『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

マドンナの宝石

2006年01月13日 03時03分05秒 | かぁちゃんにまつわる話
「ねぇ、テレビを消して音楽聴こうよ。」
家にいる時はほとんどテレビがつけっ放しなっているので時折そう声をかける。
テレビの内容がどれ程理解できているのかは解らないが、ほとんど会話をしなくなった近頃でも、時折「うふふっ」と笑ったり「これ何?」と聞いて来る事に私が安心できるので消すのが怖い。

いつもは一緒に歌えるように童謡や、かぁちゃんの大好きな舟木一夫氏のアルバムをかけているのだが、久々に昔彼女がよく聴いていた「マドンナの宝石」(歌劇『マドンナの宝石』間奏曲エルマンノ・ヴォルク・フェラーリ作曲)をかけてみた。かぁちゃんが喜ぶと思ったから。

・・・かぁちゃんは無表情だった。
「ほれほれ、マドンナの宝石だよ~。」と顔を覗き込んで話しかけたのに
「しらない・・・。」と、ぽつりとつぶやいた。
「んじゃ、かずさん、かけてあげるよ。」と、すぐにいつものアルバムに変えると何だがほっとしたような表情で目を閉じて「高校三年生」の前奏が聴こえてくると、体を揺らしてリズムを取り始めた。
へぇ、自分でこんな事をするようになったんだ。
近頃左手が以前に増して硬くなってきているので、歌いながら両手を取って揺らしたり、私が側で踊ったりして笑いを取るのも案外役に立っているのかもなぁ、と少し嬉しくて一緒にリズムを取りながら歌った。

けど心が少し寒いのは「マドンナの宝石」の美しくも物悲しいメロディが頭から離れないせいだろう。
・・・忘れてしまったのだろうか。あんなに大好きだったのに。
明日またかけてやろう、かぁちゃんが思い出すまで続けてみよう。
大好きだった曲まで忘れさせてたまるか。
これ以上、いろんな事を忘れさせてたまるか。
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まいったなぁ

2006年01月11日 03時41分16秒 | どうでもいい話
携帯電話には性格が丸出しになっている事を私はすっかり忘れていたのだ。
暮れにそろそろ四年目になろうとする携帯電話を換えた。
使い勝手は良いのだがバッテリーが持たなくなったのと、長い間の癖で逝ってしまった鶯姫についメールしてしまいそうになって自分でドキリとするので(苦笑)

しっかし、こういう類の物はほんの数年で随分進化するんだなぁ。
画質は良いし待ち受け画面なんか動画がチョイス出来るし、なんってったて音が抜群にいい!MDで聴くのと大差ないんじゃないかと思うほどで感動した。

ところが、機能が増えると取扱説明書が分厚く字が細かくなるのはわかるけど、ど~して知りたいことを的確に簡潔に書いてくれないのだろう?
絶対にどこかで見落としているだけなのだろうが、途中で面倒になってショップに聞きに行ったのが運のつき・・・。しかも普段は絶対にそういう事はしないのに。

内容はminiSDを再生する時に、イヤホンのリモコン操作が出来ないのでその原因と作動のさせ方を聞きに行ったのだが、店の方も不慣れだったのかメーカーに何度も電話で確認をしてくれた。
いや、対応は親切だったし解りやすく教えてもくれた。
し、しかしだ、最初彼女も原因が解らなくて、そのSDカードの内容だけでなく他のデータ内の音も試してごらんになったのだからたまったもんじゃない。
何せ着信音に使ってる曲って、個人別にあ~んなのやこ~んなのな訳で・・・。

SDカードには幸いにもメジャーな曲しか入れてなかったけれど、着メロは・・・。
その上運悪く妹からメールが入り、もう顔は熱くなるわ変な汗は出てくるわ、焦ってただでさえ早口なのに、自分でもおかしいくらいに早口でまくしたてる始末。
だ、だって・・・。
常日頃、個人別に着信時の待ちうけ画面や着信音をころころ変えて遊んでいるのだが、妹からのはここ最近、野村萬斎氏が天宇受売命に扮している画像にギンガマンの着信音であった。・・・わはははは。

・・・しかも、お姉さんはそれをイヤホンで聴いてるし・・・。
・・・その上、お姉さんは着メロの一覧まで黙って見てるし・・・。
・・・最初、すまして、おしとやかに?質問したのが尚悪かったか・・・。

原因解明一件落着だったのだが、有り得ないほど焦って汗だくになってしまった。
落ち着いて考えれば、別にそんなに焦る必要もなかったのになぁ。
ちなみに、もうかかってくる事はないけれど、かぁちゃんからのは、あざみの花の画像にギルの笛の着信音だった。・・・マニアックな気もしないではない。

それにしても「もう少し落ち着け!自分。」これもひとつ今年の抱負に加える事にしよ~っと。(毎年思っているけど無理なんだなぁ、これが)


*注:待ちうけ画面と着メロには何の関係もございません。
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不信人物?

2006年01月08日 03時00分36秒 | 日々の出来事
かぁちゃんの徘徊を経験してから、道行くお年寄りを見かけるとつい目で追う癖がついてしまったようだ。
またまたいらぬおせっかいを・・・とは思いつつも気になって仕方がない。

今日の帰り道、歩道にたたずむ白髪の女性を見かけてドキッとした。
視力が弱いので暗がりはあまり目が見えないのだが、お年寄りである事に間違いない。時間は夜中の2時をまわっている。しかもかなりの冷え込みである。
気になって、声をかけようかと自転車の速度を緩めてじっと見つめると最初はこちらを見ていたのに目を逸らされた。
あれ~?と思いつつ、その行動はしっかりしていたので幾分安心しながら、でも目を離さずいると、今度はそそくさと私の進行方向とは逆の方向へ移動された。
よくよく見ると、旅行用のキャリーバックを引いておられる。おそらくどなたかの車を待っておられたのだろう。
確かに白髪ではあるが、明るい所で見ると案外若い方だったのかもしれない。

通り過ぎて念のために振り向くと、あちらも私の方を振り向いていて、目があった瞬間に慌てて顔を背けられた。
「あっちゃ~、こっちがおかしな人だと思われたかなぁ。」と苦笑しながらスピードを上げて我が家へと急いだ。

大きなため息と共に玄関のドアを閉めて、姿見の中の自分の姿を見て噴出した。
冷たい空気を吸い込むとすぐに咳になるので、ネックウォーマーを鼻の辺りまで引き上げて、上着のフードを目深に被っている。顔で露出している部分は眼鏡だけ。
昼間にはフードを被るなんて事はしないのだが、寒さに負けてつい・・・。
いや~、すみません。怖がらせてしまったのかなぁ。
明らかにこちらの方が不信人物に見えたに違いない。
いやいや、ほんと、ごめんなさい。

それにしても、東北地方や日本海側は物凄い雪ですね。我が故郷も連日数十センチの積雪が続いているとか。日々の生活も想像以上に大変なんだろうなぁ。
身体的にはもちろん、ご心労もいかばかりかとお察しいたします。
どうぞお気をつけてください。
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家政婦は・・・。

2006年01月07日 02時59分29秒 | ぺこちゃんにまつわる話
ぺこちゃんには中度の知的障害がある。
IQのみの判定では重度の部類らしいが、独特の舌っ足らずな喋り方ながら根っからのお喋り好きで、人とのコミュニケーションは聞き手が慣れてしまえば、簡単な話ならほとんど差し障りなく取れている。
何より、一見して彼女に障害がある事は同じ障害を持っている方々のご家族でもない限り分からない程だ。

全寮制の施設を卒業して、16歳からこれまた全寮制の工場で働いていた為か、生きる事に関して、殊に人間関係に関しては鋭く観察して上下関係を察し、それぞれにそれなりの対応をする技は私以上かもしれない・・・という事は我が家で生活し始めて半年くらい経ってから、ようやく分かった。
至る所で私は鈍感に出来ているらしい、

身の回りの事は完全ではないが一応できるし、返事もはきはきと可愛らしい。
ただ、共に生活するには困った事がやはり、どうしても出てきてしまう。

細かく挙げればきりがないが、一番困っている事は彼女が家庭生活の経験がないためにプライベートと公的な境目を持たない事だ。
その上、お喋り好きなのが幸いして・・・いや災いして、我が家で起きる様々な事をディサービスや私の知人との集まりの場で意気揚々と話してしまう事だ。
しかも、私達の会話を黙って聞いていて自分の理解できる範囲内に曲解して喋るものだから事実と大きく食い違っている事の方が多い。

当初は留守番させるのが可哀相で可能な限り連れて歩いていたし、食事も極力家族と共にするようにしていたが、その事が原因で他人様からあらぬ誤解を受ける事も度々あり、弁解して回るのにほとほと疲れてしまったので、大切な話をする時には彼女に聞えないようあちらこちらの扉を閉めてまわるという、私にとっては非常に苦手な事をせざるを得ない。
何だか意地悪をしているようで自己嫌悪に陥る事もしばしばだが奇麗事ばかり言ってもいられない。

ところが・・・である。私たちが扉を閉めると彼女の部屋の引き戸がするすると開くのだ。おそらく仲間はずれにされているように感じているんだろうなぁ・・・。
けど、やはりしっかり聞いていて、デイサービスの職員さんに我が家の内情がかなり違った形で伝わっているのにはただただ閉口するばかり。
「あら・・・まぁ、大変・・・。」まるで家政婦は見た!状態なのだ。
たまりかねて以前に一度だけ「家の事をあんまり外で喋っちゃ駄目だよ。」と言ったら事があるが、その時も「は~い。わかりました。」と返事は元気に愛らしく。
しかしそれ以後「~さんが言っていた。」と責任転嫁してしまうようになってしまい、これではもっとマズイので改めて注意はしないようにした。

職員さんに聞いて見ると、喋る事がストレスを溜めないために彼女には必要なので気にしないで喋らせてあげて・・・との事。
むむむ・・・。しかし、どうにもこうにも「いや~ん!!」なのである。
ぺこちゃんはただ、お喋りのネタを集めるのに一生懸命で悪気がないのは分かっているのだが、私の精神的にはかなりキツイ。
しかし、この所一人で留守番ばかりさせている毎日なのでそういうストレスを発散する場所はどうしても必要だとも思う。

だもんで、今日も話を聞きたいぺこちゃんと、話を聞かせたくない私との攻防戦を繰り広げている。
撃っては撃たれの繰り返しなのだが、しかしこれも慣れれば一種のコミュニケーションの形としては面白い。
ヤバイ!と思った時には当たり障りのない話を馬鹿笑いしながら、面と向って話すという錯乱作戦に、彼女は取り合えず満足してくれているらしい。
時には思いも寄らぬ反撃を被るのだが、それはあまりに面白すぎるので又の機会に話す事にしよ~っと。



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年賀状

2006年01月05日 02時57分24秒 | かぁちゃんにまつわる話
四年前のお正月を過ぎた頃、かぁちゃんが元住んでいた我が家の側に越してきた。
三年前のお正月の準備の頃、かぁちゃんが年賀状の半数以上の住所を間違え、同じ人宛に何通も書いているのを見つけて慌てて修正した。けど、頂いた年賀状には何度も目を通して、内容もしっかり理解できていた。
二年前のお正月前、年賀状を書かなくてはいけないと大騒ぎするものの、うまくできずに表書きと本文は私が書いて、かぁちゃんにはサインだけさせた。頂いた年賀状にはちゃんと目を通して内容も解っていたようだが、自分はまだ書いていないと何度も何度も繰り返して私を閉口させた。
一年前のお正月、暮れには何も言わなかったので、私が頂いた物の返事を目の前で書いて声を上げて確認させた。頂いた年賀状は読んでいるように見えた。
今年のお正月、昨年同様目の前で書いたけど、かぁちゃんは何も言わなかった。頂いた年賀状は右から左へ並べ替える作業を繰り返すだけで読む事をしなかった。
一枚一枚読んで聞かせたがあまり興味を示さなかった。

私は母の友人達への年賀状に初めて「母はもうお年賀のご挨拶を自分で書く事ができなくなりましたので・・・。」と代筆の失礼を詫びた。
案の定電話が数件かかり「あんなに賢い人が何で?」と口を揃えて聞かれる。
そんな事言ったって・・・それを一番聞きたいのは私だよ~。

こんなふうに変わっていくのが普通なのかな。
アルツハイマーの症状の変化ってこんなもの・・・なのかな。
同じような毎日を繰り返していると、少しずつの変化に鈍感になっているようだ。
今この時の時間は、かぁちゃんにとっては私よりもずっと重い意味があると思う。
衰えていく事は確実なのだから、もっともっと大切にしないといけない。
今出来ることを、今解る事を、これ以上失わさせないために何が出来るのだろう。

一昨日、妹達が来た時に、かぁちゃんは妹の名前が思い出せなかった。
家族の名前を忘れるのは初めてだったので私たちは焦って顔を見合わせた。
暮れから、極端に言葉数が減り、顔つきがぼんやりして話しかけても反応が鈍い。
まいったな・・・。

しか~し、二日経ったら彼女の名前を呼んで、今来ていたのにいないと騒ぐ。
かぁちゃ~ん!恐竜じゃないんだからさぁ、もう少し早く何とかならないかい?
あ、失敬。昔の定説のままに書いてしまった。本当は恐竜はもっと敏感だったらしいからこんな事書いちゃ恐竜達に失礼だな。

ん~・・・きっと、こんな物なんだなぁ。
あんまり思い込まないで気楽にやり過ごそ~っと!なんて今年の抱負をまず一つ。
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年のはじめに

2006年01月02日 03時39分14秒 | 日々の出来事
元旦の朝、晴れて車なし!
朝、いつもと同じ時刻にかぁちゃんの家に向って自転車をこぐ。
いつにも増して寝不足で、ぼっけ~としながら信号待ちでふと気付いた。
車が走っていない・・・。わ~い、お正月だ~い!
絶対信号無視しても大丈夫なのに、小心者の私には出来なかった。残念・・・え?

何はともあれ、あけましておめでとうございます。

年明け早々尾篭な話でどうにも申し訳ない気がするのだが、2006年の幕開けに向ってそろそろカウントダウンが始まる頃になっても、有ろう事か、かぁちゃんはトイレから出て来なかった。
「早く出てくださ~い。年が明けてしまいますよ~。」の願いも空しく、年が切り替わったその瞬間、私はかなり焦りながら、かぁちゃんのリハパンにパットをはさんで・・・・。
うぁ~ん、上げる途中だったのだ・・・しくしくしく。
だって、どきどきしながらその瞬間を待って「あけましておめでとう!」と叫ぶのが例年の習慣だったのに、パンツ上げながらなんて嫌だよ~。
嫌、待てよ・・・今年は案外運が向いてくるのかしらん?
うん、そういう事にしておこう。わははは!

昼頃、背の君と愚息二人がかぁちゃんの家にやって来た。
ぺこちゃんにはお弁当を作っておいて、悪いなぁと思いながらも留守番を頼んだ。
かぁちゃんは彼らを見て最初は涙ぐんで「うふふっ。」と笑っていたけど、感情も長続きしなくなっているらしく、いつもの表情にすぐに戻ってしまう。
昨年はまだ孫達のお年玉の心配をしてたのに、もうそれも忘れてしまったようだ。
一年間で随分衰えたなぁ、と現実を再認識するも、かぁちゃんのほっぺをつつきながら、「ほれほれ、み~んな来たよ~。」と一人はしゃいでみせると、ようやく孫達の名前をぽつりと言って「うふふっ。」と笑った。

一人黙々と遊び食べを始めたかぁちゃんのテーブルの目の前にコタツを持ってきて、家族四人でおせちをつつく。
家族が揃ってテーブルを囲むなんて、いったいどのくらいぶりだろう。
私は完全に下戸なのだが、我が家の男共も三人でお銚子一本が空けられない。
一口飲んだら三人三様目がとろ~り。そのうちコロリと横になる。
仲間はずれは嫌なので、私もついでに転がってみる
四人がコタツを囲んでそれぞれにコロリと寝っころがると、しみじみとやって来たのが何とも言えない幸福感だった。

なんだかとっても幸せな2時間余り。今年はきっと良い年になるに違いない。
2006年が始まった。今年もどうぞよろしくお願いします。

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