二月最後の日曜の朝のこと。
この日の朝日の広告欄に、「滝平二郎きりえ名作集」(朝日新聞出版)の案内があった。
広告の惹句には、“ 朝日新聞日曜版から ” とあって、“ 懐かしき名作が鮮やかによみがえる!” と続いていた。
この画家、作家と呼ぶ方が相応しいのかも知れない。
きり絵というジャンルに、牧歌的、叙情的な風景を取り入れ、少し趣は異なるが著名作家の小説の挿絵で名を馳せた宮田雅之氏や影絵作家の<藤城清治>氏らとともに、きり絵の市民権を確立した画家のひとりと言っていいのだろう、と素人なりに思っている。
母がこの日曜版の滝平さん描く、いつか昔の童の風景を楽しみにしていた。
たまの休みに帰郷すると、歳末に新聞配達店が配る滝平さんの一年版のカレンダーを壁に貼っていたことも思い出す。
話は変わるが、ペトロ の縁戚に、このきり絵作家のH氏がいる。
彼がデビューした頃、地元紙などがさかんに取り上げ、ひとしきり話題になった。
また、朝日新聞の地方版の日曜紙面や心斎橋の名店街が発行するタウン誌などの表紙を飾ったりしていた。
デビュー当初、彼の個展に足を運んで改めて気付いたことがある。
絵も書も写真もそうだが、実際に作品の前に立つと、その出来映えの素晴らしさ、凄さというものを実感するのは当然のことだが、きり絵は取り分けその印象を強くする。
写真では少し平板に見えるものが、実に活き活きと景色なり人物なりが表現されていることが窺え、繊細かつ緻密な世界に舌を巻かされた。
過日、そのH氏から、小ブログで病気を知ったとかで見舞いの手紙を貰った。
その中に、九州の柳川の水辺の風景を切り取った小さな作品が同封されてい、今、PC脇の壁で無聊を慰めてくれている。
写真はH氏の作品、今の季節に相応しく、「雪が降る」(50×65.2 cm)と「美山爽春」(66.6×72.7 cm)。
日本列島、大寒波に震えていたが、ここ数日少し緩んだよう、春までもう少し。
そんなこんなで、如月・二月はゆく。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.583