フランス古典主義の巨匠にして宗教画や神話画、歴史画を得意としたニコラ・プッサン(1594-1665)。
その彼の連作 「四季」の後編。
主題は、旧約聖書の一場面を一日の移ろい、早朝、昼、午後、黄昏時に結び付け描いていることは前編で書いた。
それは、春は誕生、夏は青年、秋は成熟、冬は晩年を、そして、また春、人生を擬(なぞら)えてもいる。
「秋 ‐ カナンの葡萄、または約束の地」(左)は、葡萄を収穫する姿が、午後の終わりの陽光によって仄めかされている 。
そして、明るい色彩を与える秋に対し暗い色調で描かれた 「冬 ‐ 大洪水」(右)では、黄昏の光の中、ノアの大洪水の光景を切り取っている。
ところで、主題の<ノアの洪水>は改めて説明も要らないだろうが、“ 約束の地 ” とは、旧約聖書の出エジプト記が典拠。
モーセは、神にヘブライ人を約束の地へ導くよう命じられ、エジプトを脱出する。
神がイスラエルの民に与えると約束された肥沃な土地カナンを目前に、モーセは従者にカナンの様子を見に行かせる。
その従者が持ち帰ったものが大きな蒲萄一房、その地が神が約束した “ 乳と蜜の流れる地 ” であることを証明したのである。
話は前後するが、連作 「四季」は、彼プッサンの死の一年前に完成、遺作とされている。
そこには詩情豊かで革新的、かつ複雑な彼の画業のあらゆる本質が込められているのだそうだ。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1078
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