アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説をミュージカルにしたHJカルチャー制作作品を観に行きました。
3人劇です。
サン=テグジュペリ役はルイス・チョイさん。
星の王子さま役はパク・ジョンウォンさん。
コーラス役はキム・ファンヒさん。
昨年の秋に参加したウェルカム大学路のイベントで忘れられない歌声を披露してくださったルイス・チョイさん。
声楽家でソプラノ音域まで歌いこなせるカウンターテナー。
18世紀のオペラ歌手ファリネッリのミュージカルでファリネッリ役を演じた歌の超絶技巧がすんばらしい方です。
ウェルカム大学路ではルイス・チョイさんのインパクトが大きかったです。
今回はルイス・チョイさんとあの名作をどうミュージカルにしたのか気になり観に行ってきました。
まずは作品としては童話の世界がそのままミュージカルになっていて
劇中にいくつも有名な台詞が出てきます。
そして観る人、立場、性別、環境によって感じ方も様々なまさに哲学的な作品に仕上がっていました。
ただ、本を読むのとは違い視覚的に意図された演出はある一定の解釈で描かれていて
それを受け取る側がどう感じるか、はあるかも知れません。
私は概ね「そうだなぁ」と同調しました。
キャストに女性が入っている時点で星の王子さまは少年ではなく未熟な男性であり
薔薇を女性が演じたことで2人が恋愛関係にあったことが推測できる演出でした。
素直に本を読んだら星の王子さまは少年のままとも解釈出来ますが
かつて私が本を読んだ時に感じた恋愛のもつれがミュージカルの中にも抽象的に描かれていて
その部分に関してはうーん、と唸ってしまうくらいにうまく表現されていました。
薔薇は「愛情」の象徴でもあり、その薔薇に背を向けてしまったら孤独しか残らない
薔薇=女性の想いに気付いてあげられない幼稚な男性像が星の王子さまでした
そして離れてから薔薇の大切さを感じ薔薇の元に帰ろうとする
それは幼稚で純粋で愚かしいほどに健気な男性に見えました。
星の王子さまは童心の象徴で、存在してない。
私はそう解釈しています。
あくまで砂漠で孤独の中でサン=テグジュペリが自身の童心と向き合った話と理解してます。
若いサン=テグジュペリを演じたのは薔薇だったり、星の王子さまの友達のキツネだったり、他の星の大人を演じたマルチプレイヤーの女性ファンヒさんでしたが
ミュージカルのクライマックスに星の王子さまと別れるのは大人の男性のルイス・チョイさんでした。
泣きながら星の王子さまと離別をしてました。
カテコは出演者3名が客席に背を向けて歩くその姿が非常に印象的でした。
星の王子さま
「大切なことは目に見えない」
劇中にもでてきましたがそれが真理なんだと思います。
良い作品でした^ ^
考えすぎちゃったら頭が痛くなりそうな哲学ミュージカルゆえもうこれ以上は考えません。
どうしてハラハラと涙が溢れてきたのかは分からないままでしたが観て良かったです。
今週末、4/7まで。
スポット(☆)