桜色に染めし衣をぬぎかへて 山ほととぎす今日よりぞ待つ (和泉式部/後拾遺和歌集)
風薫る五月、この梅雨に入る前の一時季、爽やかなお天気が続き、一年に二回、初秋のそれは何か心愁うものがあるが、初夏のこの頃は心浮き立つ感じがする、筈だったんだけれど。
ところがどうだ、<旅先のTV>が日本は真夏と報じていたことは書いたが、そんな天気が続いている。
インドでは気の遠くなるような気温を記録、多くの犠牲者を出したらしい。
一方、アメリカの西海岸、温暖な筈のサンディエゴでは時ならぬ雪に見舞われ、テキサス州では大雨だという。
お天気だけじゃない、火山活動も盛んだしネパールでは大地震もあった。
一体この地球、どうなって仕舞ったの、仕舞うのだろう、と思う。
昔、中国の杞の人が、天が崩れ落ちてきはしないかと心配したというのが語源だとされる杞憂、以前に書いた<コレラが怖くて死んじまった>と同意だろうけれど、そんな阿呆な、と笑ってもいられなくなったようにも。
隣の国が出た序にその国、国防白書なるものを発表したと新聞が報じていたが、それによると海洋軍備を着々と増強しているらしい。
そんなこともあってか、三世総理、戦後レジュームからの脱却をお題目に、祖父が拵えた安保体制の改革に余念がない。
が、スプラトリー(南沙)諸島における軍事設備建設など、隣国の傲慢にして不遜な振る舞いを報道で見聞きするにつれ、宜(うべ)なるかなと思わないでもない。
今回の小さな旅に限らず、隣国人のルールなきが如く、誰憚らぬ振る舞いに顰蹙させられることもしばしば。
極めつけは、機中でのこと、「ただいま携帯電話がご使用になれません」とのアナウンス。
別に使う予定はないけれど、離着陸時ならいざ知らず、「えっ、なんで?」と思ったら、「中国上空、電波が規制されています」とのこと、何度かこの国の上空を運ばれたがこんなの始めて、ここまで遣る!
イエスは、“ 隣人を自分のように愛しなさい ” (マタイ/22・37-39)と教えるが、いやはやなかなかである。
そんなこんなで皐月・5月、爽やかならぬ暑い風とともに去るようで。
少し暑苦しくもある「八重の立葵」と水が欲しげな「紫陽花」、炎天の某日、西宮前浜の防波堤のそば、小さな貸農園らしき畑で撮った。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.983