その蜩の塒

徒然なるままに日暮し、されど物欲は捨てられず、そのホコタテと闘う遊行日記。ある意味めんどくさいブログ。

『夢に見た娑婆』

2013年12月26日 | 本・雑誌
 主人公の縮尻(しくじり)鏡三郎とは拝郷鏡三郎のあだ名であり、シリーズ化されてます。飼鳥屋(鳥問屋)を職業としていた新三郎が、3年3ヶ月を過ごした寄場(監獄)から出てくるところから話はスタートします。鷹は1日にスズメ10羽、ハト3羽を食べるそうで、鷹100羽で年間50万羽も必要になるんだそうです。その鷹匠にスズメとハトを納める仲買人が飼鳥屋というわけです。この摩訶不思議な職業の飼鳥屋にからんで、物語が進行していきます。イノシシやシカを扱うももんじ屋というのも出てきましたね。実際鳥を取る人は“いさし”と呼ばれ、いさしの吉兵衛との間で諍いがあり、新三郎は寄場送りとなったわけです。吉兵衛は鼻持ちならないヤツで、ずっと一泡ふかせてくれと祈りつつ読んでましたが、最後に捕まり遠島になるようでした。ですがどうもすっきりしない結末ですね。

 色んな事件が起こるんですが、その中で播磨屋別家が襲われたのがありました。御用船に50両しかなかったというのも腑に落ちませんし、播磨屋別家にしたって本家とはいえ、早朝から3千両もの大金を予告もなしに借りていくことがあろうかと訝しみました。そのため50両しかないのに、両替商が店を開けてるのもおかしい訳ですよ。

 敵(仇)討ちの逸話も面白かったですが、身分によっては「斬り捨てご免」とはいきませんでした。また江戸時代は、眼病者が多く、目の不自由な人には手厚かったようです。火事も多く、振袖火事(明暦3年1657年)と称される明暦の大火と、天和(てんな)2年1683年に起こった八百屋お七の火事(天和の大火)は有名です。

【漢字】
腎虚(じんきょ)・・・漢方で、虚弱体質・精力減退に類する症状。

東雲(しののめ)

鵺(ぬえ)・・・日本で伝承される妖怪あるいは物の怪。トラツグミの説も。

糊口(ここう)を凌(しの)ぐ・・・貧しい暮らしをする。

眦(まなじり)を決する・・・目を大きく見開く。怒ったり、決意したりするさま。

霞を食う・・・《仙人は霞を食って生きているといわれるところから》浮世離れして、収入もなしに暮らすことのたとえ。

袖搦(そでがらみ)・・・江戸時代に使用された長柄の捕り物道具。

鳩首(きゅうしゅ)・・・人々が寄り集まって、額をつきあわせて相談すること。

お為ごかし・・・表面は人のためにするように見せかけて、実は自分の利益を図ること。
コメント
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