おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

大使、釣れませんでした。

2005-01-07 02:25:20 | 我思う、故に書くなりよ。
寒いとは判っていたが、寒すぎるとは判っていなかった…。

ヒマと言うワケでも無いが、療養の身なので私に「仕事」と言う物は無い。従って、正月が終わっても向うべき勤務先は無いので、症状が軽い時は「散歩」に出掛けたりもしているが、テレビ番組に触発されて、釣りに出掛けてみたりする。

おおよそ、釣りに出掛ける格好とは思えない格好でも、道具を持っていけるので、バスと電車を乗りまくって湘南の海へ出掛ける。車と言う「足」が無いので、致し方ないが、エライ時間が掛かってしまいウンザリ気味で目的の地に降り立ち、いそいそと道具を調え、釣れないだろうな…とは思いながらも竿を降ろす。

釣れないだろう理由は、いろいろあるが、まぁ、一番大きな理由は「エサ」が付いていないって事。代わりに「擬似餌」と言う洋語で言う所の「ルアー」が付いているワケで、これに喰いついてくれる奇特な魚さんがいれば「釣れた」と言う事になる。

んが、奇特な魚はなかなかいないものなので、釣れないだろう…と言う事なんである。

だが、全く釣れない事は無くて、かつて78cmの鱸(すずき)を釣った事があるのである。シーバスと言えば今風だが、これが奇特な魚で、ルアーに喰い付くのだ。

そもそも、シーバスを狙うのであれば、過去の実績のある、かの地へ向うのだけれど、他にも目的があったので別の地に来た次第。それは、愛して止まない「リール」の扱いを体に蘇らせると言う事。

北欧の地、スェーデンで生まれたそのリールは、頑丈と精緻を兼ね備え、質実剛健そのものが世界的に有名となり、長く作り続けられている。時代を経て機能や性能の向上に伴うモデルチェンジはあるものの、基本的な構造は創業当時と変わっていない。そして、このリールに付けられた名前も…。

それが「大使」。あんばさだー…とも言う。だいぶ以前だが、バス釣りを始めるに当たって道具を揃える時に、初心者でありながらも「大使」を選んでしまう大それた事をしでかした。普通に魚釣りに使うリールと言えば「スピニング・リール」を指すと、信じて疑わなかったのだが、店頭で見たそれはメカメカしく鈍く輝き、「あんたが買わないと誰が買うのよ…」と言う悪魔のささやきをも放っていた。

普通のリールが5個は買えそうな値段をし兼ねなかったが、そんな事は気にならず、迷わず買ったさ。
だが、当然、ズブの素人に扱える代物ではない。投げりゃなんとかなるだろう…と言うどこの国でもありそうな、どこの人でもやりそうな事をやってみたが、完膚なきまでに叩きのめされる。巻いてある糸が一瞬で絡まりまくり、鳥の巣状態になり、釣りどころの騒ぎでは無くなったのだ。

後々、書籍によって得た知識によると「バックラッシュ」と言うトラブルであり、ルアーと竿とリールの「調整」と言う物を事前にしておかないと、簡単に起こるトラブル言う事が判る。何もせずにいきなり使ってしまう輩であったワケで、見舞われるのも当たり前であったのだ。

そんなワケで、新参者を寄せ付けない「大使」と仲良くするには練習以外に道は無く、調整と指使いを覚えなければ大使は機嫌よく働いてくれないのだ。それも、気を抜かず、絶えず注意を持って望まないとイケナイ。

久々に釣りに出掛けるのに、大使を選んだのはその練習と以前に覚えた感覚を取り戻そうと言う事だったのである。魚が釣りたいなら、他にも愛用のスピニングがあるのでそれで釣れば良いだけ。

案の定、魚が喰いつく気配はどこにも無く、ひたすら調整を確固たるものにする作業と、投げの練習に時間を潰す事になった。小振りな「大使」も愛用品の中にはあるのだが、あえてその中でも一番大きな5500-C3を持ち出してみた。高級なリールなのだが、防波堤のブロックにゴンゴンぶつけて傷だらけになり、出なくてもいい「味」が出ちゃっているヤツ。持ち込んだ竿は3980円の振り出しの安い物だけに「大使」の異様さが際立つのではあるが、コイツでなければ大物は揚げられないと決めている。

そう。そのワケの判らぬ、得体の知れない「思い込み」こそが男を大海原へ向わせるのだ。「大使」でなければならない理由はもはや、どこにも無い。日本製の似た様なリールの方が、性能も扱い易さも上である事は知っている。バス用に買ったスコーピオンなんか、それはもう出来の良さとカッコ良さは比較にならないと判っている。が、大使でなければ、この大使でなければならないのだ。この先、どんな優秀なリールが世に現れても、私が釣りに出掛けるきっかけを作ったのは、この大使に他ならないのだから。

今年は、過去とは違い、寒さ対策も抜かりの無いハズであった。それは燃料式カイロと言う強い味方がいるからで、燃料もZippoオイルと言う最強の組み合わせを持参している。

が、耐え切れなかった。カイロで暖まる上半身は快適そのものであったが、膝から下の寒さは限界を超えてしまうのであった。湘南とは言え、この時期、海風に吹き晒されると言う事を侮っていた…。
足先っちょからの冷え、膝の冷えは耐え難く、強い風に踊るルアー、気を抜くとへたり込みそうな突風に撤収を余儀なくされてしまったのだ。

だが、本当に久々の大使との対話は、そんなこんなであっても、帰りの道中を楽しい物に変える。早く帰って、分解清掃するのが待ち遠しい…。さして汚れてはいないが、海水を滲ませたままでは大使の健康を損なってしまう。ぬるま湯で丁寧に洗い、必要な部分にはグリスとオイルを入れて、次の戦いに備えるのだ。

へんてこりんで、へなちょこな釣りロマンを求めては今後も続く…。

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