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追悼企画・・・カダフィー大佐の死

2011-10-21 05:50:00 | 時事/金融危機
 



■ カダフィー大佐の死亡報道 ■

カダフィー大佐の死亡報道がされています。

「リビアのカダフィ大佐が死亡、拘束時に負傷=国民評議会当局者  10.21 ロイター」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-23731420111020

<引用開始>

 [シルト(リビア) 20日 ロイター] リビア暫定統治機構の国民評議会(NTC)当局者は20日、元最高指導者のカダフィ大佐が、拘束時に受けた負傷によりシルト近郊で死亡したと明らかにした。
 NTCのAbdel Majid氏は、ロイターに対し「カダフィ支援部隊に対し激しい銃撃が加えられ、大佐は死亡した。カダフィ大佐は頭部も負傷していた」と述べた。

 同氏はこれより先、大佐の身柄が拘束されたとし、大佐はNATOの戦闘機による攻撃から逃れようとした際、両脚を負傷したと話していた。

 同氏の発言について、正式な確認は取れていない。

 NTCの兵士によると、大佐は地下に潜伏していたところを押さえられ、捉えられた際、射殺しないよう求めたという。

 NTCのMohamed Abdel氏はロイターに対し「大佐の遺体は、安全上の理由から極秘の場所に搬送中だ」と述べた。

<引用終了>

■ ラディン暗殺と重なる ■

カダフィー大佐は「中東の狂犬」と呼ばれました。
しかし、これはアメリカを初め先進国からの一方的な見方です。

ビン・ラディンがイスラム教徒の英雄であった様に、
カダフィーは、アフリカ大陸の人々の英雄でした。

アフリカは虐げられた大地です。
西洋人がアフリカ大陸に進出して行った事は「奴隷狩り」です。
そして、現在も「資源の収奪」が行われています。

アフリカの住人の根底に流れる「反西洋」の感情は、
「西洋」に対して果敢に戦いを挑むカダフィーへの支持へと繋がりました。

「大佐の遺体は、安全上の理由から極秘の場所に搬送中だ」は、
ラディン同様、遺体が反抗の象徴となるのを防ぐ為の処置でしょう。

■ CIAとの繋がり ■

私は、ラディンもカダフィーもCIAと繋がりが深い人物だと考えています。

アルカイダーの設立に、パキスタンの情報部とCIAが
深く関与していた事は、周知の事実です。
アフガニスタンへのソ連の侵攻に対抗する為に
CIAが作っり、訓練した組織が「アルカイダ」だったのです。

その後、アルカイダの活動は「テロとの戦争」という
新たな軍産複合体のキャンペーンの一環として利用されました。
そして、CIAや国防総省、軍事産業を牛耳るロックフェラーの衰退と共に、
ラディンの役割は終わり、ラディンは米軍の手で殺されました。
(殺されたという事にされました)

一方、カダフィーは若かりし頃は中東開放の英雄でした。
エジプトのナセルに刺激された、
中東の若き将校達に一人がカダフィーでした。

独立とは名ばかりで、石油利権は西側諸国が握っていたリビアで、
若き将校達を率いて傀儡政権を妥当し、
石油の利益を国民に還元したのが、カダフィーでした。
リビアはアフリカで一番国民所得の高い国になりました。

一見、欧米諸国に反抗するカダフィーは欧米の敵に見えます。
しかし複雑な中東情勢を俯瞰した時、
リビアやシリア、かつてのイラクの別の役割が見えてきます。

「中東を不安定な安定状態」にする事こそが、
アラブ急進派と呼ばれたこれらの国々の役割でした。
「イスラエル=アメリカ」VS「アラブ急進派」VS「アラブ穏健派」という
三すくみの図式は、「危機の上の安定」には理想的でした。

カダフィー政権が窮地に立たされた時、
アフリカで傭兵を用立てたのは、イスラエルの軍事会社でした。

反乱軍に占拠されたカダフィーの執務室から
CIAやMI6(イギリス情報局)の書簡が発見されたと報道されています。
それらの文書は「親愛なるカダフィーへ・・・」という書き出しだったそうです。

■ 欧米の中東支配の手口 ■

第二次大戦後に西洋諸国は相次いで植民地から撤退します。

中東などでは、国民国家という意識が未熟でしたので、
有力部族長を「国王」として、傀儡政権が数多く誕生しました。

ところが中東にも波及した「社会主義」の思想が、
軍の若者に浸透し、「バース党」が各国で誕生します。
そしてナセルの革命を契機に、
中東で軍事クーデターによる政権が幾つも誕生します。

一見、自然発生的に起きたかに見える中東革命ですが、
欧米諸国は、傀儡政権がやがて民衆に妥当される事を予測していたのでしょう。
部族社会の中東諸国では、民衆の革命の後には混乱が訪れる事は明確です。

中東諸国で内戦が勃発すれば、
油田が破壊され原油の生産は大幅に落ち込みます。

そこで欧米諸国は、青年将校達を後押しする形で、
クーデターを起こさせ、軍政によって中東の安定化を図ったのでしょう。

ナセルやフセイン、アサドやカダフィーは、
欧米諸国の操り人形だったとも言えます。

しかし若かりし頃の彼らには「理想」があったのでしょう。
たとえ「欧米の犬」になったとしても、
内戦によって国土が荒廃するよりも、
「偽りの安定」を望んだのでしょう。

しかし・・・人間は堕落します。
特に、権力の座にある者達は、腐敗します。
中東の青年将校のリーダー達は、見事に堕落して行きました。
・・・あるいは、それも含めてCIAや欧米諸国の演出だったのかも知れませ。

そして、役目を終えた「かつての英雄」達は、
次々とその座を追われています。
ロックフェラーの支配力が弱まり、
中東における、カダフィー達の役割が終わろうとしているのです。

ラディンやカダフィー、あるいはフセインが本当に殺害されているかは不明です。
「知りすぎた男は消される」という小説的な考え方をするならば、
多分彼らは殺されているのでしょう。

しかし、死体が公開されない事を考えると・・・或いは・・とも考えてしまいます。
生死を不詳にする事で、新たな混乱の火種を残す方法とも考えられます。

■ ナポレオンのスポンサーはロスチャイルドだった ■

「英雄」と言えば、ナポレオンを思い浮かべる人がい多いでしょう。

フランス革命が周辺諸国に伝搬する事を恐れたヨーロッパの王族は、
フランスの革命政府を打倒する為に軍を送ります。

窮地のフランス軍を救ったのが、ナポレオンでした。
ところが、下級将校であった彼が将軍にまで登り詰めた背景には、
ロスチャイルドの支援があったと言われています。

さらには、フランス革命の火種となるルイ王朝の財政破綻も、
ロスチャイルドによって仕込まれたものであったとい言われています。

ナポレオンの活躍は、周辺諸国の民主化を大いに刺激します。

そして、ロンドンでは、ワーテルローの勝敗を
いち早く掴んだロスチャイルド卿が、
株式市場で大儲けをしたのです。

ワーテルローの敗戦以降、ナポレオンの威光は急速に衰えて行きます。
スポンサーに見放されたロックスターの様に・・・・。

■ 「民主主義」や、「民主革命」という欺瞞 ■

その後、ヨーロッパ諸国は民主化を成し遂げますが、
ヨーロッパの旧王族達は、斬首される事も無く、
現在でもその莫大な資産を維持しています。

真に力を持つ者達は、社会の表面から退場し、
影から社会を動かす様になったのです。
民衆の敵としての国王は、いつ命を落とすか分かません。
そこで彼らは、国家の象徴としての存在を選びました。
しかし、彼らの所有していた財は巧みに保全され、
資本として投資される事で社会を影から支配していったのです。

「民主主義」とは、高校の「生徒会」の様なもので「社会のガス抜き」です。
そのウソ臭さは、中学生や高校生でも理解しています。
「生徒会なんて名ばかりで、学校運営は先生達に支配されているではないか・・」

■ ヨーロッパで顕在化する「民主主義」の二重構造 ■

「一つのヨーロッパ」という悲願は、
ヨーロッパの国々の国民の悲願では無く、
「ヨーロッパの支配者」達の目的です。

各国国民は、物分かりの良い振りはしていますが、
昨今のドイツの様に、いざ自分達に不利益が及ぶと、
ヨーロッパの大義よりも、国家や個人の利益を優先します。

「統一ヨーロッパ」はドイツには負担になり、
新興欧州には、国債発行のリスク軽減というメリットをもたらします。
危機が発生すれば、EU全体対処するという事は、
他国の税金が、危機に瀕した国に投入される事と同義で、
これは、「徴税と公共投資」と何ら変わりません。

現在ギリシャ危機に際して、
ヨーロッパはなかなか一つにまとまらない様に見えますが、
これは国民を欺くパフォーマンスです。
「国家は国民の味方である」というポーズに過ぎません。

一方でマーレヒト条約を拡大運用して、
各国の予算を、各国の予算審議の前に、
欧州委員会が審査するルールが来年からスタートする様です。
統一ユーロ債が発行されれば、
ヨーロッパは実施手的な財政統合に踏み出したとも言えます。
(田中宇氏のブログを参照して下さい)

各国の議会の審議も経ずに、
これ程重要な事が決まっているのです。
ヨーロッパにおいて、民主主義の形骸化は菅著です。

後は枠組みだけ決めておいて、
決定的な経済危機を勃発させれば、
国民は崩壊よりも、新しい枠組みに希望を見出します。

■ 大統領が勝手に戦争を始められるアメリカ ■

アメリカにおいても、民主義の形骸化は法律で保障されています。

海兵隊は大統領直属の部隊で、
大統領の判断で、戦争を起こす事が可能です。
有事の即応性を高める目的で定められた事ですが、
海兵隊の運用の議会承認は、事後処理で良い事になっています。

大統領自身が民主主義の象徴なので
アメリカ国民も誰も疑いを持たないこのシステムですが、
私達から見れば、「民主主義の過信」と思えます。

「大統領が絶対的人格者」であるかどうかは、大いに疑いがあります。

■ 「民主主義」が機能不全をい起こしながらも国家が運営される不思議 ■

日本においてもネジレ国会によって、
「民主主義」は機能不全を起こしています。

一方国の運営は、官僚主導で粛々と行われています。
増税も、TPP参加も、年金受給年齢の変更も、
あるとき降って湧いた様に、新聞の紙面に登場します。

国会の議決は必要ですが、
消費税率引き上げの様な分かりやすい議案は秘訣されますが、
所得税法改正などは、話題になる事も無く国会を通過してゆきます。

日本においては、重要な事は国民に知らされる事すら無い様に思えます。

■ 歴史の転換点としての「カダフィーの死」 ■

一般の「歴史」や「歴史学」は「偶発性」を重んじます。

1920年にウォールストリートで株が暴落してしまった。
日本軍が真珠湾を奇襲攻撃してしまった

歴史の転換点の重要な事柄は「・・・してしまった」という
「偶発事故」であるとするのが、「歴史学」です。


一方陰謀論は、歴史の転換点を「必然=陰謀」と捉えます。

大恐慌は、コール市場の資金引き上げによって起された。
真珠湾攻撃を米国政府は知っていながらあえて攻撃させた。

決して歴史の教科書には書かれませんが、
最近では陰謀論者達の主張が正しかった事が分かってきています。


「カダフィー」の死は、一つの時代の終焉を象徴しています。

50年後に振り返った時、彼の死を含む一連の中東情勢の変化が、
どの様な「歴史の変換点」であったのか、明らかになるでしょう。