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電磁パルス兵器としての水爆・・・核兵器使用のハードルが下がる

2017-09-06 06:02:00 | 時事/金融危機
 


朝日新聞デジタル より


■ 北朝鮮は水爆を開発したのか? ■


先日の北朝鮮の核実験で注目されるのは次の2点。

1) 弾道弾に搭載出来る小型化を達成したのか?
2) 水爆を完成させたのか?

上の写真を見る限り、形状は水爆です。技術的には難しいとされる「テラー・ルラム型」と呼ばれる爆弾前部の「プライマリー」と呼ばれる球状の「原爆」部分と、「セカンダリー」と呼ばれる円筒状の「水爆」部分で構成されている様です。

「テラー・ウラム型」水爆の爆発原理は以下の通りです。

1)先端部の球形の部分に爆縮型の原爆を搭載
2)原爆爆発で生じた中性子やX線をベリリウムで出来たレンズで、
  後ろの円筒形の水素爆弾部分に収束させる
3)円筒形外側のスチレン重合体がX線によって瞬時にプラズマ化し、核融合物質を内側に圧縮
4)円筒形外側のウランが分裂を開始し、中性子を放出
5)円筒形中心のプルトニウムが中性子によって核分裂を開始
6 外側と内側から高温高圧状態に圧縮された重水素が核融合を開始
5)核融合によって発生した高速中性子が弾頭外郭のウランダンパーの核分裂を開始させる

実は円筒型の水爆部分を持つ「テラー・ウラム型水爆」は、円筒の中心方向に爆圧をコントロールする事が難しく、その技術は核兵器保有国の機密となっています。

■ 爆縮型の小型原爆の技術が水爆技術に直結する ■

北朝鮮はプルトニウムは使った爆縮型原爆の実験を繰り返していました。広島に投下された原爆はガンバレル型と呼ばれる簡易な構造の原爆ですがプルトニウムが使用できず破壊力は限定的です。一方、長崎に投下された原爆は爆縮型のプルトニウムを使用した原爆でした。

当時の技術と火薬の性能では、臨界を得る為にはプルトニウムの周囲に大量の火薬が必要で、結果手的に長崎型原爆は「ファットマン」と呼ばれる程、大きく、重いものでした。しかし、技術の進歩により、爆縮型原爆は小型化を達成します。

水素爆弾は重水素と三重水素んの原子核融合のエネルギーを爆発力として使用する兵器ですが、核分裂よりも大量のエネルギーを取り出す事が可能です。この核融合を引き起こす起爆剤に用いられるのは爆縮型原爆ですが、核融合のトリガーの役割なので、それ自体の爆発力はそれ程大きなものを必要有りません。核融合に十分な中性子を取り出せればよいのです。

この様に、小型の爆縮型原爆の技術され確率すれば、それ自身を弾道弾に搭載すれば爆発力は小さくとも戦術核兵器としては有効ですし、水爆の起爆剤としても利用出来ます。

過去、北朝鮮が繰り返してきた地下核実験の破壊力は広島型原爆より小さな威力の物でしたが、開発の目標を水爆の起爆用の爆縮型原爆の開発に置いていたならば、爆発の規模が小さな事にこそ警戒すべきでした。専門家の多くは気づいていたとも思いますが。

■ 北朝鮮は大陸間弾道核ミサイルの開発に成功したのかも知れない ■

北の核開発にアメリカが警戒を強めているのは、ハワイやグアム、アラスカやアメリカの西海岸まで到達する弾道ミサイルに水爆を搭載されたら、アメリカ本土が北朝鮮の核ミサイルの脅威を受けるからです。

安倍政権は同調して騒いでいますが、日本は北朝鮮がノドンを配備し、小型原爆の実験に成功した時点で既に北朝鮮の核ミサイルの標的になっています。

まあ、上の写真は「ハリボテ」の可能性も低くは無いので、はたして北朝鮮がICBMの搭載出来る小型水爆を開発出来たかどうかは・・・分かりません。

■ 電磁パルス兵器としての水爆 ■

水爆には二つの使用方法があります。

1) 発生する大量の熱と爆風によって破壊する「熱核兵器」
2) 高高度で爆発させ強力な電磁波を発生させ、地上の電力インフラや電子機器を破壊する
   「電磁パルス兵器」

1962年アメリカは北太平洋上空400kmで大気圏外核実験を行いました。この時1300km離れたハワイのオアフ島で大規模な停電が発生しました。高高度の核爆発は強力な電磁パルスを発生させ、オアフ島の電線にパルスが飛びついたのです。

北朝鮮の大陸間弾道弾の開発の最終的なボトルネックは、「大気圏突入時に大気との摩擦で弾頭が熱によって破壊する事を防ぐ技術が確立出来るか」という問題でしたが、電磁パルス兵器として水爆を利用するならば、再突入の熱に弾頭が絶える必要が無くなります。

仮に北朝鮮が弾道弾に搭載可能な小型水爆を完成させているならば、アメリカは電磁パルス兵器の標的になったとも言えます。

直接都市を破壊し、人々を殺傷する熱核兵器として水爆を利用するよりも、電力インフラや通信インフラを破壊し、電子機器を無効化する電磁パルス兵器の使用の方が「罪悪感」が少なく、使用するハードルが低い点も注意が必要です。

しかし、仮に電磁パルス兵器として水爆が使用された場合、交通機関の多くが電子制御に依存する現代においては事故によって失われる人名は相当数に達すると想定されます。さらにインフラの制御においてもコンピューターが利用されていますから、電力や水道などの供給が絶たれ、都市は機能を停止します。

電磁パルス兵器への対策としては、ICチップなど電磁パルスの影響を受けやすい電子パーツを電磁シールドの中に収め、配線などを伝わっるパルスを遮断する為に光ファイバーでボード間の情報伝達を行うなどの対策が必要です。軍事施設や兵器などでは対策がされていますが、一般の危機は電磁パルスの影響を受ければイチコロです。

■ ロフテッド軌道で打ち上げれば日本は電磁バルス兵器の餌食 ■

北朝鮮は昨今、ロフテッド軌道で弾道弾を打ち上げ日本海に落下させる実験を行っていますが、これは弾頭を高高度に打ち上げる技術が確立している事を意味します。

日本に着弾しなくとも、高高度で核爆発を起こせば、日本は電磁パルスの影響を受けるのです。

ロフテッド軌道の弾道弾をPAC3で迎撃する事は出来ませんから、日本は電磁パルス攻撃に対しては「丸腰」の状態です。イージス艦に搭載されたSM-3ミサイルは中高度でのミサイルは迎撃出来るかも知れませんが、ロフテッド軌道で打ち上げられた高高度の弾道弾の迎撃は難しい。(そもそも、根本的に実戦で迎撃出来るか疑問のシステムですが)

■ 金正恩の髪型が普通になったら警戒しよう・・・ ■

私個人としては金正恩の髪型に注目しています。「マジあり得ない」あの髪型が普通のオシャレなスタイルになったら注意が必要でしょう。

現状の、「オレ、いかにも狂人だろう」と主張する髪型は、多分、どこぞの広告代理店のスタイリストが考案したものでは無いかと・・・。スイスで成長した彼が、あの髪型を好んでいる訳は有りません。押し付けられた「悪役パフォーマンス」。

ある朝、彼が鏡を見て、「オレ、こんな髪型までさせられて、マジで何してんの?」と我に返った時、羞恥心が核ミサイルのボタンを押させないとも限らない・・・・「リセット」とつぶやきながら。

金正恩が「オシャレ・ボウズ」や「オシャレ刈上げ」に変身した時、日本は本当に北朝鮮を警戒すべきだと私は妄想しています。


<追記>

■ 嘘の嘘 ■

中国とロシア、そしてアメリカの属国の日韓の狭間の北朝鮮。日清、日露戦争は地政学要因による朝鮮半島の争奪戦でしたが、その重要性は現在も変わりません。

北朝鮮の存在がクッションとなっているので、在韓米軍は直接に中国やロシアと対峙する事なく、大国間が不測の事態で衝突を起こす事が防がれています。

北朝鮮の核保有や弾道弾の保有は、アメリカに対する牽制に見えますが、実は中国、ロシアに対する牽制でも有る。北朝鮮に侵攻する国家には容赦しないぞというメッセージを狂気の刈上げファッションで伝えている。「俺はやる時はヤル男だぜ」と主張する。

これが地政学的に不安定な朝鮮半島を安定化させる最良の手段。だから、北朝鮮の実験は、水爆搭載型の大陸間弾道弾の技術が確立するまで続き、米中露とも、これをあえて邪魔する事は無い。

インド・パキスタンの核武装も、イランの核開発も同様の地政学的理由によるもので、最終的には不安定な地域を安定化させる。ウクライナも同様な理由により西側諸国は手放す事な無い。

一方で、仮に世界的な金融危機の発生で現在の通貨システムが崩壊したり、金融システムが破壊された時には、北朝鮮の核ミサイル発射もあり得るかも知れない。その場合は米国上空で電磁パルス攻撃になる可能性が高い。

「スミマセン、決済システムがオシャカになって、取引の履歴が消えてしまいました。テヘ、ペロ。」なんて事が起きないとも限らない。なーーんて妄想が膨らむ北朝鮮情勢。

安部政権、北朝鮮に強硬な姿勢を見せていますが、第二次安部政権で北朝鮮への制裁を次々に緩和している。実は核兵器開発の資金はパチンコマネーかも知れない。

「嘘の嘘、それはクルリと裏返る」