8/18
夏休みイベントや、体調不良で、1週間ぶりに父に会った。
「ひさしぶり~♪ 調子どう? おかず食べてる?」
やっぱり立て続けに喋りまくる私。
口うるさいオカンみたいだな。
父は「このごろ、全部食べよるよ。」と言う。
食べ物が美味しく感じるようになったんだと。
えっ、全部…
一瞬耳を疑った。…というか、これも認知発言かと思った。
この日、父は、私がおやつに持っていった宇治金時ミルクのかき氷を、美味しそうに食べたあと、小一時間で昼食が運ばれてきたけれど、野菜の小皿ひと皿を残し全部食べた。
1時間かかって、ゆっくりゆっくり、手つきはおぼつかないけれど、なるべく手出ししないようにした。
お粥以外のものが少しずつでも食べられただけでも「スゴイ!」と大喜びしてたのに、
いったい父に何がおこったんだ!?
サラダのドレッシング(サウザンアイランド系)が美味しかったようで、
「このぴりっとしとるんは、ワサビが入っとるんかいの」
「えっ、ワサビ? それならたぶん辛子やろう。」
父は、山葵、辛子、唐辛子、山椒…刺激物が好きなのだ。味付けも濃いのが好きなのだ。
お粥にも塩をたっぷりかける。
お皿に残ったドレッシングに、鶏肉のソテーを絡めて、ドレッシングをすっかりきれいに拭き取るように食べた。
ピーナッツ揚げを餌のように無表情でぽりぽりと食べていた父とは全然違う。
私は薄味の苦手な父に、食事が終わったあと、早速ドレッシングを買ってきた。
「コブサラダ ドレッシング」これがたぶん父の求めてる味ではと…
他に、コンビニの袋入り使いきりも数種類。
麻婆丼事件を思い出す…
今なら、きっと味覚も戻ってきたようなので、食べられるかも。
もしかしたら、お鮨も焼肉も、食べられるんじゃないかなあ…
食べさせてあげたいなあーーー
とりあえずは、父が好きで、病院ではあまり出てこないであろう、ピリ辛系だな。
「ユッケジャンクッパ」みたいなヤツ。
「お父さん、ピリ辛の、豆腐と卵と玉葱が入って中華風の濃い味のスープ、どう? 美味しそうやなーと思う?」
「そうやのー」
「よっしゃ。ほな、今度作ってくるよ。病院の電子レンジでチンしたら、熱々が食べられるけん。」
以前は、絵に描いた餅だったけど、今なら実現可能だ。
食べたいもの、たくさんあるだろうなあ…
食べられるよ、お父さん。
いろんな構想が次々と浮かんでくる。
まずは、牛フィレをサイコロにして持ってきて、ミニホットプレートで鉄板を熱してお肉を焼いて、ワサビ醤油で食べさせる。
これくらいなら個室なんだし、短時間でささっ…と内緒でできるぞ(^_^;) とか…
あ~~やっぱりビールもついでにチビッ!と飲ませてあげたい♪
そんな楽しい時間の構想が広がっていく。
私は、とっても嬉しくて、今日の報告をヒロコさんにメールした。
ヒロコさんからは、
「センセは、自分の体重が39kgになってしまったことを知って、一生懸命食べています。
でも、食べても食べても太れないのが癌です…」という痛々しい返信が来た。
さらに、食べたことを忘れて、いくらでも食べて、お腹が苦しくなってしまうこともあると…
手放しでは喜べないんだ…
でも、美味しいと感じられるようになったのは事実のようなので、
これは小さな奇跡。
神さま…ありがとう
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