ポール・ブルックス(上遠恵子訳)「レイチェル・カーソン」(新潮文庫)を読む。
レイチェル・カーソンは2007年生誕100年だそうで、
そのとき復刊文庫化されて買い忘れていた伝記本です。
とはいえ、途中に3部作や手紙、雑誌掲載ものが入るため、
構成は伝記というより著作+解説になっています。
ただ「潮風の下で」「われらをめぐる海」「海辺」の3部作は
訳ではなく原著に当たる方が適切である、という感じが否めない。
内容は、書かれた当時の最新データを用いて書いてあるとはいえ、
1950年代であり、読むに耐えない部分は多少あるのかもしれません。
大事なのは姿勢であり、自然に対する見方ということでしょう。
その点では、最初のエッセイ「海のなか」が一番良かったという感じがします。
そういえば「沈黙の春」は、昔挫折した記憶があります。
今になれば少しは読めると思いますが、
「センス・オブ・ワンダー」ともども、単行本を当たる予定です。
(版権の関係なのでしょうが、著作の5冊が一つの出版社から出ていないのは気になります。)
公害問題も環境問題と言葉を置き換えてしまえば、
どこかクリーンなイメージがするのはなぜでしょうか?
(“象牙の塔”として見ているのは誰なのか)
真実はもっと泥臭く、人間の嫌な面を見ないで済むはずがないことを
忘れてはならない。