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ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

続・痛み ‐ 5月がゆく

2014年05月30日 | 季節/暦

 先週末(5/24)の土曜、肩の痛みに耐えかねてA診療所の整形外科を訪ねた。

 待つこと2時間余、背後から首筋や肩を指で押さえて「固いなあ!」と驚かれ、そこから肩甲骨、左腕の付け根辺りに指が動くにつれ、痛てて・・・、と声を洩らす。
 僧帽筋、後頭部から背中の正中線に沿って始まり、左右の鎖骨・肩甲骨に終わる菱形の筋肉だそうだが、その僧帽筋を痛めたらしい。

 A2A1説明のためもあるのか、「X線を撮ってみようか」と促され、フィルム板の前に投射機に向かって立つと、「顎を上げて」との指図、首をそらすだけで後ろ側を鈍い痛みが走る。

 再び診察室に呼ばれ、当節現像なんて言ったら笑われる、PCに転送された画像を前に症状の説明。

 脊柱のうち頸部の7個の椎骨、喩は拙いが七重の石塔みたく。を、頸椎と呼ぶのだそうだが、その第一頸椎は環状、第二頸椎は歯状突起をもち、人が胡坐をかいて座ったような形をしているのだそうだ。
 その姿? ポインターで指して説明されると、なるほど素人目にも判るような気も。

 その頸椎、 歳にしてはきれいらしいが、痛みはこれから肩から肘、手首へと下がってくるとの診立て。
 てっきり左掌から上がってきたと思っていたのだが、素人の知ったか振りもいいとこ。

 B2 B1原因は、長時間同じ姿勢を続けていることだそうだが、思い当たったのがデスクトップからラップトップへのPCの入れ替え。知らず内に長い時間、背が丸まっていたようだ。

 処方は、酷ければ注射らしいが、今回は錠剤と膏薬。
 PCは45分をひと区切りに、合間に軽い体操をするようにと注意された。
 効果があるのは風呂、スパなどでゆっくりと時間をかけ、血管を広げて血の巡りを促すことで栄養も届くのだそうだ。

 思えばカタリナ が病を得て以来、ゆっくり風呂に入ったことなど数えるほど。
 自慢にもならないがこれだけは欧米並み? シャワーで一向に構わなくなったからなあ。

 その痛み、錠剤10日分、膏薬@7×4袋も処方され、こんなに?と首を傾げたが、軽くなったとは言えなかなか去(い)ってくれず、やはりプロの診立てはと感心。
 マンションの庭園の薔薇が一杯花をつけ、道行く人を楽しませているようだが、今年も半分近く・・・、ゆく時の流れの早さばかりを感じている。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.815

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閑話休題(2)‐ ナショナル・ギャラリー(22)

2014年05月28日 |  ∟イギリスの美術館

 4年に一度のサッカーのワールド杯、ブラジル大会が始まる。
 女王陛下(写真上/バッキンガム宮殿)の国、英国からは欧州予選を無敗で乗り切ったイングランドが出場。
 オリンピックにはひとつの国として出場するものの、サッカー、ラグビーもそうだが。は、イングランド、スコットランド、ウェールズのグレートブリテンと北アイルランドが別々に予選を競う。

 正式には、“ グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国 ” と呼ぶこの国、四つの地域・カントリーで構成。
 英国の国旗・ユニオンジャック、ウェールズを除く三つのカントリーの国旗を重ね合わせているそうな。

 A2_2ところでその英国、何となく面倒臭い国だなあと思う。

 EUに加盟しながらシェンゲン協定に参加していないので、入国審査であれやこれやと詮索されるうえに通貨は厄介にもポンド。
 僅か三度行っただけで偉そうに言えないが、西欧の他の国とかなり印象が違うように思う。

 話しは変わるが、旅の途上のナショナル・ギャラリー、英国を代表する美術館も少し事情が異なるようだ。

 例えば、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークはバイエルン王室、ベルリン美術館はプロイセン王家、ルーブル美術館はフランス王室、プラド美術館はスペイン王家、エルミタージュ美術館はロマノフ朝。
 フィレンツェのウフィツィ美術館はメディチ家、ウィーン美術史美術館はハプスブルグ家など、ナショナル・ミュージアムの多くは王室や貴族のコレクションを基礎としている。

 A3ガイドブックに、保険ブローカーで美術後援家だったジョン・ジュリアス・アンガースタインが収集していた38点の絵画など、個人の寄付を基礎としてスタートしたとあるナショナル・ギャラリー。
 王室コレクションは、現在でも私的所有物なのだそうだ。

 ナショナル・ミュージアムにしては、総収蔵数2,300点と少ない、収蔵内容・品質は別。のは、その所為でもあるようだ。

 ちなみに、地元?英国美術は、分館のテート・ブリテンに収蔵される。
 館内のクロア・ギャラリーに並ぶターナー(1775-1851/ロマン主義)の膨大な絵に圧倒されたことは、このシリーズの冒頭、<ターナー展>(14/01/15)で書いた。

 ただ、産業革命によって七つの海を制覇、世界各地から掻っ攫ってきた? 民族的遺産を収蔵する大英博物館(写真下)、優れた絵画・素描なども収蔵している。が、聳え立つ。
 その辺り、東西に国立の博物館はあっても、さしたるナショナル・ミュージアムを持たない極東の島国と似てなくもない。(この稿、続く)。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.814

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(21)へは(コチラ)から入れます。

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レンブラント(3)‐ ナショナル・ギャラリー(21)

2014年05月26日 |  ∟イギリスの美術館

 オランダ絵画黄金期の巨匠レンブラント(1606-1669)の次なる絵は、初期の代表的な宗教画のひとつ、「ベルシャザルの酒宴 ‐ 壁の言葉」。

 その主題の典拠は、旧約聖書ダニエル記第5章ベルシャザルの酒宴。
 バビロニアの王ベルシャザルは、父王ネブカデネザルや妻妾、廷臣ら千人の者と共に盛大な酒宴を催す。

 A_2酒も進みベルシャザルは、父王がエルサレムの神殿から略奪した金銀の器で酒を飲むため、それを持ってこいと命じる。
 彼らはその器で酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石などの神々を褒め称えたが、真の神を崇めようとしなかった。

 すると、突然人の手の指が現れ、燭台と相対する塗り壁に、“ ネメ・ネメ・テケル・ウパルシン ” と書き始め、“ それを見た王の顔色は変り、その心は思い悩んで乱れ、その腰の番(つがい)はゆるみ、膝は震えて互に打ちあった ”(5章6)というその瞬間が切り取られている。

 驚愕し恐れたベルシャザル、ヘブライ語で書かれた意味を解く為に捕らえていたユダヤの預言者ダニエルを召喚。

 ダニエルは、ベルシャザルの無謙虚さと神に対する冒涜を批判、その後、彼の統治の終焉、バビロニアがメディアとペルシアとの間で分割されることの予告だと解き、その予言通り、その夜メディア王の放った刺客にベルシャザルは暗殺される。

 B2_3 B1_3解説書には、ある時期に画布の四辺から細かい楔形の断片が切り取られため、木枠に貼りなおされたとき、ほんの少し左回りに曲がってしまった。

 そのため僅かに卓が傾斜、右にいる女性がこぼすワインが斜めに滴る(下/左)など、それによって画家の意図は一層誇張され、酒宴の最中の騒動がより劇的になったとある。

 序に細かいことを言えば、ベルシャザルの金襴のマントや揺れる首飾りが超自然的なスポットライトで浮かび上がる中、この異変を見ていない音楽奏者が笛を吹き続けている(下/右)のが向かって左辺の褐色の中に微かに見て取れる。

 このような細部までバロック期の偉大な先人カラヴァッジョ(1573-1610 /イタリア)やルーベンス(1577-1640/フランドル)の影響が見て取れて面白い。(この稿、続く)
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.813

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(20)へは(コチラ)から入れます。

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痛み ‐ 想い出のカタリナ

2014年05月23日 | 想い出のカタリナ

 今更、四十肩、五十肩でもないが、ひどい肩の痛みに苛立っている。
 原因はPCなのか、PCに向かう姿勢なのか、それとも栄養不良の所為なのか?
 それらが重なって悪化させたのだろうが、元々の因は判っている。

 現在、投稿中のナショナル・ギャラリーへ行った折のことだから09年、ルフトハンザ航空でフランクフルトへ向かう機中でのこと。

 A2_2 A1最初の機内食を終え、歯磨きを済ませ映画を少し楽しみ、照明が落ちたのを機にシートをフルフラットにして仮眠。
 その時、左腕を肘掛けにずっと置いたままにしていたのが良くなかったよう。
 着陸前の機内食が始まって起こされたが、左手が痺れたようで暫く動かせない。

 痛めたのは左掌の親指の付け根の辺り、帰ってすぐ整形外科医院へ。
 X線では親指の第一関節の接目に白い影が写り、そこが擦り減って悪さをしていると。
 それに、年齢相応のところもあると余り嬉しくない言葉も付け加えられた。
 その部位に注射をすればいいらしいのだが、それを聞いて顔を顰めたのだろう、「膏薬を貼っておけばええやろ」と湿布薬を処方された。

 B2_2 B1_2それからも、何度か軽い痛みを繰り返したが、都度、簡単な体操などで遣り過ごして5年、どうも今回は、塩梅が悪くPCを打つのも辛くなった。
 で、薬箱をガサガサしたら、彼女が直前まで使っていたらしきボルタレンテープが出てきた。

 シャワーの後、不器用の見本みたく皺くちゃにしながら左の肩甲骨辺りに貼って一晩、それが効いたのだろう痛みが少し軽くなったようで、短い時間だがPCが打てるまでには。

 ところで、母親が神経痛で度々臥せていたことがあった。
 農繁期になると父親がずぼら病と酷い言葉で叱っていたのを憶えているが、この種(て)の病気、傍から見ればそんな風に写るらしい。

 そう言えばカタリナ、稽古から帰ると痛むのか、足や肩に始終塗ったり貼ったりしていた。
 そんな彼女を、親父と変わらぬ目線で見ていたのでは?と、今になって肩にもまして心を痛めている。
 前号に続き、夏を思わせる暑い日曜(5/18)、ミサの帰り道に咲く花を撮った。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.812

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日曜はイヤ!‐ 想い出のカタリナ

2014年05月21日 | 想い出のカタリナ

 最近のギリシャ、賞味期限が切れたのか飽きたのか殆ど報道されないが、少しは落ち着いたのかな?

 そのギリシャを舞台にした映画、付け加えればギリシャ映画。で、「日曜はダメよ」というのがあった。
 同名の主題歌、いかにもラテン系のアップテンポな曲で1960年代を代表するヒット曲となり、アカデミー音楽賞を受賞したので覚えている方もあるのでは。

 A小ブログでも投稿した憶えがあって、カテゴリー “ ペトロ雑感 ‐ 映画のこと ” で探したが見つからない。
 投稿の際に、カテゴリーの選択漏れがあるとこんなことに。
 800号ともなれば総ての記事から探すのはお手上げ。

 話がそれたがその映画、ギリシャの港町を舞台に娼婦とギリシャ研究者でギリシャをこよなく愛するアメリカ人旅行者との物語である。

 あばずれだが美しい心の持ち主の娼婦を、道徳的な道へ向かうよう導こうと腐心する旅行者という聊か陳腐な設定。
 後のマイフェアレディやプリティウーマンなどの映画に少なからず影響を与えたかも?

 長々と半世紀も前の映画を持ち出したのは他でもない。
 B_2最近、土曜から日曜にかけて、取り分け日曜がダメならぬイヤで仕方がない、繰り返せば最近のことだけれど。

 ユダヤ教の安息日の<シャバット>ほどじゃないがこの日、仕事から解放され、こざっぱりとした身なりでミサに出席、一週間の罪の告白とキリストの体(パン)と血(ワイン)に与らなくてはならない日でもある。

 が、その教会ですら遠く感じる始末、帰り道に「ビール、飲んでいいから」と人参をぶら下げても気持ちが奮わない。
 ミサに限らず、この日は何もかもが詰まらなく思えてしまう。

 この歳になって日曜はイヤ!もないもンだと思うのだが、五月病なのだろうか、どなたか処方箋を書いて頂けないだろうか?

 その日曜(5/18)、例によって遅刻しながら早退したミサの帰り道、人気のないあの病院の庭に、重い決意でガラシアへ<転院した日>(13/5/23)に見たあの花が咲いていた・・・。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.811

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to do List、その後 ‐ 想い出のカタリナ

2014年05月19日 | 

 昨年の夏の初め頃のこと、カタリナ から一枚の紙を渡され、なんだろう、まさか恋文? なんて七夕様を前に浮かれた気持ちで受け取ると、“ ミニ薔薇の植え替え ” と書かれていたこと、<届いた to do list>(07/02/)で投稿したが、覚えて頂いているだろうか?

 その後、七夕様の日、お休み(脚注:ガラシア病院への見舞のこと)を貰って、夙川教会の主日(日曜礼拝)ミサに出かける前にミニ薔薇の植え替えをしたこと、<約束>(07/09)で書いた。

 A1_2 A2

 その夏はせっせと水を遣り育てていたのだが、秋が足早に行く頃、喪失感に何もかもが嫌になり、また寒くなって億劫にもなり、他の鉢も含め見捨てた訳じゃないが、見て見ぬ振りをして過ごしてきた。
 ベランダに洗濯物を干すにつけ取り込むにつけ、これらの鉢、どう始末しようか? なんてことばかり考えていたように思う。

 そんな折、<春は届く>(03/16)に、椿の様子を尋ねるコメントを頂いた。
 正直にその時の気持ちを返したが、あかんよなあ、一生懸命でなくともせめて普通程度の世話はしなきゃあ、と悔やんだ。

 B1 B2  

 待ち焦がれた春が来て、多くは枯らしたものの椿が淡い桃色の花を付け、花筏が、洋蘭が咲き、春蘭がのこのこと花茎(かけい)を伸ばし可憐な花を咲かせた。
 そしてミニ薔薇、夏の足音とともにシルクのような花弁を開いてくれた。

 今、聊か大袈裟で陳腐だが、親はなくとも・・・、むしろ、親貧しくして孝子・・・、の心持ちで花に感謝、カタリナの、「ねっ、ちゃんと応えてくれるでしょ」の声に励まされ、せっせと水を遣っている。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.810

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レンブラント(2)‐ ナショナル・ギャラリー(20)

2014年05月17日 |  ∟イギリスの美術館

 17世紀のオランダ絵画黄金期に活躍した巨匠レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)。

 女性を描いた彼の絵の中でも屈指とされる 「<水浴する女>」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)で、巨匠が描こうとした女性とは一体誰なのか、誰を描こうとしたのか? までが前回。

 Aそれは、沐浴中に長老二人に覗き見をされ、関係を持つように言い寄られるものの拒絶。
 そのため長老たちの逆恨みを買い、姦通の罪で死罪にするよう告発されるが、長老二人の虚を暴いた預言者ダニエルによって無実を実証されたユダヤ人ヨヤキムの妻スザンナ(旧約聖書/ダニエル書)であると。

 また、バテシバの水浴姿を目撃、余りの美しさに自分の妻にすべく夫ウリヤを戦場の任務に就かせ戦死させ、その後、娶るものの神の怒りに触れ息子を次々と失うダビデ。

 己の行いを悔いたダビデは、バテシバとの間に生まれた末の子ソロモンに王の座を譲ったとされている。
 賢王ダビデに、生涯唯一の罪を犯させたバテシバ(旧約聖書/サムエル記)なのかとも言う。

 さらには、ギリシャ神話に登場、狩猟中のアクタイオンに入浴中の姿を目撃されたために、その報いとしてアクタイオンを鹿の姿に変えてしまい、彼が連れていた猟犬に食い殺させる<女神ディアナ>であるとも。

 Photo_2なるほど、そう教えられれば 「水浴する女」(前号)、 画家特有の赤褐色の色調の中で輝きを帯びる女性の肌は、官能性よりも寧ろ神聖な雰囲気を携えていると見えなくもない?

 ちなみに巨匠、「水浴する女」との関係性を指摘されるふたつの絵を描いている。

 それは、彼に共通する特徴のひとつ紅色によるアクセントが際立つ 「長老たちに脅かされるスザンナ」(上/ベルリン国立美術館蔵)。

 そして、水浴と王ダビデからの召喚状を受け取るふたつの場面を合成した 「バテシバ(バト・シェバ)」(下/ルーヴル美術館蔵)である。

 ペトロ とカタリナ、時期は異なるもののこの関連三作に対面。
 巨匠特有の官能性や甘美性の漂う絵を前に 「なるほどねえ」と、何時もながらの解(ほど)けた顔で頷くペトロに、誰かはとうとう 「・・・・・」匙を投げたかのようでした。(この稿、続く)。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.809

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(19)へは(コチラ)から入れます。

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レンブラント ‐ ナショナル・ギャラリー(19)

2014年05月16日 |  ∟イギリスの美術館

 17世紀オランダ絵画黄金期に、スポットライトを駆使、明瞭な明暗対比と自在に操る赤褐色や緑褐色などの色彩、そして場面を明確に伝える劇場性と登場人物への揺ぎ無い考察力を備えたひとりの画家がいた。

 その画家とは、カタリナ が愛して已まなかったレンブラント・ファン・レイン(1606-1669)。

 A_2ここナショナル・ギャラリーには、「フローラを装うサスキア」「水浴する女」「ベルシャザルの酒宴 ‐ 壁の言葉」「キリストと姦淫の女」「34歳の自画像」「63歳の自画像」と、錚々(そうそう)たる作品が並ぶ。

 まずは、女性を描いた彼の絵の中でも屈指とされる、「水浴する女」から。

 傑作を前にペトロ、女性がたくし上げた肌着と水面に落ちる影が放つエロティシズムに「・・・」、何時もながらに緩む口元が「締まりがない」と呆れられるのである。

 この絵には画家の個人的な愛情がこもっていて、ポーズも非常に打ち解けているうえに技術的にも伸び伸びとし、実際にあった場面、つまり愛人のヘンドリッキエ・ストッフェルスが、恰(あたか)も小川を渡っている瞬間を写生したかのように見える。

 しかしながら解説書は、川岸に脱ぎ捨てられた金色と紅の衣装から、水浴びをする女性は、“ 聖書、もしくは、神話に登場する女性だと読み取るべきだ ” と言う。
 では、その女性とは一体誰、バロック美術の巨匠が描こうとしたのは? 続きは次号(5/17 投稿予定)で。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.808

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(18)へは(コチラ)から入れます。

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格好から(2)‐ 想い出のカタリナ

2014年05月14日 | 想い出のカタリナ

 前回、電子レンジは別にして一番使う台所道具がフライパンと書いた。
 のっけから話がそれるがその電子レンジ、今や調理器具の真ん中にあって、チンする? なんて言葉、“ 電子レンジで加熱する ” ことと大辞泉に載っている。

 電子レンジと言えばヨーロッパの旅中、テークアウトとともに、エレクトロニックレンジと言っても理解(わか)って貰えなかったこと、恥ずかしながら冷や汗とともに思い出す。

 A1_2正しくはマイクロウェーブ、マイクロウェーブオーブンだが、むしろ、“ チン、プリーズ ” の方が通じたかも。
 ちなみに、テークアウェーだったっけ、お持ち帰りは。

 またまた話がそれたが、「まずは道具、格好からなのだから」とからかわれたが、何もペトロだけじゃなさそう。

 名前は匿(かくす)が、日本百名山の踏破を目指すお仲間に誘われ道具一式揃え、まずは足慣らしと始めた近間のトレッキング、昔取った杵柄となる筈が早々と根を上げ、以来お蔵入りと苦笑いをする友もいる。

 また逆に、某新聞社のカルチャー教室の書道クラスに入会を申し込んだはいいが、硯を、墨を、筆をと勧められ、「やんぺ」した阿呆も。
 書を習うための必需品、お粗末にも貸して貰えると思っていたペトロ、まさに弘法大師さんもびっくり?

 A2_2ところで、百名山の踏破なんて身の程知らずなこと、毛ほども考えたことはないが、このまま老いていくのも聊か癪、近間をハイキングでもと思いリュックサックを見に行った。

 勧め上手の店員さんにしてやられた感もあるが、買ったのが  Marmotの25 リットル。
 近間歩きには聊か大きいが、なにせ長身の割に胴ばかりが長いゆえ15 リットルでは樹にとまった蝉みたくに。

 勿論、「また道具から?」とおっしゃる誰かさんの顔がチラつきましたとも。 

 いきなり六甲山頂も無理だろうから、カタリナ が元気でお茶をやってた頃に独りで歩いた甲山、それも山麓辺りからぼちぼちと思っているのだが、えっ、それにしちゃ道具が立派だって? フーテンの寅さんじゃないが、「それを言っちゃおしめいよ!」。

 時期としてはそろそろお仕舞なのだろうか?「著莪 (しゃが)」と「ライラック」、薄暮に白い花を咲かせていた。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.807

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格好から ‐ 想い出のカタリナ

2014年05月12日 | 想い出のカタリナ

 ペトロ が一番使う台所の道具がフライパン。
 包丁や俎板なども使わないことは勿論ないが、頻度から言えば、電子レンジは別としてフライパンだと思う。
 その辺りから、日頃食べている物がばれてしまいそうな気がしないでもない。

 結構、作っているつもりでも主婦から見ればままごと、面倒になってつい便利なものに頼る。
 そのうち道具を使いこなして一丁前に調理、「偉そうに言って大丈夫」「多分ね」、との思いもある。

 X1_1_3話はそれたがそのフライパン、ごしごしと洗うのがよくなかったのかコーティングが剥がれてきた。
 で、買い替えなければと思っていたら、某日、朝日紙に全面広告。
 A社がフライパンを宣伝、人気があるらしく相当の待ちがあるうえに、スペースパンなる物とセットだとかなり割安との惹句に釣られてしまった。

 PCを入れ替えたので、メールが残ってなくて定かではないが、消費税が5%だったので3月だったと思う。
 申し込んで暫く、“ お詫びに黒田征太郎さんの絵と一緒に6月に送る ” との葉書が届いた。

 そんな人気商品を買っちゃったの?なんて驚いたが、この連休に画伯? の2 Lサイズほどの走り描きというか漫画、失礼! と一緒に届いた。

 X1_2_3お詫びの品はともかく同梱のレシピには、この夢のフライパンでこんなものまで、こんなに簡単に!とある。
 例えば、油なしにトンカツ?ほんまかいなと思ったが、昨今、この手の家電調理器が人気とかを思い出して納得も。

 ふ~ん、そうなの、と使い方を兼ねたレシピ本を読んでいたら、「よく考えて買った」と声がした。
 そう言えば昔、日曜大工、水彩画、書道、エトセトラ、そのための道具をと言うペトロに、「まずは格好、形から入る人だから」と、思い留まされたことがよくあった。

 お茶ひとつとっても、何十年も地道にやってきた人からすればそれも宜(うべ)なるかな。
 以来、物置の肥やしになりそうなものは買うのを慎んできた。

 その箍(たが)が外れた訳では決してないが、普通の物なら片掌の指ほども買えるこのフライパン、果たしてカタリナ さんの鼻を明かすことができるでしょうかね。(この稿、続く)
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.806

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