社とイギリス ■

東インド会社は日本の開国とも密接に関係しています。

坂本竜馬に資金と武器を調達していたのはトーマス・グラバーですが、彼は当時若干26歳でした。グラバー商会はアヘン貿易で悪名高いジャーディン・マセソン商会の代理店の様は存在でした。ジャーディン・マセソン商会は東インド会社の後期、サスーン商会とアヘン貿易の利権を争いますが、その後は和解し、ロスチャイルド=サスーン連合と手を組む様になります。

軍艦や大量の銃火器をグラバーが個人で調達できるはずは有りませんから、日本の討幕派達を後押ししていたのは旧東インド会社とイギリスだったと断言できます。薩摩藩も長州藩も一度はイギリスと戦争をしますが、コテンパに負けています。その後何故か薩長はイギリスとの関係を深めて行きます。私はこの裏には敗戦処理の過程でイギリスと薩長が「討幕」の密約を交わしたのでは無いかと疑っています。

こうして成立した薩長中心の明治政府ですからイギリスとの繋がりは浅からぬ物があったっはずです。伊藤博文、井上馨らが、グラバーの仲介で、イギリスに密航しロンドン大学に留学に行きましたが、この手引きをしたのもジャーディン・マセソン商会でした。

この様にロスチャイルド財閥、サスーン財閥、ジャーディン・マセソン商会などの後押しで成立した明治維新政府は、イギリスの意向を強く反映した政府であったと推測されます。

明治政府ははインド統治で手一杯のイギリスの代理として、フランスやドイツ、ロシアが中国大陸に進出する事を拒みます。日清戦争も日露戦争も言わばイギリスの代理戦争みたいな物だったのでしょう。日露戦争に出資したのはアメリカのヤコブ・シフ商会ですか、ロスチャルド系の金融機関です。(後のリーマンブラザーズ)

イギリスは日露戦争の海戦で必要な良質な石炭を日本に提供しています。司馬遼太郎の『坂之上の雲』では、日本海海戦の勝因の一つに、この石炭の存在を挙げています。

■ 国民主権という洗脳 ■

この様に国民国家は資本家の道具として作られたものとも言えますが、「議会制民主主義」によって国民が主権を持っていると錯覚させます。

しかし、実際には資本家や企業は政治資金を提供する事で政治に巨大は影響力を行使する存在です。当然、政治は資本家や企業に多大な便宜を図ります。タックスヘブンなどは各国の国内法の改正で如何様にも取り締まる事が可能ですが、法的抜け穴を放置する事で企業の利益を最大化しています。

■ 便利な国民 ■

日本人に限らず「国民」は資本家に取って便利な存在です。

メディアで洗脳すれば「予定通りの投票行動」で資本家に有利な政府を作る事が出来ます。
メディアで先導すれば「自国を守る為の戦争」に進んで国民は参加かします。

国民国家は資本家に国民が奉仕するシステムとも言えますが、そこそこに国民の利益にも繋がるので、私達はこのシステムを敢えて捨てる事は有りません。

■ グローバル化と国民国家の終焉 ■

一見資本家や国民にとって有利に見える国民国家というシステムですが、企業や人や金が自由に国境を超えるグローバル化の時代には、むしろ「国境」は邪魔な存在となっています。

資本家は治安の良い国で安い労働力を欲しますが、国境が安い労働力の移動を阻害しています。資本家は税金の安い国に本社を構えたいと願いますが、国家が時としてこれに介入します。(先日、アメリカ政府はファイザー製薬がアイスランドに本社を移転する事を拒んだ)

EUはこの様な国境の弊害を無効化する試みで、近代国民国家の枠を壊す実験です。そしてTPPも国境を壊す一つの試みです。

この様に21世紀は国家という枠組みが薄れ、人々が自由に国境を超える時代になります。国家はかつての「象徴」や「中心性」を失い、行政単位の一つになって行くはずでし。

但し、EUを例に取るまでも無く、人々の国家に対する愛着は強く、国民国家という「幻想」はそう簡単に壊れる事は有りません。

資本家達は、ある時は便利に国家を利用し、ある時は国家の拘束から巧みに身をかわしています。



これが現代の世界の姿だと、陰謀論者の私は妄想しています。