先の記事で「ゆうこ さん」から質問をいただいたので補足します。
日銀が異次元にマネタリーベースを拡大しているのに、何故インフレが達成されないのか・・・?
日銀のホームページを見るとその理由が分かります。
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mbt/index.htm/
マネタリーベースは簡単に言ってしまえば「現金と預金の合計」ですが、異次元緩和で増えているのは日銀当座預金。
2016年4月 日銀券発行残高 971,042 億円
当座預金残高 2,844,051 億円
2018年8月 日銀券発行残高 1,008,308 億円
当座預金残高 3,635,897 億円
1年4か月の間に日銀は日銀券残高を3.7兆円増やし、日銀の当座預金残高は79兆円増えています。
日銀は異次元緩和で国債の買い入れ額を年間80兆円としていましたが、現在は60兆円程度に縮小しています。
確かに日銀は円を発行して金融機関から国債を買い上げていあすが、金融機関は手にした円を日銀の当座預金にブ積みしています。日銀が一部の当座預金の利付けを続けているので、金融機関は日銀の当座預金を増やし続け、これが国債購入の資金になっている事がお分かりになるかと思います。
世間ではリフレ政策は「お金をバラマク政策」と認識していますが、実際には市中の国債を日銀当座預金で買いつくす政策です。
金融機関が国債を売ったお金を日銀当座預金に預けているので、「金融機関から国債のリスクが日銀に着け変わった」=「預金者から国債リスクが国民に着け変わった」というのが、異次元緩和の本当の姿です。
当然、市中にお金が出回らないので、景気の回復にはつながりませんが、極端なバブルも抑制しています。
多分、日銀が当座預金の利付けを停止、或いは全てマイナス金利にすると、当座預金から資金が一気に引き出されて、日本国債は終焉するでしょう。
これ、日本のリフレ派(ほとんど全滅状態ですが)は「マネタリーベースを増やしても市中の資金は容易には増えない」事を理解していませんでしが、バーナンキらはそれを以前から指摘していました。FRBも当座預金に利付しています。
各国中央銀行や財務省は市中に流通する通貨が急拡大するリスクを十分に認識しているのです。だから「期待インフレ率を引き上げる」などと婉曲な表現をする。市中にお金をばら撒くだけならば、「中央銀行がインフレを作る」と表現すれば良いのです。