中旬頃だったか、その日の最終のニュースで韓国の世情を報じていた。
TV画面は、老若交えた人たちが日本大使館の前の少女像を囲み、“ 日本政府は慰安婦への謝罪と法的責任を取れ ” と気焔を上げ、その隣では、日韓合意を支持するグループの男性が、“ 一部の団体がこの問題を反日闘争に利用している。今こそ和解して前に進むべき時だ ” と語る姿を写していた。
一方、北朝鮮、水爆なのか原爆なのか、何時も乍らの無法振り、かつて味を占めた恫喝行為がまたぞろ鎌首をもたげたよう。
北の蛮行は別にして、南のそんな彼(あれ)も是(これ)も、恨みが恨みを呼ぶ負の連鎖が為せるのだろう。
話は変わるが明けて元日の朝日、“ 世界はうたう ‐ オバマが歌った赦す心 ” という記事が載っていた。
要約すると、昨年6月、かつて奴隷取引の拠点だった南部サウスカロライナ州チャールストンで、白人至上主義の男に射殺された牧師ら黒人9人の追悼式があり、大統領はスピーチの途中アカペラで讃美歌 「アメイジング・グレイス」 (邦題:すばらしき恩寵)を歌い始めたという。
その追悼式の一週間前、容疑者が裁判に出廷、遺族は一人ひとりモニター越しに容疑者に語りかけたという。
それは、“ あなたは私から大切な人を奪いました。もう母と話し抱きしめることもできません。でも私はあなたを赦します ” というものだった。
また、ある遺族は、“ 私は自分がとても憤っていることを告白しますが憎むことはありません。赦さねばなりません。あなたの魂のために私は祈ります ” と語りかけたとあり、地元の教会で23年、赦すことの意味を説いてきた牧師もその言葉に圧倒されたともあった。
折からフィリピン訪問中の天皇、皇后両陛下、ご高齢にも拘らず、先の大戦での無辜の犠牲者を慰霊される姿に頭が下がる。
終戦後間もない反日感情が渦巻くそのフィリピンで、日本人戦犯108人に恩赦を出し、全員を帰国させたキリノ大統領のことをTV報道で初めて知った。
驚いたのは、キリノ元大統領は戦時中、妻と三人の子供を日本軍に殺害された過去を持っていたということ。
東京新聞電子版(1/26)に、“ それでも許した理由を、姪にあたるアレリ・キリノさんは、「大統領の弟アントニオの存在が大きかった。父は敬虔なカトリック信徒で、かつての敵に対する赦しの大切さを大統領に説いた」と振り返った ” とあった。
キリストは、“ だれかがあなたの右の頬を打つなら左の頬をも向けなさい ” (マタイ5章39)とも、“ 敵を愛し自分を迫害する者のために祈りなさい ” (同5章44)とも教える。
日々 “ わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします ” (主の祈り/部分)と祈り乍らも、怒りや恨みから解き放たれない自分がもどかしくもある。
写真は 「ゼラニューム」、その花言葉は偶然にも “ 慰安 ” だとか、毎年、やけに長く感じる睦月・一月も余すところ二日、漸く冬らしい様相(かお)を覗かせ乍らゆく。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1087
※ 「賛美歌第2編167番 ‐ アメイジング・グレイス 」 (歌:白鳥英美子) 時間が許せば聴いて下さい。