■ 200年後でもカッコイイ ■
来年の話しをすると気分が暗くなるので、
200年後に思いを馳せて、ちょっとした気分転換を・・・。
現在、サイバー空間には様々な映像がアップされていて、
200年後の人類は、それこそ過去の情報のゴミに埋もれて生きているのでしょう。
整理もされないアーカイブに乱雑に放り込まれた映像や音源を、
彼らは、過去の歴史を発掘する様に、あてど無く検索する事でしょう。
そうして、こんな映像に出くわした200年後の人類は、
はたしてカッコイイと思ったりするのでしょうか?
■ 「対白人音楽」としてのブラックミュージック ■
冒頭の映像で気分を悪くされた方はゴメンナサイ。
世の中には「FUNK(ファンク)」と呼ばれる音楽ジャンルが存在します。
一言で言ってしまえば、あれです・・・、「ゲロッパ!」です。
ジェームス・ブラウンに代表されるコテコテの黒人音楽が「FUNK」です。
日本でも好きな人はトコトン好きで、嫌いな人はトコトン嫌いなのが「FUNK」です。
一頃、ブラック・コンテンポラリー・ミュージックなんて洒落た呼び方をしていました。
「アース・ウィンドー・アンド・ファイヤー」なら知っている人も多いでしょう。
日本人にとってのファンクはディスコミュージックだと言っても良いでしょう。
ところが彼らは「白人向け」の黒人音楽です。
ジェームス・ブラウンにしても、白人に対して黒人を演じる事で成立する音楽です。
黒人音楽は、JAZZであっても、マーケットの主流を白人が占めるので
「対白人」的音楽の傾向を帯びる事は、避けえない事なのでしょう。
先日ウッド・ストックのジミー・ヘンドリックスの映像を
息子と一緒にYoutubeで見ていたのですが、
改めて見てみると「その以外な白さ」にビックリします。
顔の色では無いですよ、演奏スタイルの洗練さ具合の話しです。
■ 「黒人」の「黒人」による「黒人」の為のミュージック ■
では本場アメリカの黒人は何を聞いているのかと言えば、
現在はコテコテのヒップホップなのでしょう。
ではロックが元気だった頃はと言えば、
「Pファンク」では無いかと勝手に思っています。
「Pファンク」はジョージ・クリントンを中心とした黒人音楽集団です。
「パーラメント」と「ファンカデリック」というバンドが活動の中心だったので
「Pファンク」と呼ばれています。
冒頭の映像にもある様に、もうコテコテの黒人集団で、
一方、その音楽性は、時代を突き抜けて、
現代でも色褪せる事の無いカッコヨサを保っています。
ブッチー・コリンズというバカテクなベーシストや、
バニー・ウォレルという、素晴らしいキーボーディストを擁し、
1970年代から1980年代に破壊力抜群のアルバムを連発します。
・・・が、しかし、白人社会からは無視され続けます。
■ ファンクを体現する存在 ■
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/21/11b7d084b32439c3ad7680566ee463de.jpg)
どうです、あまりにも分かりやすいこのスタイル。
今では、ファンクのアイコンの様になっていますが、
この星型サングラスの、ふざけたオッサンの演奏を聴いたら、
音楽ファンならきっと、ノケゾリます!!
■ PTAの敵、「Pファンク」 ■
ファンクを音楽用語に直すならば「ブラック・シンコペーション・ロック」となるでしょう。
延々と繰り返される腰の強いリズムの上で、
様々なコーラスや楽器のソロが現れては消えてゆくのがファンクです。
これは明らかに祝祭音楽です。
彼らの派手なステージもまるでお祭りです。
[[youtube:gjKFCYzqq-A]]
当時、ステージで大麻をプッハァァァーなんてやっていたもんだから、
黒人の良識的な大人達は、子供にはPファンクのステージは絶対見せたくない。
正に、アメリカの「8時だよ全員集合」みたいなバンドなのですが、
黒人中学生達は、Pファンクが街にやって来ると、
窓から抜け出して、そのコンサートを見に行ったとか、行かなかったとか・・。
ところで、そのステージと歌の内容たるや、
悪い宇宙人が地球を征服に訪れたが、Pファンクの「ラブ・ガン」で撃退してやったぜ
といった、実にバカバカしい内容だったのです。
「ラブ・ガン」ですよ・・・エッチ・・。
■ 時代と共に輝きを増すPファンク ■
アース・ウィンドウ・アンド・ファイヤーやシックなど、
当時を代表する黒人バンドを今聞いても、
懐かしいだけで、今一つピンと来ないのですが、
(シックのナイル・ロジャースのギターのカッティングには痺れますが・・)
Pファンクはアタリ、ハズレはあれど、とにかく古臭さが一切無い。
いえ、時代と共に、その輝きを増している様に見えます。
「黒人の為の黒人ミュージック」という事で、
日本は元より、アメリカでも知名度はいま一つなのですが、
Youtubeのおかげで、彼らの当時の姿を見る事が出来るのは、喜ばしい限りです。
「200年後の人類が、彼らの映像と音楽を、どの様な思いで眺めるか」
と考えただけで、なんだかニタニタしてしまいます。
とても日本人には縁遠いPファンク、どれか一枚と言われたら、
私はブッチ・コリンズの
ホワッツ・ブーツィー・ドゥーイン What's Bootsy Doin'? (Columbia, 1988)
をお勧めします。
コテコテでありながら、洗練されていて、おまけに楽しいアルバムです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/50/7672dce1100378cdc97e1c2ca4d1af63.jpg)
なんだかストレスばかりが溜まる時代に、コテコテのファンクは如何でしょう?
きっと彼らなら、こう言うに違いありません。
「金融危機が何だって?そんなもん、俺達のラブ・ガンでやっつけてやるさ!!」
<追記>
私の駄文よりも、素晴らし紹介ページを見つけたので
興味をお持ちいなった方は、是非そちらで。
http://ameblo.jp/solsmth/entry-10778967411.html