アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

ゴリラに劣る奴が駅員に暴行する

2010年07月19日 | Weblog
 駅員さんが毎日客に暴行されている。平成21年の数字で、1日約2.5人が暴行されている。状況としては、「いきなり暴行される」というのが最も多い。その中で、「おや?」と思ったのは、「ケンカの仲裁に杯って暴行された」…こ、こ、これは…。駅構内でケンカがあっても、駅員はケンカの勝敗が決定するまで静観しているのが安全。
 山極寿一さんの書かれたものを読んだばかりでしたので、「とうとう、人はゴリラに負けたな」と思いました。
山極寿一さんは、京都大学の教授。1970年代後半から30年近くにわたって、中央アフリカ熱帯雨林における自然と人間に関する調査研究にかかわってきた。とりわけ、ルワンダとコンゴに分布する野生ゴリラに詳しい。

 ゴリラは、ケンカをしても仲裁者を攻撃することはないという。ケンカは、二者間で行われ、二者間で終結する。但し、必ずといっていいほど、ケンカが起こると誰かが仲裁に入るという。仲裁者がどちらかに加勢することはない。中立で、ケンカを止めようとする。巨大なオス同士の戦いであっても、メスゴリラやこどもゴリラが割って入るんだと!ケンカ中の巨大オスゴリラが、「メスはスッコンデロ!」とか、「ガキは小便して寝ろ」とか言って、殴る蹴るの暴行を加えることはない。仲裁は成功するという。これだけでも、「ゴリラは凄い」と感心させられるのに、まだ続きがある。

 ゴリラは勝者を作らない社会を作っているのだと!集団生活をするサルの場合、「勝者を認めることによって、平和を保っている」。周囲が勝者を認めればケンカは簡単に終わる。ゴリラはそういう状況を潔しとしないらしい。ケンカを早く終わらせることよりも、「ケンカを始めた双方のメンツを失わさせないことの方が重要」。と、いうことは…ケンカを始める前に、仲裁に入る誰かがいることを確認する必要がある。冷静ですねえ!冷静ならケンカしないだろうって?それは人間の話です。ゴリラは、冷静に仲裁人じゃなくて仲裁ゴリラの存在を確認してからケンカする。

 おそらく些細なことでケンカを始めた電車の乗客。仲裁に入る人がいるかいないかなど関係ない。キレているというより狂っている。そして駅員さんが仲裁に入ってきたので暴行を加える。仲裁者が一般乗客なら、「ナンダテメエー!」とか言うであろうが、すぐには手出しはしない。狂っていても、「一般乗客=攻撃されるかも知れない」「駅員さん=攻撃してこない人」という判断が出来る。攻撃される心配がない人を攻撃するのが人間の心理。学校の先生が保護者に攻撃される。愚かな生徒が先生に暴行する。これらは、「攻撃してこない人を攻撃する」例の顕著なものです。

 今日も、2.5人の駅員さんが客から暴行を受ける。ゴリラを見習う日は…当分どころか永遠に来ないでしょう。